遊戯王~デュエルキングを目指す少女の物語   作:魔法使い?

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第9話 『カイザー?』

 俺の名は宮城ケン。15歳。

 とくになんの特徴もない普通の高校生さ。趣味は普通の一般人通りにテレビゲームとカード収集さ。

 特に変わった人ではない。あと、ちなみに童貞である。

 

「はーい。あーん」

「もぐもぐ」

「タコさんウインナー。おいしいかな?」

「う、うん。おいしいね」

「もうーー。おいしいんだったら、もっとはっきりいいなさいよ」

「お、おいしい」

「もっと感情込めて。私が一生懸命作った弁当なんだよ。精一杯感謝を込めて」

「……。超おいしい」

「それだけ?」

「神崎さん大好きーー。世界一可愛いよぉー」

 

 昼休みの時間帯。

 俺の目の前に男と女がラブラブしながらリア充しか言えない台詞を暴露してる姿がとてつもなくウザイ。

 ちなみに、今、「かんざきさんだいすき。せかいいちかわいいよ」と棒読みで言ったのは、俺のクラスの一員である奈々川。

 あいつは俺と同じ男の癖に、女性っぽい容姿と雰囲気をたまにただ寄せる。

 よく、ラノベとかアニメにある今、はやりに近い男の娘っていうオーラ唯寄せて、女性のハートイチコロだからな。

 おかげにデュエルも強いらしいし、チート、ハーレムってスペック高すぎ。うらやましすぎるぜ。

 そんなスペックだから美人プロデュエリストの神崎ミカを入学初日で彼女にしたらしいしな。

 

「もうーー。ユウヤったらーー。世界一可愛いってもぉーー。もう一回言って!!」

「………世界一可愛いよ……」

「きゃーーーーっ。大好きぃーーー」

 

 うわぁあああああああああああああああああ。

 

 折角の彼女のアプローチも興味なさそうにスルーする奈々川。

 彼女にこんな冷たい反応だと普通振られるくらいショックな話だと思うのに神崎は馬鹿なのか、奈々川の棒読みで嫌々やっているアプローチでもとてつもなく喜んで抱きついてきやがった。

 あんな適当な恋愛でもカップルが成立しているのに腹が立つ。所詮世の中は顔なのかチクショーー!!

 

 

 

 

 放課後、俺は一つ気になったことがあったので、教室に残る奈々川に直接聞いてみた。

 

「……。奈々川…。もしかしてもう、神崎との夜のデュエルは澄んだのか?」

「ん? 夜のデュエル? 急にこんなこと聞いてどうかしたの? 宮城?」

 

 って、俺は奈々川に何を聞いているんだよ。

 あいつがもう神崎との夜のデュエルを済ませて、童貞卒業済みなのかどうか確認するために聞いたんだが…。よく考えたら頭おかしい質問だな。

 

 

「うん。もう何回かやったよ? 毎日やってるかな?」

「ま、毎日も?」

「そうだよーー。神崎さんったら夜になると激しくてさーー。意外だよね」

「は、激しい?」

 

 おいおいおいおいおいおい。

 恥ずかしがらずに平然とした表情ですぐ、答えを返してくれる奈々川。

 こういった秘密事項は普通、答えを教えてくれるはずないのに、簡単に返してくる。あいつ、天然か?

 だったら馬鹿なあいつにもっと聞くべきだ。

 

「神崎との夜のデュエル楽しいか?」

「うんっ!! 神崎さん。複雑なデュエルしてくれるしね」

 

 ふ、複雑?

 

「そ、それってどんなプレイだよ!!」

「うーーん? 神崎さんが常に僕攻撃してくるかな。僕はそれになすすべなくそれを見て防御するだけ。神崎さんすごいんだよ。いつも僕が思いつかない行動を取って、僕は必死で弱点を付かれないようにしないといけないもんね。激しいから困っちゃうよ。今日も神崎さんとの夜のデュエルの攻略法考えないといけないなーー。弱点って何だろう?」

「聞いてるだけでも想像つくぜ…。すごいデュエルなんだな」

 

 なんてプレイだ……。すぐに想像がついたぜ。

 やっぱりお嬢様っぽいドSの性格の神崎が責めで、おとなしめでドMの性格の奈々川が受けだったのか…!!

 あいつらの激しい夜のデュエルが想像つく。俺達、普通の一般人じゃ考えられないデュエルなんだ。

 そして、もう1つ俺は気になることがあったので、それもついでに聞いてみる。

 

「……童貞っていつ卒業したんだ?」

「へ? どうていって何?」

 

 こ、こいつ……。夜のデュエルをいっぱいしたって癖に、童貞の意味も知らないのかよ……。

 あいつは俺の深刻の悩みを考えずに捨てたってことか?

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 チャイムの音色が学校に響きあたり長ったらしくて退屈だった学校の授業も終わりを迎えて騒がしい放課後の時間に変わった。

 

 私の友達である宮城。急に夜のデュエルがどうかって聞いてきたけどどうしたんだろう?

 それに私の話を聞いた途端に落こんじゃって……。

 言われて見れば「神崎さんがガチデッキしかもたしてくれません」状態だけどさ、別に夜中にデュエルするくらい普通のことだよね。

 夜のデュエルって何度も聞くけど、もしかして夜にデュエルする以外にも意味ってあるのかなー?

 

「うーん。部活どうしようかな? 宮城は何にした?」

 

 何があったのかわからないが、酷く落ち込んでいる宮城の機嫌を取り戻すため、私は話題を変えてみる。

 

「決まってるわけないじゃん!」

 

 キリっとした鋭い口調で宮城は言った。今まで具合が悪そうなくらいな態度だったのに、得意顔へと変えてきた。

 

 

「なんだよ…」

「やっぱさ……。ほら……。帰宅部安定じゃん」

「はぁ……帰宅部って何もやらないでこのまま放課後帰っちゃう部活だろ…。帰宅部が一番つまらないよ」

 

 期待して損した…。宮城はもっと面白そうな部活に入るかと信じていたのになぁ…。

 私は帰宅部には入らないよ。まず、部活を入らない選択肢がないから。

 

「奈々川…。お前は部活入らないのか?」

「うーーん…」

 

 私は机に肘を立てながら窓に映っている野球部の走りこみの練習を見ながら軽く返事を返す。

 確かに部活に入らないとこの高校生活はかなり損することになるだろう。

 早く入らないといけないんだけど……。

 1年生は早めに部活に入らないと先輩とのかかわりが不利なことになるから急がないと…。

 そもそも私の男装生活が安定してなかったおかげで遅れたわけなんだけどね。

 周りの半分以上の学生の部活はもう決まっていて活動をはじめているだろう。

 

「そろそろ部活に入らないとやばいぜ。運動部とかは大事な大会の準備の練習に取り掛かっているみたいだし…」

「みんな、はやいんだなぁ…」

 

 大会といえば私の記憶で去年の女子バスの練習も大会で活躍するために忙しかった記憶が印象残っている。

 それでも中学校の頃の大切な思い出だったんだけどなぁ…。部活は学校生活の大事な思い出を作るから探さないと…。

 

「そういえば奈々川は厨房のころはバスケをやってたみたいだけど入らないのか? 授業中でも点数取りまくりだったじゃん」

「僕はもういいよ…。高校では運動部に入りたい気分ではない」

「じゃあ文化系のに入るのか? お前女っぽいから料理とか音楽とか好きに見えるけど?」

「僕は料理も音楽も音痴だから向いてないよ…」

 

 中学同様にバスケ部に入ってもいいけど、私が男装しているにあたって運動部に入ることはかなり面倒だ。

 別に私が部活で点数をいっぱい取れる選手として大活躍しても別に性別がバレるってことはないけれど。

 運動系の部活の着替えがかなり面倒そうだ。

 おそらくだけど着替えは男子と一緒ってことになるはずだからこうやって何度も隠し通せるわけではない。

 あと、宮城に勧められた料理部。言いにくい話で女として恥ずかしいことなんだけど私、料理できないのよね…。

 

 

 

 私にはある部活に入る試練がある。

 あれから、私がこの冥界学園高校に入学してから約一週間が過ぎたわけだが、「デュエルキング」を目指すための活動はまだしていない。

 神崎さんとの同居が始まって、このままずーっとだらだらと、彼女との恋愛ごっこをしている暇はないからな。

 彼女との夜中にやるデュエルはサイコーだが、このままでは私のためにはならないと思う。

 私はもっと強くなりたい。そのためにはもっとデュエルをすることができる部活。

 

「僕はデュエル部に入りたい!!」

「デュ、デュエル部?」

 

 宮城は驚いている。そんなに私は驚かせるようなことを言ったのかな?

 

 

「奈々川…。止めたほうがいい。デュエル部に入るつもりなのか? ある生徒が言っていたがそのデュエル部っていうのは入らないほうがいい」

 

 さっきまで頼りにならなそうな弱そうな顔をしていた宮城だったが、引き締まった顔へと変わったことから、この話はまじめだと悟った。

 

「どうしてだよ!! 僕はこの学校でデュエルをさらに鍛えたいんだ! それのに…」

「お前は確かに強い……。だが、その部活にはより強いデュエリストがいる!!」

「だったら余計に燃えるだろ!!」

 

 こういう強敵がいるという情報は男心くすぐるよね。女だけど。

 でもどうして宮城は私がデュエル部に入ることを否定するんだろう。

 

「荒れているんだよ。部活は?」

「荒れてる?…」

「お前も知ってるはずだ…!! この部活にはあの、堀内チンヤ先輩が……」

「ほ、ほりうち」

 

 名前を聞いただけで寒気がした。堀内先輩……。

 私が入学初日に寮で出会い。夜中、性的に襲われそうになった男が超大好きな変態。

 

「でも関係ないよ。僕は堀内先輩との夜のデュエルに勝ったんだ。もう襲わないって約束してくれるはずだよ」

「お、お前……。本当に堀内先輩と夜のデュエルしたんだな……。ってことは……やはり彼女より先に処女を…!?」

 

 また宮城が話をしているのは何の話だろうか?

 でも実際に夜のデュエルをして、堀内先輩は化け物だった。

 私はもしかしたら苦戦していた存在だったことを、あの夜のデュエルでわかったんだ。

 だから私はデュエル部は只者ではないってことを知っている。堀内先輩レベルの強い生徒がいっぱいいるんだろう。

 

 堀内先輩の寮で見つけたトロフィーや賞状から、大きな大会で何度も優勝していることを知っているからこそ部活の強さがわかる。

 私がその部活に入ることで、よりデュエルの腕を磨くことができるだろう。だからこそ、

 

「決めたよ。僕はデュエル部に入る」

「よせ、死ににいくもんだぞ…」

 

 怯えているけど、どうしたんだろうか? そんなに先輩が怖いのだろうか?

 

「堀内先輩だけではない……。今の2年生がめちゃくちゃ荒れているんだ。部活どころじゃなくて無法地帯になってるって話だぞ! 頭おかしい連中がいっぱいなんだよ。あそこは!!」

「だったら僕がその部活を改善させるまでだよ! 元々はデュエルが強いんだからきっと話をすればわかってくれるはずさ。安定のデュエル脳でね」

 

 世の中はデュエルなんだ。デュエルでわかってくれればきっと、荒れている部活も元通りになるはずさ。

 

「無茶だよ…。俺らがわざわざ地獄に入れっていうのか? 死ににいくもんだぜ!」

「宮城? ビビッているのかい? 僕達は男なんだから! 行くぞ!」

「おい! だから俺は部活には入らないって言ってるだろ! 入りたいんだったら1人で言って来いよ。俺は帰宅部だ!!」

 

 私は宮城の危ないと話していた警告を無視してまでもこの部活に入る情熱は強い。

 2年生が荒れているとは言ったもののデュエルが好きな人たちには悪い人はいないから私は疑いない。

 何しろデュエル部はデュエルが好きな人たちが集まっているっていうのが普通なんだからこの考えは間違いないはず。

 部活には全く興味を持たない宮城だから私は誘ってあげてもいい。反応は返ってこないけど無理やり入れてやる!

 

「いいから帰宅部なんていうつまらない考えは止めたほうがいいぞ!」

「ひ、人の勝手だろ! 俺はじっくりと勉強したいんだよ!」

 

 そうやって私から逃げようとして今、考えたようなことを言ってるけど部活に入りたくないっていう目をしているから、私は、

 

「いいから一緒に行くよ!! 部活を覗くだけでもいいだろ!」

「部活には入りたくないんだよ!」

 

 私は嫌がる宮城を強制のような形で連れて行き、危険とうわさされるデュエル部っていうのを覗いて見ることにした。

 たかが部活だっていうのに何でそんなに宮城は、人生が終わったような顔をしているんだろう? ちょっと大げさじゃないのか?

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 

 部室までは遠かった。長い階段を何回も上っていってようやく4階の場所に、デュエル部と書かれたその部室を発見した。

 なぜかすごい不気味な感じがする…。このデュエル部だけは他の部室とは別に遠くの場所にあるのが嫌な感じがするけど…。

 

「奈々川…。やっぱ帰ろうよ…」

 

 その部室の扉を私は開けようとすると急に誰かが私の肩は叩かれて、 そこには弱音を吐いている宮城の姿が。

 宮城は大げさに、生まれたての小鹿のように足をガタガタに震えていて私に怖いということを訴えている。

 

「せっかくここまで来たんだよ! さあ開けるよ」

「やめろ…。やめてくれ!」

 

 私に扉を開けさせまいと宮城は腕を押さえようとしているけど、私はすばやく回避してドアノブの取っ手に手を掛けた。

 

「さあ…。これから宮城も部活に入るんだよ! いくよ!!」

 

 ゆっくりとドアノブを回してその扉の向こうで始まろうとしている私の部活動に期待しながら扉を開く。

 宮城が怯えているけどそんなもん男の子になった私には怖いものはないんだよ!

 

 

 

 

「くっさ。何これ?」

 

 扉を開けた途端に腐ったチーズなようなにおいがした。私は吐き気を少し感じた。

 

「事後だよ。これ……」

 

 宮城は何かを発見したのか、すぐに引き換えようとするが、折角来たのに逃げられないように、私は扉を背にして守る。

 

 

「やあ…! 奈々川君久しぶりじゃないか!! ハァハァ…」

 

「うわあああああああああああああああああ」

 

 鳥肌と恐怖を一気に感じた。

 扉を開くと大柄でなぜか上半身裸で胸毛ボウボウの格好が目立つ、寮で私のお尻を襲おうとした堀内先輩の姿がそこにはあった。

 部室には下半身が裸でうつ伏せになって死体のように倒れている男がいた。まるで死体のように動かないでお尻のところに白い液体のようなものが掛かっている。

 すぐに制服姿や体系から私達と同じ1年生だとわかった。その生徒と堀内先輩以外に他の生徒はいなかった。

 

「ハァハァ…。今まで愛しい君が戻らないからずっと私は我慢していたんだよ…。ハァハァ…」

 

 堀内先輩を体中を震わせて飼い主を見るような犬のような表情で私を見ている。あの寮で起きたトラウマが思い出しそうだ…。

 

「だから言っただろ…。奈々川…。デュエル部には入らないほうがいいって」

「そんなの聞いてないよ!! 」

「さっき言っただろ!! 堀内先輩に掘られちゃうんだよ!! だからこのデュエル部は嫌だったんだ! 」

 

 宮城が恐怖に感じている理由がなんとなくわかった気がする。

 デュエル部に入ろうとする男子生徒はみんな堀内先輩の餌食になってしまうらしいんだ。

 それで新しく入ってきたそこで倒れている生徒はいわゆる掘られた跡ってことなのか…。

 むごすぎる……。こんな風に私はなりたくない…。

 先輩は柔道が強いって言ってたな。私と宮城だけでは力が強い、堀内先輩に勝てるわけもないじゃないか!!

 

「止めてくれ!!」

「うわあああああああああ。来るな!! 来るな!!」

 

 大声で叫びながら私と宮城は追ってくる堀内先輩から逃げようとする。

 部室の中でテーブルの上にあるデュエルの雑誌などが足に掛かってしまって崩しながらも懸命に逃げる。

 それでも大きな体の堀内先輩は遅かったので私は女子バスケ部で生かした瞬発力で素早く回避する。

 それなのに…。

 

「何で僕ばっか狙うんだよ!!」

「知らねぇよ! お前が女っぽいからじゃないのか?」

 

 私を過去に襲った堀内先輩は私をずっと追いかけている。寮で襲った時を思い出した。

 宮城の方は諦めてもらったみたいで、来ないと安心したかのように足を止めて私の方をずっと見ている。

 

「ああ、…。なんて君は愛くるしいんだ…。君の泣け叫ぶ声が聞きたいよ…。ハァハァ…。今度はお返ししてあげるね。君の愛を…。ハァハァ」

 

 失礼だけど気持ちわるいよ…。

 捕まったら終わりだ。今日は女性物の下着をしている。服を脱がされたら一瞬でゲームオーバーだ。

 今度こそ私が女だっていうことがばれてしまう…。今度は宮城もいるから確実に不味いよ…。

 

 

「ぐわぁ…」

 

 

 

 

「なぁ…。堀内…。またお前は男を襲おうとしているのかよ」

「こ、これは違うんです…」

 

 堀内先輩に壁に追い込まれて絶望を感じたとき、急に誰かが堀内先輩の頭を蹴ると苦しみ出して倒れた。後ろをすぐに振り向く。

 私はすぐにお礼を言おうと思い、助けてもらった人のほうを向いたが、その容姿を見てその気は失せた。

 

 

 後ろには宮城でもない。助けてくれたのは今時流行らない古いリーゼント風の髪型の不良のような乱れた制服を着ている男性。

 どうやら別の先輩が部室に帰ってきたようだ。

 

「ったくよぉ。お前がいるから部活に女の子が入って来ないんだよ!!」

「グハっ」

 

 倒れている堀内先輩を追い討ちを掛けるように何度も何度もリーゼントの男は顔面を殴る。

 

「俺様がリア充になってハーレムになるっていうのにお前がキモイから女の子が入って来ないじゃねぇかよ!」

「ごめんなさい…。ごめんなさい…」

「入ってきた女の子全員孕ますっていう夢を叶える夢が、お前のせいで叶わなくなったじゃねぇか! どうしてくれるんだ!! 死ね!!」

 

 女の子、女の子と言いながらリーゼントの男は堀内先輩をさらに殴り、鼻から血が出ようとも止めることはない。

 普通に女の子が引く台詞なんだけど…。今のは男になると決めた私でも気持ち悪いと思った。

 

 

「俺様の聖域を汚すなんていただけないな。それに、お前くっせーんだよ!! ずっと部室でシコってんじゃねぇよ!!」

「そ、それはあなたも同じじゃないですか!! 私のせいだけにするのはよくないですよ!!」

 

 堀内先輩は柔道部で活躍していたと寮で私に言っていたのに、わけがわからない不良の男が押している。

 あの堀内先輩の体系が役に立たないほどあの先輩は喧嘩が強いなんて…。でも、ちょっとあの不良喧嘩強くないか…?

 

「お前、舐めてんだろ! このデュエル部をよ!!」

「は? 私がなめるわけないでしょうが!! 私はデュエルは好きだ」

「うぜぇなーー。質問でもすっか? てめぇはこの紙切れとお前の柔道。どっちが強い?」

「質問の意味がちょっとわからないんですが?」

 

 リーゼントの男はぽけっとからカードを出して堀内先輩に、裏向きの面を向ける。

 質問の意味が全くわからない。カードなんて薄いもののはずなのに……。

 

 

「いたっ、いたっ!!!」

「てめぇ、カードなめてんだろ!!!」

 

 堀内先輩に八つ当たりをするように、リーゼントはカードを堀内先輩にめがけて投げると目に突き刺さる。

 唯の紙でできているカードとはいえ、目に刺さった堀内先輩はとても痛そうだ。

 カードとはいえ、世の中にはカードを防弾チョッキ代わりや、武器として使うデュエリストもいるらしいから、結構その強度は馬鹿にはならないだろう。

 

「死ねっ!! 死ねっ!!」

「や、やめてください…」

 

 目に入った堀内先輩は目を押さえながら苦しみもがいている。さらに、その状態からリーゼントは堀内先輩を蹴る、殴るなどの暴行を加える。

 助けてもらったのはいいものの堀内先輩以上にこの人怖い気がするよ…。

 それでも堀内先輩にやりすぎな気がする。さらにリーゼントはボコボコに何度も蹴って飽きるまで続ける。

 私と宮城はただ呆然としてこの景色を見ている。

 

 暴行を加えられた堀内先輩はリーゼントに怯えたのか、しばらくすると逃げるようにこの部室を去っていった。

 

「あーーー。面白かった…。さてと…。ゴミを駆除してやったぜ。ありがたく思えよ。新一年生」

「………」

 

 堀内先輩がここから消えたあと、すぐに1年生である宮城と私をジロジロと見つめる。

 さっきまでの憎い現場を見ていたので、私達は怖くてしゃべれない。不良を見ていたことで一体何をされるのか考えるだけでも怖い。

 

 宮城は今にも死にそうな表情をしている。

 流石に、嫌々ながらここをつれてきた宮城にはこの状況を押し付けるのはかわいそうだったので、私は勇気を出して声を掛ける。

 

「酷いじゃないですか! そこまでする必要はないじゃないですか!」

「酷い? 何それ。折角助けてやったのにお礼ねぇのかよ。チンカスども!!」

「………」

 

 急な下ネタからまともに会話できる気がしそうになかった。宮城がここの部活は異常って言っていたことがなんとなくわかった気がした。

 

「俺様の名は中里カイだ。よろしくな。俺のことはカイザーって呼べよ」

「か、カイザーって…」

 

 中里と名乗った生徒がカイザーと自己紹介を急にして、私は思わず噴出しそうになってしまった。

 カイザーって……。あの有名なサイバー流デッキの使い手で、イケメンでかなりの人に支持を得ている伝説のデュエリスト。

 にきびだらけでヤンキーのような性格でだらしがないチャラ男みたいな、先輩の呼び名がカイザーってあだ名があわなすぎ。

 思わず声にして笑いそうになってしまったが、宮城の震えている顔を見て、私はこの状況を我慢した。

 

 

「お前らが新入部員なのか…?」

「そうですけど……」

「うっぜーよなーー。新入生の癖にさ。何も知らない顔でここに来るのがよーー」

「………」

「見ればわかんだろ俺様が好きなもんよ」

 

 初対面の人間にそんなことわかるわけがないだろ。ようやく部活についての説明がされると思ったがそうではないらしい。

 

「そこの女みたいな奴! エロ本買って来いよ」

「僕ですか? い、今なんて……」

 

 私は思わず言葉を返してしまう。

 

「だから言わせんなよ。エロ本買って来いっていってんだよ。とっくべつにエロいヤツな」

「なんでそんなものを……」

「堀内のヤツをパシリに使ってもよー。BL本しか買ってこないんだよ。だからてめぇに買ってきてもらうんだよ」

「………」

「早く買って来い!! 買って来いって言ってんだよ!! てめぇら!!」

「わ、わかりました」

 

 カイザー先輩が怒鳴る。その声は部室に響いた。

 恐怖のあまり、私はすぐに返事をしてこの場から宮城を連れて、ダッシュで逃げた。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

 

 学校から歩いて5分の所の近くのコンビニに私と宮城は向かった。

 コンビニの雑誌コーナーの前でカイザーが好きそうなジャンルのエロ本をデュエル部の噂話やカイザーの詳しい話を宮城としながら探した。

 まだ18歳にも満たない15歳の私と宮城がエロ本を手にして読むことはいけないはずなんだけど、命令だから仕方がない。

 女の私がそういう本に詳しくないから男の宮城に頼めばいいのに、あの先輩は私に命令されたから、余計に恥ずかしい。。

 でも、買わずに逃げると、堀内先輩のようにサンドバックになりそうな気がしたから、買わないといけないのかなー。

 

 私はどれがいいか本の中身を開いて内容を確認しながらカイザーのことを何だか、知ってそうだったので宮城にいろいろと話を聞いて見る。

 

 

「本当は元々部活なんて入る気がなかったのになんでこんなことに巻き込まれなきゃいけないんだよ…。おかしいだろ」

「悪いな…。宮城。でも僕と一緒にこの部活に入るよ。おもしろそうだと思わないか?」

「はぁ…。帰宅部でいいと思っていたのに…でも…まあ、お前と一緒なら大丈夫なのかな…? 俺よりお前のほうが標的向けられてるしな」

「でも、悪い人じゃなさそうじゃない? あの中里先輩は」

「馬鹿! カイザーって言えって言われてたの忘れてるだろ」

「あ、そうだった…」

「お前、うっかりやだから本当に気をつけろよ! マジで殺されてもしらないぜ。俺達はリアルファイト最弱だから、リアルファイトに持ち込まれたら、瞬殺されちまうぞ」

「あの人ってデュエル部の部長さんなの?」

「違うよ。あんな暴れん坊が部長なわけないだろうよ」

「じゃあ誰が……?」

「さぁ?」

 

 

 帰宅部で良いって言っている宮城のことだ。部活は中学生もろくに入らなかったのだろう。

 だから、私は人生初の部活熱ってヤツを男らしく、教えるためにもその気にさせるために無理やり入らせたんだ。

 

 カイザーは本当は悪そうな人に見えないんだけどなぁ…。私達を助けてくれたんだから優しそうな人っぽいし…。

 でも、これから私達はカイザーの真の恐怖を思い知ることになるとは知らなかった…。

 

「奈々川…。何で女の同士のキスシーンの本見ているんだよ! やっぱ変態だなー。彼女いるのにこんなの気になっちゃうんだ」

「ち、違う!!」

 

 神埼さんの影響で自然と、女の子の恋愛を気にしている私は、意識してないのに自然にこの本を見ていた。

 それよりこんなところでゆっくり本を見ている場合じゃないな。こんなところを誰かに見られたら勘違いされちゃう。

 

「宮城だってずっとその本ばっか見てるじゃないか! そっちも変態だろ!」

 

 変態。変態と言ってきたから私も変態と言って宮城に返す。

 そういうことを言った宮城こそ変な物を見ていると思った私は、宮城がさっきからずっと見ている雑誌を奪ってどんなものを見ているか確認した。

 

 

 

 奪った雑誌を何ページもめくる……。何度も確認したのだが、私が探しているそのイヤラシイシーンが全くない…。

 ページをいくらめくってもそのシーンが一切ない。この雑誌はもしかして…。

 

「変態なお前と違って、俺はデュエルの雑誌を見てただけだよ」

「僕のことを裏切ったな!」

「別に裏切ってないだろ。元々はお前がエロ本を買ってきてと言われただけで俺は別にここには用はないんだよ」

「くそっ!」

「それに俺はこの雑誌に、今回は限定カードが付くみたいだから5冊くらい買う予定だからお金はない。そろそろ俺はいくぜ」

「そ、その雑誌って!!」

 

 

 宮城はカードが付くからといって同じ雑誌を何冊も買ってすぐにコンビニを出て行った。

 私も今回は、レアカードがつくから今月号は買おうかと思っていたのに、宮城は全て買い占めたので、私の分はもう残っていなかった。

 私は泣く泣くカイザー先輩との約束の本を片手に顔を赤らめながらこの状況を早く脱出させたくて、急いでさっさっとレジのほうに持っていった。

 

 

 高校生の女の子がエロ本を1人でコンビニで買っていくって何の罰ゲームだよ……。

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 デュエル部に私達は戻った。

 

 

 

 私はデュエルキングになるという夢をかなえるためにデュエル部に入ったのはいいものの何かがおかしい。

 部員は少ないし、不良みたいな風潮のカイザーのために何でエロ本なんかを私は買ったんだ……。

 それに部長も今はいないし、この部屋には私と宮城とカイザーと死んでいる堀内先輩だけっていうのも不思議だ。

 先輩に本を買って来いと無理やり頼まれてた物を近くのコンビニで私は買い物を済ませるとすぐに部室に戻った。

 

「うん。お前達はなかなかいいエロ漫画持ってきてくれるじゃないか。お前らにはセンスがあるな。レズ物って始めて見たぜ! 男がいなくて新鮮で面白いな!」

「その内容は奈々川が選んだんですよ」

 

 本を渡すと喜んだような顔で私のことを褒められたが、私は羞恥心のほうが強くて何とも嬉しくなかった。

 そして余計なことをぺらぺらとしゃべる宮城。女の子の私に取ってはこの本を買うのは滅茶苦茶恥ずかしかったんだぞ!

 

 宮城はなぜか、今までカイザーに警戒していたのに、何故か親しんでいるし……。

 男の子ってエッチなものに弱いのね……。

 

「やるじゃねぇか。正直お前らを見直したぜ」

「……。それはどうも…」

 

 私はカイザーと名乗るように言われた部員に頼まれた本を渡すと喜ばれて、すぐに封をビリビリに開いてページを見始める。

 カイザーはポケットにあった箱のような物を取り出す。そしてその中から棒のような物を出して火をつけた。タバコだ…。

 未成年の癖にタバコを吸いながら漫画を見ている姿が見ていてイライラする。

 

「カイザー先輩。何でここの部活には人があまり来ないんですか?」

 

 上から目線なのがいちいちムカついてくる。だけどこの人は先輩だからしょうがないと妥協するしかない…。

 私は今まで感じていた疑問をカイザーに敬語で質問をしてみる。

 

「ああ、ここの部活には元々は3人だけだったからな」

「え…?」

 

 3人だけ…? ここはデュエルに関しては一流の部活だっていうのに人数が少ないってのは妙じゃないか。

 やっぱり宮城が言ってた通りに堀内先輩とカイザーのせいで男も女も怖がって新入生が入って来ないのが理由なんだろう。

 

「そこでお前らが入ってきたってことだろ。俺様はチンコばっか来ても嬉しくねえんだよ。おっぱいを連れて来いよ!」

「……」

 

 下ネタを言われて黙り続ける私と宮城。

 女が入って来てないとかカイザーは言っているが、私は男装しているからわからないようだけど実は女だけどね。

 私が女だと知られたら……。変なことを企むカイザーのことだから何をされるか……。

 

「そ、それはすいません…。じゃあ、僕達がここの部活に来たのにデュエル部は活動してないんですか?」

 

 さっきからタバコを吸いながらまるで自分の家かのようにリラックスして、私が買って来た本を読んでいるカイザー。

 ここはデュエル部だっていうのにカードを扱うということがない。デュエルしたりデッキを弄ったりするのがこの部活と思ってたのに。

 

「活動? そんなもんやんねーよ。大会の時だけ頑張ればいいんだよ」

「えっ?」

 

 あっさりと質問の答えが返ってきた。

 活動している人が全くいないでぱっくりと開いたこの空間が、こんなのは私が望んでいた部活じゃないってことを思い知らされる。

 宮城の言う通りにやっぱりこの部活は荒れていると聞かされた通りだったんだな…。

 

「そんなことよりさ、お前達1年にプロデュエリストの神崎ミカ入るらしいじゃん?」

「そうですけど…?」

 

 渡した本のページをじっくりと鑑賞しながら私の質問をすぐに忘れて、違う質問を聞こうとする。

 私の彼女はプロデュエリストっていう肩書きを持っているわけで、不良にも知っているのか、とても地名度が高いようだ。

 今度は一体何を企んでいるつもりなんだ……。

 

 

 

「ああ、それって奈々川の彼女じゃん」

 

 宮城が口にする。

 

「あぁああああ!?」

 

 宮城の言葉で奇声を発する。

 さっきまで、あいつは私が買って来た本で機嫌がよさそうだったのに、急に大声を出してきたのでびっくりした。

 

 

「神崎って、最近奈々川と付き合っているらしいです。それに、家も一緒に暮らしたらしいしさ、夜のデュエルもいっぱいしたって聞ききました」

「付き合っている…? 夜のデュエル…だと!!」

 

 ご丁寧に私との関係をカイザーにばらす宮城のヤツ……。これによりカイザーの機嫌がさらに悪化する。

 

「俺様を差し置いて、てめぇはセックスしたのか!!」

 

 せせせせ、セックスっ!?

 

「生意気な一年どもだな!! 本来なら女と聞いただけでもお前らは死刑なんだよ! それなのにおっぱいまで揉んで、子作りまで発展したってか?」

「僕はそ、そんなことは一切していません! 宮城もなんか言ってやれよ!!」

「え? 神崎との夜のデュエルは済みって事実じゃないのか?」

「だから、僕は神崎さんの言いなりになっているだけで、破廉恥なことなんて一切やってないよ!!」

 

 何でこんな展開になるんだよ……。私が神崎さんと付き合っているからってどうしてこんな勘違いに……。

 それにしても、変な単語ばっかさっきから……。もしかしてエロ本の読みすぎだろ……。

 

 

「……。それでも、てめぇは女と付き合っているのがきにいらねぇ…! いつかエロいことしまくるつもりなんだろ! 生意気なチビだ!!」

「だから、僕達はそんな関係じゃない!! 信じてくれよ!!」

 

 言葉だけで解決する気がしない感じがした。そして、遂にカイザーの怒りが頂点に達した。

 私に近づいてくる。

 

 

「殺す!!」

「うっ」

 

 

 カイザーの堪え切れなくなった右ストレートがおもいっきり私のお腹を殴る…。

 とっさの判断に対応しきれなかった私はガードもできずに大きな衝撃がそのまま激突した。

 腹筋を鍛えてもいない女性である私は痛みを耐え切れずに、お腹を押さえながらそのまま床に沈んだ。

 

 

「聞いてください! 僕は嫌だったのに無理やり襲われてしまって…!」

「死ね!」

 

 本当のことを話てもカイザーは聞いてくれない。どうやら必死で言い訳しているように見えるようだ。

 デュエルディスクを凶器のような扱いで倒れかけている私に向かって投げるが、私は間一髪うまい具合に避ける。

 カイザーは犯罪者のような目をして本気のようだ…。私のことを本当に殺そうとしている…。

 

「だったらてめぇの彼女の全裸写真かビデオ取って来い!!」

「何で?」

「おっぱいだけで許してやるって言ってんだろ。言わせんなよ!!」

「そんなこと。できるわけないよ!!」

 

 ポカンとしばらく口を開いたまま私はカイザーの言ってることが理解できなかった。

 隠し撮り? 女性であるからわかるけど女の子が一番無防備なところを狙って、女の恥ずかしい姿のを晒されていい思いをする人なんていない。

 私だって女の子だっていうことがばれなくないからわかる。今、一番私がされたくないと思うことが盗撮されることだ。

 人がされて嫌なことを何も知らない神崎さんのお風呂を盗撮することなんて私には出来っこないよ…。

 

 

「てめぇ…」

 

 反抗的な態度を取っている私の首を縛り付けながら壁際を利用して体を宙に浮かされる。

 これからそこで気絶している堀内先輩のように意識がなくなるまでリンチされるという未来が見える…。

 けど私はこんな狂気に負ける気がしない。何故なら……。

 

 

「おい、デュエルしろよ…!」

 

 緊迫したこの薄暗い雰囲気の中、私はこの強気で言葉を言った。

 

「デュエルだと?」

「僕とデュエルしろと言っているんだ!」

 

 私の不意を付いた言葉に、カイザーは二度確認するためにもう一度発言した。私はその通りにした。

 

「ほう…。この俺様とデュエルするってか?」

「ああ…。そうだよ…。デュエルの練習をしないってことは余程自信があるんですよね」

「無茶だ。奈々川…。相手はデュエル部のエースカイザーなんだぞ…。お前が勝てるはずもない…」

 

 宮城が私を止めに入ろうとしたけど、手を払って私が本気だということを理解させる。

 相手は自称カイザーと名乗るほどデュエルの腕は一流かも知れない…。

 でも、人間として終わっている変態な野郎に勝負を付かされるなんて一緒の恥だ。

 

「奈々川だっけか? だったら普通のデュエルでは、面白くねぇよなーー」

「何だよそれ?」

「闇のゲームに決まってんだろ!!」

「っ!?」

 

 体が震える。その発言に怯えているのか……。闇のゲームって……。

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