既に15分が経過していた。
日はまだ落ちない。
・・・いや、あと2時間近くは落ちないだろう。
伊丹は自衛隊でもレンジャーや特戦隊というきつい訓練を嫌々ながらに突破した猛者である。
彼は周りにいる自分の部下達が固まってロゥリィとヤマメの戦闘を見て固まっていたが、彼は本部に駆け込んだ。
「狭間陸将!!ヤマメの奴が!!」
コーヒーを飲んでゆっくりしていた狭間は駆け込んできた隊員が伊丹だとすぐにわかった。
何事にも適切な判断をする彼が顔を真っ青にして自衛隊のルールを違反してまでの直訴である。
「何があった!!」
「私闘、しかも殺し合いを!!我々では手に終えません!!」
「烏間陸将補のところにも向かえ。現場は外だな。」
「はい。」
私闘など許されるハズがないが、それが政治にも精通し、六法全書だけでなく米英独仏露と各国の法律も暗記していた彼女のことだから理由があるのだろうとおもった。
・・・が、そこで繰り返されていたのは人の行動限界を超えた攻防であった。
ヤマメの手には武器という武器はないが、万年筆を取り出している。
彼女に聞いたことがあった。
「なぜ万年筆なんかを?」
「万が一の時には武器になるので・・・。」
「そんなものか?」
実際に万年筆を使って、ハルバードの攻撃の隙間から手や脚に刺そうとしては避けられていたが。
「やめんか!!」
私は叫ぶ。
私闘を止めるために。
「・・・狭間陸将、非殺傷弾の使用許可を。」
後ろから威圧感を感じた。
烏間である。
「・・・仕方ない。許可しよう。」
短時間で損得を考えた結果、私は発砲を許可した。
烏間が来たときには野次馬の数は100名を超えていた。
皆口々にやめろだとかを叫んでいたが、ヤマメと相手には聞こえていない。
・・・いや、ヤマメは聞こえてるのだろうが、あえて無視をしているように見えた。
狭間陸将に発砲許可を取るとすぐに私は野次馬を退けて非殺傷弾を彼女達に撃ち込んだ。
パパパパ
私・・・栗林は目の前のあり得ない光景を理解できていなかった・・・いや、ただただ恐怖した。
私は中学生の時に黒谷ヤマメという自衛官を部活帰りに見た時から自衛隊になろうと決意した。
志津ヶ原立てこもり事件である。
あの時私は野次馬の1人であり、その時に見たヤマメの単独突入に驚き、鎮圧して出てきた時には英雄と感じ、憧れた。
東京駅防衛戦の記事は大事に保存し、特地派遣の人事を担当していたヤマメに選ばれた時には、自宅でマジ泣きしながら喜んだ。
しかし・・・ロゥリィとの私闘や烏間陸将補が放った4発の弾丸を全て掴むという人知を超えた行動に私はただただ恐怖した。