規格外たちの間接介入『D×D編』   作:獅狼

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あ、絹ごしの方の豆腐です。

 

「イッセー!!」

魔方陣を八割ほど書き終わった所で背後から声がかけられる。部長の声だ。

「イッセー、堕天使は?」

「其処に、まだ辛うじて生きていますが何も出来ないでしょう」

俺は振り向かず開いた手で指を刺し、応える。

部長はそちらへ向かい、何かをしているが俺は残りの箇所を思い出すのに忙しく何も聞こえない。

……

………

 

Side Kiba Yuto

 

かなりの魔力と大きな破壊音そして明らかに自然のものではない揺れを感じ、僕達の元へ転移してきた部長達と地下の神父を全滅させて早急に地上へ向かっている。

『騎士(ナイト)』で一番足の速い僕が先行して地上に…聖堂に出た。

其処は、イッセー君の助けたかった少女、アーシア・アルジェントの寝ている長椅子付近を除き、完全に大破した瓦礫ばかりの酷い所は土、地面が見えてしまっている。

その無事な場所では、イッセー君がしゃがみながら何かをしている。

少し、回り込んでみてみると其処には魔法陣、中々に大きくかなり複雑な魔法陣。それをイッセー君は何かを呟きながら書いている。耳を澄ましてみると…

「……回せ回せ回せ回せ回せ回せ……秒針をサカシマに…世界をサカシマに…星の巡りをサカシマに…時間をサカシマに…回せ回せ回せ回せ回せ回せ……」

うん、なんだかとっても危ない状態だってのは良くわかった。

陣はほぼ形を成し、現在は各箇所に意味のある言葉を書いているようだが…それぞれ、書き始めは思い出しながらの様にゆっくり、そしてどんどん書き終わりに向けて加速するのを繰り返している。

正直怖い。呟きに呼応するように加速しているのだ。

其処に、追いついた部長が声をかける。

「イッセー!!」

部長もイッセー君の状態に結構焦っている。

まるで生きるのを放棄している様にも思える雰囲気を放っているからだ。

「イッセー、堕天使は?」

「其処に、まだ辛うじて生きていますが何も出来ないでしょう」

イッセー君は振り向かず開いた手で指を刺し、応える。

こちらを振り向かない。

小猫ちゃんが覗き込んでいるが反応が無い。

その後心配な顔をしながら小猫ちゃんがこっちへ来る。

「……先輩、泣いてます」

だろうね、そして狂気に飲まれたような状態だよ。

僕も少し除いてみたけどそれだけじゃないよ、目に光が無いんだ。

僕達がそんなイッセー君を見ている間に、部長が堕天使だったものを消滅させて、神器をアーシアちゃんに返していた。

そして、部長は真剣な顔でイッセー君の方へ近付き…

「イッセー」

呼びかける。

「……なんですか?部長。今忙しいんで…」

イッセー君は元気どころか生気の無いような声で返事をして振り向かない。そして手も止めない。

「こっちを見なさい!!イッセー!!」

部長はその肩を掴み、無理やり振り向かせる。

「……あの人たちを呼んでアーシアを生き返らせてもらうんです。邪魔しないでください…」

目を逸らしたくなる。まるで廃人のような目をしたイッセー君が淡々とそう述べる。

「イッセー、これを見なさい。なんだと思う?」

片手で襟を掴み引き寄せて顔の前に…赤いビショップの駒を見せる。あれは…

「…そのビショップの駒がどうかしましたか…作業に戻りたいんですけど…」

自閉し、話をしているがしていない。話を聞いているが聞いていない。

パァァァン!!

そんなイッセー君の頬を部長が強く叩く。

「よく聞きなさい!!これは『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』よ。イッセー、あなたを生き返らせた悪魔の駒!!解らない?」

ここで少しだけイッセー君の目に光が戻る。

「それで…アーシアを、アーシアを生き返らせてくれるんですか?」

縋(すが)り付く様な目で、漸(ようや)く光を取り戻した目で。泣き出しそうな声でそう返すイッセー君。

狂気はなりを潜めた。

「ええ、彼女の癒しの力は僧侶として申し分ないわ。……だから何をしようとしているのか知らないけど馬鹿なことはやめなさい」

真剣に、言い聞かせるように部長はそう言う。

そして、それにそんなあなたは見たくない。と付け足した。

過去に何があったかは知らないが確かに痛々し過ぎる。彼も僕のような経験をした事が在るのか?

「…分かりました。それに今の俺では命を賭してでも成功できるかも分からなかったので…」

想定外…いや、様子を見ていればその可能性も見られたがまさかの答えが返ってきた。

「確実な方法があるのなら、そちらをお願いします」

其処まで言ってイッセー君は部長の手から離れ、崩れ落ちるように、五体投地をして、

「どうか、アーシアを生き返らせて下さい」

切に、願いを声にした。

凄い気迫だ。これで了承しないと、ならば目を…と言い出しかねないような…

「もちろんよ」

部長は即座にそういって儀式に入った。

 

 

その後、少ししてアーシアちゃんが目を開き、「あれ?」と声を発した瞬間、イッセー君が歓喜の叫びを上げ、部長への感謝、安堵を呟き、アーシアちゃんに抱きついて、

 

 

そのまま動かなくなった。

 

 

しかし息は在る。顔色は悪いが安心できる程度。

 

如何やら、意識を失ったようだ。

 

 

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