落ちこぼれの拳士最強と魔弾の姫君 番外編まとめ 作:柳之助@バケつ1~4巻発売中
決戦場から校舎へと帰還する間のエレベーターの中では私とアサシンの会話はなかった。それはさつきという友人を失くして泣いてしまったことへの気まずさもあるし、精神汚染のスキルを持ったランサーと戦い死の具現を見せつけられ、さらには操られていたとはいえアサシンの拳撃に身を晒したからでもあるが
やっぱり一番の原因はいきなり愛の告白をぶちかましてくれたこの従僕のせいだ。
「……」
「……」
一体なにを考えているのだろうか。あんな修羅場で、あんなことをいうとかどう考えても頭がおかしい。どういうつもりか問い詰めたいけど、疲労は限界だ。だから今は置いておく。うん、別に恥ずかしいというわけじゃないから。これでも聖女なんて言われている女だ。そこらへんの感情なんてあってないようなものだし。
だから背後でアサシンがやたらニヤニヤして楽しそうなのも気にしない。
それこそマイルームに戻って存分にスルーして足蹴にしてやろう。
そう思って校舎に到着したエレベーターから、一足先に踏み出し、
「――え?」
何かに引っ張られたような感覚があり、踏み出した先は校舎の中ではないアリーナのような場所だった。広大な空間はまさしく先ほどまでいた決戦場と同じデティールだ。まるで深海の墓場のように、巨大な海の生き物の白骨が並んでいる。
周囲を見回して気づく。
自分が一人であることを。アサシンがいない。先ほどまで確かに一緒にいた彼がいなかったのだ。そして彼の不在の代わりに感じたのは呼吸が止まるほどの殺意だった。ランサーのそれとは違う、明確に命を絶つことだけに特化された殺気。
それの主は赤い中華風の衣装に身を包んだ赤髪の男。
「馬を射抜くために将を落とすとは滑稽な話だが、将の方が手弱女というならばこれも一計であろう」
よくわからないことを言って男は構える。その圧倒的存在感は間違いなくサーヴァントの者。そして彼は確実に私のことを殺しに来ている……!
気づいた時には男は目の前に。無造作に、しかし必殺の威力を秘めた鉄拳は狙い違うことなく私の心臓へと放たれ――、
「なに人の女手出してんだテメェーー!!」
「ぬぅっ!」
横から現れたアサシンの顔面をぶん殴った。
「大丈夫か、カレン!?」
吹き飛ばされた男を警戒しながら、私を庇って前に出る。吹き飛ばされた男はすぐさま態勢を建て直し、拳を構え直している。
「ヤツめ仕損じたか。主は隔離し、従僕は校舎に残すつもりだったはずが……いやさすがは我が主。ただでは済まさぬか」
「アサシン、腕が……!」
彼の右腕は二の腕からなくなっていた。いや、それだけでなくよく見ればランサー戦の後よりも傷が増えている。先ほどまでの彼でも既に体力は全体の一%程度しかなかったが、今ではもう一ドットしかない。これでは相手の攻撃をガードしただけでも彼は消えてしまう……!
「元々ボロボロだったのに無理やり空間に割り込んだからな……万全じゃない分、あえてリソースを切って捨てて割り込んだんだ。大丈夫だ、なんとかなるさ」
片腕で、左の拳を構える彼は笑みを浮かべていた。私も彼も消耗は酷く、考えられる限りに最悪の状態だ。
それでも、
「大丈夫だ、今の俺のテンションは最高潮。惚れた女を護るためなら一撃喰らったら死ぬというボロボロの接待バトルだろうとも燃えるってもんだぜ」
「……貴方って、それが素なの?」
「おう、これが俺だ」
そうか。
こんな状況でもふざけたことを言っているのは頭が痛いとしか言いようがないし、言葉も出ないが、それでも。
「なら仕方ないわ。まずは生きて帰りましょう我が従僕」
「極めて諒解!」
「カッ! よい、その気概見事! 一手、交えようぞ!」
男は破顔しながら迫る。その速度は速く、そして無駄がない。これまで戦ってきたどのサーヴァントをも凌駕する動き。なまじアサシンという武威を極めてサーヴァントと共に戦ってきたからこそこの男の力量というものが解ってしまう。
アサシンと同じ領域にいる達人だ。
「さぁて、どこから壊したものかのぅ!」
「女狙うような玉無しの拳が効くかよォ!」
二人の拳士が拳を振るう。
男の拳は強烈極まりない。腰を低く落とし、決戦場が揺らぐほどの震脚を行っているからか、放たれる一撃は極めて重い。八極拳、というやつだろうか。あのダニ神父も使えるとアサシンが零していた。そして、最も殺傷力の高い武術の一つだとも。
それをアサシンは避けない。護らない。
真っ向から迎撃した。
「カハハッ! 器用なことを!」
護れば体力が完全に尽きる。避けても、少しでも掠ったならば同じだ。
だからこそ彼は――全く同じの威力を以て男の拳を相殺する。
男の拳も、蹴りも。あらゆる攻撃を悉くぶつけ、威力を殺す。満身創痍で、今にも死にそうで、右腕がないというにも関わらず。
『拳士最強』。
今まで漠然と情報としてだけ知っていた彼の称号を、同じ拳士と相対することによって見せつけられる。このサーヴァントはこれだけのポテンシャルを秘めていたのか。
「くくく。見事見事、素晴らしい功夫だ」
「お前こそ、せっこい手使ってないで真っ向から来いや」
「生憎従僕の身であるからの」
わずか言葉を交わしていたが、男の方が大きく距離取って構えを解く。
「どうやらここで殺し切るのには手間取りそうだ。それにお主とは万全の状態で互いの武威を競い合いたい」
「おいおい、それでいいのか
「なに、目立つのはマスターの方針ではないのだから構わんよ」
言葉と共に男は――おそらくアサシンのクラスのサーヴァントは姿を消す。それと同時に決戦場もどきの場から弾き飛ばされて元の校舎に帰還していた。
しばらく周囲を警戒していたが、異常はない。安堵の息を長く吐き、
「カレン! 無事ですか!」
保健室の方からシオンが現れた。
「保健室で貴女の反応をモニターしていたら、校舎に帰還したのと同時にロストしたので心配しました。一体何が」
彼女に今の襲撃のことを説明する。我ながらうまく言えている自身はなかったが、それでも聡い彼女はすぐに理解してくれた。
「襲撃……このタイミングですか。下手人は……というのは愚問ですね」
シオンの言葉に頷く。もう五回戦。残りの人間はもう八人しかおらず、あのアサシンが相性がよく、決戦後というタイミングで明確に殺しに来るのはあの男くらいだ。
「そうですね、間違いないでしょう。ですが、今は休息を。アサシンも損傷が激しいですが、それはマスターであるカレンの疲労が回復すれば元通りになるはずです。桜には話を付けておきましたから」
シオンの言葉は非常に在り難かった。正直もう限界だ。あの男の策はこちらを殺しに来るものとしては最前だろう。アサシンがあれだけの武威を誇る英霊でなければ危なかった。
「もっと褒めてもいいんだぜカレン? ほら、頭とか撫でちゃっても、もげぇあ!?」
調子に乗っているから聖骸布で吊り上げてやった。これならダメージを発生しないから、安心の折檻礼装である。そのまま引きずりながら保健室へ。
「あ、ちょ、俺がほしかったのはナデナデオアチューであってこれはなんか違う……けど、なんかこれでもちょっと嬉しい自分が……!」
どうしよう、サーヴァントがマゾに目覚めてキモい。
アサシン最終固有スキル解放。
自らが定めた生きる意味と戦う理由によって能力が変質する。
好きになった女の子が出来損ないならば、彼女のためだけには勝てるように。
惚れた女が世界一いい女ならばそれに見合うだけの男になるように。
これから始まる人間の少女ならば終わって、彼女とも歩いていけるように。
主が時代を間違えた聖女ならば、彼女の愛を証明できるように。
それ以外のあらゆる自分の在り方の証明。
拮抗時絶対勝利、概念打撃、心意武装記憶完全開放、超膂力等を重複取得可能。
種明かしをすれば
在りえたかもしれない自分との魂を共鳴させることによって別の自分が持ちえた技術を体得する。また全身の血流操作も併用しているために基礎的な身体能力も数十倍に向上している。
魂の震え。
心の絶叫。
共振作用であり狂信然様。
アマンテース・アーメンテース。狂気にまで至った愛は、世界を超えて、在りえたかもしれない己の魂を震わせる。
本編で何時でるのだろうか……?
某部屋で依頼があった遙歌鯖です。
CLASS:モンスター
NAME:那須遙歌
MASTER:間桐桜
NOBLE PHANTASM:
KEYWORD:化物 自殺志願
筋力:A 耐久:B 敏捷A 魔力:A 幸運:B
直観:A
戦闘時に常に自身にとって最適な展開を“感じ取る”能力。
研ぎ澄まされた第六感はもはや未来予知に近い。視覚・聴覚に干渉する妨害を半減させる。
最高傑作:EX
ありとあらゆる方面の技術を十割十全に習得できるスキル。専科百般の上位互換。このランクとなると無制限にあらゆる方面の技術スキルをAランクで取得できる。
並列思考:A
複数のことを同時に思考することのできるスキル。このランクになると数十、数百のことを並列して思考可能。具体的には一京のスキルからその場に適したスキルを即時選択できるほど。
一度見た宝具、固有スキルを記録完全模倣再現を可能とする能力。正確に言えば宝具ではないがモンスターを象徴する異能であるが故に宝具扱いとなる。この宝具がある以上、モンスターは相手の武器や動き、固有スキルの発動を見た瞬間に相手サーヴァントの真名を把握し、相手にとってもっと弱点であるスキルを構成することが可能である。ムーンセルによって並行世界からもスキルを取得しているので、彼女が保有するスキルは一京にも及ぶ。
これはひどい。
ムーンセルから出禁喰らうレベル(
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