OVER SHADOW !   作:みころ(鹿)

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はい、サブタイトル通りの思い付き回ですね~(疲れ)
でもやはりクッション…合間回が欲しかった…!

めんどくせぇって人はお飛ばし下さい(未来への布石)

ではではー


 07 そうだ、カルネ村に行こう・・・前編

 

 

・・・

 

 

「森ッ!」

 

「はい、森でございますね」

 

木漏れ日が気持ちのいい森の中。

ニュースキャスターのおねぇちゃんならお散歩日和とか言いそうなくらい空は気持ちよく晴れていた。

柔らかな日差しは大地全体を暖め、ゆるやかに流れる風はその温気を掻きまわしていた。

 

一般人なら喜び、根暗なら日向ぼっこをし、ヒキニートなら相変わらずFPSでもやっているだろう。

 

 

まぁサンコの場合、穴が喜ぶ感情を飲み込んでしまうのだが。

 

 

 

今サンコとサナ、そしてシャルティアの三人は地下墳墓の近くに広がっている大森林にやってきていた。

 

 

 

「ねぇ~…シャルティアちゃん。まだカルネ村の方向まだ解らないのぉ~?」

 

「もっ、申し訳ございません!少々お待ちを…!」

 

サンコは妙に間延びした声でシャルティアに声をかける。

 

 

今回大森林、ひいては外に出てきたのには理由があった。

 

その一つはアインズが助けた村、「カルネ村」に向かうことだった。

理由は…まぁ現地民がどんな風か見てみたいというただの好奇心だ。

 

それにアインズには随分感謝しているらしく、仲間と言えば好待遇してくれるだろうという打算もあった…例えそれが化け物でも。

目指すは仲良くお喋りだ、それをシャルティアとサナにも良く教え込ませた。

 

 

なのだがそれ以前の問題が発生していた…サンコ達は今「遭難」していた。

 

 

方向さえわかれば、潜水するなり飛ぶなりすれば一瞬で到着できる。

しかしこれは「慣れ」の一貫、なのでサンコは大森林の中を歩いてカルネ村に向かうことに決定した。

 

そしてアウラの制作した地図を頼りに、丘を越えて森の中に入った。

装備としてはサンコとサナは手ぶら、シャルティアが地図を読んでいた。

 

シャルティアも地図読みは慣れないながらも頑張ってくれたと思う。

 

 

…転ぶまでは。

 

 

数分前、シャルティアはドジっ子メイドの呪い服の効果で木の根に足が引っかかり盛大にずっこけた。

舞うスカートに、顔に擦り付けられる地面、身体を支えようとした手はピンと出され…持っていた地図が空を飛んだ。

そして地図が飛んだ先には「水たまり」が…。

 

OH…MIZUTAMARI…。

 

案の定地図は水たまりの泥水を吸ってしまい、インクはかなり滲んでしまっていた。

シャルティアの迅速な救出と乾燥により、ボロボロに崩れこそはしなかったが…地図読みの難易度は跳ね上がっていたのだった。

 

 

「…これどっちが上でありんす?」

 

というわけでシャルティアは今、地図を凝視しクルクルと上下を回転させてカルネ村の方向を探していた。

 

(時間かかりそうだなぁ…)

 

サンコはそれを苦笑いに見ながら苔むした倒木に座っていた。

 

「うーん…」

 

サンコは苔むした倒木の感触のモフモフ感を楽しむ…一瞬だけ。

周りに目をやると、暇つぶしになりそうなモノはないかと…足元の石に目を付けた。

 

そして手を伸ばすと地面にあった丸い石をひっくり返した。

すると阿鼻叫喚、フナ蟲のような平べったい虫が住処を追いやられてカサカサと這い出てきた。

 

「うわぁ…キモイ…」

 

現実と同じかなと思ってひっくり返してみたのだが、圧倒的にこちらの世界の方が数が多い。

 

サンコは自分の身体に虫が入らないように身を引く。

のだが、目だけは逸らさずおっかなびっくり虫が這い出てくるポイントを眺めた。

…キモイ物見たさ?

 

 

「主」

 

 

グチュ…。

 

しかし突然、そんな虫地獄の最中に足が突っ込まれる。

 

「…お、おま…!」

 

「どうされましたか?主」

 

非常に凄惨な状況に片足を突っ込みながら、サナはいつもと変わらない佇まいで可愛らしく首を傾げていた。

 

…踏みつぶされた虫が最後の断末魔をあげ、汁をまき散らしていた。

生き残った虫は突如現れた怪獣から逃れようとその短い肢をフルスロットルで回転させていた。

 

「…は、早くその場所から動きなさーい…!」

 

「…?はい」

 

サンコの命令に従い、サナは足を上げると虫地獄から移動する。

もう描写なんてしない、グロすぎ。

 

サンコはそれから目を逸らすと、移動したサナに目を向けた。

その顔は虫を踏んだことに対する嫌悪感などは無く、いつも通り可憐に立っていた。

 

「なんでそこに移動したし…?」

 

「はい、そこが私の定位置です」

 

確かにいつもサナは自分の右斜め前数cmに立っていた。

それは確かに虫地獄の真ん中であったが…。

 

「忠誠心って恐ろしい…」

 

アインズの言っていたことの意味の片鱗を味わう。

それにサンコを敬う余り、とんでもないものを見せてしまっているのだが。

 

「はぁ~…グロイグロイ」

 

感覚が鋭敏になっているからか、前より良く見えてしまう…つまり体液の飛び散り具合とか、虫の苦悶の表情とか見たくもないのだが…。

 

 

「っとぉ…シャルティアちゃん?」

 

 

かなり暇つぶしができたように思える。

サンコは地図を読んでいたシャルティアに注意を戻した。

まぁいくら何でもそろそろカルネ村の方向も解っただろう。

 

「…あれぇ…?」

 

前言撤回、シャルティアは未だに地図をクルクルと回していた。

素人にインクが滲んでしまった地図を読むのは難しいかな…そう思いサンコはシャルティアに半ば諦めの視線を送る。

 

「…ハッ…!?」

 

そしてシャルティアもそれに気が付くと、焦る。

地図を回すスピードが更に早くなり、その目もグルグルと回り始めた。

見かねてサンコが止めに入る。

 

「シャルティア…無理はしなくても…」

 

「いいえ!」

 

シャルティアは顔を上げると必死の表情で何か考えを巡らす。

そして湯気が出るほど考えた結果、雷に打たれたかのように閃いた。

 

「そうだッ!サンコ様、私上から見てきますッ!」

 

「あ、うん」

 

シャルティアはサンコの返事を半分くらい聞くと木々の合間から「飛び立った」。

 

そしてすぐに戻ってきた。しかし着地音は一切させない。

 

「高度800mの地点から確認したところ…こちらです!」

 

「あ、うん」

 

さすがレベル100…ジャンプ力も桁違いのようだ。

 

シャルティアは空から確認したカルネ村の方向に向かって走り始めた。

 

そして先行するシャルティアにサンコとシャルティアはついて行ったのだった。

 

 

・・・

 

 

エンリは弓を引く。

 

筋力は申し分無いのですんなり限界まで弦が引かれる。

そして息を吸うと、慌てずに狙いを定める。

 

そして教官役のゴブリンから合図が出された。

 

横一列に並んだ村人達から矢が一斉に放たれる。

目標は藁で作られた案山子の、丸い輪の中心。

 

(いけっ!)

 

参加している者は全員カルネ村の元村人。

素人の集まりに過ぎないがふざけてやっている者は一人もいない、皆真剣に弓を引いていた。

 

 

エンリの矢は案山子の方向に飛んでいく。

 

慎重に狙った矢は真っすぐ案山子の方向に飛んでいき――

 

――その横を通り抜けていった。

 

「あー…惜しかったですね、姐さん」

 

自分の隣に立っているゴブリンのカイジャリが腕を組んで慰めてくる。

飛んでいった矢は案山子の奥の藁山に深く突き刺さっていた。

 

「いや…私絶対才能無いわ…」

 

エンリは木で作られた簡素な弓をカイジャリに手渡すと溜息をついた。

 

 

数日前、カルネ村は法国の騎士に襲われた。

そして何の抵抗も出来ず滅ぼされかけた。

 

そんなところをアインズ・ウール・ゴウン様に助けてもらった。

カルネ村はアインズ・ウール・ゴウンへの感謝の念を未来永劫忘れないだろう。

 

…だがいつまでも守ってもらえる気ではいけない。

だから村人だけでも村を守れるように、復旧作業の合間にゴブリンの指導の下こうやって弓の練習をしているのだ。

 

 

そして勿論エンリも弓を扱えるように練習していた。

始めてから早一時間、かなりの数の矢を放った。しかし一向に上達する気配は無かった。

 

…どうやらエンリは武術の才能に嫌われているらしい。

 

カイジャリは毎回惜しいとかを言ってくれるが…正直もうやっても意味がないだろう。

 

 

エンリは弓を放つ村人達の列から離れる。

もう昼時だ、妹やゴブリン達のご飯も作らないといけないエンリとしては、急いで家に帰らなければならなかった。

 

…一番近いルートは森と村の境界線を行くことか。

 

森の賢王の縄張りが近くにあるため森から魔物が来ることは少ないが、脇の茂みからモンスターが飛び出してくる可能性があるので危険と言えば危険だ。

…まぁ今はカイジャリさんも居ることだし、大丈夫か。

 

 

エンリはカイジャリを連れて森と村の境界を歩き始めた。

 

 

「姐さん」

 

「何、カイジャリさん?」

 

モンスターが来るかもしれない可能性を除けばこの道はとても気持ちがいい。

それに天候も恵まれているし、絶好の散歩道と言えるだろう。

 

「お昼ご飯を作っている合間、洗濯物を取り込んどいていいですか?」

 

「あーいい天気でしたしね。生乾きでないならお願いします」

 

「はい、んじゃ昼飯前に最後の一仕事すっかなぁ…」

 

伸びをするカイジャリの背中を見ながら、エンリは昼飯の献立を考える。

 

パンは基本として…それに何を付けるかだ。

 

芋とベーコンを香草で和えた物にしようか、確か余っていたはずだ。

それともそのままスープにしようか…いや朝はコーンスープだったし、やはり和えた物にしよう。

 

水は充分汲めていたし汲みにいく必要もない、このまま急いで家に向かい準備を始めていいだろう。

 

 

エンリは短い雑草を踏みながら、カイジャリと共に家に向かう。

特に花咲かせる話題などは無いが、吹く爽やかな風が連日の復興作業に荒んでいたエンリの心を軽くした。

歩いているだけで楽になるという事もあるのだ。

 

そしてすぐにエンリの家は見えてきた。

 

遠目だがゴブリンが何人か見えた。

あぁ、急がないとな。エンリはそう思うと更に足を早めた。

 

 

――ガサガサ。

 

 

その時、エンリの歩いていた丁度隣の茂みが音を立てた。

 

「…!」

 

「姐さん、下がって」

 

カイジャリが戦士の動きで、茂みからエンリを守るように立ちはだかった。

そしてナイフを引き抜くと、油断なくそれを構える。

 

「特にこちらに向けられる意思は感じられません…ウサギか何かだと思いますが…」

 

「…そうなの?」

 

「えぇ、ですが野犬という可能性もありますからね。いなくなるまでこのままで」

 

「あっ、うん。お願いします」

 

自分を守っているカイジャリにエンリは頭を下げる。

しかしカイジャリは笑うとそれを否定する。

 

「エンリの姐さんあっての俺らでさぁ…エンリの姐さんに怪我でもつけたら他の兄弟に殴り殺されちまう」

 

「暴力は良くないです」

 

「へへっ、その通りですね」

 

エンリの言葉にカイジャリは笑いながら頷く。

 

 

――ガサガサガサッ!

 

 

更に近い茂みが、大きな音を立てて揺れた。

 

 

カイジャリは真剣な顔に戻ると、ナイフを握る手に力を込めなおした。

茂みの音は更に大きくなり続けている。このままだとこちらに飛び出してくるだろう。

 

「…来ますッ!」

 

 

そして草むらが一際大きく揺れると「何か」が飛び出してきた。

 

「…!」

 

「や、やっとついた…」

 

――それは銀髪のメイドだった。

 

 

・・・

 

 

「メイド…?」

 

エンリは茂みからのまさかの闖入者に驚き、困惑する。

 

普通、メイドと言えば王都にいる貴族などに仕えているのが主で、こんな森には生息…もといいるはずがない。

 

それにとても美人だ。

 

額には汗が浮かび、それに髪が張り付いてしまっていた。茂みを通ってきたからか、メイド服には木の葉や木の枝が樹液で張り付いていた。

 

それでも綺麗だ。

 

 

エンリはそれに見とれそうになるが、すぐに意識を戻す。

 

「あの…どちら様で…?」

 

まずは話をしようと、エンリはカイジャリの背中から出ようとした。

 

しかし――

 

「お下がりくだせぇ、姐さん…」

 

――それはゴブリンの武骨な腕に止められた。

 

「なんで…え…?」

 

カイジャリの謎の行動にエンリは困惑し、カイジャリを見る。

しかしそれによって更に困惑することになった。

 

なぜならカイジャリの様子がおかしかったからだ。

 

カイジャリの額には脂汗が浮かび、歯茎は強く噛みしめていた。

ナイフを握る手には異常なほどに力が込められ、充血した血で手が紫になっていた。

 

「…アレはマズイ……姐さんだけでも逃げてくだせぇ…!」

 

カイジャリはエンリに小声でそう告げると、メイドに向かって殺気を出す。

エンリには殺気の大きさは解らないが、カイジャリの目は爛々と光り、気迫が感じられた。

 

 

エンリにとって目の前のメイドは、カイジャリが恐れるほどの脅威とは感じられない。

美人だし、人間のようだし、銀髪が僅かに見える深紅の目に燃えて…。

 

エンリはまた見惚れていたことに気が付くと、頭を振って意識を集中する。

 

しかしカイジャリはエンリより戦闘のエキスパートだ、カイジャリがそうと言ったら従うべきだろう。

 

 

エンリは足音を立てないように、ゆっくりとその場を離れようとする。

 

 

「あっ、待ちなんし」

 

 

しかしメイドの言葉でエンリの足は止まる。

いや、言葉で止まったのでは無い。

 

頭を下げて服に付いていた汚れを払っていたメイドは、その美しい顔を上げていた。

 

 

そしてその深紅の瞳を逃げようとしていたエンリに向けていた。

 

 

エンリはその痺れるほどに美しい瞳に心を奪われる。

そしてエンリはまるで夢遊病者のようにボッーと立ちすくんでしまった。

 

「姐さん!?」

 

カイジャリが叫ぶ、しかしその言葉はエンリには届いていなかった。

 

「…くッ…!」

 

エンリが動けない、それをせめて守れるようにカイジャリは敵意を剝き出しにしてメイドにナイフを向ける。

 

しかし当のメイドは憮然としたままエンリを見ていた。

それはどこか言いつけを守れなかった子供のようだが、カイジャリには逆に敵意が感じられず、恐れを感じた。

 

 

そしてメイドが口を開いた。

 

 

「そういえばサンコ様から傷つけないよう言われてたんだった…下級の魅了だし外的損傷もないからいいでありんすよね…?でも解除はしないと…」

 

「…あれ…!?」

 

メイドがエンリから視線を外すと、エンリの目の妖しさが消えた。

カイジャリはそれを確認すると、油断なくメイドにナイフを向け続ける。

 

「私…なんで…?」

 

未だに状況を理解出来ていないエンリにメイドは再び視線を向ける、しかしその瞳にはもう魅了の光は無かった。

 

そしてエンリに質問をする。

 

「えーと…ここがカルネ村であってるでありんすよね?」

 

「…は、はい」

 

エンリは魅了こそ解除されていたが、混乱して、メイドの質問にすんなりと答えた。

 

「良かったぁ…もう私にミスは許されないでありんすぇ…」

 

メイドはカルネ村だと確認すると、安心したようで胸を撫で下ろした。

 

 

そして振り返ると首を傾げた。

 

 

「先行しすぎんしたか…いや、もうすぐ…」

 

結んだ髪をゆさゆさと揺らしながらメイドは森の奥に目を凝らしていた。

 

カイジャリは未だ緊張しながら、エンリを守ろうとする。

 

そしてどうだろうか?カイジャリは考える。

メイドに敵対する意思はないようだし、見逃してくれる可能性はある。もし普通に逃げても即刻殺されてしまうだろうし、交渉…ができるならそれしか生存の道はないだろう。

 

そしてカイジャリは下手に刺激しないようにゆっくり声をかけようとした。

 

「おい――

 

 

「あ、今忙しいんでありんす。後にしてもらえんすか?」

 

 

ナイフを向けられてなお、メイドはカイジャリに興味を示さない。

圧倒的な力量差を知ってはいたが、やはりナイフ程度脅威にはならないのだろう。

 

しかし言葉を聞く限り今すぐには殺す気は無いらしい。

だがエンリが危険なことには変わりない。とはいえ確証も無しに動くのも危険だ。

 

膠着状態…いや、いつ食われてもおかしくない皿の上で、捕食者の戯れで生かされている子豚のように感じながら、カイジャリはナイフを構え続けた。

 

 

 

――ポチャ。

 

その時、森の方から液体の跳ねる音がした。

 

 

・・・

 

 

「シャルティアちゃん足早すぎマジ陸上選手…」

 

「誅殺なされますか?」

 

「WTF?」

 

 

森の中をサンコとサナは歩いていた。

 

シャルティアは焦っていたからか、天狗のように先を進んでしまった。

 

二人に道は解らないが、木の枝が折れていたり、足跡などで追跡は容易く、その痕跡をたどっていた。

 

 

別に急ぐ必要は無いので二人はゆっくり歩く。

 

 

「誅殺、誅殺~♪」

 

「うん、この穏やかな森でそんな物騒な歌唄わんといて!?」

 

「御意」

 

サナが突然歌いだしたりしたが、それ以外は特に問題なく森の中を進行する。

 

 

やがて木々の終わりが見えてきた。

だがその前には腹ほどの茂みがあり、村の中は半分ほど見えなくなっていた。

 

しかしその上からは銀色の尻尾のようなものが生えていた。

 

「あれシャルティアか…?」

 

どうやら先に行き過ぎてしまった犬よろしく待っているらしい。

 

 

「シャルティアってワンちゃんのイメージ確かにあるんだよなァ…」

 

「主、どうかされましたか?」

 

「いや、何でもない。行くぞえ」

 

 

サンコとサナは森の出口に向かって歩く。

そして茂みをかき分けると、カルネ村に飛び出した。

 

「おぉ…THE村だな…!」

 

目に飛び込んできたのは西洋風の村。

RPGやアニメでよく見る風貌そのもので、のどかな空気が漂っていた。

 

だがよく見れば焦げ跡がついて、倒壊している家屋もある。

あれが襲撃の後か。サンコはそれを取り壊そうとしている村人を見つけると納得する。恐らく取り壊して再建するんだろう。

 

あと風を切る音が聞こえるのは…何の音だろうか?

 

 

そしてシャルティアを放置していたことを思い出す。

 

視線を落とすと、シャルティアは子犬のように立っていた。

やはりワンちゃんか。

 

「もー早すぎ!」

 

「も、申し訳ございません!」

 

「今度は気をつけるんだぞ?」

 

一応躾感覚で叱る。

シャルティアは頭を下げると謝罪した、するとポニーテールが尻尾のように揺れた。

 

あー…可愛いなぁ…犬は。

 

 

サンコは少し癒されると、ここに来た理由を思い出し、改めて宣言した。

 

 

「それじゃカルネ村観光!まずは村長に挨拶だ!」

 

「「サンコ様の御心のままに」」

 

こうしてサンコ達のカルネ村観光は始まった!!

 

 

 

――と、サンコの視界に緑色のモノが映った。

 

 

 

「あれ、この平和な村にゴブリンの群れが…?」

 

 

シャルティアの背後、ナイフを構えたゴブリンと、少女がいた。

 

 

・・・

 

 

サンコはゴブリンを見る。

 

ゴブリンというものはユグドラシルにもいたが、ここまで醜悪な顔つきだったろうか。

なにか汗のような汁が垂れているし、寄った皴がこれほどかというほどに醜さを極めていた。醜さだけで人を殺せそうだ。

しかし悲しきかな、その力はサンコ達にとって塵芥にも満ちていなかった。

 

そして後ろの少女はゴブリンの後ろでボッーと立ちすくみサンコを見ていた。

容姿は…現実で考えれば百年に一人並の美少女。ウワー、コンナノ二次元ニシカイナイナー。

 

 

「ねぇシャルティアちゃん、あれ何?」

 

サンコはゴブリンを指さすと、元々いたであろうシャルティアに原因を尋ねる。

シャルティアは振り返ると、ゴブリンと少女を見る。

 

「はい、お迎えにきてくれた村人の方々でありんす。親切に質問に答えてくれたでありんすぇ」

 

シャルティアは頷くと質問に答えた。

 

「ふぅーん?」

 

正直なところ…サンコからするとゴブリンが少女を人質にとっているようにしか見えなかった。

サンコは影を伸ばすと、ゴブリンをいつでも攻撃できるようにする。

 

「あいや待て。確かアインズさんが…」

 

サンコは思い出す。

アインズがカルネ村を救った時、ゴブリン将軍の角笛を渡したと言っていた。

護衛の為と言っていたが…安直な気がしないでもない。

 

 

…そしてこのことから推察されることは…このゴブリンはゴブリン将軍の角笛で召喚されたゴブリンかもしれないということだ。

 

確かにサンコの容姿は人のソレとは大きく異なる、護衛に当たっているゴブリンから危険とみなされナイフを突きつけられてもおかしくないかもしれない。

 

(なら平和的かつ、笑える冗談混じりのウェッグに富んだ場の収め方を…!)

 

 

サンコは伸ばした影を遠隔操作する。

そして液体流用・影で硬化させると、立体化させて、ゴブリンの持っていたナイフを自分の方向に弾いた。

 

それをサンコは本体でキャッチ。

刃をつまむと、柄をゴブリンに突き出した。

 

「返すね」

 

「…!」

 

 

ゴブリンは驚き、絶望した表情を見せるとナイフを受け取らずに、地に這いつくばった。

そして頭を地に擦り付ける。

 

 

「…た、頼む。姐さんだけでも」

 

 

カイジャリの必死の嘆願。

それは生を諦めた者の最期の願い。

砂漠を放浪する者が最期にみた幻のようなものだ。

 

しかし――そもそも死ぬというのが間違いだ。

 

確かに小指を少し動かせるだけで人を殺せる人間を目の前にしたら、死を覚悟するのは当然かもしれない。

 

だがこの場合サンコ達に虐殺の意図はないし、蹂躙する気は無かった。

 

ならばナイフを向けたから。

敵対の意志としては充分だろう、それに憤怒し殺される。

 

否、カイジャリの向けた刃ごときサンコ達には脅威になりえない。

 

 

だからサンコはその謝罪…願いの真意をくみ取れない。

 

 

そしてサンコの今回の目的は「村民と仲良くお喋りすること」。

 

だから解らずとも応えれた。

 

「いやそんなそんなつもりないんですけど…」

 

「…は?」

 

カイジャリは顔をあげるとそのまま硬直した。

その驚愕といった顔にシャルティアがピクピクと動く、どうやらカイジャリの行動をサンコへの失礼と考え処刑したいと思っているようだが、サンコの命令である仲良くお喋りを実現するために堪えているようだ。

 

「えーと…そこの女の子?」

 

「…」

 

カイジャリが沈黙したのを見るとサンコは、エンリに声をかけた。

しかしエンリはサンコの姿を見たままピクリとも動かなかった。

 

…恐怖からだろうか?

可愛い外見とは言えないし、もしかしたらシャルティアの言っていた「飲み込まれるような感覚」というやつだろうか?

 

 

しかしサンコはそれを無視して次の言葉を繋いだ。

 

「アインズ・ウール・ゴウンって人知ってる?」

 

「…!」

 

エンリは村を救った英雄の名前が出てきたことで意識が戻った。

そしてまた飲み込まれそうになりながら、次の言葉を聞こうとした。

 

「自分はその人の仲間なんだけど…」

 

「あっ…そう…だったんですか?」

 

エンリは衝撃を受ける、それでも物怖じしなかったのは襲撃で恐怖という感覚がマヒしたからか、アインズ・ウール・ゴウンの仲間と聞いて安心したからか解らないが、気丈にも影の化け物に返事をした。

 

「そうそう、アインズさんとは古くからの仲だったんだけど疎遠になっちゃっててねー。久しぶりに会ったから暫く行動を共にすることになったんだけど…まぁどうせなら助けたっていうカルネ村に挨拶でもしようかと」

 

サンコはエンリに笑いかける。

エンリはそれに安心と疑惑の顔をすると、深くお辞儀をした。

 

「こ、この度は村を救っていたただきありがとうございます…」

 

「あ?…あぁハイハイ。じゃあ村を案内してくれない?」

 

「え?…すいません私これからお昼ご飯を作らなくてはいけなくて…」

 

「……もう昼時か…」

 

太陽は真上にあった。

普通の家庭、家族であればいまから作り始めるのが妥当な時間なんだろう。

 

サンコとしてはすぐ案内してもらう予定だった。

が、予定変更。

昼飯なんて聞いたら疼いちまうぜ…。

 

サンコは思いついた「名案」を口にする。

 

 

 

 

 

「じゃあ昼飯ご一緒してもいいかな?」

 

 

 

 

 

「はっ?」

 

 





翻弄される系お母さん美少女エンリ。
最近ネタ入れ過ぎだよなぁ…自粛?しません(多分)

というか後編に書けることがそこまでない!詰んだ!\(^o^)/オワタ

建前・もー合間回なんて苦行でしかないね!
本音・必要(迫真)
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