正義の交差   作:森林

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一振り 武偵

一月かけて調べた結果、この世界に魔術はないことがわかった。『神秘』を行使する魔術とは違う方法で魔術を使うらしいが、まだ現物には会っていないためどんなものか分からない。厳重注意と言ったところだろう。

それとここは日本であり、ここには冬木は存在しないことも確認した。少し残念だがそんなこともあるのだろう。

 

代わりに一つ驚くことがあった。『武偵』という金で動く便利屋があるということだ。そこでさらに驚くのは犯罪などの事件も武偵の学生が解決していること。

一種の警察官養成所があり、なおかつ子供でも戦うことができる。子供でもこの世界では表に居ながら『正義の味方』として活動できることだ。

正直子供が働くことには抵抗があるが、それだけこの世界は危険と言うこと。

 

俺はこれを知った時から入ることを決意。だがこちらの世界では元々いなかった存在だし、裏の世界に好き好んで入りたくなかったため、戸籍や保証人は用意していない。そのため裏技(魔眼による暗示)を使ってしまったが、仕方ないか。

まあそれでもこの武偵高はそれなりにやりやすいところだ。一般高校から転校するときでも、実力さえあれば問題なく年齢に合った学年に入れる。

 

まずは第二の高校生活を楽しんでいこうかな。

 

 

 Side キンジ

 

「その チャリには 爆弾 が 仕掛けて ありやがります」

「チャリを 降りやがったり 減速 させやがると 爆発 しやがります」

 

爆弾……だ?

ふと横を見るとタイヤ付きのカカシみたいな乗り物、『セグウェイ』が並走していた。

 

「助けを 求めては いけません。ケータイを 使用した場合も 爆発 しやがります」

 

セグウェイは無人で、人が乗るべき部分にはスピーカーと――1基の自動銃座が載っていた。

 

UZI。

 

秒間10発の9ミリパラべラム弾をブッ放す、イスラエルIMI社の傑作短機関銃だ。

 

「なっ……なんだ! 何のイタズラだっ!」

 

叫んでもセグウェイは何も答えずにただ俺に銃口を向けながら並走してくるだけだ。

混乱しながらもチャリのあちこちをまさぐるとサドルの裏に何か変なもの、型番まではわからないがどうやらプラスチック爆弾らしい。

しかも自転車どころか自動車まであとかたなく吹き飛ばせるサイズだ。

 

――世にも珍しい、チャリジャックじゃないか!

 

この手口。白雪の言っていた『武偵殺し』の模倣犯じゃねえか。

 

――おい俺。俺は。

 

死ヌノカ。

 

コンナ所デ。

 

その時だった。なぜかはわからんが突然銃撃音が響き、セグウェイが壊れ遠ざかっていく。それと同時に声が聞こえてきた。

 

「そこのバカ! 何一人で解決しようとしてんのよ!」

 

華麗なパラグライダー裁きで、マンションの上から女の子が飛んでくる。

 

「バッ、バカ! 来るな! この自転車には爆弾が仕掛けられてる! 減速すると爆発するんだ!」

 

女の子がブレークコードのハンドルに足を突っ込み、逆さ吊りの姿勢になる。

 

「武偵憲章1条!『仲間を信じ、仲間を助けよ』――いくわよ!」

 

そのまま、物凄いスピードでまっすぐ飛んでくる。ってマジかよ!

相手の意図が分かってしまい嫌になるが、他に方法もねえし――やるしかない、のか!

 

 

 

 Side 士郎

 

俺がクラス分けされて入ったのは2年A組。その最初のHRで驚きの発言が出た。

 

「先生、あたしはアイツの隣に座りたい」

 

小学生と言っても通用するレベルの背丈のピンクでツインテールの女の子。神崎・H・アリア、だったかな。

彼女は朝助けた男、遠山キンジを指名した。皆一瞬絶句して、クラスの生徒全員が彼の方を一斉に向き、わぁーっ! と歓声を上げる。

 

……この頃の女子高生はかなり積極的なのかな。

 

「な、なんでだよ……!」

 

まあ遠山の方はなんだか嫌そうだが。かわいい女の子が二人も隣にいるなんて両手に花、良い状況じゃないか。

 

「よ……良かったなキンジ! なんか知らんがお前にも春が来たみたいだぞ! 先生! おれ、転入生さんと席変わりますよ!」

「あらあら。最近の女子高生は積極的ねぇー。じゃあ武藤くん、席を代わってあげて」

 

わーわー。ぱちぱち。

クラスに起こる拍手喝采。とりあえず俺もそれに乗っておく。

 

「キンジ、これ。さっきのベルト」

 

神崎がベルトを投げ、それを遠山が受け取る。

 

「理子分かった! 分かっちゃった! ――これ、フラグばっきばきに立ってるよ!」

 

遠山の隣に座っていた金髪の女の子(理子と言うらしい)が席を立ち、話し出す。一つ言いたいがばっきばきでは折れていると思うんだけど。

制服も普通と違う。この学校は制服に厳しくないのか? まあそれでも彼女の話は進む。

 

「キーくん、ベルトしてない! そしてそのベルトをツインテールさんが持ってた! これ、謎でしょ謎でしょ!? でも理子には推理できた! できちゃった!」

 

「キーくんは彼女の前でベルトを取るような何らかの行為をした! そして彼女の部屋にベルトを忘れてきた!

つまり2人は――熱い熱い、恋愛の真っ最中なんだよ!」

 

「キ、キンジがこんなカワイイ子といつの間に!?」「影の薄いヤツだと思ってたのに!」

「女子どころか他人に興味なさそうなくせに、裏でそんなことを!?」「フケツ!」

 

クラス全体が騒がしくなる。彼を知っている人物も多いのか、後々彼は苦労しそうだ。

 

 

 

 Side キンジ

 

「お、お前らなぁ……」

 

俺が頭を抱え、突っ伏したとき――  

 

ずぎゅぎゅん!

 

 

鳴り響いた2連発の銃声が、クラスを一気に凍り付かせた。

 

「れ、恋愛なんて……くっだらない!」

翼のように広げたその両腕の先には、左右の壁に一発ずつ穴が開いていた。

 

チンチンチチーン……

 

バカ理子は前衛舞踏みたいなポーズで体をよじらせたまま、ず、ずず、と着席。

拳銃から排出された空薬莢が床に落ちて、静けさをさらに際立たせる。

……武偵高では、射撃場以外での発砲は『必要以上にしないこと』となっている。つまり、してもいい。まあここの生徒は銃撃戦が日常茶飯事の武偵になろうというのだから、

日頃から発砲に対する感覚を軍人並みに麻痺させておく必要がある。だから、なのだが……

新学期の自己紹介でいきなり発砲したのは、コイツが初めてだろう。

 

「全員覚えておきなさい! そういうバカなこと言うヤツには……」

 

それが、神崎・H・アリア武偵高のみんなに発した――最初のセリフだった。

「――風穴あけるわよ!」

 

アリアは宣言を終えた後、俺の隣の席にどかっと座った。

当然のことながら、自己紹介はまだ終わっていない。それも一人目でこの空気になってしまったのはハッキリ言って最悪だろう。半分が俺のせいみたいな空気になってるのが特に気にくわん。

 

「……え、えーと。じゃ、じゃあ今度は今年転校してきた子に自己紹介してもらいましょうか!」

明るく盛り上げようとする先生の声は聞いていてつらい。絶対に俺のせいではないが申し訳ない。

 

ガタッと音をたてながら俺の右上にいた奴が立ち上がる。どっから来たんだ?

 

「……あー、俺の名前は衛宮士郎。一般高校から来た。趣味は料理で、特技はガラクタいじりかな? あと強襲科(アサルト)に所属するんだけど……これからよろしく」

 

一般高校から転校? そんなことする奴本当にいるのか?

ちなみに子供のころから武偵を目指している奴はたいがい武偵高付属中学校、つまり中学生のころから入ってくるやつが多い。俺も昔はそうだった。そんな風習のせいで一般中学(パンチュー)から武偵高付属中学校(こっち)に転校してくるやつは笑われる。そんな奴は経験も度胸も足りないからな。

それなのにコイツは一般高校から転校してきたらしい。昔はそんな無謀な奴もそれなりにいたらしいが大概の奴はまた転校したり、やめていく奴がほとんどだったと聞いている。

今では武偵高(こっち)に転校してくるバカはいない。それを知っていて来たのか? 衛宮って奴は……

 

 

 

 Side 士郎

 

昼休みにもなると朝のことを忘れたかのように騒がしくなってくる。

武偵高に入るにあたって転校してくる人はここ何年かいなかった。と、面接を受け持ってくれた綴先生は笑いながら言っていた。いろいろ聞かれるかもしれないと言われたけど杞憂だったかな。

 

「シローくんどこの高校から来たの?」

 

……そうでもなかったみたいだ。

 

「穂群原高校って言う田舎の学校だよ。ところでシローくんって何さ? えっと……」

「理子って呼んでね! シローくんは衛宮士郎って名前でしょ? だからシローくんだよ! よろしくシローくん!」

 

そう言い俺の手を取りぶんぶんと上下に振る。

少し会話をした後、外の空気を吸うために屋上へと上がった。

 

屋上に行き、一人で立っていると誰かがやってきた。誰かと思い振り返ってみてみると、先ほどまで質問攻めにあっていた遠山だった。

 

「衛宮……だったか?」

「ああ。えっと、遠山だったかな?」

「ああ」

 

会話が続かないまま時間が過ぎる。

その状況を打破するように屋上に何人かの女の子が喋りながらやってくる。

遠山はそいつらから逃げるように物陰に隠れていく。何となくそれに倣い俺も隠れる。

 

「さっき教務科から出てた周知メールさ、2年生の男子が自転車を爆破されたってやつ。あれ、キンジじゃない?」

「あ。あたしもそれ思った。始業式に出てなかったもんね」

「うわ。今日のキンジってば不幸。チャリ爆破されて、しかもアリア?」

「さっきのキンジ、ちょっとカワイソーだったねー」

「だったねー。アリア、朝からキンジの事探って回ってたし」

「あ。あたしもアリアにいきなり聞かれた。キンジってどんな武偵なのとか、実績とか。『昔は強襲科で凄かったんだけどねー』って、適当に答えといたけど」

「アリア、さっきは教務科の前にいたよ。きっとキンジの資料漁ってるんだよ」

「うっわー。ガチでラブなんだ」

「キンジがカワイソー。女嫌いなのに、よりによってアリアだもんねぇ。アリアってさ、ヨーロッパ育ちかなんか知らないけどさ、空気読めてないよねー」

 

苦虫を噛み潰したような顔をしている遠山に小声で言い、肩をたたく。

 

「お前、苦労してるんだな」

 

遠山はこっちを向いてうなずいてくる。何となく似たところを感じるし、仲良くなれるかもしれない。特に世界が自分に理不尽なところとか。

 

「ところでHRのアレの後に自己紹介してたやつ。あの転校生ってなんなんだろ? 一般高校から来たんだっけ?」

「一般高校なんて受かるわけないじゃん。あれって都市伝説でしょ? それにしてもなんかアイツ怖いよね、目つき悪いし」

「確かにねー。あ、そーいやそいつって強襲科入るって言ってたけど」

「どんな奴なんだろー」

 

話題が自分のことになり少し気まずくなると遠山が俺の肩をたたいて言った。

 

「お前もがんばれ」

 

ここに来て最初の友人ができた瞬間だった。

 

 

 

「あとでな、キンジ」

「またな、衛宮」

 

 

夕方になり、キンジと一旦別れて寮に戻る。ちなみに携帯電話の番号とメールアドレスの両方とも教えてもらった。

こっちに来たばかりで携帯電話を持っていないのだが、まあいい。

今から向かうのは戦場、数多のライバルが存在する場所。互いに究極を求め、高めあう場所だ。

 

ここは学園島であり、新しい武偵を育成する場所である。

つまりここに存在する人の大半は子供であり、寮生活をしている。

もちろん家事は自分たちでやらなくてはならないし、問題があれば自分で解決しないといけない。

だがそんな子供が自分から好き好んで家事をするだろうか? いや、そんなことはない。コンビニで買ってきた弁当を食べたり、カップラーメンなどの手軽に作れるものしか食べないだろう。

俺が今向かっている戦場は学園島にある数少ないスーパーマーケットだ。

自炊する人間が少ないゆえに売り手も少ない。遠出をすればあるだろうが、近隣のスーパーは数えるほどしかない。

だから自炊する者にとってはまさに天の恵みのようなものだ。

数少ない食材を手に入れるべくそこに集まる。つまり戦場(スーパー)である。

この身にはただ一度の敗走もない。負けるわけにはいかない。まあ勝利もないんだけどな……

 

勝った。途中で大和撫子っぽい女の子が「キンちゃんのご飯を返して!」などと言いながら襲いかかってきたが、なんとか勝利を得ることができた。だが、終わっていない。これはまだ準備を整えただけに過ぎない。

戦場(キッチン)へと駆け抜けるのみだ!

 

 

 Side キンジ

 

「なんか食べ物ないの?」

「ねーよ」

「ないわけないでしょ。あんた普段なに食べてんのよ」

「いつもは下のコンビニで買ってる」

「こんびに? ああ、あの小さなスーパーのことね。じゃあ、行きましょ」

「じゃあって何でじゃあなんだよ」

「バカね。食べ物を買いに行くのよ。もう夕食の時間でしょ」

 

いかん。会話がまるで噛み合ってない。

ていうかここで夕食まで食っていくつもりか。早く帰って欲しいのに。

 

ピンポーン

 

 

白雪……じゃないな。たぶんアイツだろう。

一旦アリアを無視して玄関へ行きドアを開ける。

 

「うーん、少し邪魔だったか?」

「なにが邪魔なんだよ?」

「いや、神崎とキンジが話している声が聞こえたからさ。割って入るのは無粋だったかもしれないと思ってな」

 

話しながらも、士郎を中にいれる。

いや、それよりも俺たちの会話を聞いていた? そんなにうるさくしていたのか?

 

「ああ、少し耳がいいだけだから。気にするな」

「心を読むなよ」

 

衛宮士郎。

コイツは今年から、一般から転校してきたらしい。

やりたいことがあるからここに来たらしいのだが、その手のタイプには珍しい人格者でもある。

たいがい強襲科に入ろうとする奴は普通じゃなく、不知火みたいのはほとんどいない。戦闘狂などもいて、戦うためにわざわざ武偵高に来るやつがいるぐらいだ。

 

「ちょっとキンジ、なんでそいつがここにいるのよ」

 

ああ、こいつがいるんだった。どうするべきかな。

そう悩んでいると、見かねたように衛宮が話し出した。

 

「俺は料理を作りに来たんだけど。神崎も食べていく?」

 

おい。下手に災厄を招き入れないでくれよ。

 

「アリアでいいわ。でも料理なんて作れるの? できそうに見えないわよ」

「よく言われるけど、そんなにダメに見えるかな?」

 

てきぱきと準備をしている。背負っていたバックから色々出てくる。

包丁、まな板、フライパンなど料理に使うものを次々に取り出していく。

 

しゅるり、きゅっ。

 

最後にエプロンを着け……!?

 

「衛宮、それって?」

「? 見て分かる通りただのエプロンだけど、どうした?」

 

誰がどう見てもただのエプロンだ。

 

ピンク色で花柄なのを除けば。

 

しかもなぜかやたらと似合っている気がする。

本人は食材と料理道具を持ってキッチンへと向かっていき、アリアは腕を組みながらソファーにどかりと座った。

 

どうしてこうなったんだ?

 

もともとこうなったのは、衛宮が俺の食生活を聞いてきたからだ。

今日もコンビニ弁当で済まそうと考えていたのだが、衛宮が料理を作りに来ることを提案し、半分強制的に決まった。

ちなみに俺がそんなこと気にすることないだろう。と言ったら。

 

「ほう? ではキンジは俺の料理がそこらの大量生産品と同じだと言うのか」

 

と言ってきて、後はそのまま流されていた。口調が変わっていたのは知らん。

意外と負けず嫌いなところはあるらしいが、人のことを思っていてくれる気持ちは伝わる。

そんな衛宮から久しぶりに人の温かみを感じた。

 

待つ間が暇だったので、パソコンでwebを見ていると衛宮が料理を運んできた。

炊き込みご飯、肉じゃが、ほうれん草のおひたし、それに俺が要望した卵焼きだ。

男が作る料理なんて見たことがなかったので、男の料理! とでも言いそうな料理が出てくると思っていた。

だが、意外なことに出てきたのは純和風の料理で、かなりうまそう。これ、白雪以上か?

 

「アンタがこれ作ったの?」

「そうだけど、やっぱ日本料理じゃ不満だったかな?」

 

アリアも驚いているらしいし、俺だって驚いてる。

……もしかしたら衛宮もどっか普通とは違うのかもな。なんたって自分から武偵高に来るぐらいだ。むしろ抱えていないと考えるほうが難しい。

まあ来年にはいなくなる身だし、それまでは仲良くしていくかな。

 

 

 Side 士郎

 

一応喜んでもらえたらしい。やっぱり自分の料理を食べてもらえて、喜んでもらえるのは嬉しい。

思い出されるのはみんなで囲んだ食卓。もうだいぶ薄れてしまったけど懐かしい思い出だ。

こうして誰かと食事するのは久しぶりだ。そういや遠坂は自分の幸せを見つけろって言ってたな。

ただの日常も幸せの一つ。俺にできることは少ないけどやれるだけやろう。

 

「ごちそうさま」

「おいしかった。それにしてもアンタ本当に武偵なの? 料理人じゃなくって?」

「こんなだけど一応武偵かな、少なくとも料理人じゃない。親が家事ができなかったからな、いつの間にかできるようになってたんだよ」

「いや、そんなレベルじゃなかったと思うが」

 

結構普通のことだと思うんだが。

 

「ふーん……ところで士郎、あなたって何者なの?」

「何者かって聞かれても、今年武偵になったばかりのここの生徒だけど」

「まあいいわ、士郎も私のドレイになりなさい!」

「なんでさ!?」

 

奴隷とは人権が認められず、他人の所有物として扱われる者のことを指しているんだが。

つまりアリアは人権を捨てて自分のものになれ、と言ってることになる。

いや、でも、あれ? 遠坂との日々を思い返してみると俺に人権はあったんだろうか?

 

「ちょ、ちょっと士郎大丈夫?」

「なんだ? 俺がどうかしたのか?」

「いや大丈夫なわけないだろ。顔青くなってるぞ」

 

知らないうちに顔に出ていたらしい。この記憶は呼び覚ましてはいけないものらしい。

こんな記憶なら摩耗してほしいものだ。

 

「二人とも心配してくれてありがとう。悪いし、そろそろ帰らせてもらうかな」

 

二人に心配されながらもキンジの部屋を出る。

汗でじっとりとなったTシャツを着続けるのは不快だが、家に帰るまでの辛抱だ。

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