2月も終わりに近づきもうすぐ春がやってくる。だというのに俺たち奉仕部には春がやってくる気配すら感じることはない。ひたすらに本を読み続ける俺と雪ノ下。それ逆に持ちづらくて機能性落ちてんじゃね?ってくらいデコってる携帯電話をぽちぽち弄ってる由比ヶ浜。バレンタインデーから、俺たちはずっとこんな感じで過ごしている。前と変わらないのは雪ノ下の入れた紅茶の香りがすることだけだ。この香りだけが俺たちをこの部室に来る理由を与えてくれている、そんなことはないのかもしれないがついそう感じてしまう。
パタン、と雪ノ下が本を閉じた。最近では雪ノ下の本を閉じることが部活の終わりを意味している。俺たちはいそいそと帰り支度をすませた。
「では、私は職員室に鍵を返しに行くわ」
「おう。またな」
「じゃーね!ゆきのん!」
雪ノ下と分かれしばらく歩いていると由比ヶ浜がこちらを見つめていることに気がついた。
「なに、どうしたの。なんでみてんの。俺の顔に虫でもついてる?」
「ななな、なに言ってんのヒッキー!ていうかまず見てないしっ!」
いやいやおかしくない?完全に見られてましたよね?あれ、俺の勘違い?やだ、俺ってば自意識過剰〜キモ〜!とかめちゃくちゃ気持ち悪いこと考えちゃったじゃないか、由比ヶ浜許すまじ。
なんてくだらないことを思っていると由比ヶ浜が。
「ヒッキー、ゆきのんのことどうするのかなって。私もう待てないよ」
と言ってきた。
確かにあれから1週間経っている。しかし時間が経ったかとらといって、そう簡単に解決案が出るわけではないのだ。
「しかたねぇ、本腰入れて考えてみるか」
とりあえずこう言ってみた。しかし由比ヶ浜は俺の言葉を信用できないようだ。顔を見るとすぐわかる。この子すぐに顔に出て、将来悪い人に騙されそう。自己防衛はしっかりね!
「なんかへんなこと考えてる?」
「ば、馬鹿なこと言うなよ。雪ノ下と話してみるかって考えてたんだ」
とりあえず取り繕ってみた。俺も顔に出やすいのね…
「じゃあヒッキー、昇降口でゆきのんのこと待ってなよ!そんでちゃんと話してね、これからのこと」
「あー」
これはまずい、口から出任せが裏目に出てしまった。なんとか言おうとするもののこうなった由比ヶ浜は頑固だ。もう、なにを言っても無駄だろう。
「わかったよ、雪ノ下とちゃんと話してみる。由比ヶ浜は安心して帰ってくれ」
「ん、よろしい」
どうやら今日は小町の晩御飯。略して小飯を食べるのは遅くなりそうだ。
そんなことを思いながら廊下を歩いた。
読んでくれてありがとうございます。
次回はこれより長いと思います。たぶん。