畑、畑、畑・・・見渡す限りの麦畑。
(素人の私から見てもこの麦は品種改良が進んでいないね~。・・・農林10号辺りでも渡せばすごい収穫量になるとおもうけどね~。)
そんなくだらないことをヤマメは考えていたが、栗林はガチガチに固まっていた。
国家機密に触れ、さらには憧れの人の過去が常人ではありえない量の訓練をしていたことに、生半可な自分はいったいなんなのだと自分を見失ってしまったのだ。
「栗林2等陸曹・・・仕事の時間だよ。」
私は前方に煙が上がっているイタリカを見つめながら仕事を始める。
伊丹とロゥリィ、ティカ、レレイが門の中に向かい、伊丹が気絶し、復活してイタリカを攻撃する盗賊の撃退に協力することを約束し、一部を自由に動けるようになった私は墓地に来ていた。
「・・・いた。」
ヤマメ以外にはなんも変わりのない普通の墓地であるが、ヤマメには霊が見えていた。
ふよふよと墓地の近くを漂うそれはとても懐かしいものであった。
「・・・いただきます。」
霊は美味しくはない・・・が妖怪のヤマメにとってサプリメントのような感覚で栄養を補給できるものである。
モグモグとわたあめ感覚で食していると後ろから
「あらぁ?化けの皮が剥がれているわよ~。」
「黒谷ヤマメ・・・陸将補は人間ではない・・・っと。」
ロゥリィとレレイが声をかけてきた。
「伊丹が探してたわよ~。」
「すぐに行く。」
「涙・・・。」
「あ・・・。」
ゴシゴシと袖で涙を拭き、2人にお礼を言うとすぐに伊丹達がいる場所に戻っていった。
「・・・で、ヤマメがいない間に領主の代わりをしている第三皇女様に南側の守りを任されたんだが・・・。」
「うい~、責任は私が取るから伊丹達は手柄をかっさらいなよ。」
「よっしゃ!!ほんじゃ、ヤマメの言葉に甘えますか。」
「あ、武器はここには設置しなくてもいいよ。たぶんここには攻めてこない。」
「へ?」
「町の人から聞いたけどここ一回攻められて防御力が無いけど、皇女さんの作戦は守りが薄い場所に敵を誘い込み、守りが薄い場所の兵が時間を稼いでる間に主力で攻撃する方法らしいからね~。・・・1回目はたまたま上手くいったけど、敵も馬鹿じゃない。逆に主力がある場所に全力で突破しようとするね。並みの司令官なら。」
「ヤマメならどうするんだ?」
「薄い場所の戦力を全力で削るね。削ったら即行逃げる。それを繰り返せば食料が持つ限りこちらの勝ちだからね~。」
「えげつないな。」
「まあね。」
伊丹は遠くで休んでいた隊員達に数時間待機を命令した。