塩見周子の青春   作:ミノガ

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2話 過去【1】

桜が咲きほこり、青色を溶かしこんだような空が晴れ渡る春の季節。

体を通り過ぎていくひんやりとした風が心地いい。

 

今日は高校の入学式だ。

俺は遅れぬように早めに家を出たので、入学式が行われる体育館にはまだ人があまりおらず閑散としていた。

 

座席は前半分が新入生用で後ろ半分が親類用と別れているだけであとは自由に座ってよかった。

俺は真ん中より少し後ろの列の一番端の席に腰を下ろし、そのまま入学式が始まるのを待った。

 

十数分ほど経ってから段々と人が来はじめた。

席が次々に埋まっていく。

さっきまでの静けさは消え、体育館は人の話し声で溢れていた。

 

「あっ、あそこ二つ席あいてるやん。」

 

唐突に聞こえてきた声。

 

「すいません、前通らしてもらいます〜。」

 

そう言って俺の前を横切ったのは、短い綺麗な銀色の髪に、透き通る白い肌をした美しい少女だった。

思わずその美しさに見惚れてしまいそうになり、慌てて視線を外した。

 

「ほら、涼子も来なって。」

 

「あ、うん…す、すいません通ります。」

 

銀髪の彼女に手招きされ、涼子と呼ばれた少女は申し訳なさそうに身を屈めながら俺の前を通っていった。

 

気づくとそろそろ入学式が始まる時間だった。

俺は何となく椅子に座り直し居住まいを正した。

 

 

 

ーーー。。。ーーー

 

 

入学式が終わると俺たち新入生は、自分のクラスで担任の自己紹介も兼ねたショートホームールームが行われた。

 

クラス分けは入学式が始まる前から体育館外に貼り出してあり、それを確認して各々が自分が一年間過ごすことになるクラスへと向かった。

 

俺のクラスは1-Cだった。この学校は三階建てで、校舎が本校舎と第二校舎の二つ建っており、俺たち一年生の教室は第二校舎の一階と二階の一部にある。

 

1-Cの教室は二階にあった。

先生たちの誘導のおかげで迷わず簡単に教室に辿り着くことができた。

 

教室に入ると黒板にでっかく座席割り当ての表が貼ってあった。

割り当ては特別何かあるというわけではなく普通に出席番号順だった。

ちらっとだけ座席表を見たあと、俺は自分の座席へと向かった。

 

「あれ?」

 

俺が座るべきはずの席になぜか入学式で見た銀髪の少女がいた。

彼女は隣の席の女子と楽しそうに話していた。

 

俺が席を見間違えたのかと思い、振り返って座席表を見る。

しかし、やはりあの座席の場所には俺の名前が書いてあった。

仕方ない、彼女に声をかけて間違っていることを伝えるしかない。

 

「なぁ、話してるとこ悪いけど席間違えてない?」

 

若干緊張はしたがそれでも平凡な調子で声をかけることができたと思う。

 

「ん?あたし?」

 

彼女はこちらに顔を向けると黒い瞳でじっと俺を見た。

改めて真正面から彼女の顔を見ると、とても整っていて美しい顔をしていた。

 

「あ、ほんまや。ごめんごめん、間違えてたわ。」

 

そう言うと彼女は立ち上がり、一つ後ろの席へと移動した。

俺は空いた自分の席へと座り、このままショートホームルームが始まるのを待とうとした。

その時、後ろから肩を軽く叩かれているのがわかった。

 

「なに?」

 

俺は後ろを振り向きながらたずねた。

 

「や、せっかくクラス一緒になったんやから仲良くしよ思て。あたし塩見周子、よろしくね。」

 

銀髪の少女塩見周子は軽く微笑みながらそう言う。

俺も自己紹介をして、そのあとはショートホームルームが始まるまでの少しの間、他愛もない会話を交わした。

 

全てが終わって家に帰ったあとも、塩見周子のあの微笑んだ顔が、ずっと頭の中から離れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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