塩見周子の青春   作:ミノガ

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番外編です。本編は明日か明後日くらいに投稿できると思います。


番外編
IF 塩見周子の誕生日


昨日も誰かの誕生日。

明日も誰かの誕生日。

今日も誰かの誕生日。

 

それは誰にでもあるもので、その人にとっての特別な日。

そして十二月十二日は、彼女にとっての特別な日。

 

誰かと祝っても一人で祝っても変わらずその日は過ぎていくけど、やっぱり誰かに祝ってもらえるほうがずっといい。

 

 

 

ーーー。。。ーーー

 

すでに西に日は沈み、代わりに空に昇った月が俺を見下ろしていた。

この時期になると夜はかなり冷える。

かなり服を着込んでいたもののそれでもまだ寒かった。

少しでも暖まろうと冷たくなった手を擦り合わせながら歩く。

 

そうしながら少しすると、目的の場所が見えてきた。

大きな広場で、真ん中に建っているオブジェを囲むようにベンチが置かれている。

 

その一つに銀色の髪をした、彼女が座っていた。

そこに近づいていって、彼女に声をかけた。

 

「よ。悪いな、待たせた」

 

待ち合わせの時間の十五分ほど前に着くように家をでたはずだったが、彼女のほうが早かったみたいだ。

 

「あ、いや全然。あたしもちょうど二、三分くらい前に着いたとこだったから」

 

ベンチに座りながら俺を見上げた彼女の顔は、寒さからか白い頬を朱く染めていた。

 

「そっか。じゃあ行くか、ここから少し歩くから」

 

「うん、わかった。…どこつれてってくれるかしゅーこちゃん楽しみだな〜」

 

彼女はそう言って立ち上がり

 

「ほら」

 

俺に向かって手を差し出してきた。

 

「手、つないでくれたら嬉しいんだけどな〜」

 

「……わかったよ、ほら」

 

そう言って握った彼女の手は、ほんのりと温かった。

 

「んふふ、よろしい〜」

 

彼女は満足そうに笑みを浮かべ、俺たちはゆっくりと歩きはじめた。

 

 

 

ーーー。。。ーーー

 

 

しばらく歩いて俺たちは目的の場所はへと辿り着いた。

 

「わお、ここって人気なとこじゃん。一回来てみたかったんだよね」

 

目を輝やせながらそう話す彼女をみて、多少無理してここを選んでよかったと心から思えた。

 

「そりゃよかった、じゃあ入るとしようぜ」

 

「うん」

 

店に入ると名前をいうと、予約していた時間よりも少し早かったがすぐに席へ案内してもらうことができた。

 

「お〜メニューいろいろあるね、どれにしよーかな」

 

彼女は顎に手を当てて悩んでいるポーズをする。

その姿は、とても美しかった。

 

「俺はこれかな」

 

「昔からだけどこういうことだけ選ぶのすごく早いよね」

 

「まぁ割と悩んだりしたことはないな」

 

「うん、悩むのはエッチな本買うときくらいだもんね」

 

言いながらいたずらな笑みを顔に浮かべる彼女。

 

「………なんでそんなこと知ってるですかねぇ」

 

「ふふっ、冗談のつもりだったんだけど当たってた?…へー、そうだったんだ〜」

 

「冗談だったのかよ…いや、俺だって人間だし?優柔不断な時があるくらい不思議なことじゃないよな」

 

「うんわかるよ、しゅーこちゃんちゃんとわかってるから」

 

「ははっ、なんだよそれ」

 

こんな他愛もない会話が俺にはとてつもなく楽しく、安らぎを感じた。

 

「あたしこれにしよーっと、注文して大丈夫?」

 

「ああ、俺もさっきのでいい」

 

「わかったじゃあ…すいませーん」

 

軽く手を挙げ呼ぶとすぐにウェイターがやってきた。

それぞれの注文を済ますと俺は赤ワインを一本付け足した。

 

 

 

ーーー。。。ーーー

 

グラスに注がれたワインは、深紅の、血のような赤色をしていた。

 

俺はグラスを持って彼女の方へ突き出す。

彼女もそれに応じて同じようにグラスを突き出してきた。

 

「誕生日おめでとう、周子」

 

「…ありがと」

 

「「乾杯」」

 

カチンっとグラスとグラスが合わさる音がする。

 

今日は彼女の誕生日。一年に一度の祝福の日。

一人で過ごすのもいいけれど、誰かと過ごすことも悪くはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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