違和感、寝ているベッドがやけに固い。
いや………ベッド、有るのか?
明らかに布団らしきものが無かった、そして部屋の雰囲気がおかしいので、目を開け、飛び起きる。無論、同時に戦闘準備も行う。籠手を出すだけなんだけどね。
周りを見渡すが、見たことの無い部屋?いや、真っ白な空間だ。
部室が似た雰囲気だがここはなんと言うか……アイテム界?
あの不思議空間にも似ている。
つまりはこの世界の悪魔的な雰囲気とアイテム界の雰囲気が混ざったような………超常的で、普通じゃ入れない様な場所の雰囲気だ。
テーブルに大勢の老若男女………男の方が多いな……
全員俯いて何やらうつろな表情で………うなだれた様子?
………
誰も動かない。
『すみませーん、ここ、何処ですか?』
とりあえず、見た目で年齢の近そうなのに話しかけてみるが、返事が無い。
………
ゴッ!!
………ッハ!!イケナイ、うっかり殴ってしまった!!
仕方無いじゃないか!!だって色々やってみたけど反応してくれないんだから!!
『何時の間に入ってきたんだ?』
赤龍帝じゃ無くて…ドライグだったか?
『ああ、誰かに聞いたのか?それよりもだ、今お前が殴ったのは歴代の赤龍帝の一人だ。おまえと同い年ぐらいで才能に恵まれていてな。「覇龍(ジャガーノート・ドライブ)」に目覚めるのが早かったが………力に溺れ、油断した所を他の神滅具(ロンギヌス)所有者に屠られた』
名前はおまえがチラッと会話中にこぼしたんだろ?
あ?何じゃあこの人達、歴代の赤龍帝?
先輩ってことか?ってか何だよ、「覇龍(ジャガーノート・ドライブ)」って
つーか、他の神滅具(ロンギヌス)って?
『気にするな、何だかおまえは使う機会が無さそうな気がする。それに、「禁手(バランスブレイカー)」にすら至っていないんだ。未だ暫く気に留める必要は無い』
そうか……神滅具(ロンギヌス)のことはスルーですか。
まあ良いそれより、何だかみんな、自暴自棄?何かに対して負の感情を持っているのか?
…………そういえばここって、神器、『
『なんだ?知ってて入ってきたんじゃないのか?』
いやいや、知らなかったぜ、気付いたらここに居たんだ。
そうか、神器の中か………ん?
あーもしかしたら……
『おい、後ろに注意だ。さっきお前の殴った先代が珍しく動き出したぞ』
え?
後を振り向くと、さっき俺が殴った先輩が拳を振り上げて………
ガッ!!
「グフッ……」
――反撃ッ!!
「おおう、つい反射で…おっと」
殴られ、反射で反撃をボディーに打ち込んだが、先輩は堪え直ぐに反撃をして来た。
それを何とか避け更に攻撃。HIT!!
「ハッハァ!!もしかしたら、もしかするかも知れないなぁ!!」
俺は一つのあることを期待し、戦闘を始める。
しかし装備は無い。だから、素の力で戦う必要が……そうだ、アイテム!!
距離を取って、道具袋ッ!!…インペリアルが一つ……え?これだけ?
これじゃあ、1.5倍が良いとこだ、ドライグが言うにはこの人才能に恵まれているらしいじゃん?
勝てるかねぇ…
先輩はふらふらした動きで寄って来る。しかし、何だか初めより動きが良い気がする。
先手を取るッ!!
三歩で距離を詰めて芯を狙った左ストレート。
的中ッ………じゃない!!
手応えが弱い。
先輩は大げさに吹っ飛ぶ。明らかにインパクトのタイミングをずらす様に後に跳んだ。
「ッチ!!あ゛~!!部長の事とかアーシアの事とか小猫ちゃんや朱乃さん、おまけに木場にそして部長の事を今、一時(いっとき)忘れ、修羅に入る!!」
ついさっきだし、結構重要なイベントが近い気がしたから二回言った。
先輩は、不気味な動きで立ち上がり、何かを呟きながら動き出した。
その足は段々速くなる、それに比例するように声も大きくなり……
「殺破覇HahAア゛あ゛ァ゛A゛ぁ゛A゛aaaaaaaaaaaa!!!!」
もはや人の言葉ではなかった、ただ、怨念のような負の感情を込めた叫び。
そしてその声は、音を表さなくなり、ただの怨念憎悪憎しみ、諦め絶望……座っている先代たちも共鳴するように叫びを上げている。
先輩はトップスピードに…
ゴッ!!
気付いたら殴り飛ばされていた。
反射的に反撃を行うも殴り飛ばされたため掠る程度にしか当たらなかった。
しかし、視界の隅に映る先輩は止まらない、そのまま追撃をしに走ってくる。
俺は体制を立て直すことすら出来ず、地面に叩きつけられた。
腹への一撃、内臓にかなりのダメージが入った。
俺は、その手を掴み、腕に足を絡め、圧し折る。
丁寧に肩から肘、手首まで関節を曲がらない方向、可動範囲を超えて曲げ、壊して骨をちょうど真ん中で二本、正確には四本を折る。
代償に俺は肋骨数本と内臓にダメージを受けた
腕を過剰破壊したにもかかわらず、痛みすら感じないようでそのまま一発喰らってしまったのだ。
HPで考えると現在、残り21%といった所かな………
対して、アチラさんは半分くらいかね…
腕一本獲ったってのに……!!
先輩は使えなくなった右腕をかばうような動きすら見せずに負の絶叫しながらまたも距離を詰めてくる。
能力としては向うが上なので俺はカウンター、削らせ捥ぎ取る形で無いと辛い。
しかし、流石と言うべきか…かなり攻撃が鋭い
だが、折った腕の方はまともな動きをしておらず、付け入る隙がある。
それでも先輩は良い動きで……
なんでこんなに強いんですか!?
なんだよ!!さっきまでの抜け殻みたいな状態は何処へ言った!?
残った腕での攻撃に脚による蹴り、折れた腕でも攻撃してくる始末…
避けて受け流してで頑張っているが受け流している腕が痺れてきた。
先輩は疲れが無いのか勢いが全く落ちない。
そして一つ、閃く、俺って…脚技、使って無くね?
先輩の蹴りもダメージ重視の大振りを上手く組み合わせて隙が出来ても速さでカバー攻撃があたる前にこっちがやられかねないそんな攻撃で攻めに移れていない俺…
先輩は現在、無事な左と普通使えない位の状態の右での攻撃をしてきている。
左で最短の攻撃を繰り返し合間に右を鞭の様にして叩きつけてくる。
そして……やっぱり来た、腕の攻撃に集中した所でガードごと打ち抜くような鋭い蹴りが来る。
姿勢を低く、脚が頭上を通る高さで蹴りの飛んできたほうへステップ、しゃがむだけだと蹴りが頭上で向きを変え踵落としの様に成るので急速に動きタイミングをずらす。
それと同時に軸足の膝下に蹴りを入れる。
バランスを崩しながらも拳を放ってくる先輩のその手を掴み、勢いを足して引き寄せ、左手に力を込める。
これで倒せなかったら負けだ。
完全にそういった気持ちで、先輩の頬に打ち込む。
そして一言、
「俺は!!Bad Endは認めねェ!!!!」
そういいながら慢心から来る自業自得とも思えるバッドエンドを迎え何でか負に飲まれている先輩を殴り飛ばす。
高速のバックスピンの掛かった先輩は数メートル飛び、地面に当たって真上に跳ねて、そこで地面に落ちて停止した。
「力に溺れたくせに何、呪詛を唱えていやがる、上を見なかったてめぇの自己責任だろうが!!」
俺は上を知っている、今の俺ではどんなに頑張っても掠らせる事も出来ないであろう人達、いや、戦いにすら成らない。それどころか、あの人達を食物連鎖の頂点に置くと、俺はまだ植物でしかない。抗う以前の問題だ。
俺は弱い、だからこう成らなかったのかもしれない。
俺は教えられた、力を使え、使われるなと。
俺は補正された、得た強さに過信したところで弱さを…
教えられた、守る難しさ、力に伴う責任。
教育された、自分である芯を失わないように……
それでも堕ちる、背負い込む、抱え込んで壊れる。
だが、その先を見たからにはこうは成りたくない。
それでも俺は何時かは暴走しかねない。心が弱いから、情が深すぎるとも言われた。常に冷静たれといわれたが、俺には出来そうもない。
だけど!!
「俺はあんたの様には成りませんよ、力に溺れず、上を目指す。余裕は持つが油断はしない。だから見ていると良い、俺の生き様を…」
「……ああ、俺も、見てみたくなった、異質な赤龍帝。
『
「当たり前だ、偶然手に入れた力、まだ十全に扱えていないものが自分の力な訳が無いだろう。神器は謎が多すぎる。これがもっと単純ならば既に俺の力として扱っていただろう……まだ先代が使った力について詳しくは知らないが、俺は俺の道を行く邪魔ならば先達であろう払い除ける!!」
「だろうな、頑張ってくれ、お前の作るHappy End、楽しみにしている。志半ばで散った時は、歓迎しよう」
「ハッ、俺は自分の人生に悔いを残すつもりはねえ。もし、ここに来た所で呪詛を唱える暇があるなら次代を育ててやるよ」
「そうか俺は、ならばお前を支持しよう。負の連鎖にはもう疲れた………不要だろうが、次来た時には『
《イノセントを服従させました》
イッセー支持屋2