例の日から数日、相変らず俺は夜中跳び回っていた。
しかしこの程度ではW(ウエポン)M(マスタリー)もレベルも上がらない、攻撃をすることで拳のWMはレベルアップをする。あー、あの鴉天狗(だてんし)のおっさん殴り倒してー
そういえば、悪魔は闇の中で力が増大し、その代わり光に弱くなる。
慣れれば朝の日差しぐらいなら平気になれるらしい。
でも、光の力は毒だとか・・・天使は悪魔の天敵だから会ったら逃げろとも言われた。
天使が・・・・悪魔の・・・・・天敵?
あの人たち、天使を一撃でダース単位で狩ってたんだけど・・・・
「てめえら、食い放題だ!!残すんじゃねえぞ!!」
とか言いながら、攻めてきた天使を凄い勢いで・・・
思い出すのはよそう。前受けたあの光の槍でその驚異はもう解った。全身にやれる痛みが走り力が抜けていくんだ。間違えなく効果抜群なのだろう。
俺が悪魔に成って少しの間放置されていたのは変化に自分で気付いて欲しかったかららしい。
で、俺を呼び出そうとした日にあのスーツ着たオッサンに狙われたらしい。
運が良かったよ、本当に。
で、今下積み作業のチラシ配り。
夜中だからそこそこ力の上乗せがあって楽だ。
しかも両親にはすでに手が回されており、深夜に働いていても怒らない。
しかも学園が部長の領土で学園の裏の支配者らしい。
学園のお偉いさんも悪魔と関係がある者らしく、グレモリー家には頭が上がらないようだ。
つまり学園はほぼリアス部長の私有物ということになる。
だから夜中学校に集まれる。
話は仕事に戻るが、この欲望センサーともいえる機器は悪魔の科学が生んだ秘密道具らしい。
防人さんならその強弱まで図れるように改造できそうだ。
しかも空中投影型とかス○ウター型とかにして。
そして仕事は部長の『縄張り』であるこの町でしか出来ないとの事だ。
仕事は、召喚され、契約を結んで、相手の願いを叶える事だ。その代償として相応の代価をいただく。
それは金銭だったり、物だったり、時には命を貰うらしい。
まあ、最近は命を払うまでの願いを請う契約者は出てこないらしい。出ても釣り合わず破談と成る。
部長曰く、「人間の価値は平等じゃないわ」だそうだ。
厳しい現実だ。
で、この機械の示す所に向かって移動し、魔法陣の描かれたチラシを配る。
悪魔と成ったため、他の人間、特に警察にも認知されなくなった。
お仕事中に人間に存在を認識されないからこんな場所を移動できるんだけどね。
しかし全く減らない。毎日やっているが一向にモニター上の赤い点滅が消えることは無い。
しかも一度やると癖に成ってまた悪魔を呼び寄せるとか・・・
さすが人間、欲深い。
このチラシは使い捨てアイテムな訳だから使われてまた入れる。つまり、半永久の無限ループ。
それで部長達は悪魔としてのお仕事が尽きず、着々とポイントを溜めているらしい。
何度も契約を取って願いを叶えれば、悪魔の王様・・・魔王様から評価されるんだそうだ。
代価を貰う所までがお仕事なんだろうけど、その仕事を多くすれば爵位を貰えるかもしれないわけだ!!
大きな仕事であるほどポイントが高いらしい。
しかしこう考えると悪魔が人を誑かすと言うのも如何だろうかと思う。だって物々交換じゃん。
人間「○○が欲しい!!」
悪魔「その為には◇◇を代価として貰うけどいい?うん、取引成立だ」
その物が物質ではない場合があるだけだ。
こう見ると悪魔って品揃え超豊富な商人?
◇◆◇◆◇◆
ある日の放課後。
何故だか最近その日最初に会うときに多少挙動不審な悪友二人に別れを告げ、旧校舎へ向かっていた。
そもそも、あのチラシ配りは元々部長の使い魔がやっていた事らしい。使い魔を人っぽく化けさせてチラシ配りをさせていたそうだ。
それは昼夜問わず行っていたという。
俺にわざわざやらせていのは、悪魔の仕事を一から教え込むため。木場たちもやっていたとの事だ。
あの学園のアイドル達も下積み経験をしていると・・・
話を変えるが、塔城小猫ちゃんを『小猫ちゃん』
姫島先輩を『朱乃さん』と呼んでいいと了承を本人達から得た。
木場はそのままだ、祐斗より呼びやすいしな。
そして俺は今日、部室に呼ばれていた。
通いなれてきた旧校舎に入り、二階の部室に向かう。
「入りますよ~」
そう言って入ってみると俺以外は揃っていた。
室内は窓に暗幕がかけられていて暗い。外部からの光は完全にシャットアウト、床に点在している蝋燭の灯りだけしかない。
「来たわね」
俺を確認するなり部長は朱乃さんに指示を送る。
「イッセーくん、魔方陣の中央へ来てください」
その指示に従い魔法陣の中央に立つ。さて何が行われるんだ?
「イッセー、あなたのチラシ配りも終わり。よく頑張ったわね」
笑顔でそう言う部長。お、チラシ配り終了のお知らせか。
「改めて、あなたにも悪魔としての仕事を本格的に始動してもらうわ」
ついにアルバイトから正社員か?
「もちろん、初めてだから、レベルの低い契約内容からだけれど。小猫に予約契約が二件入ってしまったの。両方行くのは難しいから、片方はあなたに任せるわ」
「……よろしくお願いします」
ペコリと頭を下げる小猫ちゃん。
本当に小猫っぽい子だよなーと思いながら返事をする。
「了解。頑張ります」
チラシ配りも最近パターン化してきて最短ルートで早々に終わらせているので最近ちょっと飽きてきていたのでちょうどいい時期だ。もしかして辛くなってくる時を見きわめているのか?
他の部員はは魔法陣の外に出ている。魔方陣中央の朱乃さんがなにやら詠唱していた。
魔方陣が発光を始める。
「朱乃がいまあなたの刻印を魔方陣に読み込ませているのよ」
と、少し身構えた俺に部長が言う。
この部屋に書き込まれた魔方陣は『グレモリー』を表すものらしい。
俺たち眷属悪魔にとってこの魔方陣は家紋のようなものであり、召喚する者、契約を結びたい者にとって、これが俺たちを表す記号となる。
他の皆の体にはこの魔方陣が大小各所に書き込まれており、魔力の発動と共に機能しだす。と説明された。
悪魔に成り立ての頃はまず魔力のコントロールから始めないといけないらしく、魔方陣を絡めた超常現象的な魔力(もの)はまだまだ先の話だそうだ。
「イッセー、手のひらをこちらに出してちょうだい」
部長に言われるがまま左の手のひらを部長へ向ける。
部長は、俺の手のひらに指先で何かを描く様なぞった。
ちょっとこそばゆい。
次の瞬間手のひらが光りだし、俺の手に魔法陣が書き込まれていた。
手を開いたり閉じたりしてみるがそれに支障は無い。
「これは転移用の魔法陣を通って依頼者の元へ瞬間移動するためのものよ。そして契約が終わるとこの部屋に戻してくれるわ」
ほーなるほどね。
しかし此処で少し心配事が・・・俺のSPで無事に発動できるのだろうか・・・俺は魔界(あっち)でハイネさんに言われた。
「おまえ、SP1しかないから。装備に頼らないと魔法どころか技すら使えないぞ」
と。あの時はちょっと絶望した。
派手な魔法見せてもらって、土下座して、初級を教えてもらえるって話に成って、直後に言われた事だ。
自分のステータスが解らないから分からないがATKとSPDに振ってもらったから如何考えても5も無い。
初級特殊技の初期消費SPでも4必要なんだ・・・
この魔方陣で飛ぶにはどれだけ使うのだろう・・・
「朱乃、準備は良い?」
「はい、部長」
朱乃さんが魔方陣の中央から身を引く。
「さあ、中央に立って」
促され、中央に向かう。発動してくれとかの魔王に祈りながら。
大丈夫、あの人ならきっとSPのことを少しは考えてくれたはずだ・・・
魔方陣中央に立つと、いっそう強く、魔方陣が青く光る。でもなんで青なんだろう・・・部長、リアス先輩見るに赤のほうが似合う気がするんだが・・・
この魔方陣に触れていると、体の内から力が溢れてくる。『眷属』の特典か?
「魔方陣が依頼者に反応しているわ。これからその場所へ飛ぶの。到着後のマニュアルも大丈夫よね?」
「はい」
「良い返事ね、じゃあ、行ってきなさい!!」
魔方陣がいっそう強い光を放つ。
瞬間移動、ゲートを潜るタイプは使わせてもらったことがあるけどこういうのは初めてだ。
光が、目を開けているのが辛いレベルになり目を閉じる。
光が納まるのを感じ目を開けると正面には一人の男。痩せ型で不健康そうだ。
場所はアパートの一室。
「あれ!?小猫ちゃんじゃないのか!?」
「彼女は人気が有りまして、今回は依頼がダブってしまい私が来る事になりました、あなたは森沢さんで宜しいですね?」
男は頷くが・・・
「ぼ、僕、かわいい系のお願いを契約チラシに願ったんだけど・・・」
「ああ、なるほど・・・ちなみに願う予定だった内容は何なんですか?」
森沢さんは部屋の片隅より何処かの女子高生の制服を取り出して
「これを着させようかと思って」
ふむ、
「短門キユ・・・確かに無表情で口数の少ない、彼女なら雰囲気が似ていますね」
「そうだよ、解ってるじゃないか。
悪魔くん、君は短門が好きかい?」
「短門もいいですがどちらかと言うと俺は夜水(よるみな)可子(かこ)派です」
「理由は?」
「オッパイです」
「―――ッ」
俺の答えに森沢さんは一瞬言葉を失う。
夜水可子、『暑宮アキノ』シリーズのレギュラーキャラであり、グラマーな美少女だ。
「巨乳派かい?」
「はい、おっぱいには夢が詰まっている。これは断言できる」
森沢さんがふふふといやらしい笑みを見せる。
「いい、目をしている。おっぱいには並々ならぬ熱意がありそうだ。なるほど、僕とは真逆の性癖のようだね。僕は、貧乳キャラが好きなんだ」
「それもわかります。友人にそういうのが居ますから」
頭に浮かぶは悪友メガネの元浜、奴は生粋の変態だ。
「うん。彼女、小猫ちゃんはなんというか短門に似ているだろう?雰囲気とか・・・少しばかり背は足らないけど」
そう、だから俺も願いを聞きキャラ名がすぐに出てきたのだ。
「だからこそ、これを着て欲しかったんだ・・・着てほしかったんだよッ!!」
悔し涙を流す、森沢さん・・・確かに趣味に全力な俺には良く分かる。さぞ、無念だろう・・・
「残念ながら無理ですね・・・」
「だろうね、まあいいよ。キミ、特技は何?悪魔ならあるよね?こう不思議な力的なもの。
ちなみに言うけど、小猫ちゃんは怪力が自慢だったよ。僕、お姫様抱っこされたもの」
自慢げに言うがそれは男として如何する?
うーむ・・・
「自分の身体能力を上げたり、今は満タンですが五十個までなら物をしまえるゲームの不思議などうぐ袋的な物を持って居たりします」
「どうぐ袋?見せてくれ」
「残念な事に袋の形はしていないんです、こうやって・・・」
左手を何も無い空間に差し込む。
「左手が消えた?」
そう言う森沢さん。俺は中からコモンオーブを取り出す
「こんな感じですね」
取り出したコモンオーブを見せる。
「ほう・・・なかなか凄いね・・・」
「あ、あとこの中には結構危険な物ばかりで、魔道具的なものばっかは入っていますよ?」
「こ、これは大丈夫なのか?」
森沢さんが渡されたコモンオーブの触り方を恐る恐るといった物に変える。
「まあ、弱い物なんで問題ないですよ?」
「何で疑問系!?」
「他にも、弱いですがこんな事出来たり・・・」
出力を絞り、指先に炎を灯してみた。
技にも満たないが、覚えておくといい問いわれ教えてもらった生活スキルみたいなものだ。
「おお、まるで魔法じゃないか」
魔法です。たいしたこと無いけどコントロールの練習とかに使う程度だけど・・・
そんなこんなでいろいろ聞きだしながら二時間談笑・・・
「こんな親身に成って話を聞いてもらうなんて久しぶりだったよ・・・キミで、契約とってみるよ」
「ご指名、ありがとう御座います」
元々が違う悪魔狙いであって、大変だったが中々にいい仲に成れた。
「定番だけど、お金持ちはどうかな?」
なるほど、定番だ。
「えーっと・・・あなたの場合その願いだと・・・・代価は命ですね。死にます」
「死ぬ!?」
「はい、『命は平等じゃない』が悪魔の格言らしく・・・悪いんですが森沢さんは御金持ちの願いで死にます」
「ひ、酷く心をえぐられる物言いだけど・・・まあ、いいや。で、仮に願いを叶えたら、どこで死ぬの?」
「・・・・出ました。大量の金が天から降ってきたところで死にます。触れることも出来ませんね、これは」
「グハッ!!札束でキミを殴る事も出来ないのか!!」
「残念ながら、無理ですね」
「じゃ、じゃあハーレムは?女の子いっぱいの酒池肉林が願いなら!?」
「なるほど、男の夢ですね!調べましょう・・・・・あ」
「あって何!?」
「美女、美少女が森沢さんの視界に映った瞬間死にます」
「見ただけで死ぬの!?」
「視界に映るなので・・・判別すら出来ないと思いますよ?街ですれ違ったほうがまだましなレベルです」
「う、うわぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁんっっ!!」
突然泣き出す青年森沢・・・
「ぼ、僕ってそんなに価値の無い人間だったのか!
う、うぅ・・・生まれてきてゴメンなさいとしかいえないじゃないか・・・・」
俺は、森沢さんの方に手を置き、
「だったら、自分で自分に価値を見出すしかないじゃないですか。最初の一歩を手伝わせてもらいます。
代価は、ドラグ・ソボールのコレクションになりますが・・・」
「そ、そんなことが僕に出来るのか?こんな価値の無い僕に!!」
「最初の一歩を手伝うだけですので、公務員をやっているため大変でしょうが・・・・趣味に全力に成ればやれないことはない!!最終目標は似た趣味を持つかわいい子を捕まえる!!それくらいやってみろ!!」
その後、いろいろと教え、道具の中にあったビン詰のガラス玉のような、飴玉のような・・・防人、灰根共同制作能力強化術封入アイテム、のブレイブハートを使って、勇気を付けて上げた所、元気に成って何かに向かい動き出した。
いちおう契約は取れた
依頼者からのアンケート
『新しい世界が見えました。暫く、自力で頑張って生きたいと思います。イッセーくん、キミは僕の心の師匠だ。次は、僕が有名になったらそのときに・・・』
さて、終わったから
部屋に・・・・・・部屋に?
・・・・・・・
俺は、依頼人に別れを告げ、窓から飛び出し、即座に神器をだし、部室に向かい戦力で駆け出した。
まさか、片道分だなんて!!
――実は、調子に乗って使っていた魔法が原因で
普通こういうのは往復券買うみたいに魔力使うんじゃないのか!?
――
ちくしょおおおぉぉぉぉぉお!!