規格外たちの間接介入『D×D編』   作:獅狼

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悪魔の駒

 

「二度と教会に近付いてはだめよ」

その日の夜。

俺は部室で部長に念押しされています…部長の顔は何時に無く険しい・・・ていうか、メッチャ怒られています。

「教会は私たち悪魔にとって敵地、これはわかっているわね。それだけじゃなくて踏み込めば神側と悪魔側の間で問題に成るわ。

今回はあちらもシスターを送ってあげたあなたの厚意を素直に受け止めてくれたみたいだけど、天使たちは何時も監視しているわ。いつ、光の槍が飛んでくるかわからなかったのよ?」

ッ……所謂国際問題にも成りかねんのか…

教会自体正直近寄りたくない雰囲気放っているから自分から進んで行こうとは思わないんだよね。

光の槍は勘弁、刺さると痛いんだよあれ。阿呑さんがうっかり力入れすぎたパンチよりは問題なかったけど…殴られたのに全身が引きちぎられるような痛みだぜ?正直もう受けたくない。

「教会の関係者にも関ってはダメよ。特に『悪魔祓い(エクソシスト)』は我々の仇敵。神の祝福を受けた彼らは私たちを滅ぼせるほどよ。

神器(セイクリッド・ギア)所有者が悪魔祓いなら尚更。それはもう、死と隣り合わせるのと同義だわ。イッセー」

その紅の髪を揺らしながら、部長は青い双眸で俺を直視してくる。迫力がある。それだけ真剣なのだろう。

「Jud.了解しました。俺も無駄に死ぬつもりはありません」

「人間としての死は悪魔への転生で免れるかも知れないけど、悪魔祓いを受けた悪魔は完全に消滅する。無に帰すの。」

「それだけは流石に勘弁ッスね。…死ぬぐらいであればあの人たちなら蘇生させそうだからな…期待したらダメだろうけど…」

始め以外は部長に聞こえないほどの声で呟く。

いや、マジでやりかねん。いざとなったらプリニー転生で何とか・・・かな?

変に考え過ぎ、真面目にプリニー転生を考え難しい顔をしていると

「ゴメンなさい。熱くなりすぎたわね。とにかく、今後は気をつけてちょうだい」

「はい、俺も流石に弱点攻撃ばっかりしてくる奴と戦いたくありません」

 

俺と部長の話はそこで終わった。

「あらあら。お説教は済みました?」

!?…ヤバイ、何時背後を取られた?平和ボケしたか?…いくらなんでもここまでの接近に気付いていなかったのは問題だ、知られたら再教育ルートまっしぐらじゃないか!!考え事をしてもいいがそのときも回りに気を付けろと言われていたのに!!

いつの間にか背後に朱乃さんが立っていた。

何時も通りのニコニコ顔だ。

「朱乃、どうかしたの?」

部長の問いに朱乃さんは少し、顔を曇らせた。

「討伐の依頼が大公から届きました」

戦える!?

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

はぐれ悪魔・・・爵位持ちに下僕としてもらった者が、主を裏切り、または主を殺して主なしとなる事件が極稀に起こるようだ。

悪魔の力は強大だ。人間の頃とは比べ物にならないほどに。

元々俺は強化されていた訳だから少し強くなったとしか感じなかったが・・・

 

その力を自分のために使いたくなる者もいるのだろう。そういった者が主のもとを去り、各地で暴れる。それが《はぐれ悪魔》

こいつらは害をなす存在なため見つけ次第、主人、もしくは他の悪魔が消滅させることに成っている。

他の陣営でも危険視されており天使、堕天使も《はぐれ》は見付け次第殺すようにしているらしい。

俺は、部長、木場、朱乃さん、小猫ちゃんと共に町外れの廃屋に来ていた。

毎晩ここではぐれ悪魔が人間おびき寄せて、食っていると言うのだ。

上級悪魔から

「リアス・グレモリーの活動領域内に逃げ込んだため、始末して欲しい」と依頼が届いたらしい。

これも悪魔の仕事の一つだとか。

 

時間は深夜。暗黒に満ちた世界。

周辺には背の高い草木が生い茂り、遠目に廃屋が見える。

 

敵がどんなもんか解らないから装備を追加した。

デビルリングを二つ、両手に付けてきた。これで今の俺は普段の三倍ちょっとな状態だ。

 

「……血の臭い」

小猫ちゃんがぼそりと呟き、制服の袖で鼻を覆った。

小猫ちゃんは嗅覚が凄いのか?

と言う俺も、微かな血の臭いと敵意と殺意によってエンジンが掛かり始めてしまっている。

気分が高揚する。思わず顔がにやけそうに成るのをこらえる。

何時の間にこんなんに成っちまったんだろうな…ああ、向うで闘争の日々を送っていたからか?いや、あの時はこんなんじゃなかった。

そうか、性欲を理性で閉じ込めているからか。

別の方法で発散しようとしている。

顔が、獰猛な笑みを浮かべそうに…・・

「イッセー、いい機会だから悪魔としての戦いを経験しなさい」

ッ……!!

部長の声で冷静になる。良かった、まだ気を出していなかったから皆には気付かれていない。

「まだ、悪魔としての能力が良く分かってないんですけど・・・」

まずは例を見よう。俺の戦いが異端だったら面倒くさくなる。それになんだか教えたい事が在る、そんな雰囲気だ。

「そうね、だから今日は私たちの戦闘を良くみておきなさい。ついでに下僕としての特性を説明してあげるわ」

「下僕の特製?」

初めて聞く話だな、なんかいいことがありそうだ。

「主となる悪魔は下僕と成る存在に特性を授けるの」

なるほど。

「そうね、頃合だし、悪魔の歴史も含めてその辺を教えてあげるわ」

そして語りだすは、悪魔の現況

「大昔、我々悪魔と堕天使、天使を率いる神は三つ巴の大きな戦争をしたの」

俺の知っている魔界は毎日が戦争でした。

「大軍勢を率いて、どの勢力も永久と思える時間、争いあったわ。その結果、どの勢力も酷く疲弊し、勝者のいないまま戦争は数百年前に終結したの」

部長に続き木場が言う。

「悪魔側も大きな打撃を受けてしまった。

二十、三十もの軍団を率いていた爵位を持った大悪魔の方々も部下の大半を長い戦争で失ってしまったんだ。もはや、軍団を保てないほどにね」

続けて朱乃さん

「純粋な悪魔はそのときに多く亡くなったと聞きます。しかし、戦争が終わっても、堕天使、神との睨み合いは現在でも続いています。あちらも部下の大半を失ったとは言え、隙を見せれば危うくなります」

そしてまた部長に・・・

小猫ちゃんは参加しないのか・・・残念。

「そこで悪魔は少数精鋭の制度を取る事にしたの、それが『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』……」

「『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』…か」

「爵位を持った悪魔は人間界のボードゲーム『チェス』の特性を下僕悪魔に取り入れたの。下僕となる悪魔の多くが人間からの転生者だからって皮肉も込めてね。それ以前から悪魔の世界でもチェスは流行っていたわけだけど。それは置いておくとして…」

チェス・・・王(キング)、女王(クイーン)、僧正(ビショップ)、騎士(ナイト)、城(ルーク)、卒(ポーン)…卒は下級の兵士を意味する

この場合おそらく爵位持ちが王(キング)

しかし…ルークは壁か?城なんだからそうなるか?

「主となる悪魔が『王(キング)』、つまり私のことね。

そこから『女王(クイーン)』、『騎士(ナイト)』、『戦車(ルーク)』、『僧侶(ビショップ)』、『兵士(ポーン)』と、五つの特性を作り出したわ。

軍団を持てなくなった代わりに少数の下僕に強大な力を与える事にしたのよ。これが意外と爵位持ちに好評なのよね」

「好評・・・、まさか本当にチェスの真似事をするように?」

「そう、チェスのように実際に、下僕を使って上級悪魔同士が行うようになったのよ。駒が生きて動く大掛かりなチェスね。私たちは『レーティングゲーム』と呼んでいるわ。このゲームが悪魔の間では大流行。今では大会も行われるぐらいだわ。駒の強さ、ゲームの強さが地位や爵位に影響を与えるほどに、ね。

『駒集め』と称して優秀な人間を手駒にするのも最近流行っているわ。優秀な下僕はステータスになるから」

 

戦場を盤上に模したたゲームが再び戦場へか…

つまりはそのゲームで戦えると言う事だな。

しかも精鋭と。楽しみだ……って!!思考が戦闘中毒者(バトルジャンキー)に成ってる!?

 

「私はまだ成熟した悪魔ではないから、公式な大会になどには出場できない。ゲームをするとしてもいろいろな条件をクリアしないといけない・・・つまり、とうぶん私たちはゲームする事は無いってことね」

なんだ・・・残念。

ってまた!?

Be cool be cool冷静になれ俺!!

「それで・・・俺の駒はなんですか?」

「そうね、イッセーは」

そこで部長は言葉を止めた。

敵が近いな。

血が滾る・・・俺!!自重!!

「不味そうな臭いがするぞ?でも上手そうな臭いもするぞ?甘いのかな?苦いのかな?」

低い声音…恐怖を煽るためのような声だ。

「はぐれ悪魔バイザー。あなたを消しに来たわ」

部長は一切臆さずに言い渡す。

まあ、力の差は大きいからな。言霊も弱い。

灰根さんなら相手によっては言葉で殺すぞ?

魔力を込めた言霊で相手は逆らえずに自決する。

 

そんな事を思考しているうちに姿を現す。

女性の上半身と異形の下半身。

両手には槍のようなもの下半身は四足で足は太く鋭い爪に、蛇の尾・・・大きさは5mはありそうだ・・・

 

なんだこれ、ヴァルヴォルガさんに謝れ!!

何でもくっ付ければ良いって訳じゃないんだぞ!!

おまえも見れば解る、あれぞラスボス。最近いろんな所で引っ張りだこなのも良く分かるぞ!?

 

そんな事を思考する間にも話は進んでいた。

 

 

「雑魚ほど洒落のきいた台詞を吐くものね。祐斗!」

「はいッ!!」

近くに居た木場が部長の命を受け動き出す…おぅ、早いね、あのシゴキが無ければ反応できなかったな。

「イッセーさっきの続きのレクチャーするわ」

頷く俺。

「祐斗の役割は『騎士(ナイト)』、特性はスピード。『騎士』となったものは速度が増すの」

へえ・・・今度スピードアップの魔石いくつかあげとこ。

あの瓶詰の強化術封入玉はもう魔石で良いやと言うことでそう呼んでいる。

おうおう…結構早くなるな…

木場はどんどん加速し、今の俺では反応できない速度になった。

目では追えるんだけどね…

「そして祐斗の最大の武器は剣」

一度、足を止めた木場は何時の間にやら西洋剣らしきものを持っていた。

部長の説明にあわせてくれているのか?

鞘から抜き放ち、その場から姿を消し、バケモノの両腕を切り落とした。

「これが祐斗の力。目では捉えきれない速度と達人級の剣さばき。二つが合わさる事であの子は最速のナイトとなれるの」

草さんがこれにあたるのかな?

でもあの人ナイト?トリックスターの方がしっくり来る。

 

そして、悲鳴を上げるバケモノの足元には小柄な……小猫ちゃん?

「次は小猫。あの子は『戦車(ルーク)』。特性は…」

「小虫めぇぇぇェッッ!!」

その巨大な足で小猫ちゃんを踏み潰しに掛かるゲテモノ・・・

しかし潰せていない。少し浮いている。

そして小柄な少女がその足を少しずつ持ち上げる。

「『戦車』の特性はシンプルにバカげた力、そして屈強なまでの防御力。あんな悪魔の踏み付けぐらいじゃ小猫は潰せないわ」

阿呑さん、あなたは戦車で決定ですね…移動要塞くらい言ってもよさそうですが・・・

 

完全に足を持ち上げてどかす小猫ちゃん。

「……ふっ飛べ」

小猫ちゃんは高く跳躍し、バケモノのどてっ腹に鋭い一撃。

それを受け巨体が後方へ大きく飛んだ。

 

「最後に朱乃ね」

「はい、部長。あらあら、どうしようかしら」

朱乃さんはうふふと笑いながら小猫ちゃんの一撃で倒れこんでいるバケモノのもとへ歩みだす。

あのバケモノ復帰が遅いな。魔界だったらそんな事しているうちに即死コンボ来るぞ?

「朱乃は『女王(クイーン)』。私の次に強い、最強の駒よ。他の駒の特性をすべて兼ね備えた無敵の副部長よ」

無敵は言い過ぎでは?

確かに他にこんな強い副部長は居ないでしょうけど・・・

 

朱乃さんを睨み付けているバケモノ、それをみて、不敵な笑みを浮かべる朱乃さん。

いやな予感しかしない。

「あらあら。まだ元気みたいですね?それなら、これはどうでしょうか?」

朱乃さんは天に向かい手をかざす。

直後、雷が落ちた。

見事に感電するゲテモノ。

煙を上げてこんがり焼けている。

不味そうだ。

「あらあら。まだ元気そうね?まだまだいけそうですわね」

雷再び。

既に断末魔に近い声を上げるゲテモノ。

にもかかわらず三発目を落とす朱乃さん。

その表情は冷徹で怖いくらいの嘲笑をしている。

うっわ、メッチャ楽しんでる。

 

「朱乃は魔力を使った攻撃が得意なの。雷や氷、炎などの自然現象を魔力で起こす力ね。

そして何よりも彼女は究極のSよ」

わぉ…俺も実は魔法使えますよ、魔力(SP)不足で今使えないけど!!

しかしあれではまだ未だですよ。本当の究極は癒しても上げるんですよ?慈悲の顔で、そして直後地獄に落とす。落として上げて落とすんですよ?

繰り返すと慣れるからとか言って基本この1セットしかやらないけどね。

 

体験者は語るよ?

終わった、助かった、許してもらえた…そんな風に思った直後、より深く叩き落される感じ…終わりに飴が無いと絶対そこで心が終わる。そんなレベル。

 

深い危険な落とし穴に落ちて困ってたら助けの手が…そしてそのまま火口へ…そんな感じだね。

 

はは、まだ笑いながら雷落としてるや、もう数分だぜ?そろそろ飽きちゃうって。

 

朱乃さんが一息ついて、部長に交代。

ゲテモノに向かい部長が手をかざし。

「最後に言い残す事はあるかしら?」

部長は訊く。

「殺せ」

ゲテモノはその一言を言った。

「そう、なら消し飛びなさい」

部長の手から巨大で黒い魔力の塊が撃ち出される。

その魔力塊がゲテモノを包み込み消えたとき、ゲテモノの姿は完全に消えていた。

本当に消し飛ばしたんだ…

 

部長は一息つき

「終わりね。ご苦労様」

部員達にそういった。

はぐれ悪魔討伐任務終了か。

あ、そうだ…

「部長、聞きそびれていたんですけど、俺の役割は?」

「『兵士(ポーン)』よ。イッセー、あなたは『兵士』なの」

 

 

oh…なんと兵士ですか。まあ、そうだろうな。僧侶(ビショップ)には俺の魔力(SP)じゃとてもじゃないが向かない。

そして他はもう居るからねぇ…

 

ま、チェスだというならポーンの昇進(Promotion)があるんだろもう一つある特殊なポーン動きのは…まあ、戦闘では有り得ないか・・・

 

さて、悪魔の戦闘も大してあっちの悪魔と変わらないな、次は遠慮なく戦うとしよう。

 

 

 

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