実況パワフルプロ野球 サクセス 立ち上がれ!恋恋ナイン編   作:柿の樹

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一年目
第一話 野球しようよ


―――――― 入部届け ――――――

 

名前[ パワプロ ]

 

私は[ 野球 ]部に入る事を希望します。

 

好きな球団[ ○○○ ]

利き腕  [ 右投右打 ]

守備位置 [ 三塁手 ]

フォーム [ スタンダード ]

成長タイプ[ マニュアル ]

自称   [ オレ ]

 

 

――――――  承認  ――――――

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

ここが恋恋高校か……

今年で女子高から共学になった恋恋高校、

もちろん野球部なんかない。

 

でも、この恋恋に野球をするためにオレは来た。

 

何でかって?

 

有名校で頑張ってレギュラーになって甲子園出場……それもいい。

だけど、オレは自分が一から創り上げた野球部で、

強豪を倒して甲子園に出たいと考えたんだ。

 

歴史を一から創るんだ。

 

そう、オレは……!

 

 

「……何をブツブツ言ってるでやんす?」

「うわっ!?」

 

 

 

 

 

第一話 野球しようよ

 

 

 

「びっくりしたぁ……いきなり話しかけないでよ矢部君」

「それはこっちのセリフでやんす。野球部の話をしていたら急に上の空になったでやんす!」

「ゴメンゴメン」

 

オレが今話しているのは"自称俊足巧打のイケメン外野手"矢部明雄君……同じクラスで、席も隣同士だ。

気が合うのか、彼とは入学式のときから打ち解けている。今は、何の部活をやるのかで話し合っていたところだ。

 

「パワプロ君はどうするでやんす?オイラは中学でもやっていたでやんすから、高校でもやろうと思っているでやんす。そしていつかモテモテのウハウハになってやるでやんすよ!」

 

・・・・・・

満面の笑みを浮かべている矢部君……まさか、彼は知らないのかな。この恋恋高校に、野球部は存在しないことを……。

残酷だけど、言うべきだよなぁコレは。

 

 

「矢部君―――」

「何でやんすか?」

 

 

「恋恋に野球部は無いよ」

 

ガーン、と今音がしたような気がした。

 

「……今、何て言ったでやんすか……?」

「だから、野球部は無いよ、矢部君……」

 

 

・・・

 

・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

「な、なんでやんすってぇぇぇぇーーーーーー!!!!」

 

 

あ、あらぁ……そんなにショックだったのか……。

 

―――矢部君の評価が下がった―――

 

 

数分後

 

「ぐす……」

「知らなかったんだ、矢部君……」

「今知ったでやんす……女の子が多いという理由だけで選んでしまって、野球部があるかどうかは調べてなかったでやんす」

「受験する前に調べなかったの?」

「ついうっかりしてたでやんす。もう手遅れでやんすぅ……」

 

矢部君……君って……

意気消沈している親友に対して、心の中で合掌する。

でも、まだ遅くは無いよ……なぜなら―――

 

「矢部君」

「もう何も聞きたくないでやんす……」

「いやまぁ聞いてよ、まずは」

「何でやんすか」

 

「オレは野球をするためにここに来た。でも野球部は無い。君も野球をやりたいけど、ここでは出来ないだったら創ればいいじゃないか、野球部を!オレはその為に恋恋に来たんだ。一から創った野球部で、甲子園に行くために!」

 

きまった……!

ほら見ろ、矢部君もあまりの衝撃に言葉を失っているぞ!

 

「パワプロ君……君って、ムボーでやんす」

「無謀でもオレはやるよ。恋恋高校野球部の歴史は、オレ達から始まるんだ!」

「まだやると決めた訳ではないでやんすが、確かに甲子園にでも行けたら将来ウハウハでやんす!俄然やる気が出てきたでやんす!」

「行くぞ矢部君!」

「おーでやんす!」

 

ここから、オレの……オレ達の青春が始まっていくんだ……。

待ってろよ甲子園、待ってろよ深紅の優勝旗!

まずは、野球部発足のために理事長室へレッツゴーだ!

 

 

 

「……では、オイラはここで……独りで頑張るでやんす~」

 

 

「なっ!?」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

逃げ出した矢部君を掴まえるために、校内を駆け回った。

やっぱり、俊足って自称するだけあって脚速いな、矢部君……何度も見失いそうになった。

ただ、向こうもそろそろ疲れてきている……ここいらでケリをつけたいけど。

 

「ぜぇぜぇ……矢部君、そろそろ覚悟を決めたら!?」

「嫌でやんす!野球部を創るくらいならハーレムを作るでやんす~!!」

 

ハーレムって……そっちの方がよほど無謀な気もするんだけど。

でも、ハーレムかぁ~オレもいつか……って!?今はそんな時じゃない!まずは野球部だ!

待ちやがれ矢部くぅぅぅぅぅん!

 

「も、もう駄目でやんす……」

 

矢部君はへばってきたようだ……オレも限界が近い……。ラストスパートをかけるなら、ここしかない。

オレは矢部君を掴まえるために更に加速し、矢部君も負けじとスピードを上げた……のだが。

 

「あ、そこの君危ない!?」

「え?」

 

曲がり角から、女子生徒が一人飛び出してきた。

 

「だぁぁぁぁぁぁ!!」

 

このままじゃ、矢部君とぶつかってしまう。

そして次の瞬間……

 

 

 

 

 

 

―――ふぅ……でぇりゃああああああ!―――

 

その女子生徒が放った強烈なハイキックで、矢部君だけが吹っ飛んで行った。

 

「や゛ん゛す゛ぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

「矢部くぅぅぅぅぅぅん!」

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「もうなんなのよ~」

「ごめんごめん。君は大丈夫……そうだね」

「痛いでやんす、暴力反対でやんす~」

「そっちが悪いから当然よ」

 

ところ変わって、此処は食堂前のテラス。

あのまま廊下に居たら、いろいろと他人の視線が痛かったので、とりあえず移動することにした。

 

「夢なら覚めて欲しいでやんす……こんなキョーボーな子が名門女子高だった恋恋にいる訳ないでやんす……」

「まだ言うかこのメガネは!」

「ひえぇぇぇ~」

「あ、あははは……」

「君もだよ!」

 

さっきの子はずっとジト目でこっちを見てきている。こ、怖いな……。

 

「……って、あれ?確か君は……」

「ん?」

「朝に会ったよね?ほら、野球部を作りたいとか何とかで」

「うん?……あ、そういえば」

 

思いだした。この緑色の髪をお下げにしている女の子は―――

 

「早川さん……だったっけ?」

「そうだよ。まったく、後で会おうなんて言っといて全く音沙汰ないんだもん。探し回ったよ?」

「パワプロ君お知り合いでやんすか?」

「うん、この子は早川あおいさん。今朝会ったばかりなんだ」

「早川あおいだよ、ヨロシクね」

「オイラは矢部でやんす」

 

早川さんとは、さっきも言ったが今朝会ったばかりだ。

彼女が独りで壁当てをしているときに偶然出会い、一緒に野球部を創らないかと誘った。

その時は、すぐに始業のチャイムが鳴ったためすぐに解散したが、その時の光景は今でも焼きついている。

美しいフォームのアンダースローにキレのいいボール。一目見ただけで、「この子が必要だ」と思ったし、そう思わせるには十分だった。

 

「で、どうするの野球部?」

「ああそれなら、矢部君を連れて今から理事長室に申請をしに行こうと思ってたところなんだ」

「ふぅん」

「早川さんもどう?朝も聞いたけど」

「ボクは……」

「頼むよ早川さん、一人でも多く人が必要なんだ。それに、オレ達にはエースピッチャーが必要なんだ!」

「…………」

「君ならなれるよ、エースに……行けるよ、甲子園に!」

「……エース……甲子園……」

 

思いの丈をぶつける。

嘘は言っていない、本気だ。彼女なら、本当にエースになれるだけのものを持っているから。

 

「…………」

「どう?」

「うん、いいよ」

「本当に!?」

「うん……なんだかボクも、甲子園目指したくなっちゃったよ」

「やったー!ありがとう、早川さん!」

「あおいでいいよ。これからよろしくね」

「うん、ヨロシク。あおいちゃん!」

 

やったぁ!まずはピッチャーGETだ。

マジで緊張した……断られたらどうしようかと思った。

これで三人だ。初日としては良いスタートなんじゃないかな。

 

「何も無いところから創り上げた野球部で甲子園を目指す……壮大な夢でやんす。応援するでやんす!」

「「矢部君……」」

「じゃ、さよならで―――」

「まぁ待てよ矢部君……」

「放すでやんす!ゴーインでやんす!」

 

再び逃げようとする矢部君を今度こそはと掴まえる。

往生際が悪いな、まだ逃げ出そうと喚き散らしているが……

 

「おいメガネ……(ゴゴゴゴゴ)」

「ひぃぃぃぃ!!?」

 

あおいちゃんの威圧感に気圧され、抵抗空しくその場に沈み込んだ。哀れ矢部君。

うずくまった状態のまま、「バラ色」とか「未来予想図」とか訳の分からないことを言っているが、此処はスルーしておこう。

それよりも……

 

「メンバーって、これだけ?」

「うん。オレと矢部君とあおいちゃん……今はまだ三人だけだよ」

「ポジションは?」

「オレはサード。矢部君は外野だって」

「キャッチャー、居ないんだね」

「うん……残念ながら。とりあえず、部員を集めないとね」

「そうね。ボクも、クラスの男子にあたってみるよ。一人、経験者知ってるし」

「ホント!?」

「うん。でも共学になったばかりだし、男子生徒少ないから……人数足りるかなぁ」

「最悪その人だけでも入ってもらいたいね」

「うん……」

 

なんだかあおいちゃんの表情が暗いけど、その人に何かあるのかな……。

でも、経験者だったら何とか入って欲しいものだね。どんな人なのかなぁ?

まあ頑張るしかないか。

 

「じゃあ早速、申請書出しに行こうよ」

「そうだね」

「やんすっ!」

 

とりあえずオレ達は、理事長室へ野球愛好会発足の申請書を提出しに行った。

前途多難ではあるだろうけれど、それでもやっていくしかない。そのためにオレは恋恋に来たんだから。

待ってろよ……猪狩!

 

 

 

 

―――恋恋高校野球愛好会が発足した!―――

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「あ、そうだ。ボクは自分のレベルアップに集中したいし、そもそも君が部の創始者なんだから……キャプテンはパワプロ君ね」

「分かった、頑張るよ!」

「パワプロ君がキャプテンでやんすか!?なんならせめてオイラにも肩書が欲しいでやんす!」

「じゃあ、掃除番長ね」

「あんまりでやんすぅ~!!」

「頑張れ矢部君……」




初めまして、柿の樹と言います。
恋恋高校編のプレイ動画を見ていたら、なんだかSSを書きたくなってきました。
理由はそれだけです
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