遊戯王~デュエルキングを目指す少女の物語   作:魔法使い?

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第34話『部長VS堀内』

「部長。私はあなたのことが憧れだった。私は……」

「堀内か……」

「私とデュエルしてください!!」

 

 クーラーががっちりと聞いたこのデュエル部にいるのは私と部長と堀内先輩のみ。

 いきなりのデュエル宣言に私は驚いたが、部長は何かを悟っているのか、反応をあまり示さずに杖を持って立ち上がり、スペースがある場所へと進む。

 

「ここならだれにも邪魔されないな……。俺とデュエルか。望むところだ」

「一度、私はあなたを倒したかった。部長は3年生。卒業前に一度、デュエルで勝ってみたかったもんでね」

「ほう」

「部長はとてつもなく強い。私はこの冥界学校の誰よりも強いと思っている。だから、私は超えてみたい」

「………そうか」

 

 デュエリスト同士を知るのは、こぶしで戦うより、デュエルをするほうが早い。

 それは誰でも知っていることだ。

 部長と先輩はデュエルディスクを持って構えてデュエルの宣言をした。

 

「俺から先攻でいかせてもらおう。ドロー。俺は手札から『マスマティシャン』を召喚。召喚に成功したことによりデッキから『トリック・デーモン』を墓地へと送る」

 

 長いおヒゲを生やし、杖を持ったおじさんが部長の前へと現れる。

 

「『トリック・デーモン』が墓地へと送られた時、デッキからデーモンと名の付いたカードを加えられる。『デーモンの宣告』を手札に加える!!」

 

 加えたカードはもちろん部長のデッキの中心となるカード『デーモンの宣告』だった。

 

「500ライフを払い、デッキの一番の上を当てる。当てた場合は手札に加え、外れたら墓地へと送られる。俺は『いたずら好きな双子悪魔』を選択だ

 

 部長は自分で確認せずに、デッキトップを堀内先輩と私に見えるようにカードを見せつける。

 

 部長 LP4000→3500

 

「はずれのようだな」

 

 わざとらしく部長は言っているが、これも作戦のうちなんだろう。それは墓地に落ちてこそ効果を発揮するモンスターだったから。

 

「俺が墓地へと送ったのは『絶対王 バック・ジャック』。このカードが墓地へ送られた場合に、デッキの上からカードを3枚確認し、好きな順番でデッキの上に戻す。カードを1枚セット。これで俺はターンエンドだ」

 

 部長はデッキトップを見ずにデッキのカードを3枚を素早く差し替える。

 この行為を何を示しているのか不明だが、何かを狙っているのは確かだろう。

 

「私のターンドロー」

「この瞬間。墓地の『絶対王 バック・ジャック』を除外して効果発動だ。自分のデッキの一番上のカードをめくり、そのカードが通常罠カードだった場合、自分フィールドにセットする。ただし、違った場合、そのカードを墓地へ送るがな」

 

 上のカードを堀内先輩に見せる。部長はさっきデッキトップを操作したからもちろん紫いろの罠を示すカードだった。

 

「当たったことでフィールドにセット。そして『絶対王 バック・ジャック』の効果でトラップカードは伏せたターンでも発動できる。『マインド・クラッシュ』を発動だ」

「いきなり発動か!」

「今から俺はカード名を1つ宣言する。宣言したカードが相手の手札にある場合、相手はそのカードを全て墓地へ捨てる。宣言したカードが相手の手札に無い場合、自分は手札をランダムに1枚捨てる」

「くっ!?」

「俺は『炎熱伝導場』を選択だ。お前の手札にあるな。捨ててもらおうか」

 

 堀内先輩は宣言通りのカードを墓地ゾーンへと送った。

 部長は手札のカードを見ないで当てて、普通じゃありえないことをしているが、堀内先輩はそれでも驚くことはなかった。

 

「これが、部長の超能力か。自分のデッキと人のデッキを全て何があるか把握できる能力……」

「ああそうだ。俺が昔から目が見えない代わりに五感が発達した能力だ。微かな音や匂いで何なのか把握してある。それに一度覚えたものは忘れない主義なんでね」

「やはり部長は強い……」

「お前の手札には『真炎の爆発』があるな。『炎熱伝導場』のデッキ圧縮とワンターンキルは止めてもらった」

 

 『炎熱伝導場』はデッキからラヴァルカードを2枚落とす能力がある。

 ここはパワーカードである『真炎の爆発』を捨てるほうが重要だと思ったが、『炎熱伝導場』のデッキシャッフルを止めたと思うと納得いく。

 堀内先輩のデッキトップは知っているって言ってた。だから、デッキをシャッフルするのは不都合なことでもあるんだろう。

 

「俺はそして永続罠『夜霧のスナイパー』を発動だ。モンスターカード名を1つ宣言する。俺は『クリバンデッド』を選択。宣言したモンスターを相手が召喚・特殊召喚・リバースした場合、宣言したモンスターとこのカードをゲームから除外する」

「それは私は『サイクロン』で阻止する」

 

 ここでサイクロンを使って堀内先輩は止めたのは、ここで止めざるを得なかったからだろうか。

 サイクロンを使わせたと考えるとキーカードである『デーモンの宣告』を守るための囮となったからだろうか。部長がゲームの流れを持っている。

 

「そして『クリバンデッド』を通常召喚だ。エンドフェイズ時に俺はこのカードを墓地へと送り、デッキからカードを5枚公開。その中から魔法罠を1枚手札に加え、残りを墓地へと送る。私は『炎熱伝導場』を加える」

 

 代わりに墓地へと送られる『ラヴァル・フロギス』『ラヴァル・コアトル』『真炎の爆発』『シャッフル・リボーン』。

 このターン、部長は『マインドクラッシュ』で堀内先輩の『炎熱伝導場』を墓地へと送ったが、結局のところ、加えられるハメに、

 だが、これは意味のない行動ではないと思う。1ターン堀内先輩の攻めを遅らせることに成功したのだから。

 

「いくぞ。俺のターンドロー!! 俺は手札から『おろかな埋葬』を発動。その効果により『暴風竜の防人』を墓地へと送る。そして『デーモンの宣告』の効果により『マアト』を手札に加える」

 

 当たり前のように部長はカードを当てて『マアト』のカードを手札に加える。

 

 部長 LP3500→3000

 

「そして俺は手札から『天輪の葬送士』を通常召喚。このカードが召喚に成功した時、自分の墓地の光属性・レベル1モンスター1体を選択して特殊召喚できる。『暴風竜の防人』を特殊召喚だ!!」

 

 手足が生えた棺の形をした天使のモンスター。棺の扉を開けるとドラゴンとほど遠い位人型の防人が現れる。

 

「これで条件が整ったな。ドラゴン族の『暴風竜の防人』と天使族の『天輪の葬送士』をリリースして俺の前へと姿を現せ!! 『マアト』!!!」

「部長の切り札……」

 

 額に千年眼、首元に千年首飾り、胸部に千年輪、腰部に千年錐、右手の杖に千年錫杖と千年錠、左手に千年秤を持っているのが確認できる。

 あれは古代エジプト神話に出てくるものと同じ女神だ。教科書に載ってる歴史上の人物と同じ……。

 

「効果発動だ。1ターンに1度、カード名を3つ宣言して発動できる。自分のデッキの上からカードを3枚めくり、宣言したカードは手札に加える。それ以外のめくったカードは全て墓地へ送るがな。俺は『幽鬼うさぎ』『昇天の角笛』『死者転生』を手札に加える」

 

 もちろん選んだカードは全て部長は当てて見せた。

 『マアト』の召喚コストはとても重いもののはずだったのに、あっという間にその損失をしたとは見せない、手札6枚に元通り。

 驚きな展開でも、堀内先輩は焦ることはなくまるで知っているかのように力強く部室を立っている。 

 

「そして『マアト』はこの効果で加えたカード1枚につき攻撃力が上がるのさ。よって攻撃力は3000」

「部長は、精霊っていうのを信じますか?」

「急に何を言い出す。堀内?」

 

 突如『精霊』っていうことを口にする堀内先輩。

 それは伝説のデュエリストだけが知っている都市伝説だと思っていた。でも、部長は……。

 

「まああってるな。冗談だと思って聞いてくれ。俺はそのカードの精霊の声は聞こえる。昔から俺は盲目だったからなー。世間のことは何も知らないとか思われていそうだが、精霊にいろんなことを教わったからな」

「都市伝説ではなかったか。……部長は選ばれた真のデュエリスト……」

「ハハハ。選ばれたデュエリストか……。面白いことを言うなー。俺はその精霊にカードを通して、世間のことを学んだよ。人は目で色や光という存在から物を判別するっていうこと。人はしゃべるという他に、文字という言葉の代わりになる物が存在するっていうこと。我ながらいろんなことをカードの精霊に聞かれてとても衝撃だったよ」

「だからあんなに人よりも優れたことができるのか……」

「まあ目が見えなくても人の五感の視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚のうちたった、1つだけ俺は機能がないだけだしな。残りの4つと精霊の声で俺は人に頼らずとも、いろんなことができるから別に不便ってことはないな」

 

 病気も怪我がない健全な私にとっては、目が見えない状態ってとても考えられない。

 そのおかげで残りの感覚が優れているからって、自分のデッキのカード、相手のカードを全て知りつくすってそんなバカげたことができるのか。

 

「本来なら何もない堀内の場に『マアト』と『マスマティシャン』でダイレクトアタックすれば終わりだけど、まあ、終わらないんだよな」

「当たり前じゃないですか部長。デュエルはこれからだっていうところで終わるなんてありえませんよ」

 

 部長の宣言通りに、手札から捨てることでこのターンのバトルフェイズを止められる『速攻のかかし』でこのターンをしのぐ堀内先輩。

 

「俺はカードを3枚セットしてターンエンドだ」

「私のターンドロー」

「この瞬間、俺は『マインドクラッシュ』を発動させるよ。『炎熱伝導場』が前にあったな。そいつを墓地へと捨ててもらおうか」

 

 この瞬間でまたハンデスカードか。

 前のターンに加えたカードをピンポイントへと狙っていく。それでもなお、堀内先輩は動揺することなく次のカードをプレイする。

 

「私は『フレムベル・ドッグ』を通常召喚!!」

「それは通さない。俺は『昇天の角笛』の効果を発動。その効果により、『マスマティシャン』をリリースしてその召喚を無効にしてもらおうか」

 

 攻撃力1900で戦闘を破壊したときに、あらたなカードを呼び寄せるカードがあったが、その召喚は止められてしまう。

 

「私は『天使の施し』を発動だ!!!」

「………!?」

 

 禁止カードの発動により、何もかもカードを知っていたと思ったのに、困惑した表情をする部長。

 

「どうやらこのカードの発動は読めなかったようだな。もともとは禁止カードはデッキに1枚までしか入れられないルールなんだ。調整目的に禁止カードは変えるのは当然。私はこのカードを使うのは初めてだから、読めなかったようだな」

「ほう。その通りさ、俺は初めて使われるカードはわからない……」

「大会でも、初めて当たる対戦プレイヤーはわからなそうにプレイしてるからな。私はそのあと、『ラヴァル炎火山の侍女』と『ラヴァルのマグマ砲兵』を墓地へと送ろう」

 

 『天使の施し』。手札を3枚引いて2枚を捨てるだけで、アドバンテージは変わらない。

 けれど、そんな単純な使い方で禁止になったわけではない。捨てるカードによって、さらなるアドバンテージを稼ぐことが可能なのだから。

 『マインド・クラッシュ』で『炎熱伝導場』を捨てたのは、ちょっとリスキーすぎたか……?

 不意の手札交換で、部長の考えるプランが全滅してしまったのだから。

 

「『ラヴァル炎火山の侍女』は墓地に送られた時、他にラヴァルがあるとき、デッキからさらにラヴァルを墓地へ送ることができる」

 

 その効果により『ラヴァル炎火山の侍女』を連続で3枚墓地へと送り、最後に『ラヴァル炎湖畔の淑女』を墓地へと送った。

 

「墓地の『ラヴァル炎湖畔の淑女』の効果だ。墓地のこのカードと『ラヴァル・フロギス』をゲームから除外して、セットカードを破壊する」

 

 部長のセットカードが破壊されていく。

 

「行くぞ!! 私は手札から『真炎の爆発』を発動。現れろ『ラヴァル炎火山の侍女』3体と『ラヴァルのマグマ砲兵』!『フレムベル・ドッグ』!! そして『ラヴァル炎火山の侍女』と『ラヴァルのマグマ砲兵』をチューニング!! 来い!レベル5『ラヴァルバル・ドラゴン』」

 

 大量に堀内先輩の場にあふれるほど出てくる3体の女の子のチューナーモンスター達から、シンクロ召喚されていく。

 ごつごつとしたマグマに染まる、赤い色のラヴァルの龍。

 

「このカードは墓地のラヴァルモンスターをデッキに戻すことで、フィールドのカードを戻すことができるのさ。私は墓地の『ラヴァル炎火山の侍女』を2体戻し、部長の『マアト』を元に戻す」

「手札から『幽鬼うさぎ』を墓地へと送り、効果が発動したモンスターを破壊!」

「とってもキュートな『幽鬼うさぎ』きゅん可愛いよ。はぁはぁ」

 

 赤い色の龍はその羽根をはばたかせ、マグマを飛ばして『マアト』を吹き飛ばすが、それと同時に『ラヴァルバル・ドラゴン』が爆発する。

 それをやったのは可愛い男のウサギのモンスターのようで、男好きの堀内先輩は相変わらずの反応をした。

 

「私のワンショットキルを『マアト』の効果で回避するとは流石だ。『フレムベル・ドッグ』に『ラヴァル炎火山の侍女』をチューニング。『ラヴァル・ツインスレイヤー』! そしてそれに『ラヴァル炎火山の侍女』でシンクロ召喚!! 現れろ!! 『ラヴァルバル・ドラグーン』」

 

 堀内先輩の前に、またまたマグマ色の紅蓮の龍が翼を大きく羽ばたかせながら姿を現す。

 前にもカズマ君と宮城のタッグでも見たことがあるモンスターだが、堀内先輩の容姿がよくなった姿をバッグにすると、また違う印象に見える。

 

「『ラヴァルバル・ドラグーン』は1ターンに1度、デッキからラヴァルカードを手札に加え、手札からラヴァルカードを墓地へと送ることができる。この効果で『ラヴァル炎火山の侍女』を加えて墓地へと送り、同盟カードと『ラヴァル炎湖畔の淑女』を墓地へと送る。そして『淑女』の効果でまたそのカードを破壊してもらおうか」

 

 これでまた、淑女の効果を発動できる。このカードの存在で部長はリバースカードがまた消えていく。

 カードの連鎖によるパワーで相手を圧勝するこれが堀内先輩のデッキ……。私でも勝てる自信がない……。

 

「バトルだ。『ラヴァルバル・ドラグーン』でダイレクトアタック!!」

「………!!」

 

 部長 LP3000→500

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンド」

 

 

 

堀内

LP:4000

手札:0枚

場 :モンスター

   ラヴァルバル・ドラグーン

   魔法・罠

   伏せ1枚

部長

LP:500

手札:3枚→4枚 (マアトと死者転生)

場 :モンスター

   なし

   魔法・罠

   デーモンの宣告

 

「これで『デーモンの宣告』の発動できるライフがないな」

 

 ライフ4000対500。ライフ差で見ると堀内先輩の有利な状況だが、それでも冷静に物事をこなす部長のクールなその姿にそうは思えない。

 それは圧倒的な情報アドバンテージを持っているからだろうか。

 

「私のターン。手札から『死者転生』を発動する……。その効果により手札のカードを墓地へと送り、墓地の『天輪の葬送士』を手札に戻し、通常召喚。そして『暴風竜の防人』を墓地から特殊召喚する。そして場の天使とドラゴンを墓地へと送り、もう一度姿を現せ!! 『マアト』!!!!」

 

 ソリッドビジョンの雲からゆっくりともう一度部長の切り札の天使が舞い降りる。

 これでまたデッキからカードを3枚加えるという爆アドを稼ぎつつ、デッキトップを操作する化け物が誕生したわけか……。

 

「マアトのモンスター効果だ。俺はデッキの上から『魔導士の力』『業炎のバリア -ファイヤー・フォース-』『死者蘇生』を手札に加える。そして攻撃力は3000に」

「装備カード……」

「そうだな。俺は手札の『ダグラの剣』を『マアト』に装備。攻撃力500ポイントアップ。そしてカードを1枚伏せて『魔導士の力』を『マアト』に装備だ。魔法罠1枚につき攻撃力500アップする。よって2500を追加する!!」

 

 攻撃力6000というとてつもない数値に変わっていく。よりによって一番欲しかっただろうカードを全部加えていくのか部長は。

 

「バトルだ。『マアト』で『ラヴァルバル・ドラグーン』に攻撃!!」

 

 堀内 LP4000→500

 

 千年アイテムを持った天使がフィールドを荒らしていく。ライフを3500も持っていかれるとは。これで部長と堀内先輩はライフが500と並ぶ。

 

「『ダグラの剣』の効果だ。戦闘ダメージを与えた数値分ライフを回復する」

 

 部長 LP500→4000

 

 それだけでは終わらないのか。回復したことにより部長と先輩のライフはバトル前の数値と入れ替わった。

 このままでは堀内先輩はまずい……。

 

「メイン2に入る。俺は先ほどライフを回復したことにより、『デーモンの宣告』の効果発動だ。俺は『工作列車シグナル・レッド』を手札に加えて伏せる。そしてセットしておいた『死者蘇生』の効果だ。『D-HERO ダイヤモンドガイ』を守備表示で特殊召喚!!」

「ここで『死者蘇生』を使うのか!?」

 

 『死者蘇生』で部長はモンスターをいきかえさせれば『マアト』と共に攻撃して堀内先輩のライフを削りきることができたはず……。

 私は疑問に思って声を出してしまったが、その答えは部長が出してくれた。

 

「堀内の伏せ。それは『リジェクト・リボーン』……。相手の直接攻撃時に発動できるカードだ……。バトルフェイズを終了して、その後、自分の墓地からチューナーとシンクロモンスターを1体ずつ選んで特殊召喚できるカード。これでで止められて、返されてしまうからな」

 

 セットカードがあらかじめわかるからこそ、できるセットカードのケアの方法。

 それに互いのデッキトップも知っているからデュエルを詰めにまで押し込んだんだろう。

 

「『D-HERO ダイヤモンドガイ』の効果発動だ。デッキトップをめくり、それが魔法なら次のターンその魔法の効果を発動することができる。デッキの上は『ファイナル・インゼクション』だ」

「相手フィールド上のカードを全て破壊するカード……」

「そうだな。これで次のターン場を空にして止めを刺してやる。俺はこれでターンエンドだ」

 

 圧倒的絶望。唯一ある伏せは何も意味を持たない腐ったカード。

 それに手札と場のモンスターは0というこの状況。

 部長にデッキトップを相手に知られているわけで、堀内先輩は逆転は不可能ではと思ったがまだ諦めている顔をしていない。

 

「私のターン……。ドロー!! くっ……」

 

 デッキの上を見るが、やはり苦い顔をしている堀内先輩。いいカードを引けなかったのだろうか。

 

「私は墓地の『シャッフル・リボーン』のモンスター効果だ。墓地のこのカードを除外し、『リジェクト・リボーン』をデッキに戻し、カードを1枚ドロー!!」

「デッキの上を書き換えるカード……」

「そうだ。いくら私のデッキを知ろうとして詰めに入ろうが、デッキが入れ替わるのはケアできないだろう。私はこのドローにすべてを掛ける!!!」

 

 デッキに戻してシャッフルするっていうのが重要なんだ。

 これはランダムにドローするからこそ、デッキトップを知る部長は予測できないカードを対処なんてできない。

 

「来た……。私は手札から『真炎の爆発』を発動。その効果により墓地から『侍女』3体。『マグマ砲兵』『ツインレイヤー』を特殊召喚!!!」

「ここで3枚目の『爆発』だと……」

「私は『マグマ砲兵』と『侍女』でシンクロ召喚。『ラヴァルバル・ドラゴン』!!!さらに『ツインスレイヤー』と『侍女』でシンクロ召喚!! 来い。『ラヴァルバル・ドラグーン』!!」

 

 ぼんぼんと爆発音とともに、再び5体のラヴァルモンスターが現れ、それを元にシンクロ召喚を2回決めていく。

 たった手札1枚でこの展開力。何度見ても、私はラヴァルの展開力は飽きない。

 

「『ラヴァルバル・ドラゴン』のモンスター効果だ。『侍女』2枚をデッキに戻し、私の場の『侍女』を手札に戻す」

 

 なぜ自分のカードを? と思ったが、狙いは別のようだ。

 

「『ラヴァルバル・ドラグーン』のモンスター効果だ。デッキから『ラヴァル・キャノン』を手札に加え、先ほど加えた『侍女』を墓地へと送る、そしてデッキより『次女』2枚と『淑女』を墓地へと送る!!」

「やるな……」

「部長に褒めてもらうのは嬉しいです。私は墓地の『淑女』と『マグマ砲兵』を除外し、『業炎のバリア -ファイヤー・フォース-』を破壊します」

 

 手札を入れ替える目的で戻したのか。流石高校デュエル甲子園2位の名は伊達ではない。

 攻撃時に相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊し、自分はこの効果で破壊したモンスターの元々の攻撃力を合計した数値の半分のダメージを互いに受けるカード。

 これがなくなったことにより、安全に行動が可能になったわけだ。

 

「そして『ラヴァル・キャノン』を通常召喚。除外された『マグマ砲兵』を特殊召喚する。さらに『マグマ砲兵』の効果により手札の『ラヴァルロード・ジャッジメント』を墓地へと送り500ポイントのダメージだ」

 

 砲弾からミサイルが発射される。この爆風も何も反応せずにただ、棒立ちする部長。

 

 部長 LP3500→3000

 

「墓地の『次女』3体と『ジャッジメント』をデッキに戻して、『マアト』と『ダイヤモンドガイ』を手札に戻す」

「見事だ。堀内……」

 

 これで総攻撃力は7800。相手の攻撃時に現れる手札誘発の『シグナルレッド』が存在しても、これは防げない勢い。

 

 部長 LP3000→0

 

 

 パチパチパチと部長は拍手をする。それは全てを認めたかのような行動だった。

 そして堀内先輩に向かってゆっくりと動き出し、堀内先輩の右腕に触れる。それは握手をして強さを認めてくれたようだった。

 

「まさか、俺が負けるとはな……。お前は俺より強いってことが証明されたな。おそらくこの学校ではお前が一番強い……」

「いや、部長。私がこの学校一強いってことはないですよ。だって奈々川君も私より強いですし」

「そ、そんなことないですよ。僕はまだまだです。それに部長と堀内先輩のデュエルを見て、とっても感動しました。あんなデュエルみたことない」

 

 ライフが一瞬で飛びあう攻防の今日のデュエル。

 あれがデュエルがとっても強い強者ならではのデュエルなんだ。あらゆるカードを使いこなしたった1枚のカードで形勢逆転する。

 こんな化け物デュエリストが存在するなんて、こんなに強いデュエル部の生徒の私は、こんなに恵まれた環境で過ごせるなんて、とってもすごいことなんだなと思った。

 でも、学校最強デュエリストは堀内先輩ではない……。これ以上のデュエリストは私は知っている……。

 

「デュエル部は託したぞ。堀内……。お前が俺が卒業をした後の、デュエル部部長だ」

「ありがとうございます。強さを認めてくれるなんて、ごもっともです」

「お前、本当に変わったな……。どんな顔をしているのかわからないが、体重激やせしてるぞ。デカかったお前が発していた熱気が今ではもうない。相当な努力をしたとわかるもんだ」

 

 体重と共にほんとに堀内先輩の雰囲気は丸くなったっていうか……。

 雰囲気も接しやすいイケメンになったことで、昔のハアハアと息切れして男の人に襲い掛かる怖かった先輩はここにはいない。

 でも、優しい性格は変わっていないんだよな。あの昔の容姿は怖かったから話にくかっただけで……。

 

「あ、あの……。堀内先輩……」

 

 小さい身長ながらも、爽やかなショートカットに整った顔付きに小動物のような小さな声の少女がここに現れる。

 見たことない、人物だと思ったが……。

 

「ど、どくじまさん……!?」

「わかりましたか?」

 

 メガネじゃなくてコンタクトに変わってたからわからなかった。

 前までは陰でこそこそと学校にいて、暗いオーラを発していた彼女だったのに。

 なんとなく声とか顔つきで思い出した。あれはたしか同じクラスの毒島さんだ。

 

「どうしちゃったの? なんか……。すっごい可愛くなったっていうか……」

「そうなんです。堀内先輩になんかもう……。わたし……。いろいろすすめられちゃって……」

 

 ブスの毒島とかいうあだ名を付けられていた、毒島さんはもういない。

 イケメンの堀内先輩の隣にいたって誰もが、認めるほどの容姿なんだ。それは。

 

「もともと私は、毒島はこの子は大物になるって見えたからな。地味だった髪形とかメガネを変えて、明るめにしたら可愛くなるって気が付いていた」

 

 堀内先輩が口にしたことを聞いてなんとなく納得した。

 巨漢のモテない堀内先輩がたった短時間で女の子にキャーキャーモテるほどに大変身をしたわけだから、説得力はある気がする。

 

「私はもうこの子とずっと一緒にいるってことに決めた。だからこそ、一人ボッチにはさせない」

「なんか羨ましいなー。堀内先輩と毒島さんって理想なカップルっていうか……」

 

 何かしら欠点があるけど、それを補ってくれる素敵なカッコいい彼氏がいる。

 それは私はもっとも憧れている関係だ。素敵な出会いと共に守ってくれる人がいる理想。

 

「奈々川君も彼女いますよね……。神崎ミカさん……。美人でプロデュエリストでカッコいい女の子が……。一緒に暮らしてて裏山しいなーって」

「うーん確かにそうだけど……。最初はクールでカッコいい女の子だと思ってたけど、一緒に暮らしてみたら本性を見せてくるっていうか……」

「それって痴話話ですよね。わたし、すっごくうらやましいです」

「化け物だよ……。ミカは……」

「あはははは。化け物ってなんですか。奈々川さんは美人さんの彼女にも言うんですか?」

「だって……。すごく強いんだから……」

 

 私と、堀内先輩と毒島さんは恋愛の話をどこまでも続いた。

 人と付き合うってとっても素敵なことだなーって。これがいつまでも続くといいなーと思った。

 これからも2人の関係は仲良く続くと思う。だってお似合いのカップルなんだもん。

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