「いただきますわ」
拝啓、今は亡き爺ちゃん。今、俺の家の食卓の俺の隣で美人な女の子が家の味噌汁を啜っております。
「とても美味しいですわ、お母さま」
今の状態の母さんにその呼称はちょっと危険じゃないのか?
「は、はぁ・・・こ、これはどうもありが・・・・お、お義母さまぁぁぁ!?」
あ、今ぜってぇ勘違いした。
俺の眼前の父さん母さんは狼狽した様子を表に出さないよう頑張っているが全く隠せてない。
まさか・・・・あの息子がこんな外国人の美人さんを連れてくるとは・・・・って完全に顔に出ている。
どうしよう、こんな時、如何すればいいのか全く分からない。
「イッセー、せっかくお母さまが作ってくださった朝食よ。いただきなさい」
先輩が優雅に言ってくる。うん、こんな状態じゃなかったらまるでお姉さまだとでも思ったのかな?今はそれど頃じゃない心境なんだけどね。
「はい・・・・」
だがいつまでもこの状態ではいられない。
今は一刻も早く登校して学校に逃げよう。
そう考えて早食いといえるスピードで食べだし・・・・
「そんな下品な食べ方はダメよ。もっとゆっくり味わって食べなさい」
そう言って先輩は俺の口元をハンカチで拭いてくれる・・・・
何だこれは・・・どういう状態なのか一切理解できない。
あれ?俺、先輩と会話するの今日が始めてだよな?
なのに何でこんなことしてもらってるの!?
学園のアイドルとして、こっちは一方的に知っているけど………よく考えたら俺も学園で悪い意味の有名人だったァァ!!
「イ、イッセー・・・・・・・・・」
さっきまでフリーズしていた父さんが再起動して恐る恐る話しかけてくる。
かなーり動揺しているな父さん、俺もだ。でもなんだか頭のほうはしっかり冷えているという謎状態なんだ。
「そ、そそそ、そのお嬢さんは、ど、どちら様なのかな?かな?」
おい父さん、随分情緒不安定じゃないか。
でも気持ち悪いから止めてくれ。
これを聞き、先輩は箸を止め深々と頭を下げた。
「・・・挨拶が遅れていましたか・・・・私としたことが大変失礼しました。これはグレモリー家の恥ですわ。
改めてご挨拶させていただきます。
お父さま、お母さま、私はリアス・グレモリーと申します。兵藤一誠くんと同じ学園に通っております。
以後、お見知りおきを」
ニッコリ微笑む先輩。
うっかり鼻の下を伸ばし、母さんに抓られている父さん。
「そ、そうですか・・・外国の方ですか?日本語が堪能なんですね」
笑顔のようで顔が硬直している父さん
「はい。父の仕事の関係で日本にいるのも長い物ですから」
ああ、父さんはもうだめだな。陥落した。
次は母さんが動いた
「リアス・・・さん、でよろしいかしら?」
「はい、お母さま」
「イッセーとはどういった関係なのでしょうか?」
・・・・・!?いきなりそう来るか!!
今の状況をハッキリさせる簡潔にして最適な、しかし地雷にも成り得る質問だ・・・・
そして詰め寄る母さんに先輩は相変らずニッコリ微笑むだけで・・・
「仲の良い先輩と後輩ですわ、お母さま」
「嘘だ!!」
即、否定。
絶対に信じないと顔に書いてある母さん。
そりゃそうだ。あの光景を見たら普通そう思う。
俺だってそう思う。
「だ、だだだだだだって!あなたたち、べべべベッドで!!は、はははは裸でぇ!!!!」
「イッセーが最近怖い夢を見るというので、添い寝してあげたんです」
確かに俺は最近内容は覚えていないが・・・確かに地獄のような場所で徹底的にシゴカレル様な悪夢を見ているが・・・無理が在るだろ?それは・・・
「だって、裸だったじゃない!!下着すらつけてなかったじゃないぃぃぃ!!!」
「はい、最近の添い寝はそういうものですわ、お母さま」
いやいやいや、そんな添い寝は聞いたことが無い。と言うか男女でそれはダメだろ!!男は基本狼なんですよぉ!?
だが、母さんは突然黙り込み・・・
「そ、そうなの・・・・最近の添い寝はそういうものなの?なら仕方ないわね・・・・・・」
おい!!無いよ!?少し考えれば・・・・考えなくてもかなり嘘っぽいでしょ!?
ん?おかしい、母さんの目がおかしい・・・
まるで何かに取り憑かれたかのように虚ろだ。
そこで先輩が耳打ちをしてくる。
「・・・ごめんなさい、ややこしくなりそうだから力を使ったわ」
力?・・・悪魔の力か・・・・
いつの間にか父さんも母さんのように成っているが・・・・
害は無い・・・ですよね?先輩ィ・・・・
◇◆◇◆◇◆◇◆
朝の登校風景・・・・
何時も通り・・・いや、俺からすると少し遅く学校に向かっている訳なのだが・・・・
同じ学校の奴からの視線が痛い。
そりゃそうだろう。
悪名高い俺、その隣にいるのは学園のアイドル、グレモリー先輩がいる訳なのだから。
出来れば隣でなく三歩後ろを従者のように付いていく形が良かった・・・
彼女の鞄を持って隣を歩いているのだから出来る限り従者のように目立たないように頑張っているが目だってしまう・・・
「どうしてあんな奴が……」
「リアスお姉さまがあのような下品な…下品な?男と…」
といった声が聞こえてくる・・・
それにしても従者のようにと思ったら思うよりすんなりそれっぽい姿勢で動けたな・・・
しかし…男女問わず悲鳴を上げたり中には気絶してしまう者まで・・・・
まあ、俺と先輩の有名な理由が180°方向性の違う理由だからな・・・
学校の玄関で別れた。
その時に「あとで使いを出すわ。放課後にまた会いましょう」と微笑みながら、そう告げられた。
放課後、時間を空けておかないとな。
そのまま教室に向かい扉を開けた。
その瞬間、無数の好奇の視線が俺に向いた。
まあ、仕方ないよな。そう思いそのまま自分の席に向かおうとした・・・
ゴッ!!
突然後頭部を殴られた。
振り返れば松田だ、元浜も隣にいた。
「どういうことだ!」
涙を流しながら松田が叫ぶ。
これ以上騒がれるのも面倒くさい。
それに今俺は心労のせいで疲れているんだ、それ以上叫べばぶっ飛ばすぞ。
「昨日まで俺たちはもてない同盟だったはずだ!」
「イッセー、とりあえず理由を聞こうか。俺と別れてから何があった?」
怒鳴る松田と冷静に見えて鋭い視線を向けてくる元浜・・・うん、松田、君に決めた!!
「こっちだって!!」
右で腹に一発、体がくの字に曲がる。
「混乱!!」
そこにえぐりこむように左の打ち上げ、
「しとるんじゃァァァ!!」
最後にムーンサルトキック。
何故か体が自然に動いた。
「元浜ァ?こうなりたくなければ状況が落ち着くまで、黙ってろよ?」
「あ、ああ。わ、分かった」
元浜はその一言でかなりビビって居た。
◇◆◇◆◇◆
放課後。
「や、どうも」
俺は自分を訪ねてきた男子のほうを見た。
この学校一のイケメン王子といわれる木場祐斗だ。
爽やかスマイルで学園女子のハートを射抜いている。
ちなみに同学年。別クラスなんだがな。
廊下や教室各所から木場に対して黄色い歓声が上がっている。うぜぇ。超うぜぇ・・・もてない俺に対する嫌味か?あぁ?この学園の女子は妙にレベルが高いからなおのことムカつく。
「それでぇ?何の御用ですかねぇ?」
松田元浜の二人が今日一日常に鬱陶しかったせいでいらいらしている俺はもう完全にチンピラな返事を返す。
しかし、木場は変わらずスマイルで続けてくる。
「リアス・グレモリー先輩の使いできたんだ」
・・・・把握。
「あーはいはい理解した、で俺は如何したらいい?」
「僕についてきて欲しい」
イヤー!と女子の悲鳴が上がった。
「そ、そんな木場くんと兵藤が一緒に歩くなんて!!」
「汚れて得しまうわ、木場くん!!」
「木場くん×兵藤なんてカップリング赦せない!!」
俺も許せないよ、つーか止めてくれ。
「ううん、もしかしたら兵藤×木場くんかも!!」
「あれ見れば分かるでしょ、完全に兵藤が攻めじゃない!!」
だから止めろ!!
「早く案内してくれ、さっさと此処から離れたい」
歩き出す木場に俺はついて行く。
「お、おいイッセー!」
松田が呼び止める。
「なんだ、まだ喚くのか?」
イライラを隠さず拳を鳴らしそう告げる。
「うっ・・・・」
その手にはさっき俺の機嫌取りに取り出したエロDVDを持っていた。
「安心しろ、明日には落ち着く・・・・筈だ」
安心できるかー!!と言う絶叫BGMを背に受けながら教室を後にした。
木場のあとに続きながら向かった先は、後者の裏手、木々に囲まれた旧校舎と呼ばれる現在は使用されていない建物だ。
昔、この学園で使われていた後者な訳だが、現在は人気が無く、学園七不思議が在るぐらいの不気味な佇まいであった。
まあ、外見は木造で古いけど、ガラス窓の一枚も割れておらず壊れた部分も一目ではわかり辛い、古いだけでそこまで酷い物ではない。まるで手入れされているかのように・・・
「ここに部長がいるんだよ」
そう告げる木場。
部長=先輩?今の言い方的にそうだろうな。
つまり何らかの部活に属しているという事か・・・・聞いた事無いな、有名人なのに。
で、部長と呼ぶからには木場も部員だな。多分。
さらに進み二階建て木造校舎の二階の奥。
ここまで来る間教室なども見ながら来た訳だが・・・
廊下も教室も綺麗だった。埃や蜘蛛の巣なんて論外と言わんばかりの綺麗さであった。
そうこうしている内に目的の場所に着いたのか、木場の足がとある教室の前で止まる。
戸に掛けられたプレートには・・・・【オカルト研究部】
なんとも怪しさ満点の部活だった。
「部長、連れてきました」と木場が確認を取ると、「ええ、入って頂戴」と部長の声が聞こえてくる。
マジでここに居るようだ。
木場が戸を開け、その後に続いて室内に入ると、その中は至る所に謎の文字が書き込まれそして中央に教室の大半を占める巨大な魔方陣。
怪しさ満点だ。
他にはソファーがいくつかにデスクが何台も存在する。
そしてソファーには小柄な女の子・・・・たしか・・・・一年の塔城小猫ちゃん・・・・だったか?
幼い顔立ちに小柄な体、一見高校生には見えない女の子だ。
一部の男子に人気が高く、女子の間でも可愛い!!と評判のマスコット的存在。
もくもくと羊羹を食べている。
眠たそうな表情をしているが確か超の付く無表情キャラだったか?
こちらに気付いたのか視線が合う。
「こちら、兵藤一誠君」
木場がなんとも絶妙なタイミングで紹介してくれる。
ペコリと頭を下げる塔城小猫ちゃん。うん、可愛いね。
「どうも」
こっちも短く挨拶をする。
ここに来るまでに通常運行に何とか戻す事が出来た。
その為に脳内で昨日のおっさんを66通りの方法で殺害していたが何故か大半の最後は拳で急所を穿つ形に成っていた。
そんなことは如何でもいいか・・・
挨拶を確認したらまたもくもくと羊羹を食べるのを再開する。
噂どおりあまり喋らない子なのだろうか・・・
そして意識を外すと次は水の流れる音・・・これはシャワーか?
部屋の奥を見ればシャワーカーテン。
カーテンに映る陰影は女性のものだ・・・あれは・・・・今朝見た先輩の物のように見える。
って、シャワー付き!?
旧校舎にシャワー付きの部室!?
そしてキュッ、とシャワーを止める音。
「部長、これを」
如何やらカーテンの向うにはもう一人女の人がいるようだ。
「ありがとう、朱乃」
そしてカーテンの向うで先輩が着替えているようだ。
何時もならここでいやらしい顔の一つでもしただろうが
しかし今、俺は頭を抱えている。
使われていないと言われていた旧校舎の二階奥にオカルト研究部が在ってしかもその部室はかなり怪しい模様で飾られていてしかもシャワー付き!?
悩んでいたらいつの間にか先輩が着替え終わって出てきたところだった。
「ゴメンなさい、昨夜はイッセーのお家にお泊りしてシャワーを浴びていなかったから、いま汗を流していたの」
そういうことですか・・・・でも浴びていた理由は分かりましたがシャワーが在る理由は分かりません。
で、もう一人の女性は・・・・女子高生でありながら既に大和撫子を体現している我が高校のアイドルの一人、姫島朱乃先輩・・・・リアス先輩と合わせて《二大お姉さま》と称されているお方と来ましたか・・・・
「あらあら。はじめまして、私、姫島朱乃と申します。どうぞ、以後、お見知りおきを」
ニコニコ顔で丁寧な挨拶をされる。
「これはどうも、兵藤一誠です。こちらこそよろしくお願いします」
驚きすぎて余裕が出てきたよ。
なんだよこの部活、アイドル的な人物を集めたんですか?
挨拶を確認するリアス先輩。
「これで全員揃ったわね。兵藤一誠くん。いえ、イッセー」
「はい?」
「私たち、オカルト研究部はあなたを歓迎するわ」
「・・・・あ、はい」
「悪魔としてね」
――――――――――!!?
並んだ四人に誰かが重なり、カチリと頭の中で何かが外れる音がした気がした。
===場所は変わって・・・===
「ん?」
【Unlock】
【アイテム封印解除】
【
【目覚めは目前です。自覚する事で残りの封印は解けます】
「ああ、奴に掛けた封印が解けるのも目前か・・・お?何回か死に掛けて記憶封印が少し緩んでる?」
「みたいですね。このメッセージも記憶だけ偶然思い出したときの物ですから・・・これだけ残ってればおそらく聞こえていないでしょうね」
「んじゃ、こっちが一段落したら遊びに行くかね」
「了解、じゃあ・・・早急に御帰り願うとしますか!!」
「うぬ!!」
「・・・」コクッ
「わかりました~♪」