Elite:Dangerous:鳥が撃つ未来 作:SV2ken
西暦3302年、人類の勢力圏は天の川銀河の一領域にまで広がっていた。
21世紀中盤に発生した第三次世界大戦により荒廃した地球から人類は這い上がり、
数多の星々に勢力を拡大したのである。そんな中でも人類の勢力圏は天の川銀河から見れば小さな範囲である。されど人類から見れば広大な領域だ。
人類圏は三つの勢力により分かれていた。すなわち、地球発祥で最古の星間国家であり、民主主義を敷いている連邦、皇帝を頂点とした専制君主国家である帝国、そして調和と独立の極致による同盟である。
人々は星間、星系間移動が可能な船を操り日々暮らしていた。
1350年前の1950年代の様な有視界戦闘に戻ったこの時代。
シールドと超光速航行装置…フレームシフトドライブの発展により旧来の武装は有名無実化。旧来の武装の威力では命中しようともシールドに阻まれる。さらに超光速移動の実現によりあらゆる武装の命中が不可能となった。そこで戦場はより狭い空間に移行する。
各国が艦のシールドと装甲を打ち破る事が出来る短距離、高威力武装の開発に着手したためである。
こうして、世は再びドッグファイトの時代となり、艦がきしみ、震える環境下であらゆる人々が戦っている。
賞金稼ぎ。奴らはこの時代の広大な宇宙に数多く存在する。
海賊や無法者が蔓延るこの時代、為政者にとって賞金稼ぎは必要不可欠である。
各勢力は治安維持を目的に犯罪者に懸賞金をかけ、賞金稼ぎがこれを狩る。
これが今の時代だ。
フェデラルドロップシップ。これは連邦海軍が長年に渡って運用してきた主力航宙中型艦だ。
全長73.9m - 横幅52.3m - 高幅21.7m
グレーの堅牢なレンガ細工に羽を付けた様な宇宙艦であり、シールドは貧弱であるが船体そのものが戦車の様に硬い事で有名である。本来の用途は強襲降下艦として海兵隊を乗せ敵地へ突入する事であるが、現場の改装次第で人員や物資の輸送、爆撃、戦闘と様々な任務に対応できる汎用艦であり、まさに連邦海軍の守護天使だ。
だが、全長150メートルの超重汎用艦であるアナコンダには敵わない。
敵の奇襲により航空戦隊は散り散りとなっている。各艦が戦隊長の命令によりジャンプインし撤退する中、俺は自身の中隊を逃がそうとしんがりを務めていた。だが、俺の艦が邪魔と見るや、アナコンダが6隻も突っ込んでくる。
敵の波状攻撃を受けてスラスター推進機が破壊され、艦の航行が停止する。キャノピーが粉砕され、急速に艦内が真空に近づいていく。コンピューターのシミュレーションにより聞こえていた外部の擬似環境音は消え、完全に無音となる。パイロットスーツの生命維持装置が起動し、残りの酸素量は10分と表示された。コックピットの右パネルを開きモジュール状況一覧のページを見たが、キャノピーは大破、スラスターも大破。艦の緊急修復機能であるReboot&Repairを行う。艦がシャットダウンし、全モジュールの修復が試みられる。全ての立体表示が消え、静けさが数秒この艦を支配した。そして艦の再起動がされ、目の前の画面に映ったのは絶望すべき結果であった。
修復は......失敗。損傷が大きいため、スラスターの修復は失敗したのだ。
こうして、ただの鉄の棺桶と化したこの艦は敵中に取り残された。
連邦海軍 第153突撃航空中隊長 フェイ・ガルシア大尉
30年連邦海軍で務めてきた来たが、ついにこの時が来たか。各艦がジャンプインする中そう思った。割れたガラスの合間を縫ってレーザーか銃弾が飛び込めば私は瞬時に血潮になるだろう。そう思った矢先、先ほどこちらを攻撃したアナコンダが正面に回り込んだ。どうやら囲まれた様だ。レーダーがそう示していた。これで攻撃を受ければ瞬く間にこのフェデラルドロップシップは爆沈するだろう。6隻のアナコンダが私の艦を取り囲んでいる。
アナコンダが我が艦に接舷し、奴らが艦内に入って来る。ポラウクナ・レイダースと言う名の無法者。連邦領に侵攻してきた国外テロリストだ。捕虜になれば一体どれほど過酷な拷問や仕打ちが待っているか。
だが、ガルシアは確信を持っていた。
連邦は国民を見捨てない。
例えどんな事になろうが自決はしないと決めていた。