転生これくしょん~転これ~ 【一時休止中】   作:上新粉

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あっちが余りはのぼのとしないんでこっちはヘイヘイボンボンな日常を目指していこうかと……偶にシリアスなかんじで?


初めての抜錨

俺が秘書艦に任命されてから一時間、俺は友人の舐めるような視線に晒され正直吐きそうになっていた。

いや確かに自分の嫁艦がすぐ隣に居たらテンションが上がるのは分かるし、抱き着いたりして来ない辺りまだ助かってはいるが……

 

「……なんだい司令官?」

 

「あ、いやぁ……ね?」

 

何が『ね?』だよ……はぁ、ダチのこんな姿見てらんねぇよ。

 

「司令官、さっきから何もしてない様だけど仕事は無いのかい?」

 

「あ……あぁそう何だよ……まだ何も無くてね」

 

あからさまに視線を逸らして山本は答えるが、俺はこいつが案外ずる賢い事を知っている。

今だって書類の中から何枚か抜き取って引き出しの隙間に入れてるからな。

 

「司令官、今引き出しに仕舞ったものを出すんだ」

 

「うぐっ……な、何のことかな響?」

 

「今のは任務だろ?」

 

「そ、そうだ。今は出来ない任務だけどな」

 

ちっ、そう来たか。

任務の内容を()が知っているのは不自然だし此処は引くか。

ならば……

 

「例え任務が無くたって出撃や演習とかする事はあるじゃないか」

 

出撃は正直言って怖いがこのまま山本の熱い視線を受け続けるよりはましだ。

 

「そ、そしたら響と離れ離れになってしまう!」

 

「は……?」

 

「折角一緒になれたのにもし出撃先で響に何かあったら私はっ!」

 

山本が勢いで抱き着こうとして来た所を俺は一歩左に動く事で回避する。

両腕は空を切り、バランスを崩した山本は前のめりに倒れ込んだ。

 

「……そんな自分勝手な理由で私達の存在を否定する気かい?」

 

「響……私はそんなつもりじゃ」

 

悪いな山本、俺も出来る事なら電をずっと愛でていたいから気持ちは分かる。

それでも四六時中ダチからそんな視線を向けられるのは耐えられんのだ!

 

「そう思ってるなら沈ませない為にも出撃や演習をさせるべきだ。大丈夫、撤退の判断さえ誤らなければ沈まんさ」

 

まあ、保証は何処にも無いけどな……

山本は起き上がって椅子に座り直すと引き出しから書類を取り出すとその一つ渋々ながらも判子を押した。

 

「よし、それじゃあ響達には鎮守府正面海域の近海警備を命ずる。無事に帰って来てくれ」

 

「了解。響、出るよ」

 

山本に敬礼を返してから部屋を出て電を無線で呼び出した。

そして初めての艤装の装着等に時間が掛かり電と一緒に港へ出たのはそれから一時間後の事であった。

 

「まさか艤装の装着にこんなに時間が掛かるなんてね」

 

「思っていたより大変だったのです」

 

どうやら体が覚えてるなんて都合の良いことは無いみたいで電も俺同様装着に手間取っていたようだった。

港へ着いた俺達を待っていたのは山本だった。

 

「随分と遅かったけどどうした?」

 

「済まない、艤装の装着に手間取ってしまってね」

 

「ごめんなさい」

 

「え?いや、私は全然大丈夫だ。それよりも二人共初めての出撃なんだ、厳しいと思ったら直ぐに戻って来るんだぞ?」

 

「了解ですっ」

 

「大丈夫、無理はしないさ」

 

不安はあるがやって見ないことにはな。

俺は一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせてから海へと勢いよく飛び出した。

溺れたらどうしようかとも思ったがどうやら要らん心配だったようだ。

電も恐る恐る海面に足をつけ、ゆっくりと海の上へと降り立った。

 

「電、大丈夫かい?」

 

「だ、大丈夫なのです」

 

大丈夫とは言っているもののその姿は産まれたての子鹿の様に足を震わせいて、その余りの可愛さに庇護欲を掻き立てられた俺は電へ向けて手を差し伸べようとした。

しかし……体が動かない。

 

「あ、あれ?」

 

「ひ、響ちゃんこそ大丈夫です?」

 

「あ……わ、私は大丈夫。大丈夫さ」

 

そう言いながら俺は下を見てみる……うん、どうやら産まれたての子鹿見たいになってるのは俺も同じらしい。

はい、強がってました……この下に何にも無い所に浮いてるというこの感覚が形容し難い恐怖心を煽られる。

 

「ロープ持って来たからこれに掴まれ!」

 

結局俺達は山本が持って来たロープに掴まり涙目になりながらも無事に帰投を果たした。

 

「全く、マジで焦ったわ。艦娘は最初から海の上を走れる訳じゃ無いのな」

 

「済まない司令官、迷惑をかけた」

 

「ごめんなさい司令官さん」

 

俺は山本に少し申し訳無く思いながらも俺だけじゃ無かった事に安堵していた。

 

「なに、良く分からんけどそういうもんなんだろ?だったら練習すりゃ良いだけだろ?」

 

そう言いながら山本はどさくさに紛れて俺と電の頭を撫で始める。

身体か少女になってるせいか不思議と不快では無かったし、助けられた恩もあるので電に触れてる事については今回は許してやろうと思う。

 

「だけど、このままじゃ何も出来ないからね。これから工廠で訓練してくるよ」

 

「い、電も頑張るのですっ!」

 

「よしっ、私も同行しよう!」

 

「司令官は仕事をしないと」

 

「これも司令官としての立派な仕事だ、今の所他に仕事ないしな!」

 

自慢気に言うことでは無いが俺達がまともに出撃出来るようになるのが先決か。

俺は山本からの解放を諦め、電と一緒に工廠へと足を運んだ。

 




隣に響がいる日常とか(´-ω-`)ウラヤマ~
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