光の巨人と九人の女神   作:日々野未来

10 / 20
 今回は最後にRな雰囲気が流れます、最後まで表現せず、ぼかしてはありますが苦手な方はご注意を。


第4話『君のノゾミ』Aパート

『放電竜エレキング』登場

 

 

 

 ある晩、ススムはまた希の部屋に入り浸り、寛いでいた、自分の家だと言わんばかりに。

「おまっとさ~ん、のんたん特製カレーおうどんさんだよ~」

「カレー!?」

 カレーと聞いて目の色が変わるススム、ススムの好物はカレーなのだ、そして希の得意料理はうどん、好きな料理と得意料理が合わさった料理はもはや最強でしかなかった。

「ススムくんカレー好きだったな~って思い出してなぁ」

「ありがとう! いただきま~す!」

 ずるずるとうどんを啜るススム、カレーうどんだからつゆが飛ぶのに気を付けて欲しいところだが、すごく美味しそうに食べる、気に入ってくれた様子。

「美味しい、美味しいよ希ちゃん! 出汁とカレーが上手く溶け合ってる」

「ホンマ?因みに出汁は市販のじゃなくて鰹節から作ったんよ?」

「そうなんだ、すごく美味しいよ」

 どんどん箸が進んでいくススム、その姿を見て希は微笑む、誰かが自分が作った料理を美味しいと喜んでくれることがとても嬉しかった、そういう事が滅多になかったのでなおさらだが、一番嬉しいのは家に帰っても一人でいることがなくなった事、誰かがいる、誰かが帰ってくる、誰かとご飯を食べる、それもとても嬉しく、μ'sの練習も充実していて帰りたくないという気持ちもあるが、今では誰かが帰ってくる、帰っている家に早く帰りたいという気持ちもあった。

「カレーの方余っちゃったから明日の朝ごはんにするけどええよね?」

「うん! 三食カレーでもいいよ!」

「それはちょっと」

 作る方が飽きてしまう、せっかく食べてくれる相手がいるのだ、もっと色々な料理を作ってみたくなる。

「だけど、希ちゃんが作ってくれるものならなんでもいいや」

 殺し文句である、この男、放っておくと思いもよらない言葉を口にする、前回もそうだ、おっぱいが大きいとか、黒かったとか、嘘が下手なため、余計な事を口走ってしまうことがあるので注意しなければ、ましてや他の女性に同じような事を言ったら誤解されかねない。

「そういうこと、他の子に言わようにな?」

「ん?」

 分かってない様子、希は思う、意外と自分は嫉妬深いのだと、ワガママなのは実感していたが、こんな些細な事で心配になるとは思いもしなかった。

「ススムくんは自分がイケメンなの少し自覚した方がええよ、学校でも結構話題になっとるんよ?ハヤタくんはカッコいいって」

 注意する希、ススムはなんだかんだでイケメンの部類に入る、それに加えてGUTS隊員、エリートでイケメン、嫌いじゃないわという生徒が少なくない、男も含めて。

「そんなことないよ、世の中カッコいい人なんて沢山いるし、ダイゴ兄さんなんてアイドルやったら絶対に人気出るルックスだし、副隊長だってハンサムだし」

 周りにカッコいいと言える人が多いため、自分が霞んで見えていた。

「そやけど、分からんかな~」

 ちょっと残念そうな希、自分は嫉妬している、それを分かって欲しかったがさすがに無理があったようだ。

「ホンマに世界を救った英雄なんやろうか?」

「ちょっとバカにされたのは分かった」

 それは分かるんだ、と呆れてしまったが怒る気にはなれなかった、惚れた弱みだろうか、逆も然りだが。

「ごちそうさま! 美味しかったよ希ちゃん」

「お粗末さんや」

 喜んでくれていたからまぁいいや、ということで食器と一種に片付けようとしたその時、電灯が消えたり点いたりと繰り返す、電圧が低下したのか、すると、完全に電気の明かりは消えてしまった。

「なんや?停電?」

「みたいだね、こちらススム、本部、応答して下さい、本部」

 状況を聞こうとダイブハンガーと通信を試みるが、PDIから流れるのはノイズだった、電波障害が起きているようだ。

「通信が繋がらない………強力な電磁波が発生してるのか?」

 それならば停電と電波障害も説明が付く、それらは電磁波による磁場の乱れが深く関係している、つまり、電気ビリビリの何かが近くにいるということになる、ダイブハンガーとも連絡が取れない、ススムは調べようと決意する。

「ちょっと様子見てくるよ」

「分かった、気を付けてね」

 ススムは希に見送られ、部屋を後にした。

「…………暗いな」

 暗い部屋に一人残る希、今までこんな事はよくあったことなのに無性に寂しさを感じていた。

 

 

 

 外に出たススムは暗闇に支配された街の中を散策する、どこかに原因があるはずだと、すると、黄色い光が一ヶ所に集結し、そこに突然、巨大な存在が姿を現した。

「怪獣だー!」

「逃げろー!」

 その怪獣の姿は三日月型のアンテナのような角を二本生やし、くるくると回転し、白い体に黒い模様が入り、両手には鋭い爪が二つずつ、そして長い尻尾を伸ばしていた。

「エレキング! 宇宙怪獣エレキング!」

 『宇宙怪獣エレキング』、かつて侵略宇宙人が生体兵器として地球に連れてきた電気を操る怪獣だ、そのため、停電と電波障害の原因が分かったが、その過去の写真の姿と、ここに出現したエレキングの姿は少しフォルムが違っているように思えたため、データを記録するべくカメラで写真を撮る。

「キュイィィィィィィン!」

 高い鳴き声を上げるエレキング、尻尾を電信柱に巻き付けると黄色い光が走る、電気エネルギーを吸収しているようだ、停電は発する強力な電磁波だけが原因ではなかった、エレキングが電気エネルギーを吸収しているからだ、このまま吸収されたら都市機能が麻痺して大惨事を起こしてしまう、ススムはガッツハイパーを握り、引き金を引いてエレキングを攻撃、それに気付いたエレキングは口からプラズマをエネルギーにした三日月の形をした電子ビームを発射、ススムは横に飛び込んで避けようとしたが、その爆発により吹き飛ばされて壁にぶつかってしまう。

「くっ…………」

 ガッツハイパーを離してしまい、攻撃手段を失ったススム、スパークレンスに手を伸ばそうとするが右腕が痛み、動かせなかった、エレキングはまた電子ビームを放とうと口にエネルギーを集結させる、これはまずい、そう思ったその時、エレキングの頭にレーザービームが命中して火花が散り、怯むエレキングの真上をガッツウイング1号とガッツウイング2号が追加する。

「アレはエレキング! 宇宙怪獣エレキングです! だけどフォルムが」

 ツカサが操縦する2号機に乗るミズノはすぐに名前を言い当てたが、やはり、フォルムが違うことに気付く。

「下を見て! ススムが!」

「あのバカ、無茶しやがって」

 シンジョウも乗り、1号機を操縦するオオガワラはエレキングを攻撃し、ススムから引き離していく、ガッツウイング2号も超光子レーザービームで攻撃、エレキングは電子ビームで反撃するが、当たらなかったのだが。

「しまった~!」

「またか~!」

 機動力が高いはずのガッツウイング1号に被弾してしまい、呆気なく撃墜、シンジョウとオオガワラは脱出して難を逃れる。

「もうまたあの二人は!」

 呆れながらも攻撃を続行するツカサ、すると、エレキングは電気を纏うと次第にその姿を透き通らせていき、最終的には透明となってその場から姿を消した。

「姿を消した………レーダーにも反応がないなんて」

「やっぱり、過去に出現したエレキングとはフォルムも違うし、まったく新しい能力も持ってる、エレキングの亜種かもしれない」

 分析するミズノ、すると、通信が入った、エレキングが消えたことにより電波障害が解消されたのだ。

「ムナカタだ、現状を報告せよ」

「1号機が撃墜されました、副隊長とオオガワラ隊員は無事です、出現した怪獣は宇宙怪獣エレキングの亜種と思われます」

 ミズノの報告に考えるムナカタ、GUTSがここに駆け付けられたのは電波障害の圏外から出た一般市民からの通報だった、原因不明の停電と電波障害はGUTSでも確認していたため、いつでも出動できるようにしていたため、駆け付けるのが早かったのだ。

「着陸してシンジョウ達と合流、消えたエレキングの痕跡を探すんだ、何か手掛かりが見付かるかもしれん」

「了解、着陸します」

 ガッツウイング2号は着陸、シンジョウとオオガワラは先にススムと合流していた。

「シンジョウさん達まーた落とされちゃって」

「いや、面目ない」

「ススムは大丈夫かい?」

「なんとか、丈夫なのは昔からですから」

 度が過ぎるとバッサーの時みたくなるが。

「だけど怪獣はどうやって人目も触れずにこんな所に出てこれたんだ?」

「透明化能力を持っていると推測されますが、強力な電磁波がセンサーに引っ掛かるはず、それなのに」

 エレキングが気付かれず、出現できた理由を考えるミズノ、あれだけ巨大な怪獣なのだ、その発する強力な電磁波が電波障害を引き起こすのだろうが、逆にTPCの監視に引っ掛かり、見付かりやすいはず、エレキングはTPCの監視網を潜り抜け、出現したことになる。

「よし、リーダーが話していた通りエレキングの痕跡を探すぞ」

 シンジョウの指令に返事をすると隊員達は散り散りとなり、調査を開始した。

「ススムは適当な所で切り上げて帰れよ、明日学校だろ?」

「はい、じゃあ僕も」

 ススムもシンジョウと別れ、調査を始める、エレキングがいなくなった事により給電は再開、街に光が戻り始めるが、怪獣出現により、光は戻っても人はまだ戻っていなかった。

「ん?」

 そんな静寂の中、ススムは人影を見た、大きめのカバンを持つ女性、それも、一目見ただけで美しいと思える美貌を持つ女性だった。

(みんな逃げてるのになんであの人は)

 逃げずにこんな所にいるのだろうか、後から来たにしても怪獣が現れた場所なんてまだ何か危険が潜んでいるかもしれないため、近付きたくないはずだ。

(怪しい)

 勘がそう告げてた、何かあると、ススムはその女性を尾行する事に決めた。

 

 

 

 尾行すること数十分、団地のマンションに到着、女性はマンションに入ろうとしたが、そこに、子犬が駆け寄ってきた、しばらくじゃれ付くのだが、女性は冷たい目で見つめると何事もなかったように無視して先へと進むと子犬は寂しそうに女性が自分の部屋へと入っていく姿を見届けるとその場から立ち去った。

「首輪が付いてるって事は飼い犬?」

 去った子犬には首輪が付けられていた、その事から飼い犬なのが分かる。

「ん?ススムじゃないの」

 そこに、自分に声を掛けてくる人物が現れた。

「にこちゃん!」

 その人物の正体はにこだった。

「なんでアンタがこんな所にいるのよ?」

「にこちゃんこそ、どうしてここに?」

「ここ、私の家よ」

 このマンションはにこの自宅だったのだ。

「そうだったんだ」

「で、なんでここにいるのよ?」

「僕は怪しい人見掛けて追い掛けてたらここに」

「怪しい人?」

「あの部屋の人」

 女性が入っていった部屋に指を差すススム。

「あの部屋って美羽さんの部屋じゃないの」

「美羽さん?」

「ええ葉山美羽さん、あの部屋に住んでるんだけど、何?美羽さんが怪しい人なの?」

「うん、さっき怪獣が出現したのは知ってるよね?その現場にいたんだ、ちょっと気になってね」

 ほとんど勘である、怪しいから疑っていたら切りがないが、ススムはその勘で気になったから追い掛けたのだ。

「なんか特捜チームって感じね、普段のアンタじゃ想像できないわ」

「一応本業だから、てかいつも僕をどんな風に見てるわけ?」

「希のおっぱい大好きなムッツリスケベ」

「いろいろ突っ込んでいいよね?」

 ツッコミ所満載であるが否定はできない。

「揺れる度に視線が向くのは重症よねぇ?」

「気付かれて………いやいや、そんなことないよ!」

 もう遅い訂正である、にこは深くため息を吐いた、本当に嘘が下手だと。

「ばか正直乙、よくそんなんでティガだってバレなかったわね」

「そこは本当に注意してるから………だけどにこちゃんはなんで気付いたの?」

「アンタが痛がってた場所とティガが攻撃受けた場所が一緒だったのよ、で、ティガに助けられたって言って戻ってきたアンタ、それでもしかしてって思ったのよ」

 かなりの洞察力だ、探偵になれそうなぐらい。

「それで美羽さんと怪獣が何か関係あるとでも思ってるの?」

「早い話はそうだね」

「けど、美羽さん普通の人間よ?優しい人だし、挨拶したら返してくれるし、前はよくうちのチビ達と遊んでくれてたわ」

「チビ達?」

「弟と妹よ、散歩の途中でよくね、最近はそうでもなくなっちゃったけど」

 何かあったのだろうか、もっと話を聞こうとしたがPDIに通信が入る。

「シンジョウだ、エレキングの痕跡は発見できなかった、後はVTL隊に任せて俺達は帰還する」

「了解、僕も帰りますね」

 通信を切り、自分も切り上げようと考えた。

「じゃあ僕はそろそろ帰るね」

「そんなに美羽さんが気になるなら調べたら?GUTSならそういうの簡単でしょ?」

「うん、そうするよ、じゃあねにこちゃん、また明日ね」

「ええ、また明日」

 ススムはにこと別れて自宅へと戻っていった、そしてにこも自分の部屋に戻ろうとする。

「それにしてもあの子、どこに行ったのかしら?」

 困った顔をするにこ、考え込むが早く帰ろうと歩みを進めるのだった。

 

 

 

 自宅マンションに帰ってきたススム、日付も変わり、深夜を迎えていた。

「もう遅いし、今日は自分の部屋に戻ろう、葉山さんのことも調べたいし」

 時間も遅い、ススムは希の部屋ではなく自分の部屋に戻ることにし、調べ事のために更に遅くまで起きているのだった。

 

 

 

「ススムくん、まだ帰ってこんのかな」

 

 

 

 翌日、机にうつ伏せとなって眠るススム、すると。

「ススムくん朝だよ、ほら起きて」

 体を揺らされ、眠りから覚めてゆっくりと起き上がる、横を向くと制服に着替えた希が立っていた、どうやって入ったのか、もちろん合鍵である、お互い、合鍵を渡して自由に互いの部屋を行き来できるようにしていた。

「希ちゃん?」

「もう、こんな所で寝とったら風邪引いちゃうよ?」

「もう朝か………あんま寝てないな………」

「お仕事?」

「うん、調べ事をね」

 大きなあくびをするススム、支度をしなければ、その前に風呂も入らなければ、昨晩の件で汗もかいている、このまま登校するわけにはいかない。

「うちは生徒会の仕事あるからいかんとあかんけど、朝ごはん用意できとるからそれ食べて」

「うん………ん?希ちゃんもなんか眠そう?」

 そこでススムは希も眠そうな事に気付いた。

「うちもちょい夜更かししてもうてな」

「なーんだ、起きてるなら希ちゃんの部屋に行っておけばよかった、てっきり寝てると思ってたんだ」

「そうなんや、ごめんなぁ変な気を遣わせてもうて」

「まあ毎日入り浸ってるから、毎日寝泊まりしてたら迷惑だもんね」

 「迷惑」、それを聞いた希は少し寂しそうな顔をした。

「そんなことはあらへんけど………まぁええや、うちは学校行くからススムくんも早く支度して、遅刻せぇへんようにね」

「はーい」

 希はススムの部屋を後にし、玄関を閉め、扉を背にすると深くため息を吐いた。

「今日は一人で登校か」

 寂しそうに呟く希、いつもは生徒会の仕事があってもススムは一緒に登校してくれていたため、今日は久しぶりの一人だった、昨日も久しぶりの一人で一夜を過ごした、いつものことのはずなのに。

「行こうか」

 学校に行けば友達がいるから寂しさなんてなくなる、もう少しすればススムも来る、しばらく我慢すればいい、希はそう思うことにし、学校へ向かった。




『宇宙怪獣エレキング』…ウルトラセブン第3話に登場した宇宙怪獣、変身怪人ピット星人の侵略兵器として地球に出現した、その時、ピット星人は可愛らしい美少女の姿に変身していたため、エレキングと美人は切っても切れなくなった。

『葉山美羽』…都内に住む美人のOL、ウルトラマンマックス第2話にも同姓同名の人物が登場していたが……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。