――――この世界は灰色だ――――
俺はふとそう思ってしまった。俺はまだ9歳にしてこの現実の汚さに嫌気をさす。
両親は物心つく前に二人とも離婚し、理由は簡単。“俺”という存在が生まれたせいでどちらが育てるかという問題で両親が争い、そして結局どちらも育てたがらず実家に送り付け、両親はすぐに離婚。
『大丈夫。わしらがちゃーんと面倒みちゃるよ』
―――そんな言葉はいらない―――
『●●●は何も悪くないからのう』
―――じゃあ何で俺はここに送り付けられ、両親は離婚した?…本当に面倒をみるのだろうか?―――
俺は少し試そうと思い、近くの森へと走る。
後ろを振り向く。
二人とも俺の方を心配そうに見てくれいる――筈もなく、むしろ俺を蔑むように、俺を人間でないかのように見る。
何故なら俺の髪は――灰色だから――
――灰色だからなにが悪い?何でそんな目で皆見る?――
こうして俺は自分の髪が嫌いになり、そして自分に自信が持てなくなり、逃げるように、森奥の神社へと向かう。
「…青いなぁ空って…」
涙を拭うと俺は知らぬ間に日が暮れていることに気付き実家に帰る。
◆◆◆◆
毎日毎日、森の神社へ歩くのが日課になっていった頃、ある日森に迷ってしまう。
いつもなら絶対に間違える筈のない森のなのに…
その時、少年を中心に光が辺り一面を飲み込む。
◆◆◆◆
「ここは…」
目を開くとそこは何故か周りがみたこともない機械等で埋め尽くされている小さな工場の中にいた。
そして少年の周りには沢山のみたこともない生き物、この世界のポケモンが保管されていた。
「おらぁ!さっさと働け!」
そう黒い服の人間は言うと沢山のフシギダネを使い、物資を運ばせていた。
それを見た少年がとった行動は意外にもただただ見る、という事であった。
「あれは…フシギダネ?だけど何で…」
少年にとって人間というのはどうでも良い生き物にすぎない。
だが…
「ポケモンあんな風にするのは許せない…」
そう言うと少年は見るのをやめると黒服の男に体当たりをする。
男は不意を突かれ、倒れるが不意とはいえ、少年と男では体格差が大きく、すぐに黒服は立て直す。
「っち!誰だ!!」
黒服の男は辺りを見渡すが、誰もいないことに腹をたて近くのフシギダネを傷付けようと蹴りをいれようとするが、周りにはフシギダネが一匹もいないのであった。
「(しまった…さっきの間にフシギダネが!!)くそ!出てこいピジョン!!」
そう言うと男はモンスターボールからピジョンを出すと工場の中を探索するよう命令する。
◆◆◆◆
「はぁ、はぁ…」
少年は先ほどフシギダネの群れを助けた後、黒服の男から逃げようと工場の外を出ようとしていた…
だが、少年は工場の外に出ようとした時に逃げ遅れていた赤色の色違いのフシギダネに出会い、共に隠れていた。
「お前…逃げ遅れたのか?…じゃ、ないよな」
「ダネっ!」
少年に対してフシギダネは一言返事をする。
このフシギダネは他のフシギダネとは違い、フシギダネの群れを逃がすため、先ほどまでずっと工場の出口で一匹でずっと助けをしていた。
「…ポケモンって本当に存在するんだ…いや、それよりも…」
少年は工場の出口を飛び回るピジョンが一匹いるため、出口に行くためにもどうしてもあのピジョンを倒さなければいけないことで少年はため息をつく。
「どうしようかな…ピジョン相手にフシギダネは相性が悪すぎる…ってそんなこと言ってられないよな」
そう言うと少年とフシギダネはピジョンの所へ向かう。
それと同時に黒服の男が追い付く。
「ようやく…犯人を見つけたと思ったら…こんな小さなガキが邪魔してくれたとはな…」
「どうだ?ガキに邪魔される気分は?」
「ロケット団の邪魔をしたことを後悔しながら死ね!ピジョン!かぜおこし!」
ピジョンは自分の翼で風を発生させると周りの鉄骨が少年とフシギダネに襲う。
「やばい!フシギダネ!」
少年はフシギダネを庇おうとフシギダネの場所へ走る。
フシギダネと少年を鉄骨が襲い、鉄骨同士がぶつかる嫌な音が鳴る。
「…これはヤバイなぁ…右足の骨が折れたかな…」
幸運にもフシギダネと少年は死を免れることは出来たのであった…が、幸か不幸か少年の足はフシギダネを庇った際、鉄骨に足をぶつけ、骨折をしていた。
「さて…どうしたもんかな…」
少年が冷静に考えているなか、後ろでフシギダネは光を溜めていた。
そして最高潮になった光は鉄骨目掛けて放たれる。
「す、すげぇ」
フシギダネは自分が使える最強の技、ソーラービームで鉄骨を破壊するのであった。
「まだ息があったとはな…少し驚いた…が、今度は確実に殺してやる。ピジョン!かぜおこし」
そう言うとまたピジョンは先ほどと同じように、鉄骨を風で飛ばす。
だが今度は、少年は冷静に周りを見ると少年があるひとつの場所にのみ視線を寄せる。
「これぐらい…見極められるよな?フシギダネ!つるのムチ!」
そう言うとフシギダネは、鉄骨が飛ぶ中、風の外を回っている鉄骨をつるで叩く。
するとそれに連鎖するように鉄骨がぶつかりあい、男に襲いかかる。
「ぐあぁぁぁ!!」
男は鉄骨に襲われ、動けなくなる。それを見た少年とフシギダネは出口へと向かう。
工場を抜け、草原を越え、近くの小さな町に着くと力尽きるように少年とフシギダネは倒れる。
◆◆◆◆
『お前がいるから俺と●●●は!離婚したんだ!…お前なんか生まれなければ良かったのに…』
数年前の記憶が少年の体を現実に戻す。
嫌な記憶と共に起き上がるとそこは見知らぬ天井であった。
「ここは…、そうか俺はフシギダネを助けて…それで…」
少年は辺りを見渡し、フシギダネを探す。
だが、少年の近くにあったのは1つのモンスターボールであった。
「もしかして…この中に?」
モンスターボールの開閉スイッチを押すとそこにはあの赤色のフシギダネが出てくる。
傷は既に治っているようで、少年の所へ寄りかかる。
「お前…元気だったようだな…」
「お前さんもな!」
声の方へ振り向くとそこにはドアを開けた一人の老人…オーキド博士がいるのであった。
「お前さん…名前はなんという?」
「……知らない…というより忘れた。名前なんて呼ばれたことあんまりないから別にどうでも良い」
少年のあまりの冷たい反応にオーキドはため息をつけながら、少年の方を見る。
「そうか…だったらワシが名前をつけてあげよう!」
「別に頼んでない」
「そう邪険にするでないわい。…そうじゃのう…グレーはどうじゃ?」
「はぁー。どうせ俺の髪の色から考えたんだろうけど…安直すぎてひねりがなくてつまらない」
「な!?…ならなんと呼べば良いん…」
「でも悪くない…前よりは覚えれそうだから。」
少し顔を下に俯けながら返事をする。それを見たオーキドは笑みを浮かべグレーに何があったのかを聞くことにする。
「なるほどのう…それでそのフシギダネと共にここまで逃げてきた…と?」
「うん」
「(ついに本格的に動いてきたようじゃな…)」
「じいさん?」
グレーは不思議そうにオーキドの顔を見ると、オーキドはまたドアを開け、慌てるようにまた戻ってくる。
そしてオーキドは1つのリュックサックを少年に預ける。
「これって…」
「旅の荷物じゃよ!グレー、お前さんには少しワシの頼みを聞いてくれんかの?」
「頼みって?」
「実はこのポケモン図鑑の完成をしてほしいのじゃ!それがワシの一つ目の頼みじゃ。」
「めんどくさい」
オーキドの頼みを一蹴するとグレーはベッドから起き上がり、ドアを開けようとする。
それをオーキドはなんとか止め、もう一つの頼みを話す。
「まあ待つのじゃ。もう一つの頼みというのはロケット団の調査をしてほしいのじゃ」
それを聞くとグレーは足を止める。
「それがもう一つの頼み?……俺は別に人間がどうなろうとどうでも良い…」
「ぬ?そうか…まあグレーがそこまで言うなら仕方ない…かの」
オーキドは少し落ち込むが、グレーは更に続ける。
「が、ポケモン達が傷付けるロケット団は少し放ってはいけない…だから、あんたの頼み…聞いてやるよ」
「感謝するぞグレー!…そういえば実はお前さんとは別に図鑑所有者が2人いるぞ。もしかすると会うかもしれぬの」
「あっそ」
「グレー…その一言返事どうにかならんかの?」
あまりのグレーの無反応に少し心配になるオーキドではあるが、まあ良いと判断しオーキドはグレーに旅にでるよう促すのであった。
◆◆◆◆
「じゃあなじいさん。少しだけど世話になった」
「では元気にいってくるのじゃ!」
グレーはそう言うと研究所を出る。
そして彼の冒険は始まりを告げるのであった。