光の巨人と九人の女神   作:日々野未来

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第6話『再会ーリユニオンー』Bパート

 海斗に言われ、先に帰路に付いた海未とことり、その途中。

「海未ちゃん、海斗くん」

「ことりもですか、となると穂乃果もですねあの反応は」

 二人は海斗の話をし始めた、海斗と再会して感じた事に対して。

「海斗くん、何か隠してる気がする、だから穂乃果ちゃん、海斗くんに付いていったんだよね」

「穂乃果は海斗のもう一人の姉みたいな存在ですからね、似た者同士ではありますが、穂乃果の方がしっかりしていますから」

 穂乃果の行動に納得する二人、今頃、穂乃果は海斗の話を聞いているのだろうと思いながら進む。

「ねぇ海未ちゃん、海斗くんにとって私ってどんな存在なのかな?」

「藪から棒にどうしたのですか?」

 ことりから自信を感じられなかった、何か不安があるのが分かる。

「今日もだけど、海斗くん、いつも海未ちゃんに抱き付いたり、穂乃果ちゃんと二人きりで話したりするけど、ことりは何かしてあげられてるのかなって」

 海斗の事は分かっているが、自分は彼と何かやったという事があまりないため、自分がどんな存在なのか分からなくなってきていた。

「ことり、そんな不安がらないで下さい、あの子にとってあなたはとても大きな存在ですよ、私や穂乃果よりもずっと」

「本当?」

「ええ、あの子は本当にあなたの事が好きですよ」

 海未はもちろん分かっている、海斗がどれだけ自分の事を好きだとしてもそれは家族としてだからだ、ことりに対してはそれ以上の想いがあることが。

「あの子、 照れ屋だから照れ隠しで私に抱き付いてきてしまうんですよね、ことりだって分かっていますよね?」

「そうだけど………だからって一緒に寝たり、お風呂入ったりする?」

「っ! な、何を言っているのですかことり!?一緒に寝るのならまだしもお風呂だなんて………」

「海未ちゃんのお母さんから聞いた」

「またですかお母様ぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!」

 今日は海斗や母親に振り回される一日だった気がする、海未の体力も精神もそろそろ限界に来そうだ。

「海未ちゃんも海斗くんのこと言えないぐらいブラコンだよね?」

「な、何を仰いますか、私がブラコンなわけ………」

 変な汗を流し始めたため、ハンカチを取り出そうとポケットに手を入れて引き抜くと一枚の写真が落ちる。

「何これ?」

「そ、それは!」

 その写真を拾われてしまい慌てて奪い返そうとするが遅く。

「海未ちゃん、いつも持ち歩いてるの?」

 それは海斗の写真だった、そんなものをいつも持ち歩いてるのか、これはもう言い逃れができない。

「海斗くんは渡さないよ!」

「いえいえ、これはほんの出来心でして、海斗に対しては家族であるからでして」

 動揺して何が言いたいのかさっぱり分からない海未、そんな海未を見て笑いをこぼすことり。

「海未ちゃんも海斗くんのこと大好きだね」

「そりゃ双子なんですから、ことりだって、海斗のこと、好きですよね、でなければ遠距離恋愛なんて続きませんよね?」

 二人の間にあるものは紛れもなく本物、だから、そんな自信をなくさなくてもいいのだが、やはり不安になってしまう。

「希ちゃんも前にこんな気持ちになったって話してたな」

「そうでしたね、解決したみたいですがまさかその流れで破廉恥な行動していたなんて」

 想像するだけで鼻血が出てしまいそうになる、どれだけ免疫がないのか。

「だけど、ちょっぴり羨ましいな」

「海斗はああ見えて奥手ですから、そこは安心できます」

「私は安心できないんだけど」

 真面目すぎる海未ではあるが興味がないわけではない、作詞を担当するだけあって想像力が豊かだからそういうのを想像してしまって恥ずかしいのだ、海斗もそう、そういう所ばかり似てしまった。

「ことり、そんな焦らずとも大丈夫ですよ、あなたに何かあればあの子は必ず駆け付けてくれますよ」

 双子だからこそ確信できる事もある。

「ん?なんでしょうかこの甘ったるい臭いは?」

 すると、何か甘い蜜のような臭いが漂い、鼻を突き、横を向くと。

「ことり?」

 そこにはことりはおらず、姿を消してしまっていた。

 

 

 

「こちらススム」

 学校を後にしたススム達、ススムのPDIも着信が入り、それに応答する。

「ススムか?シンジョウだ」

 相手はシンジョウだった、シンジョウは先ほどの戦闘を伝えた。

「ビーストが!?」

「ああ、ビースト振動波のバグバズンのパターンに酷似しているため、バグバズンの亜種である可能性が高い、それも小型で群れで行動していることから」

「副隊長達が倒したのが全部じゃない」

「そういう事だ、VTL隊と警務局が巡回を始めてる」

「了解、発見次第報告します」

「先走って一人でやろうとするなよ」

 挑発された時はそうなるかもしれないが、引き金が引かれない限りは冷静でいられるはずのススムに注意するシンジョウ、スペースビーストもまた、ススムの怒りに火を点けるきっかけであるようだった。

「あ、うちも電話や」

 ススムを待っていると希の携帯に着信が入り、画面には海未の名前が表示されていた。

「海未ちゃんからや」

「姉ちゃんから?」

「うん、もしもし?」

 電話に出る希、海未はとても焦った様子だった。

「希!?ハヤタ先輩いますか!?」

「ススムくん?おるんやけどお仕事の電話しとる、要件聞いて伝えておくよ?」

「そんな悠長な暇はありません! ことりが突然いなくなってしまったんです!」

「ことりちゃんが!?」

 ことりの名前に海斗は反応していた。

「はい! 電話にも出なくてそれでもしかしたら事件に巻き込まれたのではないかと」

「穂乃果ちゃん、ことりちゃんに電話してみて」

 穂乃果はことりに電話を掛けてみるが、全然繋がらない。

「ダメ、繋がらないよ」

「ま、まさか、誘拐」

 最悪な予想をするにこ、ススムも希の通話の内容に耳を傾け始めていたため、希はスピーカーを起動させてみんなに話が聞こえるようにした。

「そん時の状況を詳しく教えて」

「はい、気付いたらもうそこにはいなくて」

 海未が状況説明をしていると今度はミズノから通信が送られてきた。

「バグバズンブルードについて分かったことがある、バグバズンブルードは頭に別の振動器官があって、それでビースト振動波を相殺してるんだ」

「それってつまり、ビースト振動波では探せないって事ですよね?」

 ビースト振動波に頼ってスペースビーストをサーチするため、これでは何か事件が起きなければ見付けられず、後手に回って犠牲者が出てしまうことになる。

「後分かった事がもう二つ、ブルードは人間に擬態できるみたい、中身はそのままだけど服を着て頭をフードとかで隠せば人間のふりして人間に近付いて、後は体内に貯めた催眠ガスで相手を眠らせて別の場所で捕食する、それがこのビーストの殺り方だと考えられる」

「本当に誘拐みたいですね、ガスで眠らせて別の場所でって」

 スペースビーストは知能が高いため、その知能により頭脳戦も繰り広げることがあるのだ。

「甘い臭い、そう、甘い臭いがしました! 蜜のような!」

 海未のその話、タイムリー過ぎた、ススムはすぐにミズノに確認した。

「確かに蜜のような臭いだアレは」

 その答えにススムは今、起きている事件に気付いた、ことりはバグバズンブルードに拉致されてしまったと。

「掛け直します! 本部! こちらススム!」

 ススムは本部にいるタケルと連絡を取り、ことりの携帯電話のGPSで居場所を突き止めてもらおうと考えた。

「大変なことに………アレ?海斗くん?」

 穂乃果が海斗がいないことに気付いた、どこを見てもいなかった。

 

 

 

「んん………ここは………」

 朦朧とする意識の中、ことりは目覚めた、ボヤける視界、そこから見える景色は薄暗いが小さな光が漏れているため屋根に穴が空いている、そのため、どこかの廃屋の中なのは分かるがどこなのか分からなかった。

「頭くらくらする………」

 鼻に残る甘ったるい臭い、それのせいでか、頭痛が残り、頭を抱えていると足音が響き振り向く、そこには薄暗いため顔ははっきりと分からないが、フードを深く被った男がいた、その男はゆっくりと近付いてくる、後退りしようとするが何か大きな壁に阻まれてしまい、下がれなくなってしまった。近付いてくる男、屋根に空いた穴から射し込まれる光により、その素顔が見えてしまった。

「ひっ!」

 それは人間の顔ではなかった、昆虫、そう、『インセクトタイプビースト・バグバズンブルード』の顔だった。バグバズンブルードは口から泡を吹き出しながらことりに近付いていく、そのおぞましい顔に恐怖を隠せないことりは何もできず、目を瞑った。

(誰か助けて!)

 それしか考えられなかった、だが、こんな都合よく来てくれるヒーローなんてどこにいるのだろうか、自分はここで終わり、だと思われたその時、何かが弾かれたような大きな物音が響き渡り、そして、温もりに包まれる、恐る恐る目を開くと青い光の粒子が飛び散り、その横には。

「海斗くん………!」

 海斗の姿があり、その腕に包み込まれていた。

「大丈夫か?ことり」

 笑顔を向けて呼び掛ける海斗、その笑顔を見て安心したのか、緊張感が緩んでしまい、再び意識を失ってしまい、倒れ掛けるが海斗が抱き寄せて守る。

「良かった、サンキューなネクサス」

 右手に持つエボルトラスターを見る海斗、ビースト振動波を微かに感じ取れたため、海斗はここに辿り着く事ができたのだ。

「さぁて、俺の女神様を怖がらせやがって、覚悟はできてるよな?」

 ぞろぞろとバグバズンブルードが現れ、海斗達を囲むが、海斗は余裕を見せていた。

「行くぜ、レッツ、変身ってな」

 エボルトラスターを鞘から引き抜き、振り上げるとそこから光が放たれる、その光によひバグバズンブルード達は吹き飛ばされ、次々と青い光を放ちながら四散して消滅していき、廃屋すらも吹き飛び、天高く、光の柱が立った。

 

 

 

「アレは!」

 ことりの携帯のGPSから居場所を特定し、そこに向かっていたススム達はそびえ立つ光の柱を目撃していた。

「もしかして、アレって」

「うん、ネクサスだ」

 希の予想が当たりであると答えるススム、同じウルトラマンだからこそ分かった、その光がウルトラマンだということを。

「急ごう! あそこにことりちゃんがいるんだから!」

 穂乃果の呼び掛けに頷くとススム達は走り出し、光の柱が立つ場所へと向かう。

 

 

 

「あの光は………」

 その光を海未も見ており、なんとなくではあるがそこにことりがいると感じると駆け出し、彼女もまた、光に向かった。

 

 

 

 光が消え、廃屋の残骸が残る中、巨大な銀色の巨人……ネクサス・アンファンスの姿がそこにあり、その両手は何かを包み込むように丸められており、その中にはことりが横たわっていた。

『………ッ!』

 そこに、地響きが起こり、振り向くと砂塵が噴き出していた、砂塵が噴き出す地面は割れ、その地割れの中から白い巨体が姿を現す、バグバズンだ。

『子供がやられて親が敵討ちってか、上等だ、ことりを怖がらせた報い、受けやがれ!』

 立ち上がるネクサスは構えると駆け出し、バグバズンに挑む、バグバズンもネクサスを迎え撃つべく駆け出し、右手を振り上げてその鋭い爪で引き裂こうとするが、掴まれてしまい、回転投げを繰り出されて地面に叩き付けられる、そのまま追い討ちを仕掛けようとするが尻尾の口が足に噛み付いてきて転倒してしまう。

「ギュイィィィィィィン!」

 起き上がるバグバズンはネクサスを踏みつけ、横腹を蹴り上げ、ネクサスは転がるがその勢いを利用して起き上がり、パーティクルフェザーを撃ち込んで怯ませると肩で担ぎ上げて遠くへ投げ飛ばした。

『シェアァァァァァァア!!!!』

 飛び上がり、キックを炸裂、バグバズンを蹴り飛ばし、その反動で反転して着地、両手を振るってパーティクルフェザーを同時に発射し、更なるダメージを与えると、バグバズンは敗北を悟り、羽根を広げて空へ逃走しようと飛び立つが、ネクサスは両手の掌の間でエネルギーをスパークリングさせ、十字に組んでそのエネルギーを光線として発射、クロスレイ・シュトロームはバグバズンの羽根に当たり、焼き落とされるとバグバズンも墜落、地面に激突、その間にネクサスはジュネッスブルーにチェンジ、シュトロームソードを発生させると駆け出し、起き上がるバグバズンを一閃、悲鳴を上げながらバグバズンはその悲鳴を小さくしていき、ゆっくりと倒れようとしたがその直前に青い光を放って粒子状に四散、消滅するのだった。

 

 

 

「んっ………アレ?私………」

「お、やっとお目覚め?女神様」

 意識を取り戻したことりは目覚める、そんなことりに海斗が話し掛けた。

「海斗くん?私………」

「ずっと眠ってたぜ?スゲー怖かったもんな?疲れちゃったんだろ」

 ことりは海斗の膝を枕にしていた、つまり膝枕である、起き上がることりだが、やはりまだ催眠ガスの後遺症か、頭がくらくらして倒れそうになるが、海斗がいる方向に倒れたため、大事には至らず。

「怪獣は?」

「ウルトラマンがみんな倒した、さすがウルトラマン、スゲーよ」

 それが自分だとは話さず、ただ駆け付けただけのように振る舞う海斗。

「そっか………だけど海斗くんが先に助けに来てくれたんだよね?」

「当たり前だろ?ことりは俺の大事な女神様なんだから」

「そこはお姫様じゃないの?」

「μ'sって九人の女神って意味だろ?だったらお姫様よりも女神様の方が合うじゃん」

「そうかもね」

 恐怖体験をした後にも関わらず他愛もない話をする二人、そこに、ススム達がやって来る。

「海斗くん!」

「ことりちゃんも無事やねん」

 ことりの無事に安堵する希、穂乃果は嬉しさのあまりことりに抱き付いた。

「良かった~ことりちゃんが無事で」

「心配掛けちゃってごめんね」

「それでビーストは?」

「ウルトラマンが子供も親も倒した、すごかったぜ」

 何も知らないことりがいるため自分がウルトラマンだと隠しているのが分かったため、ススム達は話を合わせることにした。

「てことはバグバズンも………」

 バグバズンブルードとバグバズンが倒された、これで事件は終わりかと思われるがススムは腑に落ちなかった。

(バグバズンブルードはなんで人間に擬態するんだ?)

 バグバズンブルードが持つ能力の意味が分からなかったのだ、人間に擬態する必要性はあるのだろうか。

「ことり! 海斗まで!」

 ここでようやく海未も駆け付けた、ことりの無事に安心する海未はへたり込んでしまう、緊張の糸がほどけて腰が抜けてしまった。

「良かった、本当に良かったです」

「海未ちゃんもごめんね、心配掛けて」

 笑顔を見せることり、もうバグバズンブルードに襲われた時の恐怖はどこにもなかった。

 

 

 

 だけど、事件がまだ終わっていないとは誰も知らなかったんだ、俺も、ススム先輩も、この戦いは始まりにしか過ぎなかった、闇との戦いの………

 

 

 

       to be continued...

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