武内Pの旅物語   作:枯烏花

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処女作です。頑張ります。


旅の始まり

 桜が咲く、4月の快晴の空の下。大学3年生へと進級した私は実家の前にいた。背中にはパンパンに膨らんだバックパックを背負い、傍にはテントや寝袋を積んであるロードバイクがこれから始める未知の冒険を意味していた。

 

「本当に行くのかい?」

 

「はい。すでに大学の方にも休学届けは出してありますので。……それにもう決めたことです。」

 

「……そう。無理はするんじゃないよ。」

 

「分かっています、母さん。」

 

 それからも何度か会話を交わした後、ロードバイクに跨った。

 

「では、いってきます。連絡はこまめにいれるので、父さんにもそう言っておいて下さい。」

 

「うん……、いってらっしゃい。」

 

 母さんのその言葉と同時にペダルを漕いだ。母さんの寂しそうな顔を見ないよう、決して後ろを振り向かず、ペダルを漕ぐ足に力をいれて、スピードを上げていった。

 

 ーーーーーーーーーーー

 

 きっかけは入学して半年を過ぎたあたりだった。大学特有の高揚感も薄れ、家と大学とバイトの行き来に生産性のなさを感じた。私の本当にやりたいことは、私らしさがある生き方とは……。大学1年にして生き方に疑問を持ち始めていた。

 

 そんな時、ふと立ち寄った本屋で『旅雑誌』の本が目にとまった。表紙にはバックパックを背負った少年の後ろ姿が大々的に載っており、吸い込まれるようにその本を手にしていた。中身は私と同い年か少し上くらいの方たちの旅をしてどう変われたかについてのエッセイが綴られていた。私は食い入るように何時間もその本を読んでいた。

 

 それがきっかけだった。

 

 旅をしよう

 

 何かを変えたい、自分を変えたい、生きる意味を知りたい。それを見出せる何かが旅をすることで答えが見つかると……。そう感じた。

 

 1日2日の旅ではなく、もっと長い時間を使って……。せっかくの旅だ。電車などの楽な乗り物は使わずにロードバイクでやってみよう。本にもそれに乗って旅をしている方がいたから。次々と旅の計画が頭に浮かんでくる。こんなに気持ちが昂っているのはいつぶりだろう。

 

 旅なんて初めての経験だからどこに行くかが迷った。外国にするか、それとも日本か。しかし、私はあまり日本について深く知らなかった。日本にしよう。日本を知らないまま海外に行ってはダメな気がする。せっかくだから日本一周にしよう。大学も休学して自由に、気ままに旅をしよう。

 

 それからの私は必死だった。ロードバイクや旅の軍資金を貯めるのにひたすらバイトをした。1年生の半年ではお金が不十分なため、3年生になってから行くことにした。休学するために親を説得するのが1番大変だったかもしれない。

 

 それでも必死だった。それが楽しかった。これから始める未知の冒険に心が躍っていた。時期が近づくにつれて不安もあったがそれでも期待や楽しみの方が強かった。

 

 そして遂に出発の朝がやってきた………。

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

今、私は北に向かって走っている。初めての一人旅。1年間にわたる長い旅。新しい自分を見つけるため、自分の生き方を見つけるため……。

 

これからの行き先を考えながら、私はスピードを上げた。

 

桜の咲く、春の季節。

私は旅に出た。

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