ONE-PUNCH-MAN 一撃男と愛娘のユメ物語   作:叶夢望

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ようやくユメの強さを示す話となります。
オリジナル怪人が出てきます。それに伴いオリジナル展開があります。


十一撃目 一撃男と二撃娘の初仕事

サイタマとジェノスとユメがプロヒーローとなって五日が経とうとしたある日の朝、サイタマとユメは亡きサクラの仏壇に手を合わせて今日も頑張りますと伝え、笑みをこぼしているサクラの遺影は彼らを見送るような気がしていた二人はお互いは見つめ合って微笑んでいた。

サイタマはプロヒーローとして何も活躍していないが、ジェノスはS級の大型新人ヒーローとしてあちらこちらに引っ張られ最近顔を見せていなかった。しかし、しばらく出直すというジェノスが一旦師弟関係を解除して力を蓄えているついでに何らかの事件を解決しているのだろうとサイタマとユメはそう思う事にした。

ユメは昨日一人でZ市付近を白いマントがついた桜色のバトルスーツを身につけてウロウロとパトロールしていたら奇妙な怪人を見つけたのだ。

 

「オレっちの名はところてん男爵だ!テメェら!主食をところてんにしろー!ジャガイモでも可!」

 

見た目がところてんのような水色の透明な人型の身体をしていて身長がニメートルはある。その身には黒いハット帽子に黒いマントを身に纏い手には先端にジャガイモが飾られた茶色の杖が持っていた。そのところてん男爵が言うには地球人が主食が語り寄りすぎているからとその主食を変えろという主張をしてZ市付近の住民を攻撃したり、建物を破壊したり、Z市付近の特産物をところてんとジャガイモにしようとしたりと大変迷惑な怪人であった。そんな彼の危険性は災害レベル虎である。

 

「やい!お前!悪い人だね!わたしが成敗してあげる!覚悟してね!」

 

そのところてん男爵の前にユメは立ちはだかった。身長100センチそこそのユメは頬を膨らませて怒っている様子だったが、身長差がありすぎて上目遣いで目をウルウルとさせるユメの姿にところてん男爵は思わずときめいたが、なんとか耐えた。

 

「ふんっ!お前なんかに何が分かるんだ!ところてんなんぞ食べないんだろ!?ジャガイモを主食としないんだろ!ガキのくせに!」

「わたし全部好きだよ?ところてんもジャガイモもみんなみんな好きだよ?ホントだよ?」

「嘘つきのガキが!くらえ!ところてんアタック薄味!」

 

ところてん男爵は怒りを覚え、自分の身体からところてん(薄口醤油味)を直径5センチの塊を何個も発射し、その全てをユメはくらった、否、喰らった。その何個かのところてんの塊をリスのように頬を膨らませながらモゴモゴと口を動かしていた。

 

「もにゅもにゅ・・・ごくんっ。うーん、ポン酢か黒蜜がおいしいと思うなぁ」

「な、なぁにぃぃー!?ポン酢か黒蜜かだと!?こ、コイツ、できる!」

 

ところてん男爵は戦慄した。目の前にいる幼気な少女は今まで戦ってきた猛者よりもずっと強者という事実に恐怖で身体中が震えてきた。しかし、やらなければやられてしまうのでユメに向かってところてん男爵は走って行った。

 

「くっ!ならば蒸しジャガイモアタックだ!今度こそ貴様を倒せるオレっちの奥義だからな!」

 

ところてん男爵は杖から無数に熱々の蒸しジャガイモが放たれ、ユメに襲いかかった。そしてユメはそのところてん男爵が放った攻撃を全てくらった、否、また喰らった。あまりにも熱すぎるのでユメは口から湯気が出ていて、「もふっ、もふっ、もふっ」と言いながら熱さと食べづらさでところてん男爵の攻撃に苦戦していた。

 

「くくく、貴様もそこでおしまいだ!熱々過ぎて舌をやけどしてまともにしゃべれまい!しかし、ここまで激しい戦いは生まれて初めてだ!褒めてやろう!小娘よ!」

 

彼らの戦いに付き入れられる隙はなく、見るだけでも観客であるZ市付近の住民は手に汗を握っていた。彼らの戦いはそれほど激しくありどちらが勝ってもおかしくはない名勝負となっていた。しかし、ユメはようやく熱々のジャガイモを食べ終わり、ゴクリと喉を鳴らし、口の周りを舌でペロリと舐め回して、プックリと膨れたお腹を擦って一言。

 

「バターと塩辛が欲しかったなぁ、もしくはお味噌」

 

ユメの一言によりところてん男爵は溶けてなくなった。それもそのはず、挑んではいけない者に挑んでしまった後悔で心が折れて無残にも消えてしまった。ところてんを漢字で書くと心太なので心が無くなるとただの太になるので太男爵として過ごさなければならなかった。それが嫌で嫌で自分から命を消し去ったのだ。

 

「強かったよ、ところてん男爵」

 

ユメは身体をビシッと気をつけの体勢で無意識に敬礼した。あそこまで白熱した戦いをしてくれた怪人に敬意を表せずにはいられなかった。ユメの弱点の一つとして食べ物は粗末には出来なくて毒や腐臭物以外の食べ物ならば食べてしまうのだ。それを出した者が善悪問わず疑わずに出された物は食べるという弱点があった。

 

そして現在、ユメはプロヒーローとして初仕事を終えたのでZ市プロヒーロー協会支部からほんの少しだが資金を得る事が出来たのだ。

 

「なぁ、ユメ、退屈だよなぁ、何も事件なんかないよな?仕事した?」

「仕事したよパパ。苦労したけど」

「そーだよなー、プロヒーローだから仕事・・出来たのかよ!?嘘だろ!?嘘だと言ってくれ!」

 

サイタマは必死だった。父親である自分よりも仕事を済ませたと言う娘に威厳が保たれなくなる。更には働かないパパなんか嫌い、だなんて言われてしまったら絶対に立ち直れない自信があった。更にはC級ヒーローであるサイタマは一週間以内に成果を出さなければヒーロー名簿から除外されるのだ。もしそうなったら無職と成り下がり、ユメやジェノスに白い目で見られるのは明らかであろう。

 

「よし!オレパトロールに行ってくる!ユメは着いて来てもいいが怪人や悪者には一切手を出すなよ!?分かったか!」

「むぅ・・・はぁい」

 

ふて腐れて頬を膨らませていたユメをよそにサイタマは白いマントがついた黄色いバトルスーツを身に纏い、サクラの仏壇に手をこすりながら願っていた。どうかオレにサクラの加護がありますように、と。サクラはそれに応じているのか、はたまたサイタマの父親としての威厳が無くならないようにと必死な願いに呆れかえっていたのかサクラの遺影は微笑んでいた。

 

「よぉし!なんかパワーを手に入れた!やるぞー!」

 

サクラの想いを受け取ったサイタマは桜色のバトルスーツを身に纏ったユメの手を繋ぎ、我が家から出て行った。それを見ていたサクラの遺影は彼らを見送るようにポツリと何かを伝えたような気がしていた。怪我をしないでね、と。

 

所変わってサイタマはユメを連れてZ市やその付近の市をパトロールして悪者を血眼で探すが、目が血走っているハゲ男が幼女を連れている姿に住民は恐れを抱いた。絶対に誘拐犯か何かであるとそう思うしか無いのだ。それ以外の不審人物は存在せず、街や市は平和そのものであった。

 

ヒーローとなってから六日目となった朝、ジェノスがサイタマ宅に訪問し、ようやく師弟関係として修行をする事にしたジェノスは強くなりたいからアドバイスをくれとサイタマとユメに頼み申した。ユメは首を傾げ「筋トレは要らないでしょ?だったらジェノスくんは機械だし変形したらいいんじゃない?それか何かと合体でもいいと思うよ」と子供特有の発想にジェノスは「なるほど!オレには足りない物でした!さすが師匠!」とユメを褒め称え、ユメはだらしがない顔でデレデレと照れていた。

 

一方サイタマは必死に悩んでいた。ユメに先を越されそれらしい理由をつけられてたので正直にユメと同じ考えであった。機械だから筋肉が必要無い、いやそもそも筋肉自体は無いのだろうから、強さの増強としてユメが言ってた通りにパーツを付けたりパーツの性能を高めたりするしか無いのだ。

 

「先生!先生も何かアドバイスをお願いします!」

 

ジェノスは真剣な顔をしてずいずいとサイタマに近づいてきた。サイタマはたじろぐながら必死に頭を悩ました。純粋な力ではなく、もっと何かが・・と深く考えるサイタマの脳に電流が走る。

 

「精神だ!不屈の精神になるくらい鍛えろ!いくら肉体を鍛えたってそれを上手く扱えなかったらもったいねーだろ!という事でS級10位以内を目指せ!それくらいの高みになれば精神を鍛えられるし、おのずと力もつく!一石二鳥だ!だからしばらくはそれが修行内容だ!ジェノス!」

「なるほど!分かりました!」

 

ジェノスは早速行動し、サイタマ宅から出て行った。しかしサイタマも何か行動をしなければならず、バトルスーツを身に纏いユメと共に外へ連れ出した。しかし、今日も街は平和そのものであり怪人の姿も悪党の姿も存在しなかった。

しかし何者かがサイタマの目に向けてクナイを投げ込まれ、ユメには何故か奇妙な小さな玉と竹と何かの巻物が腕に投げ込まれていた。サイタマはクナイを普通に素手でキャッチし、ユメは急に現れた忍具らしき武器に興味津々の様子で目を輝かせていたのだ。

 

「ほう、また見切ったか、サイタマにユメよ」

 

音速のソニックがZ市の中心の交差点に現れ背には刀が装備され動きやすいように忍鎧を外し、全身に黒い忍装束を身に纏いサイタマとユメの前に立ちはだかった。

 

「お、お前はっ・・・えーと、なんだっけ?・・・あっ、思い出した!関節のパニック!」

「音速のソニックだ!身体の節々が混乱している訳ではないぞ!サイタマ!」

 

サイタマとソニックの掛け合いにユメは身体をフルフルと震わせていた。面白くて気に入っているソニックに会えた事に嬉しさを感じて、満面の笑みを浮かべソニックに素早く突進し、その突進のスピードが速すぎてソニックは避けきれずにユメの頭がソニックの胸元に直撃し、ソニックはユメに抱きつかれたまま5メートルは吹き飛んだ。この技は「パパ労いシリーズ パパ大好き」という名らしい。

 

「忍者だ!忍者!武器ありがとうね!大事にするよ!わたし忍者の事好きー!」

 

ユメの突進で一瞬意識を失ってしまったソニックは満面の笑みで抱きつくユメを何とか振り解こうとしたが、どうやってもひっつくので仕方なくその状態のまま背にある刀を抜いてサイタマの顔に切り込んだはずだった。

 

(とらえた!ーーっ!!?)

 

サイタマは口で刀を噛み砕きソニックの技を見切っていた光景にソニックは戦慄した。いくらユメのような軽くて小さな子供がひっついているとはいえ、音速を超えるスピードにまたも見切っていたなんて信じられなかった。

 

「クソッ!おいユメ!そろそろ離れろ!うっとうしい!どうなってんだ!まるで接着剤のようにくっつきやがって!」

 

ソニックは未だに抱きつくユメを振り解こうとするも、ユメは「やぁだ~、かまって~」と駄々をこねて猫なで声を発してソニックの胸元に顔をスリスリとさせてユメは目をトロンと幸せそうな顔をしていた。これもユメの技であり「駄々シリーズ もっとかまって」であり、ユメが満足しないとどう足掻いても離れてくれない拘束技であるが、拘束された者は身動きが出来るという未完成の技である。

しかし、住民達はサイタマが悪党かもしれないと思い込み、近くに居たタンクトップタイガーという体格がいい短い金髪の若い男性で、知名度はそこそこ高いヒーローであり、彼は虎柄のタンクトップを着用し、虎っぽい雰囲気で戦うヒーローを呼び、悪党らしきサイタマを倒せと言うのだ。ちなみに彼はC級6位のヒーローらしい。

 

「そこハゲ!お前が最近睨みながら街中走り回っている不審人物だな!?お前なんかオレの虎のような雰囲気で戦ってくってやるわー!」

 

タンクトップタイガーは大きく口を開けて両手を広げ虎のように爪を立てながら腰を低くして、まるで虎のような雰囲気で戦闘準備を整えて、サイタマと相見えようとしていたのであった。

 

 




タンクトップタイガーとの戦いは次回に続く・・しかしそんなに長引きません(笑)
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