ONE-PUNCH-MAN 一撃男と愛娘のユメ物語   作:叶夢望

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なんということもない日常回です。


十撃目 何気ない日常

とある日の夜、サイタマとジェノスとユメは近場のうどん屋へと向かっていた。彼らは少しでもお金を使わないようにと安値で売られる店を探して、ようやくぽつんと小さく佇むうどん屋へと着いた。サイタマは店内に飾っているメニューが綴られている紙を眺めながらある商品に目が釘付けとなっていた。その商品は大食いチャレンジ専用のバケツうどんという見た目的に衛生上よくないバケツに食品を入れるという思い切った店主の考えの商品であった。

そのバケツうどんを食べきったら賞金五万円であり失敗したら一万円というなかなかリスクがある挑戦でありサイタマ一行はそれに挑戦する事にした。

 

「わたしはお子様バケツうどんね!」

「う~ん、本当はないけど特別だよ?賞金と罰金は半分になるがいいかい?」

「うんっ!いいよっ!」

「あいよ!」

 

ユメの提案にサイタマもそれがいいと店主に伝えるが、店主は首を横に振った。それもそうだろう、店主は思いつきでお子様バケツうどんを作る事にしていたので大人にとってはそこそこ簡単な挑戦であると思まれる。それを大人がやるというのは安値でうどんを売るうどん屋として赤字になるのだろう。

 

「へい!バケツうどん二丁にお子様バケツうどん一丁お上がりよ!」

 

サイタマとジェノスの前には5Lの水が入るほどのバケツにうどんが大量に詰め込まれスープも大量に入れられていた。一方、ユメの前には2Lほどの水が入るほどのバケツにうどんがそこそこ入れられてスープもそこそこ入れられていた。

「うぅんまっ、うぅんまっ」と感想を言いながら食べるユメの嬉しそうなリアクションをよそにサイタマとジェノスもうどんを胃の中に詰め込むが、サイタマはダウンし、バケツうどんを食べきれなかったがジェノスとユメはペロリと食べきっていたのだ。

 

「ぷっはぁっ、美味しかったぁ~」とユメの腹が少しプックリと膨らんでいてその腹をさすって口の周りを舌で舐め回してした。その様子を見た客はのちにこう語った。

「あの時も手軽に通えて安値で済ませられるうどん屋で店自慢のうどんを食べていました。そして見知らない三人が来店しましてね?ああ、ワタシは常連で毎日昼か晩に利用しますし、そのおかげで知り合いも出来ていろんな客の情報を得ているのですよ。ですのでその三人をワタシは知らないのですよ。そしてその三人は大食いチャレンジのバケツうどんを頼みましてね?一人は小さな女子でして、その女の子は子供用のバケツうどんを頼んだのですよ。常連として子供用のバケツうどんの存在なんか知らなかったんです。店主は子供の頼みに弱いのですかね?あはは・・・

話を戻しますが、客の一人であるハゲた人はその挑戦に失敗しましてたが、もう一人の機械みたいな人は難なくクリアとなりましたよ・・・え?小さな女の子はどうかですって?なんと成功したのですよ。四~五人前のうどんをペロリ、ですよ?信じられませんよね?でもその女の子は苦しそうな顔をせず、逆に幸せそうな顔をしていましてね。常連としても店主さんにしてもその顔を見たら今日も明日も頑張ろう、という気持ちになりましたね」

 

その客の口コミによりうどん屋は人気となり、うどん屋はしばらくごった返しの長蛇の人の行列がズラッと並ぶまでとなっていた。

 

時が戻り、サイタマ一行がうどん屋を出ようとしたが、背の高いスラリと細い身体のイケメン風の若い男性がジェノスに用があるというのだ。その彼はヒーローでありイケメン仮面アマイマスクという名で通称アマイマスクと全国のファンから呼ばれていて、そのアマイマスクはA級一位の強者らしい。

 

「なんだ?そのA級一位がオレに何の用だ?」

「少しだけ話したいから外に出てくれ」

「分かった、話しだけだぞ」

 

ジェノスはユメをチラリと見て心配していた。ユメはお腹いっぱいで眠たくなるという子供特有の特性があり、ユメの弱点の一つであろう。ユメはコックリコックリと頭を揺らし眠り眼で目がトロンとなっていた。いつからかユメの親かそれに近い何かになったような気分のジェノスはアマイマスクに外に連れ出され、話を聞く事にしてやった。

 

「お前、特例でS級になったな?あの子供も一気にA級となったが僕はどうでもいい。しかしだ、プロヒーローとして常に美しい正義の象徴となり、それは僕の誇りだ。それがS級となればなおさら自覚しなければならない。ところでプロヒーロー認定試験はどうだった?」

「あんなものどうということもないし、時間の無駄だったな。話は終わりか?俺は心配事があるから急ぐ必要がある」

「へぇ?キミほどのS級のヒーローが心配事だって?しかも急ぎの用?それはただ事ではないね?僕が手伝ってあげようか?」

「お前の出る幕は無い、消え失せろ」

「ふふふ、消え失せろ、か。分かったよ、それから最後に一言伝えておこう、僕はキミを歓迎するよ」

 

アマイマスクは言うだけ言ってジェノスの前から消え去っていった。一方、ジェノスとアマイマスクが話していた同時刻ユメはサイタマの身体に寄り添うように身体をベッタリとくっつかせスゥスゥと静かに眠っていた。

若い女性客の数人はそのユメの様子を可愛い可愛いと褒め称え、褒められて嬉しいかそれとも夢の内容が楽しいからかだらしがない笑みを浮かべ「でへへ~」と小さく笑い声を出していったので、若い女性客らはユメを起こさないような声で「うわーっ、かーわーいーいー」とはしゃいでいた。

 

「・・・ヒーローとしてじゃなくてもユメが目立ってる・・・」

 

サイタマは全然目立っていない事にほんのり涙を流して落ち込んでいるところにジェノスはアマイマスクとの会話が終わったのかサイタマのもとへと戻っていた。

 

「・・・やはり、か」

 

ジェノスの視線の先にはユメがサイタマに寄り添い無邪気な寝顔で寝息を立てて眠っている姿があった。ジェノスの心配事はユメの事であり、少しでもユメの傍に居たかった。その感情は恋や愛などの愛情ではなく、絆と呼ばれるような関係を築きたいジェノスは、ユメの口周りに垂らしてあったヨダレをティッシュで拭いてあげて、ユメの顔が綺麗になった事によって気持ちが晴れやかになっていた。

 

「よぉ、ジェノス。アイツ何て言ってたんだ?」

「プロヒーローとして歓迎されましたよ。なんでもいきなりS級ヒーローとなった俺が異例すぎてヤツに興味を抱かれました。俺はヤツに全然興味は無いのですが」

「そうだったか・・・俺もアイツ初めて見たから興味は無いぞ」

 

サイタマとジェノスの会話をよそに数人の女性客がジェノスに駆け寄りサインや握手を求めていた。その彼女達が言うにはアマイマスクはプロヒーローとして働くだけではなくテレビや歌などメディアにがんがん前に出て人気を集めていてヒーロー人気ランキングはずっと一位しかとらないほどの人気者となっていて、その人気者と知り合いのジェノスにお近づきになりたいようだ。

 

「あのアマイマスクというヤツとはそんなに会わないと思うがいいのか?」

「もっちろんでーす」

 

ジェノスは数人の女性客に握手を交わし、うどん屋から出ていくサイタマ一行はバケツうどんの挑戦成功による賞金を手にし自宅へと戻っていく事にしたがジェノスは真剣に悩んでいた。強すぎるサイタマと弱点だらけだけど強いユメの元にこのまま弱いままでいいのだろうか?彼らのように強くなるにはどうしたらいいのか分からないけど、それでも動かずにはいられないのだ。

 

「先生、俺は一旦出直し来ます。師匠に少し遅れますが帰ってきますとお伝えください」

「ん?ああ、いいぞ、またな」

「はい、俺はここで。また来ますね?師匠」

 

ジェノスはサイタマの背に掴まり眠っているユメの頭を撫でてユメは擽ったそうに微笑み、その笑みを見たジェノスも少しだけ微笑みを浮かべ一礼して彼らの前から姿を消していた。

当初の自分の故郷や家族の仇をとる為だけに強いサイタマやユメの弟子となり強さを得ようとしていた。だけどその夢は二の次三の次となっていて、今の気分はサイタマやユメの背中ぐらい護れるぐらいには強くなる事しか考えられなかった。

 

「強さとは、一体何なんですか?先生、師匠」

 

力だけでは成せないであろうサイタマとユメの強さにジェノスは焦っていた。でも、少しずつ少しだけでもいいからと力を確実に得る事を目的にし、ジェノスをサイボーグ手術を施してくれたクセーノ博士が居る研究所へと向かっていた。

 

「おお、ジェノスか、どうした?」

 

クセーノ博士は年老いた科学者の老人であり髪型がキノコのような特徴で近所のクソガキからキノコ博士と呼ばれているらしい。そんな事よりもとジェノスはクセーノ博士に強さとは一体何かと聞いてみた。

 

「うぅむ、強さとは、か・・・なかなか難しい問題を出しよるな。ジェノスはその問題を解決したいのか?」

「はい・・・ですが、強さを知ってもその強さを手に入れる訳でも無いので、どうしたらいいのかと不安で仕方ありません」

 

クセーノ博士は顎に手を添えて考える素振りをした。クセーノ博士としてはパーツやシステムをジェノスに組み込んで戦闘力アップとして強さを促す事は出来る。だけどジェノスは純粋な力ではなく他の力を欲している様子だ。しかし、その答えを知っても正直にジェノスに答えてもいいんだろうか?その答えはジェノス自身に託さなければならないのだろう。

 

「ジェノスよ、純粋な強さが必要ならばワシは手伝える。じゃが、そうじゃない強さを知りたいならば師匠を持て、そして学べ」

 

ジェノスは脳裏にサイタマとユメの姿が現れた。サイタマとの戦いの記憶とユメとの楽しい記憶がジェノスに襲いかかりジェノスは彼らとの体験にどこか彼らの強さを感じていた。純粋な力ではなく、他の力を。その力はジェノスには理解出来ないけど、ジェノスには師匠が二人も居るのだ。だからいつしか本当の強さを知る日が来るのだろう。

 

「はい!俺は必ず強くなります!俺にはクセーノ博士はもちろん先生と師匠がついていますので!」

「そうかそうか、師匠が三人も居るのか、ジェノスは幸せ者だの。どれ、面白いパーツを開発したから装着してやろう。開発室に来いジェノス」

 

クセーノ博士の案内のもとジェノスはパーツを組み込み、戦力増強を試みる事にしたのであった。

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