ONE-PUNCH-MAN 一撃男と愛娘のユメ物語   作:叶夢望

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ヒーロー認定試験回です。


八撃目 テストを受けるヒーロー希望者たち

全国にあるヒーロー協会にある施設にてプロのヒーローとして筆記と体力のテストを実施し、そのテストの点数が一定以上の水準を超えた時、その者はヒーローとして認められ、ヒーローと名乗る権限が与えられる。

ヒーロー協会に認められた者はプロヒーローとしてヒーロー協会に寄付された募金や資金が働きの成果により贈与される。

世間一般にヒーローとはヒーロー名簿に登録されたプロヒーローの事であり、いくら個人でどんな活動をしたとしてもその者は自称ヒーローであり、その者は嘘の妄言を放つ変態と思われ世間一般に白い目で見られる事がある。

その事をヒーロー協会公式ホームページで知ったサイタマは歯ぎしりしながらパソコンを睨み怒った表情を浮かべ、ユメはポケ~と呆けながらパソコンを眺めていた。

 

「つまりわたし達はヘンタイなの?パパ」

「っ!?違う!いや、違わない、のかな?とほほ」

 

娘から変態呼ばわりされた父親の心中はいかがだろうか?父親のパンツや靴下などを娘の服と一緒の洗濯機に入れないでと言われたような心中なのだろう。今のサイタマの心中はまさにそれなのだ。

 

「いかがいたしますか?先生。俺としてはヒーローになるのはどうでもいいですが、強くなりさえすれば良い事なのです」

「え?お前ヒーローじゃねぇの?ならお前の先生になるから一緒にヒーローになろうぜ」

「はい!今すぐ行きましょう先生!師匠も!」

 

こうして三人はヒーローとなる事を決意し、Z市にあるというヒーロー教会へと向かい、ヒーロー認定試験申し込み用紙を受付嬢から貰い、自宅へと戻り早速書き込んだ。

 

「ユメも登録出来るんだな。歳とか関係無いのかな?」

 

サイタマは申し込み用紙にスラスラとペンを走らせ、ジェノスは小さいヒーローが居るという事を噂で耳にしたらしく、サイタマの質問にその通りだと肯定するように頭を縦にふった。

 

「良かったですね師匠。これで間違いなくヒーローになれるでしょう。あ、印鑑は俺が押しましょう!失敗したら一からやり直しですから」

「うんっ!ありがとうジェノスくん!」

 

ユメはニパッと無邪気な笑みを浮かべジェノスの過保護を甘んじて受け入れ、申し込み用紙を完成させていったのであった。

一方、A市にある天高くそびえ建つビルのヒーロー協会本部にてある会議が行われていた。それはサイタマ一行が行う今回で五十五回目となるプロヒーロー認定試験の事についてだ。年々ヒーローの認定試験受験者数増加によりヒーローとしての質が落ち続けていてヒーロー協会に関わる数人の偉いおじさん方はため息を吐いた。ヒーローの数が増えるのは喜ばしい事なのだがその大体が一般人だし、その人物達をヒーローとしてもヒーロー協会に蓄えてある資金や募金が底を尽きてしまうのだ。

 

「会場が六つは必要で今回の受験者数は一万人ほどで す。さすがに多いと思われますが、いかがいたしますか?」

 

議員の報告に偉いおじさん方はガックリと肩を落とし、落ち込んでいた。ならばと今回のテスト水準を少しだけ上げて合格者を減らそうという意見が出され、その場に居る者は異議無しと声を揃えていた。

 

「ところで今回面白そうな受験者がいるらしいですよ?このジェノスくんというサイボーグの彼、強そうではありませんか?」

 

議員の一人はジェノスのプロヒーロー認定試験申し込みを手に取りみんなに見せびらかせるようにヒラヒラとちらつかせた。

 

「おお!それは楽しみですが、こちらのお嬢ちゃんも面白そうですよ?」

 

他の議員の一人がユメのプロヒーロー認定試験申し込み用紙を見せびらかせ、その場に居る数人の者はその人物に心当たりがあるのか「おお!」と声を揃えていた。

 

「なるほど、その人がB市に現れた桜色の少女かもしれませんね?今回は豊作かもしれませんよ!」

 

そんなこんなでプロ認定試験当日となりサイタマとジェノスとユメはZ市にあるプロヒーロー協会支部らしき大きなドーム型の施設に足を運んだ。もちろんその施設の前にはプロ認定試験第六特設会場と書かれた看板が立て掛けられていた。

 

「わぁ!いっぱい人がいる!すっごぉい!」

 

サイタマ一行の前に人、人、人の群れで溢れかえっていてユメは無邪気な笑みを浮かべ人の多さに天真爛漫に振る舞っていた。ユメははぐれないようにサイタマの手を繋ぎ、辺りをキョロキョロと見渡していたが、子供の受験者が自分だけと分かりどこか落ち込んでいた。

 

「師匠!大丈夫です!アレぐらいの者達よりも師匠が強いのですから心配なさらないでください!」

 

ジェノスはユメが不安と緊張しているからと思い込んでユメを精一杯応援し、その応援に応えるようにユメはニッコリと笑みを浮かべてありがとうとジェノスに伝えた。しばらく待つ事数分、第六特設会場の扉が開き次々と受験者達が会場へと進み、サイタマはユメの手を握って会場へと進みそれを追うようにジェノスも歩を進めていった。

 

サイタマとユメは同じ所でのテストを受けるようだったがジェノスだけ別の所でテストを受けるのでユメはジェノスに頑張れと応援し、ジェノスは力強く「はい!」と応え、テストとして身体測定をする事となった。

 

「パパ!勝負だ!」と白いランニングシャツに黒い短パンのユメは満面の笑みを浮かべてサイタマに勝負を挑み、ブーメランパンツのみ着用のサイタマはニヤリと笑ってその挑発を受けた。その様子を見た受験者達は彼らをあざ笑うかのようにニヤニヤと笑っていた。

 

「へへへ、弱そーなヤツとガキだ。場違いなんだよ」

「お遊びじゃねぇんだよ。ガキは帰ってミルクでも飲んでやがれってんだ!」

 

見るからに弱そうなサイタマとユメを批判する。そんな批判の中、反復横跳びが始まった合図として笛の音が響き渡り、サイタマとユメ他多数の受験者は一斉に反復横跳びをやった。

スダダダダダ!という爆音と共にサイタマとユメの姿は残像を作り反復横跳びをやった。記録委員は彼らの記録を全然取れずスーパースローカメラで撮るも、そのカメラでもほとんど残像が残るほどのスピードであったのだ。

続いて1500メートル走のテストとなりサイタマとユメ他数名の受験者はスタートラインについた。用意ドンという記録係の人物の合図と共にサイタマとユメはまたも姿を消すほどのスピードを出し、二人は同時に一分もしないうちにゴールした。

続いて重量上げのテストでサイタマとユメ他数名の受験者が挑戦するも、サイタマとユメは一つ100キロはする錘が14個ほどついたダンベルをサイタマは片手で軽々しく持っていたがユメは顔をプルプルと真っ赤にさせながら両手で持ち上げていた。

続いて砲丸投げとなりサイタマとユメその他数名の受験者が挑戦したが、サイタマとユメは約7キロはある鉄の塊の砲丸をいとも簡単に場外へと吹き飛ばした。前にあった重力上げでバカみたいな重さのダンベルを持ち上げたから簡単な事だろうけど。

続いて垂直跳びでありサイタマとユメその他数名の受験者は挑戦したが、100メートルほどの先にある天井にサイタマは頭を突っ込ませブラリと天井に刺さったが、ユメは身体が小さいからか弾丸のようなスピードで天井をぶち破り空高く飛んでいった。そして少し時間が経って地上に降りたユメ曰く空の旅は楽しかったそうだ

サイタマとユメはモグラ叩きやパンチングマシーンも人並み外れた記録を叩き出し、次は筆記試験へと突入し難なく終わらせる事が出来た。

サイタマとユメは全てのテストを終えて受験者控え室へと向かい、どちらがより優れているのか揉めていたが、サイタマが同じぐらいスゴいよと説得したらユメは満面の笑みを浮かべ喜んでいた。大好きな父親と同じ力があるというのならばユメはそれを大事にし、誇りとしていた。

 

しばらく雑談するとジェノスもテストが終わり、彼らの合流し「先生!師匠!そちらも終わりましたか。全然たいしたこともないですね、筆記も体力測定もつまらないものでした」と余裕の表情であった。一応は機械なので筆記は百点とれるし、体力測定も良い点数に違いは無かった。そして一時間後、ようやく合格者が発表されジェノスは筆記と実技が百点満点であり余裕の合格。ユメは実技は満点だったが、筆記において分からない漢字が出てきて問題文が読めなかったのでそんなにたいした点数を取れなかったが、合格となっていた。

サイタマはユメよりもしっかりとしていたはずだったのにも関わらず筆記においてユメよりも数点分低い点数を獲り、ギリギリで合格していたのだ。

 

「ところで俺はS級ヒーローとなりましたが先生や師匠はいかがでしたか?」

「え?S級?なんじゃそりゃ」

「ランク付けですよ、ヒーローとしての。オレとしてはどうでもいいですが」

 

ヒーローには階級が存在し、戦闘能力や社会貢献度かS・A・B・C級の順にランク付けされているのだ。つまりはジェノスはそのトップであるS級を難なく手に入れたそうだ。

 

「あ!わたしA級って書いてある!すっごいよね!?A級でも偉いよね!?」と大はしゃぎのユメの手にはテスト結果が綴られている紙を高らかに上げてジェノスは力強く「はい!さすが師匠!」と褒め称えた。サイタマも自分がA級以上である事を期待し、テスト結果が綴られた

紙を封筒からソッとだすとカーブ曲線の文字が綴られた字が少しだけ見えていた。という事はS級で間違いないと思われたサイタマにジェノスから思わぬ質問を浴びせられた。

 

「そういえば面接の時、何か聞かれましたか?」

 

サイタマや他の一定の水準を超えた受験者にはそんな面接は無かった。しかしジェノスとユメにだけは面接をしていたのだ。ヒーロー協会が探し続けた進化の家の居所を発見したがその場所は建物も何も無い変わりにとんでもない火力で爆破されたであろう跡地を目にしたヒーロー協会はその働きをした人物がジェノスなのではないかと聞いてみるとジェノスはその通りだと答えた。

 

「一応確認するがこの八階建ての進化の家をかね?ジェノスくん」と数人の面接官は進化の家の写真を見せてジェノスに見せた。ジェノスは頭をコクリと頷き「その建物はオレが破壊したが、その建物には地下があった。その地下はユメし・・いえユメさんが破壊したぞ」と答えた。師匠がまだ幼い子供だと言ったら絶対にヒーロー協会はジェノスの言葉を信用しないだろうと思ったのでユメをユメさんとジェノスは数人の面接官に紹介した。

「ん?ユメ?そういえば小さい女の子がそういう名前でしたね?その人と知り合いないのかい?」

「ああ、ユメさんは見た目と違ってものスゴく強いお方だ。俺なんかが敵う相手では無い」

 

面接官の一人であるメガネを掛けた青年職員は耳を疑った。実技も筆記もオール満点のS級ヒーローとなるジェノスが人目を置く少女に興味を抱くしかなかった。だからユメにも面接をしようとユメを会議室へと案内し、彼女にも面接をする事にしたが

「えへへ、おじさんがいっぱいだ。何するの?」

と呑気に微笑んでパイプ椅子に座るユメは地面に足が届かず、両脚をブラブラと落ち着かないように動かせるさユメに数人の面接官は驚いた表情を浮かべるしかなかった。

 

「えぇと、いいかな?ユメちゃん。おじさん達のいろんな質問に答えてくれるかな?」と優しい声色を発する無精髭の中年男性の面接官をよそにユメは満面の笑みを浮かべ元気よく「うんっ!いいよっ!」と了承したので面接官はユメに面接を始めていた。

 

「進化の家って知ってるかな?コレなんだけど」とジェノスにも見せた進化の家をユメにも見せてユメは「あー!知ってるー!」と元気よく答えた。更に続けて面接官は「ジェノスくんと一緒にここを壊したって本当なのかな?」と再び優しい声色で話しかけるとユメは満面の笑みをこぼし「うんっ!そうだよ!」と答えたので面接官はそれを信じる事にした。

 

「あとね?ちょっと前にB市に大きな大きな怖ーい怪人が居たけど、ちょうどユメちゃんぐらいの小さい女の子がそれを退治したってそれはユメちゃんなのかな?」

面接官が三度優しい声色でユメに確認していくとまたもユメは満面の笑みをこぼし「うん!そうだよ!」と答えたので面接官は隣に居る数人の面接官と顔を見合わせ確認をとっていった。筆記の点数は悪いがA級ヒーローぐらいでもしてあげようかと。

 

「はい、これでおじさん達の質問はお終いだよ?ユメちゃん答えてくれてありがとうね。今後ともユメちゃんはプロヒーローとして住民の為それに市や街の為にも頑張ってね、約束出来る?」

「うんっ!頑張る!約束する!指切りしようか!?」

「うん、しようかユメちゃん」

 

ユメと面接官は指切りをしてプロヒーローとして様々なモノを護るという約束を交わし、ユメは会議室から出て行ったのである。その様子を面接官の一人である無精髭を生やした中年男性が椅子にもたれかかっていた。

 

「ふぅ、あんな小さい娘にどんな力があるか分からんがきっと面白い事になるよな。な?メガネ」とメガネを掛けた職員に語りかけ、メガネ職員はメガネをくいっと中指でメガネポジション調整を行い、ちょうどよい角度へと変更させキラリとメガネを光らせた。

「確かに、な。ふふふ、あの子の活躍を今待ちわびているよ。何をしでかすのか、何をやってくれるのかが非常に楽しみだ。そうは思わないか?ヒゲ」

「ははは、違ぇねぇや。何しろ六歳にしてA級ヒーローだからな。メディアとしてもその餌は逃がさねぇよな」

 

ヒーロー協会職員の賑やかになる一方、サイタマは受験者控え室にあるベンチに体育座りで落ち込んでいた。何故ならばサイタマはC級ヒーローという一般人より少し強い意味を持つ称号を手に入れてしまったからだ。サイタマは71点という筆記の点数により、本当にギリギリで合格したのでその変わりといったところかC級ヒーローと認定されたのだろう。

 

「あり得ません、師匠がA級で俺がS級なのに先生がそれよりも下だなんて。オレが直訴します」

「止めて!俺が恥ずかしいから止めて!」

 

ジェノスのサイタマ過保護宣言をよそに合格者セミナーの時間となり、サイタマ一行はそのセミナーが行われるであろう第三ホールと書かれている会議室へと向かっていった。

サイタマはガムをクッチャクッチャと音を立てて噛んでいてユメもそれをマネてリスのように頬を膨らませながらどこか幸せそうな顔をしてガムを噛んでいた。ジェノスはたまにユメの口付近をティッシュで拭きユメを過保護するのを勤しんでいた。そんな彼らをよそにA級ヒーロー蛇咬拳の使い手スネックはヘビ柄のスーツを着用し、サイタマ一行の前に現れた。

 

「合格おめでとう諸君、なんかガムの匂いが充満しているし、この教卓にベッタリとした数枚のティッシュがあるけど気にしないでおこう」

スネックの前にある教卓にはユメのヨダレ拭きとして使用したベタベタした丸めたティッシュであり、サイタマをC級にした恨みとしてジェノスがやった事である。

 

「それよりもだ!浮かれるなよ?諸君は立派なヒーローなのだ!節度を守り、ヒーローとして自覚を持てよ!」

 

しかしそのスネックによるヒーローとしての在り方を全然聞いていなかったのだ。「あ!このガム当たりだ!ラッキー!」とか「やりましたね!師匠!」とか「風船ガムの風船を膨らませるの大変だな」とか今する会話ではなく関係の無い事を話し合って騒ぎ出していた。

 

「き、聞いているのか?お前達のような間抜け面がヒーロー名簿として登録されてヒーロー協会のホームページに晒されて全世界に広まるんだぞ!痛い目に遭いたくのならばオレのような立派でかっこいいヒーローに目指してもいいんだぞ?遠慮せんでもいいぞ?オレは優しいからな」

 

スネックは不敵な笑みを浮かべるもサイタマ一行はスネックの存在を知らずキョトンと呆けるしかなく、サイタマは大きく風船ガムを膨らませ、パァンという音と共にガムはサイタマの顔面にひっついてしまった。

 

「先生!くっ!ガムにやられたか!」とジェノスはサイタマの心配し、ユメはおしゃぶりのような風船ガムを膨らませ、まるで赤ちゃんのようにバブバブとユメは満面の笑みを浮かべながら言い、ジェノスは「師匠!くっ!ガムに精神を乗っ取られたか!」とユメを心配した。そんな彼らの様子にスネックは激怒した。

 

「オレはA級ヒーローなんだ、ヒーロー協会に見知った人がいて少しは融通が利くんだ!宣言してやる!絶対にお前達のランクを落としてやるー!」

 

スネックのその発言によりヒーロー認定試験は終了とし、サイタマ一行は我が家へと向かっていったのである。

 




いきなりユメをA級ヒーローにしました。サイタマは変わらずC級ヒーローですが 笑
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