俺が目覚めたのは12時。
決戦(ゲーム)は零時からの開始なので十二時間後と言う事だ。
まあ、目が覚めた所でアーシアに教えてもらったんだけどな。
そして今日は仕事は無しで、ゲームに備えるとのことだ。
開始三十分前、二十三時半に部室に集合する予定だそうだ。
で俺は自分の状態を見ている最中です。頭痛は治まり、体も異常なし、少し硬いくらいかな……
柔軟二時間かけてのんびりと……で、自分のレベル、ウエポンマスタリーを見直してビックリ。
レベルが、少しだけど上がっている。レベル六に拳WM102。
使用できるアイテムは強化術の入った魔石に……いつの間にか真っ黒になっていた藁人形といつの間にか入っていた赤黒い五寸釘。
叩く所に『呪』の一文字が入った素敵設計だ。
そして何となく理解できてしまう。これは不死殺し足り得ると……
魂にダイレクトアタックな超越性能。
だから逆に使って言いモノかと不安になる。もし障害とか残ったら……別に良いか、あいつは二重三重の意味で敵だから。
武器の使用等、どうなっているか聞き忘れてしまったが、剣が大丈夫なら大半の武器は問題ない気がする。
あ、でも銃とかは如何だろう……
まあ、俺は使わないから関係ないか……
しかし、籠手装備時の速さをわかりやすく例えると瞬間的な速さだが5m程度から放たれた銃弾くらいなら撃たれた後に避けれるって位かな。
木場相手の模擬戦でも接近戦(インファイト)だったから同等以上で戦えただけで、ヒットアンドアウェイで来られたら死角からの攻撃相手には対処しきれるかどうかわからない。
まあ、動かず、迎撃で行けば何とかなるだろうけどね。
もし、じっとしていられない戦場なら……負けるな。
攻撃力は……まあ、高速道路での事故を再現できそうだと言っておこう。
防御は薄いけどな!!……バランス悪いよなぁ……
イノセント使った所で自分のレベルが低すぎて上手くいかない気がするんだよなぁ……でもこう考えるとあっちにいた時、どうして問題なく動けたんだろう……
あれ、なんか有った様な……
=============本人は把握できていない回想=============
「ん~~?此処…は?」
一誠の目に入ったのは天井……ただしナニカがたくさんぶら下がっている。
手術室……というよりも、何だか改造人間が生まれそうな場所だ。
「……起きてしまった………………………………気にするな、これは夢だ」
そう言う防人の声が聞こえた直後、イッセーからすると急にとてつもない眠気に襲われて意識を失った。
「危なかった。しかし、工程は最終段階。今日で終わる………………少し惜しいな………」
そう呟き防人は手に持っていた謎の機械を脇の台に置き、人間に使うべきでないような工具を手に取った。
「さて、『脳が異常な強化に適応できるようにする改造』最終段階だ。一歩ミスれば何かが変わる」
防人は何だか危険なことを呟いて、再び作業に戻った。
============================
今嫌な回想が入った気がする……
深く考えるのは止めよう。知らなくて良い事を知りそうな気がするから……!!
ちなみに、手術は成功しました。
でもなぁ、フェニックスは精神的に潰さないといけないんだもんなぁ……殺りすぎること無いから良いんだけど……人体と同じ構造かな?
だったら閉め落とせば楽に終わる。
でもなぁ~背中から炎の翼出してたから………
削るか?物理的に……
痛みが何処まで通じるかだよな、やっぱり。
聖水や十字架の効き目とかも気になるな。
……俺、悪魔だから十字架直で触れないや……聖水ももちろん無理だろう。
これは、ぶっつけ本番でアレを試すしかないか……
と其処まで考え時計を見る16時35分……あと、七時間と25分……部室に三十分前に集合だから……多めにとって六時間は残っていると……
潜るか、こう色々悩んでいるのは性に合わない。
体を暖めておくか……精神体だけどね……
俺はアーシアに、今まで寝ていた訳だけど、もうちょっと寝る、六時間後に寝ていたら起こしてくれと言って、籠手の中へ意識を潜らせた。
最初に出迎えてくれたのは、同い年くらいの男。
他の歴代赤龍帝とは別の、良いとこの家の庭にありそうな真っ白なテーブルとイスで優雅に紅茶を飲みながら出迎えてくれた。
殴り倒したくなった。
クソッ!!イケメンめ!!絵に成っていやがる………ッ!!
「おや、イッセー君かい?久しぶりだね。とは言っても常に一緒なんだけどね」
HAHAHAHAHAと言わんばかりに笑う。
その笑い方も力に溺れた天才とは思えない優雅さだ。なぜだかムカつく、木場の1.1倍くらいの癪に障る。
味方の筈なのに、服従させたイノセントの筈なのに、何故だかこいつは敵だと心の奥底にあるモノが叫ぶ。
そして、納得している自分が居る。
更に言うなら、殴りたい衝動がグツグツと……
「さて、イッセー君?支持者支援者を増やしに来たのかい?外の様子は籠手を出しているときしか解らないから知らないが……力が、欲しいんだろ?」
無駄に状況把握能力の高い先輩を、思わず殴りたくなった。
畜生ッ!!気の利くイケメンめ!!
「そうですけど……誰が手ごろですかねぇ……」
「まあ、皆、僕より強くて上手いのは間違えなさそうだけど……理性が基本吹っ飛んでるから、多少攻撃が大雑把になっていて付け入る隙はあると思うよ。
其処の……お兄さんは結構やばそうだからおじいさんからいったら?まあ、技術力はトップクラスかもしれないけどね……」
つまりは、誰が一番弱いのか解らないと……
『……お前の相性的に、懐にもぐれば魔法を強化するタイプの奴ならいけるんじゃないか?』
お、ナイス、ドライグ!!
「で、誰だ?」
『……其処の…金の長髪の女と、初老のいかにもな、爺さんだな…………たしか……』
おい、
「今忘れていたよな?」
『………そんな事は無い』
「ハハッ、そうだってイッセー君。まっさか、赤龍帝と名高い天龍ドライグが相棒を忘れるなんてそんなこと………無いよね?」
『ハハッ、ハハハハ、……もちろんだ……』
忘れてたな、これは……
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△
そして俺は、アーシアに起こされるまで、数人の先輩に喧嘩を売って、七割ほどは返り討ちにされた。
結果として、支持+3に支援+2……はい、二人しか倒せませんでした。酷い時は一撃で追い出されもしましたよ。
支持屋は、
あれ?効果変わっている様な気がする……まあ、良いや。
さあ、部室へGO!!
アーシアの格好?シスターで、首にダークロザリオがぶら下がっている姿ですが?
うん、さすが防人さん、素晴らしいデザインです。最初に顔に目が行き、胸元のロザリオ見て……チラッと、さりげなく、ダークロザリオで強調された胸が見える。
役得役得♪、まあ、悪魔が十字架(ロザリオ)は流石に問題だから、ちょっと、内に隠してるんだ。
だからこんな姿を見れるのは俺と……部長や朱乃さん?ぐらいだ!!
胸元のロザリオ魅せながら似合うか聞いてくるんだぜ?上目使いで!!
ヒャッホーウ!!何でかテンション上がる俺が居る!!
何だろう、何だか、違和感が……俺って、こんなキャラだっけ?
そんな事を考えながら部室へ、其処にはオカルト研究部のメンバーが勢揃いしていた。
しかし、普段とは違い、木場は脛あてに手甲腰には帯剣。
小猫ちゃんは何時もどおり本を読んでいるが、そのかわいらしい手にはオープンフィンガーグローブ?指の露出したグローブをつけている。拳のあたる部分に保護材が入っているのか、少しだけ膨らんでいる箇所がある。
部長に朱乃さんはソファに座って優雅に紅茶を飲んでいる。
ゲームまであと二十分……みんなの観察もこれ以上はセクハラとして小猫ちゃんに殴り飛ばされかねないので止める。
代わりに少し落ち着いて自分では冷静なつもりでもそうでないことがあるので、座禅を組み、瞑想に入る。
心を無にするとかじゃなくて、己の中の力を循環させ、体を休めながらも動けるように持って行く。
初めは、先生たちに魔力を流してもらったり、流し方を俺の体を使った実戦で教えてもらったり、力加減を間違えられて、体中の至る所から血を噴出したりして漸く仕えるようになった不思議な矛盾技だ。
そして、これをやるたびに俺は落ち込む。無論、自分の魔力の少なさにだ。気と魔力の通り道を何かに例えるとすると…気のほうが放水ロープ、火事の時に消防車が使うアレ位の太さがあるとすると、魔力の方は……ストロー並だ。気のほうは人より幾分か多く、質も少し良いと灰根さんたちの御墨付きだ。
その路(みち)の澱(よど)みを七割がた処理した所で魔力の振るえというか歪みと言うか……まあ、何かの魔力反応を拾い、目を開ける。その直後目をやった方で魔法陣が展開され、其処よりメイド服の銀髪美人…グレイフィアさんが現れた。
「皆さま、開始十分前となりました。準備の方はお済になられましたか?」
それを聞き、みんなが立ち上がる。
俺は、回路の洗浄を続ける。
「開始時間になりましたら、ここの魔法陣から異空間に作られた戦闘用フィールドへ転送されます。使い捨ての空間なのでどんなに派手な事をしても構いません」
へぇ~、あっちの人達が一定以上の大技を使うときに展開する異空間みたいな物か?……いや、あんな贅沢な使い方ではないだろう。技を一発放つために作っているのだから。
うん、何だか楽しみだ。
――それに、ゲーム中なら、何が合っても可笑しくないよね、敵の体を掴むのは当たり前だよね?
「あ、あの部長。もう一人、『僧侶(ビショップ)』がいるんでしたよね、その人は如何したんですか?」
途端にみんなの様子がおかしくなる。まるで腫れ物に触れてしまったかのような雰囲気だ。
「残念だけど、もう一人の『僧侶』は参加できないわ。そのことについてもいずれ、話す時が来るでしょうね……」
そう言う部長。しかし、アーシアや俺と目線を合わせない。
何か問題を抱えていると……
――部長、その人って……趣味が『尋問(しつもん)』だったり、特技が『尋問がいつの間にか拷問になる』みたいな人じゃないですよね?
なんて、言える筈が無い。それにそんな人がこの世界に居るとは思えない。
そう、こっちの世界では。
あっちの世界…魔界で、そいつに出会った。
外見年齢10歳、実年齢923歳の女の子(仮(?))普段はかわいらしいが、質問が始まって少しすると、愛らしい笑みが、狂気の笑顔に変貌する。
その顔が思い浮かび、頭(かぶり)を振ってかき消す。
そんなことより今は目先のゲームだ。
「今回の『レーティングゲーム』は両家の皆さま、更には魔王ルシファー様がご観戦なさいます。そのことをお忘れなきよう」
グレイフィアさんがそういうと、部長が驚いた顔で
「お兄さまが?」
……ん?
あれ?
「イッセー君、部長のお兄さまは、魔王さまなんだ」
木場がそう教えてくれる。
そして、初代魔王が戦争で死んでしまって、魔王は強大な力を持った者へ受け継がれた。
つまり、魔王は役職だって事だ。
先に教えてくれよ……
そんなこんなで回路の洗浄を終えた俺は木場に、聞いていなかったことを色々と尋ねた。
そして時間が来る。
「そろそろお時間です。皆さま、魔法陣のほうへ」
それを聞き、魔法陣の上へ
「一度あちらへ移動しますと、ゲームの終了まで魔法陣での転移は不可能となります」
まあ、そりゃそうだよな。
戦域離脱は出来なくて当たり前だと考え、そこで魔法陣の紋様が変化し、光を増して転移が始まった。