その男、砲雷長につき。   作:べらんべぇ

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第2艦、海岸。

~2067/08/13/04:50_誠~

 

「ぎにぁあああああ!!お、襲われるうううううう!?」

「だ、誰が襲うかあああああああああああ!?」

突然の悲鳴に、俺は飛び上がる。

「な、なんだ!?」

あたりを見渡してみれば、中学生くらいの女の子と、小学生くらいの女の子がなにやらもめているようだ、お互いに腰が抜けてるのか、非常に間抜けな光景である。

「だ、だから誤解だと……!!」

「言い訳無用よ!現に貴女今さっき私に乗り掛かってキスしようとしてたじゃない!」

「いや、それは人工呼吸をしようと……!」

ああ、状況を察せる自分がおそろしい。

「じじじじ人工呼吸!?そそそそそんな同性に向かってよくも……!」

「いま私の事を同性愛者か何かと思ったろう!?」

「違うの!?」

「失礼な‼」

このままでは、俺にとって何もいいことがない。

一瞬可愛いとか思ったがさすがにまずいのでいい加減に止めるか。

「おい、何があったかは知らんが、そのくらいに…!?」

と、いいかけたその時だった。

俺は背後に異様な殺気を感じ、とっさに横に逃げた、その直後だった。

「ぐう!」

俺が今のさっきまで座っていた場所に、どでかいクレーターが出来る。

「一体何が……」

見渡してみると、さっきまで喧嘩していた二人組は、突然の事に対応出来ず、口を開けてポカンとしていた。

「貴様、見ない顔だな、艦娘を狙った犯罪か?それにしては今の攻撃を……」

ようやく晴れてきた砂埃の中から、何やらいかつい緑色の服を来た男が現れる。

「いきなり頭部狙ってぶつぶつ独り言たぁ、なかなかいい度胸してんなてめぇ‼」

俺は立ち上がりそいつに向き直る。

軍人だ、それも着ている物は旧日本陸軍憲兵隊のそれときた。

「てめぇ何者だ?その服装はふざけてんのか?」

男は俺を完全に無視して礼をしてくる。

「ドーモ、フシンシャ=サン、憲兵です」

挨拶をされたなら挨拶を返さなければならない、そう古事記にも書いてある。

「ドーモ、ケンペイ=サン、現役自衛官です」

挨拶が終わったその0.02秒後の事だった!!!

「イヤァァァァァァァァァ‼!!!」

「デェェェェヤァァァァァ‼!!!」

おお、見よ‼目にも止まらぬ自衛隊式のジュウドウジツと憲兵式のカラテジツだ!

「イヤァァァァァァァァァ‼!!!」

「デェェェェヤァァァァァ‼!!!」

再び炸裂するジュウドウジツとカラテジツにより両者は2m吹き飛ばされる‼

「イヤァァァァァァァァァ‼!!!」

憲兵は腰につがえていた刀を抜き取り、まっすぐ自衛官に付き出してくる!!

「デェェェェヤァァァァァ‼!!!」

だが、自衛官は付き出されたた刀身を左の脇腹に固く掴み、右手で刀を殴って真っ二つに砕いた!!!サツバツ‼

「くっ……」

やむを得ず憲兵は退く!!!

「貴様、なかなかやるな」

そうすると憲兵は懐から何かを取り出した‼

9ミリ機関拳銃だ!

「くっ!」

それを見た自衛官は憲兵めがけて駆け寄る‼

「イヤァァァァァァァァァ‼!!!」

「デェェェェヤァァァァァ‼!!!」

自衛官と憲兵、どちらが先に相手を仕留めるか‼

 

 

 

 

 

 

 

「デェェェェヤァァァァァ‼!!!」

「アバーッ‼!!! 」

勝利したのは自衛官だ!

「ハイクを詠め、カイシャクしてやる」

憲兵はなにかを呟こうとした、だが

「デェェェェヤァァァァァ‼!!!」

「アバーッ‼」

再び自衛官のジュウドウジツにより憲兵哀れな断末魔を上げる!

「サヨナラー!」

はそして憲兵はその場にしめやかに倒れこむ‼

ナムアミダブツ‼

 

 

 

~2067/08/13/04:55_ひびき~

「え、えっと……誠さん……?」

(謎の)壮絶なる決闘を唐突に見せられた私(と変態幼女)は何が起こったのか理解できず、とりあえず名前を呼ぶことにした。

「あ…? なんで俺の名前しってんだ?」

うう、やっぱり分かんないかぁ……

「えっと、その……」

誠さんはこちらに警戒しつつ、憲兵(?)さんの腕から9ミリ機関拳銃を取り上げ、マガジンを抜き取った。

「……1発も撃ってないみたいだな、よし」

そういうとマガジンを再び元に戻して上部のボルトを引いた。

「で、お前、そいつ離せよ、死ぬぞ」

そこで私はようやく気付いた。

「く、苦しい……!」

変態幼女を全力で抱き寄せていた事に。

「うわ!?ごめんなさい‼」

「ぷはっ!し、死ぬかと思った……」

こうみるとほんとに普通の女の子だ、小学生くらいかな?

「……まったく、君達はなんなんだ‼突然海岸に倒れていたと思ったら……!!!」

両手を\(^o^)/みたいに広げながらうーうー唸っているあたり、本当に小学生だ。

「どうもなにも、俺の乗った船が襲われてな。丁度今の今まで漂流してたところさ」

さすが誠さん、淡々と冷静に説明していく

「……船?」

乗った船が、その辺りでこの子は静かになった。

「ん?なんか変な事言ったか俺?」

「いや、変もなにも、どうやって?一隻でかい?」

なにかおかしな事でも言ったかな?

「ああ、海上自衛隊所属、イージス護衛艦「ひびき」だ」

その瞬間、女の子の顔が凍りつく。

その瞬間を、誠さんは見逃さなかった。

「どうした?」

「イージス護衛艦、ひびき……?」

「ああ、ハワイに向けて支援艦隊が出撃して……」

私がそうなの、と言ったらなんだかややこしくなりそうなので、私は黙ってる事にした。

「そんな、いやまさか……」

なによこの子は、急に静かに……

「な、なあそれは本当かい?私をからかってるとかじゃないよね?」

「その必用はない、何が悲しくて嘘なんかつくか」

「じゃ、じゃあひとつ聞いてもいいかい?」

恐る恐る、その子は私達に聞いてきた。

「君達は幽霊か何かかい?」

あんまりにはかおが‼真剣だったものだから、私はかぶりを振った。

「い、一応は生きてるわよ」

「あ、あり得ない、だってひびきは……」

「え……?いまなんて言った?」

聞こえなかったので、もう一回聞き直した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「50年前の艦だよ……? 」

私の顔が凍りつくのが、自分でも確かにわかった


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