転生これくしょん~転これ~ 【一時休止中】   作:上新粉

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初回ぶりの四千文字超えとなりました。
纏まらんかった……


深雪スペシャルーッ!!

那珂ちゃんがドロップした翌日、再び南西諸島沖に出撃した俺達は無事に敵主力艦隊と会敵。

これを撃破する事に成功した俺達は次なる作戦──製油所地帯沿岸部の海上護衛作戦に向けて那珂ちゃん達の特訓を行う事に決まった。

長門(七世)が居るため三人でも攻略は不可能では無いのだが、時間に余裕が出来た今の内に全体の練度を上げ後の障害を乗り越えやすくしておこうと言う事らしい。

 

「それでは行ってきます」

 

「行ってくるのです。響ちゃん、またねっ」

 

「ああ、気を付けて」

 

『いつも言ってるが無理はするなよぉ!』

 

海上での行動は一通り出来る電は深海棲艦に対する恐怖心を克服する為白雪と一緒に鎮守府正面海域へ出ていった。

そして……

 

「はぁ……俺もあっち行きてぇなぁ」

 

「長門さん、今日はお願いしま〜すっ!」

 

「ちっ……先ずは抜錨。後は動け、以上」

 

「え……それだけじゃちょっと分からないかなぁ……」

 

「は?それぐらい分かれよ、降りて動くだけだろ」

 

「ご、ごめんなさいっ……」

 

那珂ちゃんを受け持つ事に不満タラタラな長門(七世)はこれでもかと言うぐらい那珂ちゃんに当たっていた。

 

「司令官、那珂ちゃんもこっちで受け持とうか?」

 

『いんや大丈夫だ。長門ぉ、ちゃんと教えねぇと白雪に言いつけるぞ?』

 

「おまっ!?白雪さんにチクるとかずりぃぞっ!テメェで掛かってこいやぁ!」

 

『俺は提督だからな、解体されないだけ有難く思って欲しいんだが?』

 

無線越しに山本は澄ました声でそう言い放つ。

冗談めかしては言っているものの、今の山本は事実上鎮守府のトップであり、鎮守府内の事であればほぼ独断で決められる程の権力(ちから)を持っている。

勿論ノルマや定期報告義務あり完全に自由という訳では無いが、逆に言えばノルマの達成と報告をこなして反逆を企てなければ何しててもいいという位には自由なのだ。

と言っても資料を読んでない長門(七世)はそんな事は知らない。

しかし、元提督であれば解体がいかに容易く行えるか位は想像出来たのだろう。

「……くそっ、やれば良いんだろやれば。おい那珂、取り敢えず降りてこい」

 

「はっ、はい!」

 

どうやら渋々ながらも真面目に訓練を始める事にした様だ。

この分ならあっちも問題ないだろう…………さて。

 

「それじゃぁこっちも訓練を始めようか」

 

俺の背中にしがみつき震えながら電達が向かった方角をじっと見つめる短髪の少女に声を掛けた。

すると少女はハッと我に返り、離した手を振りながら陽気に言葉を返した。

 

「へ?あ……いやぁ〜悪い悪い。電を見掛けると身体がつい……ね?」

 

「そっか、まあでも彼女も大切な仲間だからね。徐々に慣れてくれると助かる」

 

「分かってるって、電は大切な仲間だし大切な姉妹だよっ。心配無用だぜっ!」

 

さっきまでとはうって変わって自信満々に胸を叩く彼女は南西諸島沖主力艦隊の撃破に伴って任務報酬としてやって来た吹雪型駆逐艦の四番艦、深雪である。

今の様子からしても恐らく白雪と同じ艦艇の記憶がちゃんとあるまともな艦娘だとは思うのだが……。

 

「ところで深雪、艤装が使えないっていうのは本当かい?」

 

白雪と比べ想像以上に直ぐ着任した(白雪の時は山本が任務を受けて無かった可能性もあるが)深雪が持ってきた手紙の中にその事が書いてあったので俺は訓練に当たって実際に聞いてみることにした。

 

「ん〜……使えない事は無い……はず……なんだけどなぁ〜」

 

「ふむ、使えた事はあるのかい?」

 

「まあ、ね……向こうじゃ信じて貰えなかったんだけど、一人の時には出来たんだ」

 

「一人の時に?それなら何か原因が……」

 

一人の時に出来て皆が居ると出来ないのか……。

うーん……一番に思い当るのは史実関係だろうか。

大戦には参加してないとはいえ一回も海に出てない事は無いはずだが。

 

「…………」

 

一度山本に調べてもらうか……って何で深雪は目の前で口を開けたまま惚けているんだ?

……あ、俺がいきなり黙って考え込み始めたからか。

 

「っと、済まない。艤装が使えない原因を探ってみるから少し待っててくれ」

 

「へっ?し、信じてくれんのか!?」

 

「ん?当然だろう?それとも嘘つくなと言ったら何とかなるのかい?」

 

「いや、ならないけどさ……」

 

まあ使えないってのが嘘なら使えるんだろうけどそれなら嘘をつく理由が分からなきゃ本当の事を言わせようが無いしな。

 

「そういう事さ。じゃあちょっと待っててくれ」

 

「お、おう…………さんきゅーな」

 

俺は深雪に微笑み返してから山本へと無線で呼び掛ける。

 

「司令官、聞こえているかい?」

 

「聞いてるぞ、いいフォローだったぜ?」

 

「ん?何の事だか分からないな。それよりも一つ調べ物をして貰えないかい?」

 

「調べ物?別に構わんが何を知りたいんだ?」

 

「史実の深雪が海に出た回数とその時に何か問題があったなら教えて欲しいんだ」

 

「深雪の事だな?分かった確認したら伝える」

 

「スパスィーバ……助かるよ司令官」

 

「な、なぁに!これ位お安い御用さっ!」

 

うん、発音が合ってるか不安だったが多分大丈夫だろう。

 

「取り敢えず司令官からの報告が来るまで出来る事をやっておこうか」

 

「おっけー、何をすればいい?」

 

「そうだね……」

 

一先ず艤装が使えないという詳細を浅瀬で確認する事にした。

結果としては想像以上に深刻な問題である事が分かった。

 

「大丈夫かい?」

 

「あ、ああ。濡れるのには慣れてるから……」

 

「済まない、艤装を着けても浮かないとは思わなかったんだ」

 

「大丈夫大丈夫っ!こっちの方が分かりやすいだろ?」

 

深雪はそう言ってずぶ濡れになった身体をくるりと回して明るく言って見せた。

 

確かに論より証拠とは言ったものだけど……

 

「だからといって無理はして欲しくないんだ」

 

「べ、別に無理なんて──」

 

「本当かい?君達艦娘は沈む事が怖くないのかい?」

 

「あれくらいなんて事は無いってば〜」

 

「そうか、じゃあ手が震えてるのはどうしたんだい?」

 

「へっ!?いや、これは──ってあれ?震えてないじゃんかっ!?」

 

「そうだね、でも自分の事くらい落ち着いれば把握出来るだろう?」

 

騙してしまった事で罪悪感が俺を苛むが、それでも皆に無理はして欲しくないが故に問い詰める。

全てをさらけ出せとは言わないが必要以上に一人で溜め込んでは欲しくないんだ。

……まあ七世は少し自重した方が良いけどな。

 

「必要無い場面で恐れを押し込めるのは勇敢では無く無謀だ」

 

「まぁ……確かに怖かったけどさ。私は響を信じてたからやれたんだぜ?」

 

深雪は照れ笑いを浮べながら答えた。

 

「っ……!信じてたなら先に言ってくれれば済んだだろう」

 

「あ〜、それもそうだ。ごめんな響っ!」

 

「…………こっちこそ済まない、別に責めるつもりは無いんだ」

 

「分かってるって!私の事を心配してくれたんだろ?ありがとなっ!」

 

むぅ……なんだこの可愛らしい娘は。

落ち着け俺っ!嫁は電だろう!

……まあでも、可愛い子は可愛いんだから致し方ない……よね?

浮気じゃない、浮気じゃないんだっ!

 

「お?どした〜?」

 

頭の中で必死に葛藤を繰り広げていたが、突如視界に飛び込んで来た深雪によって頭の中が真っ白に吹き飛ばされてしまった。

 

「ななななっ何でもないさ!と、とにかく一旦着替えて来るといいよ!私は司令官の所に行ってくるから着替えたら来てくれ!」

 

「うおっ、びっくりしたぁ〜。分かった、んじゃちゃちゃっと着替えてくる!」

 

走り去る深雪を見送ってからホッと胸をなで下ろす。

 

あ〜焦ったぁ……白雪といい深雪といい俺には刺激が強すぎる。

まあ、俺が男だと公言を避けたから自業自得だし……それに健全な高校生男児がこんな状況を自分からふいに出来る筈も無いわけでして。

と、いうか電ちゃんと一緒に寝れなくなるのは避けたいしこの身体で山本や長門(七世)と同じ部屋なんて事態は絶対に避けなければならないっ!

…………俺を苛む罪悪感だけはどうにもならないが。

 

「っと、もう部屋の前だったか」

 

何時の間にか山本の部屋の前まで到着していた俺はまたあれをみるのかと躊躇いながらノックする。

 

「司令官、入っていいかい?」

 

「響か?開いてるから入っていいぞ」

 

山本の了承を得て恐る恐る扉を開く。

中に入ると山本はパソコンの前の椅子に座り珈琲を飲んでいた。

部屋の方は相変わらず大小様々な響のイラストに囲まれていて()にとって非常に落ち着かない空間のままであった。

 

「はぁ……ここは相変わらずだね、まあ良いけど」

 

「まあな。んでどうしたんだ?訓練でなんかあったか?」

 

「うん、ちょっとね……」

 

俺は港であった事を山本に話した。

一人の時は艤装が使える事、艤装を着けても海上に立てないという事、そしてそこまで考えが行かず彼女をずぶ濡れにしてしまった為今着替えに行ってもらっている事。

それらを聞き終えた山本は二、三頷いてから()の頭にポンと手を乗せた。

 

「し、司令官……?」

 

「なるほどな、それで深雪の事を調べてくれって言ってたんだな」

 

「あ……済まない、説明不足だった」

 

「んな気にすんなって。つか俺からしたらお前の方が一人で背負い込んでる様にみえるぞ?」

 

「ありがとう。でも私は大丈夫だよ」

 

「そうかぁ?俺の親友も悩んでる時に限って()()()って言ってたんだぜ?」

 

「そっ……そうかい……それが()()口癖だったんじゃないかい?」

 

「お?」

 

落ち着け……別に俺だと疑われた訳じゃないんだ。

しかし知らなかった。俺にそんな口癖があるとは……。

これは以後気を付けるとして他に癖があるかもいずれ聞き出さないと行けないな。

 

「わっ、私の事は良いんだ。いまは深雪の話に戻そうか」

 

「お、おうそうだな。深雪の艦歴についてwikiで一通り見てみたがまあ、俺が思うにその頃のトラウマじゃないかと思うな」

 

「トラウマっていうとやっぱり……」

 

「電との件も大きいだろうがそれ以前の竣工前の試運転でも潜水艦と衝突してるし、射撃訓練に曳的艦として協力中に流れ弾を二発受けて小破してるらしい」

 

「そうか……それは辛いな」

 

「ああ、そしてwikiを見る限りではこの三回以外に演習や出撃等の海に出た記述は無かった事をみるに海=事故=恐怖みたいな式が出来上がっているんじゃないか?」

 

海=事故=恐怖……しかしそれだと一人の時は大丈夫な理由が分からない。

海……事故……一人…………

 

「そうかっ!!」

 

「うおっ!?どうした!」

 

「ありがとう司令官、お陰で原因が解ったよ」

 

「おっ、そうか!なら深雪のことは任せたぞ!」

 

「ああ、行ってくる」

 

上手くいくかは分からないけれど方法も見つかったし、深雪もそろそろ出てくるだろう。

 

俺は急いで深雪と連絡を取り工廠へと走っていった。

 

 

 

「にしても……全ての深雪があんなトラウマを抱えてるもんなのか?………………まあいいや、俺は七世がちゃんとやってるかを見に行くとすっかな〜」

 




しかも次回も深雪訓練回になりそうなんですっ!
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