※名前を旧設定のキングバッサーに変更しました。
第3話『悪魔の風』
『魔風鳥獣キングバッサー』登場
とても晴れた日のある朝、学校へ登校する希とススム。
「ええ天気やな~まさに洗濯日和やね」
「うん、ごめんね、僕の分まで干してもらっちゃって」
「構わへん構わへん、纏めてやった方が節約になるやん?」
ここ最近、ススムは私生活で希の世話になっていた、炊事や洗濯をメインに、掃除に至っては自分でやっているがあまり意味がない、なぜなら、自分の部屋にはほとんどいないのだ、ほぼずっと希の部屋で過ごしており、そのまま一日を終えている、半同棲状態となっていた。
「今日遅くなりそう?」
「多分ね、もしかしたら近いうちにライブやるかもしれへんからそのミーティングもするかも」
「じゃあ僕が先に帰ったら洗濯物取り込んでおくね」
「それは嬉しいけど………」
何か言いにくそうな希、首を傾げるススム。
「下着も………干してあるから」
男物はともかく、女性物の下着は男物のとは訳が違う、さすがに恥ずかしそうな希、そしてススムも気付き、顔を赤くする。
「ご、ごめん! 何も考えてなかった!」
デリカシーがなかったと慌てて謝罪するススムだったが、希はクスクスと笑い始める。
「うそうそ、ジョーダンやよ、下着は脱衣場の方に干してあるから安心して」
「な、な~んだ」
安心するが、少し残念そうだった、そこはさすがに青少年、気にならないということはない、そんな僅かな反応も逃さない希は追撃に出る。
「別に見ても構わへんけど、見たら分かるような仕掛けしてあるからね」
「み、見ないよ! そういうの全然興味ないもん!」
その言葉を待っていました、と言わんばかりに希は更なる追撃を仕掛ける。
「全然興味ないんだ~うち悲しいな~つまりうちにも興味ないってことやろ?うち、そんな魅力ないんかな~?」
棒読みな台詞、だが、慌てたススムにはとてと効いた。
「そんな事ないよ! 希ちゃんは可愛いし美人だし魅力もあるしおっぱいも大きいし!」
大声で何を叫んでいるんだこの男は、仕掛けておいてアレだが、さすがに希も今のは恥ずかしかった。
「ススムくん、最後の一言は大声で言うもんやないよね?」
「あっ………」
耳まで真っ赤となった、からかいがいがある、とは思うが慌てさせると予想も付かない台詞を口走るため、注意が必要だが、人は面白いと感じると性懲りもなくやってしまうもの。
「ススムくんって以外とムッツリさん?」
「そそそそそそそそそんなこここここことななな、ないよ!」
動揺し過ぎである、それではそんなことあると言っているようなものだ。
「へぇ~そんなことないんだ~?じゃあ触ってみる?」
自己主張が激しい胸を突き出す希、それを見て改めて大きいと思うススムはゴクリと息を飲む。
「さ、さわ………りません!」
「ホンマに~?帰ったら触らせてあげてもええんよ~?」
もちろん冗談ではある半分は、そろそろ切り上げようと考えたその時、突然、突風が吹いた。
「キャッ!?」
「えっ………」
その突風は布を捲り上がるが、すぐに布を抑えて内股になり後退りする希は少し上目でススムを睨むように見つめる。
「………見た?」
静かに問う、問われて我に戻るススムは首を全力で左右に振るう。
「見てない見てない! 黒いヒラヒラが付いた布なんて見て………あっ」
そんな事を言ったら見てると言っているようなもの、その答えに希は顔を赤らめ、恥ずかしそうに目を逸らす。
「ススムくんのえっち」
先ほどまでの勢いはどこへやらだが、その表情でその台詞は破壊力は抜群だった。
「と、うちはススムくんが男の子なんだって実感したんや」
「そんなこと話さなくていいから!」
空に灰色の雲が流れてきた頃、学校にて、希が朝の事を絵里とにこに暴露していた。
「ハヤタくん、そういうのあんまりって思ってたのに意外だわ」
「男なんてそんなもんでしょみんな?」
ススムのその反応は当然だと言い切るにこ。
「てか希、女の子がそんなことするもんじゃないと思うけど?」
「いや~ススムくんの反応が面白くてついつい」
自分も恥ずかしかったが、面白いの方が強く、いくら恥ずかしくてもからかいたくなってしまった。
「………ちっ」
舌打ちを鳴らすにこ、希がからかうのに使ったものを見て腹を立てたのだ、このイライラを解消したいが希と絵里では返り討ちにされる、それならばと矛先を向けたのは。
「それで絶景だった?」
「黒くてヒラヒラしてて、それはもう………」
気付くがもう遅い、恐る恐る横を向くと今朝と同じ目付きの希がいた。
「これは確かに面白いわね」
「やめなさいよ、女子が下ネタで男子をからかうの」
止めに入る絵里、回りの目もある、健全な男子達も聞き耳を立てているが、そろそろ彼らもイライラしてきていた。
(((爆発しやがれ)))
男子達の思いは一致していた。
「だけどハヤタくんって隠し事とか嘘が下手そうよね」
今のを見るとススムに隠し事などは無理そうだと感じる絵里。
「もしハヤタくんがウルトラマンだったらみんなにバレてるわよね」
何気ない一言、絵里にとっては何気ない一言だったが。
「な、なーに言ってるの絵里ちゃんは!」
「そ、そーやよ、そんな例え分かりにくいよ、ねぇにこっち?」
「え、ええ、そうね」
突然話を振られて戸惑うにこはとりあえず肯定する、二人はわざとらしく笑いながらその場をやり過ごそうとしたその時、やり過ごすことはできた、違った意味で。
「ん?」
「は?」
「え?」
外で巨大な影が上から下に通り過ぎた、それは落ちたと言った方が分かりやすい、通り過ぎると大きな音が響き渡り、生徒達はみんな外を向いた、その先はグラウンドだった、だが、グラウンドには似つかわしくないものが存在していた。
「船が」
「落ちてきたわ」
「ハラショー」
「スピリチュアルやわ」
そう、船がグラウンドに落ちてきたのだ、その衝撃により船体は割れ、中から大量の魚が飛び散っていた、漁船のようだ。
「希ちゃん、絵里ちゃん、みんなを外に出さないようにして、僕は様子見てくるから」
「ええ、私は先生達に言ってくるわ」
「うちは放送流しておく」
「お願いね」
三人はすぐに行動、教室から出ていく。
「ん?アレは………鳥?」
にこは空を見上げた、そこでにこは鳥を見たような気がした。
GUTS本部とVTL隊に報告したススムはグラウンドに落ちてきた漁船に近付く。
「汚染とかの心配はなしか」
PDIで確認するススム、汚染はない、だからと言って安心はできない、船の燃料が漏れ出して起爆するかも分からない、慎重に調査を行う。
「誰かいませんか~!?」
呼び掛けるススム、魚が積まれていたという事は漁猟中に事故に遭ったということ、中に誰かいると考えられた。
「んん………んっ」
唸り声が聞こえた、すぐに聞こえた方向に行く、そこには横たわるこの漁船の男性船員がいた、操縦室から自力で出てきたようだ。
「大丈夫ですか!?しっかりして下さい!」
駆け寄り、男性船員を抱き起こし、何度も呼び掛けるススム、男性船員は弱々しく口を開く。
「と、鳥を………」
「鳥を?鳥がどうしたんですか!?」
「鳥を…………み、見た………………」
「鳥を見た」、それを言い残すと男性船員は力尽きた。
「鳥を見た………一体」
その言葉の意味を模索するススム、そこにサイレンが聞こえてくるのだった。
現場はVTL隊が固め、現場を保持しており、漁船はクレーン車やトラックで撤去作業が進められていた。
「こんなもんが落ちてくるなんてな」
「ええ、怪雨現象は世界各地で報告されてますけど、船が降ってくるなんて」
GUTSからツカサとシンジョウがやって来た。
「ご苦労様です」
VTL隊の隊員が敬礼してきた、GUTSの方が目上なため、二人が来ると否や、全員敬礼する、そして二人も敬礼を返す。
「中に乗っていた船員は?」
「一命は取り留めましたが、まだまともに話せる状態では、西木野総合病院で治療を受けています」
船員は無事だったと聞き、安堵する二人、報告した隊員は自分の持ち場に戻った。
「そういえばススムの奴、どこ行ったんだ?」
「報せてきたのはあの子なのに」
現場にススムの姿が見えない、どこにいるのか考えていると噂をすればなんとやら、ススムがやって来た。
「姉さん! 副隊長!」
「ススム、お前どこにいたんだよ?」
「ちょっと調べ事を、今回の件についてです」
「今回の?」
「はい、ちょっと付いてきてもらっていいですか?」
そこまで言われたのなら付いていくしかないとシンジョウとツカサはススムに付いていく。
付いていくと校舎内に入り、とある部屋に入る、薄暗く、水晶玉やピラミッド、羅針盤とオカルトに関連したグッズが置かれていた、棚に並ぶ本もオカルト関係、いかにもオカルトの研究部のような部屋、そう、ここが超常現象研究会の部室だった、その部屋の窓際の方にパソコンのディスプレイの前に座る希と、巻き込まれたであろうにこが隣に立っていた。
「連れてきたよ~希ちゃん」
「ご苦労さ~ん」
一体どんな話がされるのか、その話の内容が詰まっているであろうパソコンの前に集まる。
「今回の怪雨現象についてなんですけど、原因が分かったかもしれません」
「原因が?一体何が原因なんだ?」
シンジョウに問われると希は画面に関東地方の地図を表示した、それも天気図だった。
「数時間前の天気図なんですけど、ここ、小笠原諸島の所、局地的な竜巻が発生しているんです」
天気図には小笠原諸島の所だけに竜巻が発生したと記録があった、その話からすぐに察することができた。
「もしかして希ちゃんはその竜巻であの船がここまで飛ばされてきたって言いたいの?」
半信半疑なシンジョウ、それはにこも同意見だった。
「そんなまさかね、そういうのよくオカルト系な特別番組でやってるけど、だいたい魚とか家畜でしょ?」
怪雨現象は魚や家畜などとあり得ないものが空から降ってくる現象を指す、船が降ってくるのもそれに当たるだろうが、さすがにそれはないと言いたかった。
「ちっちっちっ、実は有り得るんよにこっち、怪獣頻出期初頭、台風怪獣バリケーンが引き起こした台風により、近くの村に大型タンカーが吹き飛ばされてくる事件が発生しているんや」
その事件の概要を画面に出すと、それを引き起こしたクラゲに似た怪獣、『台風怪獣バリケーン』の写真も表示される。
「他にも古代怪鳥ラルゲユウス、竜巻怪獣シーゴラス、始祖怪鳥テロチルスと、台風や竜巻に関係する怪獣は数多くいる、だから今回も」
「怪獣が引き起こした超常現象?」
ツカサの答えに頷く希。
「姉さん達がここに来るまでの間にタケルさんにあの船のGPSの反応の記録を調べてもらったんだ、そしたら数時間前までは小笠原諸島に反応があったみたい、その反応があった時刻と竜巻が発生した時刻は一致してる、それに、竜巻が発生する原因もなくて、発生するには天候もあべこべだし、それにすぐ消えて今は何事もなかったように空は穏やからしい、可能性はあるよ」
竜巻発生には不自然な点が沢山あった、ここまで証拠を並べられてしまったらこの仮説を信じる以外ない。
「よし、本部に連絡してそこを調べてもらおう、今ならまだ何かあるかもしれないな」
シンジョウはその仮説を信じ、本部に連絡、ムナカタもその仮説に信憑性があると感じ、オオガワラ、ミズノ、タケルの三人をガッツウイング2号で出動させた。
晴天の小笠原諸島上空を飛行するガッツウイング2号。
「竜巻が発生した後だってのに、晴天だな」
だが、竜巻により小笠原諸島にある村や町に被害が出ていた、その災害救助のためVTL隊が救助活動を行っている、そのためゼットビートルがあっちこっちで見掛けれていた。
「この辺りが漁船のGPS反応が記録されていた海域です」
タケルの報告に速度と高度を落とすオオガワラ、付近を散策しているとミズノは見付け出した。
「オオガワラ隊員! タケル隊員! アレを!」
指を差して指摘すると二人もそれに気付いた、晴天だが、海はそうでもなく、海は荒れており、その海上に巨大な青い羽が漂っていた。
「幸せを呼びそうにないな、着水して回収する」
オオガワラはガッツウイング2号を着水させ、その青い羽を回収するのだった。
翌日、青い羽の調査結果はススムのもとにも送られてきていた。
「電離層?」
「うん、その青い羽からは電離層に存在する成分が検出されたんだ」
登校前、ススムは朝食を食べながら希にその話をしていた、もちろん希の部屋だった。
「ラルゲユウスやテロチロスとかじゃないんや」
「羽の色が違うからね、まったくの新種だと思うよ」
マグカップのコーヒーを飲むススムと朝食の食器の片付けをする希、まるで夫婦の朝の一場面である。
「そういえば、うちも気になって日本太平風土記、調べてみたんや」
「太平風土記を?」
確かにアレは超常現象に通じるものがあるため、希が気になるのも当然だ。
「そしたらこんなんがあった、悪魔の風、翼(バッサー)来たりて嵐呼び、地上のすべてを滅ぼさん」
「悪魔の風………翼(バッサー)………」
今回の事件に通じてはいるが、まだ太平風土記に記録がある怪獣とは限らない。
「………ねえススムくん、お願いがあるんやけど」
『鳥を見た』…ウルトラQ12話のサブタイトル、ウルトラマンオーブ1話『夕陽の風来坊』にも出た台詞、汎用性が高い台詞。
『古代怪鳥ラルゲユウス』…ウルトラQ12話に登場した怪獣、太古の時代からタイムスリップしてきた怪獣で、家畜を襲うなどして被害を及ぼす、その飛行の際に風速40メートルの突風を発生させる、宇宙線の影響で巨大化したり縮小したりする。
『台風怪獣バリケーン』…帰ってきたウルトラマン23話に登場した怪獣、空飛ぶクラゲと言われた怪獣で、スペシウム光線を吸収する能力を持つ強豪、台風を発生させることができ、被害を及ぼすがそのお陰で大気汚染が浄化されるという皮肉。
『竜巻怪獣シーゴラス』…帰ってきたウルトラマン13話と14話に登場した怪獣、津波怪獣シーモンスとは夫婦怪獣で、卵を産みに日本に上陸したシーモンスを守ろうとして上陸、共に竜巻や津波を起こしてしまうが悪意はなく、ただ生物としての本能に従っただけだった、37にも登場、ジャックの能力を分析するために再生させられたが、14話では倒されていないため、別個体?
『始祖怪鳥テロチルス』…帰ってきたウルトラマン16、17話に登場した怪獣、翼竜の一種で、鼻から光線を出し、口から糸を吐く、その糸と排気ガスがまざわると 失明を起こしてしまう猛毒ガスとなってしまう。
『悪魔の風』…日本太平風土記に伝わる風の妖怪の異名。