光の巨人と九人の女神   作:日々野未来

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第5話『入らずの森』Bパート

「あれ?ススムくんと穂乃果ちゃんは?」

 この濃霧の中、どさくさに紛れて逃げていたため、ススムと穂乃果とはぐれてしまっていた。

「一難去ってまた一難ね」

「そやね、まさか本当にこれを使う時が来るなんて」

 希が取り出したのは銀色のグリップだった、後部のスイッチを押すと銃身が伸びた。

「それって!」

「スーパーガン、科特隊の基本装備や」

 なんで希がそんな物を持っているのか不思議だった。

「ススムくんから護身用にって借りたんや、後お守りって」

「お守り?」

「これ、ススムくんのお父さんが昔使ってたスーパーガンなんやって」

「それってハヤタ隊員!」

 だからお守りなのだ、滅多に会えない父親の私物、そのお守りが自分の大切な人を守ってくれるようにの。

「だけど大丈夫なの?」

「子供でも使えるみたいやから射つことぐらいは」

 引き金に指を掛ける希、子供でも扱えるとは言うがとても重かった、この銃がこの世界を守ってきたのかと思うと。

「それとアイツ、かなり頭にキテたけど、大丈夫かしら?」

「それはちょっと心配やけど、穂乃果ちゃんと一緒ならススムくんもそんな熱くなれんと思うから」

 穂乃果みたいな子と一緒にいて熱くなっていたら危ないのはススムだって分かっている、自制心が働いて辛うじて冷静になるはずだ。

「………初めて見た、ススムくんがあんなに怒ったところ」

「そうね、アイツ、普段は温厚そうなのに」

 ナグスの話からしてどんなことが起きたか想像ができた、だが、その出来事はススムにとってとても苦い経験だったのが分かり、なんとも言えなかった。

「ホント、ずっと戦ってきたのよねアイツは」

「うん、あの時だって、あの時もや」

 ティガの活躍はススムの苦しい戦いでもある、思い出せば思い出すほどティガとススムが重なる。

「だけど、アイツはそれだけの強さを持ってるってことね、じゃないとアンタとも再会できなかったわけだし」

 だからどんなに凹んでもススムは大丈夫、そう思えた。

「ま、最後はちゃんとアンタが慰めたり励ましたりするのよ」

 素っ気なく言い切るにこ、このぐらいできるでしょ?と言っているようにも聞こえる。

「にこっちってうちらのことよく気に掛けてくれるよね」

「見ててもやもやするだけよ、下手したらすれ違うでしょアンタ達?」

 互いを責めることはないが、すれ違いを起こしそうなぐらい遠慮をしてしまっている、その姿がとても見ていられなかったのだ、そしてもう一つあるが、素直ではないため口にはしなかった、恥ずかしくて言えない。

「ありがとうにこっち」

 ふん、と横を向くがどことなく嬉しそうだった、その時、茂みががさがさと揺れた、その物音に反応する二人は身構えたが。

「やっと見付けました、探しましたよ」

 茂みの向こう側から現れたのはなんと、海未だった。

「海未ちゃん!?どうしてここに!?」

「心配になって追い掛けてきたんです、穂乃果とススム先輩は?」

 理由を話すと二人の所在を尋ねる海未、だが。

「………君、誰や?」

 希の突然の問いににこは意味が分からなかった。

「誰って海未じゃないの?」

「いや、さっき会った時、その時は穂乃果ちゃんおらんかったのになんで海未ちゃん知っとるんの?」

 その疑問ににこもようやく違和感を覚えた、会っていないはずなのになぜ、海未は穂乃果も一緒であることを知っているのか。

「だけどそれだけじゃ」

 海未ならば穂乃果の行動が把握できるはず、前もって配達に行くとか連絡がきていてもおかしくないが。

「なら最初の疑問、海未ちゃんはススムくんのこと、ススム先輩なんて呼んでたっけ?」

 決定的となった、さほど付き合いがないため海未はススムの事をハヤタ先輩と呼んでいた、いきなり呼び方を変えるとは思えない。

「………さすがスピリチュアルガールのんたん、騙しきれないか」

 海未のとは違っていたが、女の子と言われても通る声色も多少低くなり、男の子の声色となる。

「男の子!?まさか男の娘なの!?」

「にこっち、声だけじゃ漢字の違いわらかへんよ」

 見ただけでは男だとは分からないため、にこはその少年を男の娘と表現した。

「そうそう、こんな顔だから女の子と間違えられるんだよな~、髪伸ばしてるとなおさら、ホント、可愛い顔してるよな~」

 自分で可愛いと自画自賛、にこも可愛いとか自画自賛したりするが、さすがに男が可愛いと自画自賛するのは引いてしまう。

「それで誰なんや君は?」

「名乗るほどのもんじゃないよ、強いて言うなら女神を守る青い流星ってところかな?」

 なんとなくμ'sのファンというのが分かるが、これだけ似ているため、海未と無関係ではない事が分かるが、答えてはくれなさそうだ。

「ま、ここは俺に任せろよ、守ってやっから」

 騎士気取りな少年、謎に包まれたこの少年を信じていいのだろうか。

「世界を救ったススム先輩ほど頼りにはならねーと思うけどな」

 この少年、ススムの正体を知っている、それによりますます怪しくなってくるが、海未の関係者だと考えると少し信用していいかもしれないと思い始めてもいた。

「信用できなくなったら構わず逃げ出していいから、なんならそのスーパーガンを向けてくれても構わね、だけどな、これだけは言える、絶対に俺はアンタ達を守るし、穂乃果も守ってみせる」

 その少年の目はとても真剣だった、これなら信じていいと感じられた。

「信じるけどもし、変なことしようとしたら叫ぶわよ」

「どうぞご自由に、今は出ることだけを考えよう、穂乃果を探すのはその後だ」

 そんな気はさらさら無さそうだが、二人は警戒しながらもその少年に付いていく事にしたのだが………

 

 

 

「元の所に戻ってきてるじゃないの!」

「しまった! 敵が空間歪曲装置使ってるからこの森から出られねーんだ!」

 思い出した少年は頭を抱えて叫んだ、その顔を、海未そっくりである。

「何よ、あんだけ大見得切って私達を守る、なんて言ってたくせに!」

「悪い! ホントごめん! かっこよく登場しようしか頭になくて脱出の方法考えるの忘れてた! アルケミースターズの一員なのに!」

「アルケミースターズ!?アンタが!?」

 『アルケミースターズ』とは、世界中の天才少年少女達により設立された科学者ネットワーク、彼らの研究や発明は世界中で活かされ、人類の発展に繋げている、つまり、この海未に似た少年も天才。

「空間歪曲も粒子物理学で解明できるから………あれがそのな」

 頭の中で公式を練っているのだろうか、それで脱出方法を模索し始めたが。

「あっちや」

 希が突然指を差して呟いてきた。

「なんでよ?」

「わからん、だけどなぜかあっちな気がして」

 ただの勘だった、だが、今は何も頼れるものはない。

「その勘、命預けてもいいかもしれねーぜ?なんせその勘は芭羅慈遺跡を発見した勘だからな」

 そこまで知っていた、本当にますますこの少年が何者か分からなくなるが、にこもこの勘に賭けることにした。

「外れたらなんか奢りなさいよ」

「うん、こっち」

 希が示す方向に歩き出した。

 

 

 

 希とにこと同様にススムも穂乃果と一緒になっていた。

「希ちゃん達とはぐれちゃいましたね」

「ごめん、僕のせいだ」

 自分が冷静さを欠いたからこんな事になった、ススムはとても後悔していた。

「あの宇宙人、ハヤタ先輩が昔宇宙人を倒したみたいなこと言ってたけど、ホントなんですか?」

 あの時、ススムが否定しなかったため、穂乃果も嘘ではないと感じていた、意外と勘がいい、もしかしたら希以上かもしれないと思ったススムは話すことにした。

「うん、本当だよ、その時、僕は双子の兄妹を救えなかった」

 『極悪ハンター宇宙人ムザン星人』、標的を放してハンティングゲームを楽しむ残虐な宇宙人、この地球でもハンティングゲームをしようと標的として捕まえた双子の宇宙人を放し、地球に飛来した。

「ルシアとザラ、僕はこの二人のことを一生忘れない、忘れちゃいけないんだ、僕が初めて救えなかった命だから」

 双子の宇宙人の兄妹、兄のザラ、そして、妹のルシア、ザラは逃げ回っていたが、ルシアはススムとGUTSに保護されたが、ルシアはザラに会うために脱走、ザラもルシアと会うためにムザン星人から逃げていたが、二人は再会できず、凶弾に倒れてしまった、それがススムが初めて、救えなかったと実感した命だった。

「戦いには勝てた、敵討ちはできた、けど、二人は戻って来ないんだって思うとものすごく虚しくなった、僕はなんで戦っているんだろうって、みんなを守るためじゃなかったのかって、その時はなんだか分かんなくなったんだ、戦う意味が」

 守るべきものを守れなかった虚しさ、それはまだ幼かったススムから戦う誇りを奪うのには十分だった、怪獣や宇宙人を倒して全てが解決していると考えていたためなおさらだった。

「だけど、穂乃果ちゃんはすごいよ」

 どうして自分がすごいのか分からなかった。

「学校が廃校になるって聞いてすぐに学校を存続させようって動き始めたんでしょ?普通じゃ何もできないよ」

「そんな、私も廃校って聞いて最初は気絶しちゃったし………」

「だけどそれからすぐでしょ?スクールアイドル始めたの、僕はしばらく塞ぎ込んでたよ」

 その時からしばらく、ティガの登場はなく、GUTSが怪獣と戦っていた。

「だけどハヤタ先輩も、こうしてまた戦い始めたんですよね?みんなを守るために」

「まぁね、その時珍しく父さんが帰ってきててね」

「お父さんってハヤタ隊員?」

「うん、父さんと話して、どんなに頑張っても救えない命や、届かない思いもある、だけど、大切なのは諦めない心、信じる力が勇気になるって」

「信じる力が勇気に………」

「うん、最初は分からなかった、だけど、いざ、戦いの前になると思い出したんだ、僕がなんのために戦い始めたのか」

 芭羅慈遺跡で初めてティガに変身した時の気持ちを思い出し、ススムは再起した、希とまた会うために、最初のその気持ちを胸に抱き立ち上がった。

「信じる力が勇気に、か………私達、そうすれば音ノ木坂、救えるかな?」

「救えるよ、きっと、その気持ちが不可能を可能にしてくれるはずだよ」

 何かを守るために立ち上がった二人、穂乃果は音ノ木坂学院を、ススムは希と再会する約束を守るために、それぞれ理由は違うが守ることに関しては気持ちは同じだった。

「なんか話してたらスッキリしたな、ありがとう穂乃果ちゃん、穂乃果ちゃんって聞き上手だね」

「そうですか?前に友達にも言われたことがあるんです、穂乃果は聞き上手だって」

「友達?海未ちゃんやことりちゃんとか?」

「違います、もう一人、二人と同じぐらい親友って言える友達がいるんです」

 一体どんな人物なのだろうか、興味を持ったが今は森から出ようと歩き出すのだが、穂乃果が何かに躓いて転んでしまった。

「穂乃果ちゃん大丈夫!?」

「イタタ~もうなんなの~?」

 自分が躓いた物を見る穂乃果、それは石盤のようだった、そして、その石盤には何か文字が刻まれていた。

「この文字、古墳時代の古代文字にそっくりだ」

「古代文字に?なんて書かれてるんですか?」

「えっと………闇の大蛇、九人の歌姫、奇跡の鎧、玉響姫(たまゆらひめ)…………玉響姫!?」

 部分だけ読み上げるススム、最後の『玉響姫』という名前に驚きを上げたその時、火花が飛び散る。

「見付けたぜ~まさかお前が最初だとはな」

 そこにナグス達が現れた、ナグス達は銃を突き付け迫ってくる、その光景に穂乃果は怯えるが、ススムは前に立った。

「大丈夫だよ穂乃果ちゃん、僕が君を守るから、守って絶対にまたみんなと会わせてあげるから!」

 ススムはスパークレンスを取り出し、胸に近付けてカバーを展開、レンズから光が放たれ、周囲に広がる、間近の穂乃果は目を腕で覆い、光が消えるのを待ち、光が消えて腕を降ろすと目の前にあったのは赤と紫、金色のラインが入った銀色のプロテクターを掛けた背中だった。

「ハヤタ先輩が………ウルトラマンティガ!?」

 ススムは等身大のティガ・マルチタイプへと変身した、穂乃果を守るべく。

「やっと本気を出したのかよ、そうじゃねーも面白くねーぜ!」

 ナグス達はティガに襲い掛かり、ティガもそれに応戦した。

 

 

 

「ホントに抜け出せた! スピリチュアルパワースゲー!」

 森から抜け出せ、海未に似た少年は興奮のあまり大声を上げて驚く。

「なんで分かったのよ?」

「うちも分からんよ、ホント、なんとなく」

 自分でもなぜ抜け道が分かったのか分からない希。

「静かね」

 振り返り森を見る、森には静寂が漂っていた、この中で激しい戦いが繰り広げられていたら音で気付くだろうが、空間幻惑装置によってか、その音すら中で迷っているようだ。

「おーい! お前達~!」

「叔父さん!?」

 渋川がやって来た。

「どうしてここに?」

「妙な反応があってんで調べに来たんだ、希ちゃん達こそどうして?」

 希達はここにいた経緯を話し、宇宙人の存在も教えた。

「宇宙人が!?そりゃ大変だ! 希ちゃんはGUTSに連絡してくれ、俺は中にいるススムくんと穂乃果ちゃんを探す!」

 渋川は二人を探すべく、スーパーガンにリボルバーが取り付けられた『スーパーガンリボルバー』を抜いて森の中に入った。

「あれ?あの海未に似た男の子は?」

「そういやぁ」

 渋川と話していて気付かなかった、あの海未に似た少年がいなくなっていたことに。

 

 

 

「頑張れーティガー!」

 森の中にて、穂乃果の声援を背に受け、戦うティガ、黒服の宇宙人達も正体はナックル星人だが、首から下は黒服のままだった。

『ハッ! ハッ!』

 襲い掛かるナックル星人の鳩尾に水平チョップを叩き込むとその背中にもチョップを叩き込む、後ろから別のナックル星人が襲い掛かるがカウンターキックが炸裂、吹き飛ばし、木に激突する。

「コイツ!」

 光線銃を向け、引き金を引くが、ティガはその放たれた光線を手刀で弾いていくとハンドスラッシュを発射、一体のナックル星人に命中、胸から火花を吹き散らして吹き飛び、ナグスの前に倒れて事切れた。

「邪魔だぁ!」

 ナグスは事切れたナックル星人を蹴り飛ばして退かし、前に出ると光線を放つが、ティガはウルトラシールドを発生させて防ぐ、これでは埒が明かない、そう思うとナグスは思い付き、隣に立っていたもう一人のナックル星人をティガに向けて投げ飛ばしたのだ、ティガも咄嗟にハンドスラッシュを放って撃破、だが。

「キャーッ!」

 穂乃果の悲鳴が響き、振り向くとそこにはナグスに捕まり、必死に抵抗する穂乃果の姿があった。

「おっと動くなよ、動いたらコイツの頭は吹き飛ぶ事に………」

 頭に銃口を突き付けようとしたのが、ナグスは一瞬にして吹き飛んだ、気付けば穂乃果の隣にはティガ・スカイタイプが立っていた、ナグスが脅しの言葉を口にしている最中に駆け出すと同時にスカイタイプへチェンジ、一瞬にして接近し、ナグスを殴り飛ばしたのだ。

「てめえ、人質がどうなってもい………ぐあっ!? 」

 ハンドスラッシュを食らい吹き飛ぶナグス、さすがにまだ生きていた。

『僕は決めたんだ、この子を守るって、だから!』

 駆け出すティガは素早くチョップやキックを繰り出す。

「は、速い!」

 その素早さを活かした猛攻にナグスは防戦一方となる。

『タァァァァァァーッ!』

 飛び蹴りを繰り出し、ナグスは両腕を交差して弾くが後退り、ティガは弾かれた反動を利用して高く飛び上がり、ティガ・スカイキックを炸裂、ナグスを遠くへと蹴り飛ばし、大木に激突させた。

「さ、さすがウルトラマンティガ、あの男の息子だけのことはある」

 ティガの強さに感心するナグス、その時、緑の海から巨大な影が起き上がった、金色の角を頭と背中に生やし、黒い体を持つ怪獣が姿を現した。

「ブラックキング! ここは任せた!」

 『用心棒怪獣ブラックキング』にこの場を任せ、ナグスはその場から撤退した、すぐに巨大化して戦いたかったが、穂乃果もいる、ここは穂乃果だけでも逃がすべきと考えていると。

「おーい!」

 渋川が現れた。

『渋川さん!』

「ティガ、希ちゃん達は無事に脱出した」

 希達の無事に安堵する二人、後は渋川に任せることにした。

『渋川さん、後はお願いします!』

「任せとけ!」

 テレパシーとか使ってないため、言葉は通じていないがなんとなく何を言っているか理解しているため、会話は成立していた、ティガはその場から飛び立ち巨大化、ティガ・スカイキックを炸裂するのだが。

『片手で受け止めた!?』

 あの強烈なスカイキックをブラックキングは片手で受け止めたのだ、ブラックキングは過去にナックル星人が連れてきた怪獣で、その際に対ウルトラマンのため、強化されていた、このブラックキングもまた、対ウルトラマンを想定し、ティガの戦闘データを記録させていた。

「グオォォォォォォオ!」

 ブラックキングはティガを投げ飛ばすが、ティガは上手く着地、ランバルト光弾を放つが、ブラックキングの強靭な皮膚は貫けず、体で受け止められてしまう、反撃に口から高熱の光線、ヘルマグマを発射、それを肩に受けて吹き飛んでしまう。

『グッ…………ン~………ハッ!』

 スカイタイプでは分が悪いと起き上がるとすぐにパワータイプへチェンジ、立ち上がると拳を構えて駆け出し、肉弾戦へ、ブラックキングもそれに対応する。

『ハッハッ!』

 パワーパンチを繰り出すティガだが、スカイキックを受け止めたブラックキングはこれも受け止めていくが、合間に挟んだエネルギーを込めたティガ・電撃パンチには怯み、懐ががら空きとなり、ティガはそこを攻めていき、鳩尾に拳が入ると前のめりになって後退り、そこで右足を大きく振り上げ、一気に振り降ろしてウルトラかかと落としを炸裂、ブラックキングの右肩に食らわし、体を回転させて左足を突き出してキックを打ち込んで吹き飛ばす。

『ハッ! ハァァァァァ…………タァーッ!!』

 今度はデラシウム光流を炸裂、ブラックキングはエネルギーをチャージした強力なヘルマグマを発射、デラシウム光流を相殺した。

『くっ………だったら!』

 マルチタイプに戻るティガは駆け出す、ブラックキングも駆け出し、迎え撃とうとするが、ティガはすれ違いざまに飛び掛かってウルトラブレーンチョップを炸裂、ブラックキングの頭の角をへし折った。

「やった!」

 部位破壊の瞬間を見た穂乃果は声を出して喜んだ、これで勝った、そう思った、しかし、事態は一変する。

『ッ!』

 突然、青空に赤い亀裂が走ったのだ、まるで、ガラスのように、そして、青空はガラスのように割れ、空間の破片が飛び散ると同時にロケット弾が放たれ、それを食らい、ティガは吹き飛ばされてしまう。

『異次元空間………!』

 割れた空、その割れた跡には赤い空間が広がっており、中には長い一角を持つ、青い蛇腹状の体に、背中と頭はオレンジ色で甲羅を被ったような姿をした巨大生物が外を覗いていた。

「怪獣!?」

「怪獣じゃない! あれは超獣だ!」

 『超獣』、怪獣を越えた存在、様々な生物や宇宙怪獣等を合成して生み出した生物兵器だ。

「ギュアァァァァァン!」

 『一角超獣バキシム』は空間を割って外に飛び出し、地上に降り立つと空に空いた穴は空間の破片に埋められ、元に戻る。

『超獣………まさか』

 超獣の出現はただ事ではなかった、異次元人が侵略のために送り込んだ生物兵器、超獣が出現したのはその異次元人が復活したか、もしくは、あの組織が復活したか、考えているとバキシムは掌がスパイク状となった両手を向け、先端からロケット弾を連続発射、ティガはしゃがんで両手を降ろし、長方形のウルトラシールドを展開してロケット弾を防ぐが、今度は両手を合わせ、背中を光らせ、エネルギーを両手に集結、強力な高熱ビーム、バキシクラッシャーを炸裂、ウルトラシールドで防ごうとしたが砕かれてしまい、ティガはその強力なビームを食らってしまった。

「グオォォォォ………!」

 ブラックキングは光と共に消え、そこに、赤い玉が二つ接続されたような円盤が浮かび上がる。

「宇宙船! 侵略宇宙人か!?」

 浮かび上がる宇宙船はその場から飛び去り、大空へと消えていった。

「今のは………」

 宇宙船が飛び去る光景は外の希とにこも目撃していた。

「あれを見て!」

 にこがバキシムとティガの存在に気付いた、空間幻惑装置が解除され、外からでも森の様子が分かるようになったようだ。

 残されたバキシムはティガに攻撃を続けた、形勢逆転を狙い高く飛び上がり、マルチキックを繰り出そうとしたのだが、バキシムは頭を向け、その一角型ミサイル、ユニコーン・ボムを発射、ティガを撃墜してしまうと、一角はすぐに生え変わるとバキシムはティガに狙いを定め、もう一発発射してきた、ティガはハンドスラッシュを放とうとしたその時、天から赤い光球が落下、ユニコーン・ボムを叩き潰し、地上に激突した。

「な、なんだ!?」

 その衝撃に吹き飛ばされまいと踏ん張る渋川と穂乃果、穂乃果は顔を覆う腕の間で目の前の光景を確認する、その先では、胸に赤いYの形をしたクリスタルを埋め込み、鎧兜のような形をした頭に、鎧武者のような体は銀色に染まり、片膝を地面に付け、腕に金色の刃が付いた手甲を装備した拳を下に向けて膝立ちをする銀色の巨人が存在していた。

「ウルトラマン」

 穂乃果はその姿を見てウルトラマンと口にした。

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