ONE-PUNCH-MAN 一撃男と愛娘のユメ物語   作:叶夢望

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二~三話くらい深海王回を続けます。


十六撃目 深海王登場

母なる海の様子がおかしいとヒーロー協会は調査を進めるとどうやら海に怪人が多く存在し各市の海付近で災害レベル虎や狼といった非常に危険な災害が起こっていたのだ。ちなみに災害レベル狼は怪人出現などの危険因子が存在し、彼らに遭遇したらただでは済む事はない。その上の災害レベル虎は多くの人命の危機でありA級ヒーローが返り討ちにされる事も珍しく無いという危険が各地で相次いでいた。

サイタマはヒーロー協会の命令なしで自分勝手に各地の海付近で怪人を倒していたがジェノスやユメはヒーロー協会からちゃんと命令されて各地に派遣されていき、次々と怪人を倒していった。

 

そんな彼らの貢献はヒーローランクアップされる事となり、サイタマはC級6位からC級2位となり、もうすぐでB級ヒーローへと昇格する一歩前であった。ジェノスはS級17位と変わらなかったがヒーロー協会はジェノスの実力を本物だと確信し、色んな任務に行かせられる信頼をジェノスは得た。ユメはA級14位からA級7位となり、S級ヒーローとなる日も近くはないとサイタマとジェノスは興奮気味でユメを褒め称えた。

 

そんなある日の事、サイタマ宅でサイタマ、ジェノス、ユメはのんびりとリビングでくつろいでいたところジェノスの携帯電話から呼び鈴が鳴り、ジェノスは携帯電話を取り、何やら緊急事態なのかヒーローがどうしたとか怪人がどうのとか言った後、ジェノスは携帯電話をパタリと閉じた。

 

「先生、師匠。海にいた怪人はどうやら魚人族と名乗るヤツらでして、その仲間らしき魚人族がJ市に現れ暴れているそうです。そこに居合わせたA級ヒーローがそれを撃退しているそうですが、苦戦しているようです」

 

ジェノスの説明を受けたサイタマはテレビをつけ、今ちょうどJ市の報道があってA級11位のヒーロースティンガーという若い男性が槍先がタケノコのような形状の槍を使いながら魚人族と呼ばれる数体の怪人を倒していたが、肩で息をするようにゼェゼェと疲れている様子がテレビで報道された。それを見たサイタマとユメはバトルスーツを身に纏いサクラの仏壇に手を合わせ、サイタマ一行は家を飛び出すように出て行った。

一方、スティンガーは疲れているからといって諦める男ではなかった。目の前にいるタコやカメやカニみたいな魚介類の魚人族を次々と倒していった。

 

「唸れタケノコ!ギガンティックドリルスティンガー!うおおおお!」

 

タケノコの槍を相手に思いっきり突く技であり、その技で全ての魚人族を倒していて、その数はなんと十匹ほどだ。災害レベル虎以上の怪人数体を一人でやっつけるというのは彼はかなりの実力者で天才なのだろう。

 

「は、は、ははははは・・・やった、やったぞ!俺は強い!俺は強かったんだー!」

 

スティンガーは思いっきりガッツポーズをして喜びに満ちあふれていた。しかし、その喜びも束の間であり、何者かに思いきり腹部を殴られボキッとあばらの骨が何本も折れるほどの大きな音がした後、彼の意識は途絶えた。

 

「あのね、あなた不快だから死んでも構わないわよ」

 

スティンガーを戦闘不能にした者は魚人族の王であり、深海王という名だ。彼は身長は3メートルあり、筋骨隆々とした姿で、頭は王冠を被り、顔の横は大きなエラがあった。乳首はハート型だが、彼曰くその方が美しいからそうだ。そんな彼の出現にJ市は大パニックとなっていた。緊急避難速報がJ市に大音量で流れ、しかも災害レベルが鬼となるほどの危険があると住民に知らせるもやはり交通機関などが混乱し、逃げ切れずにいた。

災害レベル鬼とは一つの町の機能停止もしくは壊滅の危機でありS級ヒーローは、このクラスを単独で対処できる事が必須となるが、上位になるとS級ヒーローでも返り討ちにされる事があるという非常に危ない危険さだ。

 

そんな危険な人物に高層ビルの屋上で一人深海王に望遠鏡で視線を送るヒーローがいた。彼はA級19位のヒーローイナズマックスであり、筆先みたいに尖った金髪と頬に稲妻の刺青が特徴の彼は深海王の様子を探るしかなかった。そんな時、視線を後ろから感じてしまったイナズマックスは後ろを振り返ると先ほどまで遠くから見ていた深海王がそこに薄ら笑いで現れたのだ。とっさにイナズマックスは得意の火薬を仕込めた電撃を帯びた蹴りで深海王を蹴るも、両腕で防がれたのか全然効かなかった。

 

「なぁにしてくれるのぉ?ビリッときたじゃない?まるで恋みたいだわ。だからお返事しなきゃ、ね!」

 

深海王はイナズマックスを素早くかつ骨を砕くような右ストレートを腹部へと直撃しイナズマックスは吹き飛び数メートル先のビルまで飛んでいき、そのビルのどこかの部屋の窓をぶち破って何度も床を転がり続け、その部屋の壁に背から激突し、イナズマックスはフラフラした足取りで立ち上がり、その場にまた深海王が現れたので火薬を仕込めた電撃を帯びた後ろ回し蹴りで何度も深海王を蹴り続けたが、全然効いていなく深海王の顔面パンチでイナズマックスは戦闘不能になり今いるビルから外に飛び出し、そのままであったら硬い地面に激突し全身の骨が折れるかもしくは死ぬかもしれなかった。だが、大きな一つの影がイナズマックスをかばうように素早く助けた。

 

「よかった、あなたに会いに脱獄してきた甲斐があった。あとはこのS級17位ヒーロー、ぷりぷりプリズナーに任せろ」

 

彼は身長220センチという巨漢であり、筋肉隆々でもある。頭はアフロヘアーのように小さくモコモコとした髪型をして眉毛はなく分厚い唇に二つに割れた顎が特徴であった。しかもその彼、かなりの男好きであり気になった男子は全員チェックし、ありとあらゆる男性を襲ってしまうために、ヒーローでありながら服役・脱獄を繰り返していて、今回の事件が終わったならまた服役となる身である事は間違いはなかった。

その彼の影にもう一人細い影が現れた。その人物の名は音速のソニックであった。脱獄しようとしていたぷりぷりプリズナーをたまたま目撃し一緒に逃げる事を企んだのでぷりぷりプリズナーにだまって着いてきたのだ。そんな二つは脱獄犯なので全身白黒の縞模様の服を着ていたが、ぷりぷりプリズナーはその上にピンク色のセーターを着ていて胸元には大きくハートマークが綴られていた。

 

「ふ、俺にはやる事があるんでな・・・ヤツらを倒すまでは絶対に諦めたくないからお前の脱獄に着いてきた。礼を言う」

 

ソニックはサイタマとユメの姿を脳裏に浮かばせ、闘争心を燃やしていく。何度も攻撃を防いだサイタマと何度も抱きついてひっつくユメをなんか倒したい。だから目の前にいる邪魔者を排除しなければならなかった。それに隣にはS級ヒーローぷりぷりプリズナーがいるから少しだけ安心出来る。そのぷりぷりプリズナーが一歩手前に進み深海王と対峙するように立ちすくんだ。

 

「ソニックちゃん、ここは俺に任せて。A級11位スティンガーちゃんとA級20位イナズマックスちゃんは俺のお気に入りだった。だけどあのバケモノが壊したから許せない」

 

ぷりぷりプリズナーはまず手始めにと半分程度の力を解放して全身の筋肉をモコモコと動かしたが、ピンク色のセーターが破れた。そのセーターはぷりぷりプリズナーの彼氏(自称)がぷりぷりプリズナーの事を想い(気のせい)一つ一つ丹精を込めて(やらないとキスされるから)愛情がたっぷりと注いで作ったであろう(無心だった)セーターが破れたのだ。悔しい気持ちがぷりぷりプリズナーを襲った。

 

「ああああ!彼氏の手編みのセーターがああああ!あなただけは許さああああん!」

 

ぷりぷりプリズナーは怒っていた。彼氏の手編みのセーターを破いた深海王が(自分で破いたのに)許せなかった。そして自分自身の事も怒っていた。なんて無力なんだ、彼氏の愛を何故守れなかったのか自分で自分を許せなかった。そんなぷりぷりプリズナーの顔に深海王は殴った。それを反撃するようにぷりぷりプリズナーも深海王の顔を殴り、腹部も殴った。両者力勝負であり、深海王はほんの少ししかダメージを負わなかったが、ぷりぷりプリズナーは深海王の拳が強かったのか顔が少しだけへこみダメージを負っているようだった。

 

「仕方ない、変身するか・・・いくぞ!エンジェルスタイル!」

 

ぷりぷりプリズナーは本気を出す事にした。深海王の強さが異常なほど強いのでいつまでも本気を出さなかったらやられるのだ。それに深海王が他の男子達を壊す恐れがあるので男好きのぷりぷりプリズナーは彼らの知り合いとなるべく深海王を本気で排除するつもりである。

そしてぷりぷりプリズナーは本気を出した。全身の筋肉を膨張し、思いきり力そのもので戦う意識を見せていた。しかし、ぷりぷりプリズナーは全裸であった。全身の筋肉が大きすぎて服が破れて全裸の筋肉隆々のおっさんが見るに堪えない姿であったのでソニックは少しだけ吐き気がした。

 

(ぅ・・・気持ち悪い、本当に吐きそうだ)

 

そんなソニックの調子をよそにぷりぷりプリズナーは深海王を全力で倒すつもりで殴って殴って殴り続けた。エンジェルラッシュとか叫んで殴り続けているけど、ソニックとしては全裸の気持ち悪い男が暴れているので悪夢でしかなく、名づけるならばナイトメアラッシュであった。しかしその技は深海王に全く効果が無く、深海王は黒い笑みを浮かべニヤニヤと笑っていた。

 

「ダメね、あなた。ワタシを倒すつもりできたんでしょうけど、ホントにダメね。ワタシを倒すなら殺すつもりできなさい。だから連打は一打一打殺意を込めて相手を確実に仕留めるように打ちなさい!」

 

深海王はぷりぷりプリズナーにそう伝えた瞬間、ぷりぷりプリズナーの全身を殴りありとあらゆる骨を砕き、蹴りでトドメと言わんばかりに思いっきり蹴り上げて数メートル先の建物に激突させた。そして深海王はソニックに挑発するような黒い笑みを浮かべ、手招きしていた。

 

「次はあなたの番かしら?それとも逃げるのかしら?」

「ふっ、誰が逃げると言った?俺はヒーローじゃないがそれなりに抵抗しよう。それにお前のスピードは見切ったから倒せるだろう」

 

ソニックは音速を超えるスピードで深海王の周りを残像を作りながらありとあらゆる攻撃をした。蹴りや拳、クナイや手裏剣など絶対に見切れない攻撃を与えるも、深海王の身体が堅いのか、全然効果はなかった。そんな時、空から雨が降ってきた。そのおかげだからか深海王は姿を変え、5メートルは超える大きな身体となり顔は魚になるという姿に変貌した。深海王は雨が降ると本気になり、力やスピードが格段に上がり、ソニックのスピードを簡単に追いつき、大きな手でソニックの身体を握りしめたはずだった。だけどソニックは服と武器を捨て、何とか脱出した。

 

「ふ、まさか空蝉の術がここで役立つとはな。あのガキが見たらやかましいな」 

 

ソニックはユメに少しだけ感謝しつつ近場のアジトへと向かおうと全裸で走り出すと、サイタマと一緒にJ市に向かったけど見失ったユメの姿とジェノスがソニックの目の前に現れたのだ。

 

「あー!忍者!忍者だ!裸の忍者だ!わぁい!」

 

無邪気に笑うユメとソニックを冷たい目線で変質者だと思い込むジェノスはソニックに何事が起こっているのか聞くと、ソニックは付近に居るであろう深海王の存在を教え、更にはその深海王に挑むのは止めろと忠告した。だけどその忠告を素直に聞く二人ではなかった。

 

「ヤダ!いくら忍者が止めろっていってもわたしがその悪い人やっつけるもん!お魚なんか怖くない!焼くか煮て食べちゃえ!もしくはお刺身にして食べちゃえ!」

「さすがです!師匠!俺も同意見です!ですが怪人を食べるのはさすがに危険なので帰りにスーパーにでもよって魚を買いましょう!」

「わぁい!今日はお魚料理だ!やったー!」

 

ユメは魚料理が好きなのか大はしゃぎでジェノスの腹にぴょんと飛びつき抱きついた。甘えてくるユメの頭をそっと撫でてユメはだらしがない笑顔を浮かべながら「でへへ~」と笑い声をもらしていた。そんな彼らの行動にソニックは言っても無駄だと理解し、彼らの前から姿を消した。そんなソニックを見送ったジェノスは複数の生命反応がしたのでユメに伝えた。

 

「・・・!師匠!近くに複数の生命反応に一つの生命反応が近づいています!そこは災害避難所なのでおそらく深海王とやらはそこの人々に手を出すかもしれません!」

「うんっ!そこに急ぐよ!ジェノスくん!」

 

二人はバタバタと急ぐようにJ市災害避難所へと向かう事にした。一方、ジェノス、ユメとはぐれたサイタマは一人寂しくJ市を彷徨い続けていていたのである。

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