「もー!お姉ちゃん方向音痴なんだからいつも一人で出かけるなって言ってるじゃん!」
「うう…ごめんねユナ…」
「謝るなら最初から出かけないでよ…。ああもうこんなところで泣かないで!」
夜の住宅街で人通りの少ない道を双子の少女が歩いている。
だが、二人の見た目は普通とは違っていた。
白黒のゴシック風な服を着ており、外でありながら素足で歩いている。
なにより普通じゃないのが、頭の上に光の輪が浮いており、目は十字状に輝き、背中に白い羽が片方だけついていて天使のような見た目をしている。
二人の名前はミナエルとユナエル。港湾都市N市おいて活動する双子の魔法少女だ。
N市では15人の魔法少女が活動しており、日々人助けを行うために町中を駆け回っている。
現在二人は、迷子になってしまった姉のミナエルを妹のユナエルが、ほかの魔法少女からの情報を頼りに公園のベンチに座って落ち込んでいた姉を発見して、拠点に帰ろうとしているところだ。
「…で、今回はどうして一人で出かけるようなことをしたの?」
「それは…その…ネットで駅前のスーパーで新発売のスナック菓子あるって記事を見て、買いに行きたいけどユナは本屋に行っていなかったし、今月はまだ迷子になってないから大丈夫かなって…」
「どこが大丈夫なの!?ていうか確かに本屋に行ってたけど、歩いて5分くらいのところにあるからすぐに帰ってくるってわかるじゃん!?それに今月迷子になってないって言っても、今月に入ってまだ10日しかたってないよ!」
「で、でも今回は一人で駅前のスーパーまで行けたし、目的のお菓子も買えたよ!」
「確かに一人でそこまで行けて、買い物できたのはすごいと思うし成長したと思うよ。でも帰りに焼き芋のにおいにつられて道に迷ったら本末転倒じゃん!もしスノーホワイトが見つけてくれなかったらどうなってたか…」
ミナエルこと
一番ひどかったのは、魔法少女の姿のまま迷子になってしまい、警察に保護された時はさすがに姉の迷子に慣れてるユナエルも心臓が止まるかと思った。そのときは同じ魔法少女である、マジカロイド44が持っていた記憶を操作する未来の道具で何とかなったが、さすがに今回はひどすぎたのか、ほかの魔法少女も交えて2時間以上のお説教をうけ、ミナエルが耐え切れず気絶するまで続いた。
そしてしばらくおとなしくなったので、ようやく反省したかと思ったとたん今回の迷子である。
「あのねお姉ちゃん、前回警察のお世話になっちゃったの忘れたの?そのせいでスノーホワイトやトップスピードだけでなくシスターナナやウィンタープリズン、マジカロイド44にラ・ピュセルやリップルだけでなくしかもルーラやスイムスイムにたまにも迷惑をかけたんだよ。そのせいでチャットルームでみんなからの憐みの視線とみんなへの申し訳なさで心がすごく痛かったんだよ?それにネットのまとめサイトで『魔法少女が魔法少女(迷子)を救出する』という記事までできて、しばらく部屋に引きこもろうかと思ったんだよ?しかも夢の中でねむりんに『まとめサイトみたよー。コメントで<双子天使のぽんこつお姉ちゃんと苦労人な妹可愛い!>って書かれていて二人とも人気だねー』という励ましてるのか煽っているのかわからないことも言われるし…」
「えっと…ご、ごめんね…?」
「それで済んだら魔法少女はいらないんだよ!」
「わあああああ!痛い!痛い!頭ぐりぐりしないでえええええ!」
二人が騒いでいると、空から箒に乗った女性が降りてきた。
「よう!こんなところで何やってんだ?」
「あ!トップスピードこんばんは!」
「ちょっと!?話はまだ終わってないよ!」
魔法の箒に、紫を基調にしたとんがり帽子にワンピースといった魔女のような姿をしている女性の名前はトップスピード、二人と同じN市で活動する魔法少女だ。
「その様子だとまた迷子になったな。妹に迷惑かけるなよミナエル」
「そうだよ聞いて!お姉ちゃんったら一人で出かけるなって言ったのにまた勝手に出かけたんだよ!」
「あー…そりゃ怒っても仕方ないな、先月あんなことがあったばかりだし。まあ私は楽しかったけど!」
「うー…反省してるからその話はもうやめてよ…」
トップスピードとユナエルの会話はミナエルが本気で泣きそうになったので打ち切りとなった。
「まあそんなに落ち込むなって!かぼちゃの煮物分けてあげるからさ!」
「あ、かぼちゃの煮物!トップスピードの作ったやつ好きなんだー」
「お、まじか!リップルのやつは甘いからヤダっていつも言ってるけどミナエルは好きなのか!いやーやっぱりおいしいって言われるとうれしいよなー」
「そうですよねー。あ、今度私が作った卵焼き食べますか?」
「ほんとか!?ならシスターナナも混ぜて料理談義しようぜ!」
「何、この主婦みたいな会話…」
トップスピードとミナエルが料理の話で盛り上がっている横で、ユナエルは話についていけず二人をぼーっと眺めていた。
「やべっ、リップルのところに行かないと。あいつああ見えて寂しがり屋だからなー。それじゃまたな!」
「ばいばーい!」
「やっと終わったか…」
トップスピードが手を振りながら飛んでいき、後にはタッパーを持った二人だけが残る。
「あれ、どうしたのユナ?そんな疲れた顔して」
「いや…なんかもうめんどくさくなってきただけ…」
「そっかー。じゃあもう帰ろっか!」
「いや誰のせいでこうなったと…ああもう手を引っ張るなー!」
二人は手をつないで背中の羽を使い町の上を飛んでいく。
「お姉ちゃんもう手間かけさせないでよー。探すのはこっちなんだから」
「あはは…お詫びに明日のおかず好きなもの作ってあげるから、ね?」
「えっ、いいの!?…と、とにかくもう一人でどこかに行っちゃだめだからね。ほしいものがあるなら私もついて行ってあげるから」
「うん、わかった。それとはい、これ」
ミナエルは手に持っていた紙袋から小さな箱をユナエルに渡した。
「なんだろう…ってこれ最近発売されたばっかのチョコじゃん!?」
「うん。昨日ユナが食べたいけど買いに行く時間ないなーって言ってたから」
「…もしかしてこのために駅前まで行ったの?」
「さすがに先月いろんな人に迷惑かけちゃったからねー。ほかにクッキーの材料も買ってあるんだよ。みんなにもお礼として配らないといけないから」
ユナエルは話を聞きながら呆然と箱を眺めながらつぶやいた。
「…それで迷子になってたら意味ないじゃん」
「それを言われると何とも…でも私信じてたよ」
「何が?」
ミナエルはユナエルのほうを向いて笑顔で言った。
「ユナが私を見つけてくれるって!」
それを見てユナエルは顔を赤らめ、姉から目をそむけた。
「…お姉ちゃんマジキュート」
「ん?なんか言った?」
「何でもない!さっさと帰るよ!」
二人はそのまま自宅へ飛んで行った。
簡単なキャラ紹介と設定
・ミナエル
原作みたいな腹黒?キャラではなく、料理が好きで優しいある意味正統派魔法少女。
しかし方向音痴なのでよく迷子になる。そのため目撃数が魔法少女の中で一番多い。
トップスピードとシスターナナは料理仲間。
・ユナエル
ミナエルの妹で苦労人。
姉がよく迷子になるためほとんどの魔法少女と知り合いでチャットで謝ったり愚痴ったりしている。だけど姉のことが大好き。
ルーラのことは好きではないがそこまで嫌ってはいない。
・トップスピード
箒に乗って空を飛ぶ魔法少女。見た目的には魔女。
基本的にリップルと組んでいてパトロールをしている。たまにミナエルの捜索。
よくミナエルとシスターナナと料理について話し合ってる。
アニメと漫画に出てくる双子天使が可愛いと思ってたら、最近発売された『16人の日常』で意外と二人ともいい子なんだなということがわかって妄想が抑えきれず書いてしまった。
アンソロジーでもいいから日常物のまほいくが読みたい(願望)
夢の中でねむりんに会えたら続きが書けるかもしれない。