笑顔は太陽のごとく…《艦娘療養編 完結済》 作:バスクランサー
待っていた方々、大変お待たせいたしました。
前後編わけ初めてですが
よろしくお願いします。
それでは本編どうぞどうぞ。
執務室に戻り、書類整理をする。響も秘書艦として色々と手伝ってくれているのでありがたい。
「はい、次の書類だよ司令官。」
「お、ありがとうな。ん、大本営からか…」
「何が書いてあったかな」
どうやら艦娘の異動通知のようだ。
「えーとな、なんか1週間くらい後に、ここに新しい駆逐艦の艦娘が、他の鎮守府から異動してくるらしいぞ。」
「それはえーと、誰だい?」
「特型駆逐艦の吹雪と、白露型駆逐艦の夕立みたいだな。戦力増強にもなるし、ここもすこしはにぎやかさが増すかな…」
「だね、司令官。」
「ああ。とりあえずその前に、まずは目の前の鳳翔のことを解決しよう。今日の書類も片付けなきゃだな。」
「それなら、この書類で最後だね。」
「お、そっか。響が整理してくれていたおかげで早く終わりそうだ、ありがとうな」
「えへへ」
嬉しそうにする響。そして俺は響の頭を撫でて、書類に必要事項を記入する。
「ふぅ、今日はここまでだな。よし、書類を一緒に大淀のところに渡してこよう。響、お疲れのところ悪いが、手伝ってもらえるかな」
「もちろんだよ司令官」
2人で一緒に、大淀の所に書類を届け終わった後、廊下を歩きながら少し今後のことについて話し合う。あの後、少し考えができたからだ。
「響、今日は少しだけ夕ご飯を遅くしてもいいかな」
「?別に構わないけど、どうしたんだい?」
「ああ。鳳翔のことについて、少し話し合いたくてな。」
「なるほど。」
「響、悪いが第六駆逐隊のみんなを連れて、フタヒトマルマルに食堂に来てくれるかな。間宮さんと、あと空母の人には俺が話を通しておくから。」
「わかった司令官。任せて」
「よし、行動開始」
「ハラショー」
ーーーフタヒトマルマル 食堂にて
間宮さんの配慮で、食堂の暖簾は既に下ろされている。もちろん邪魔者扱いするつもりなど毛頭ないが、もう他の娘たちは入ってこないだろう。
そして、机のいくつかを並べてくっつけ、大きな一つとして、その周りを俺と、そこから時計回りに第六駆逐隊の響、電、雷、暁、空母の赤城、加賀、瑞鶴、翔鶴、そして大淀と間宮さんという配置で夕食兼会議となった。中央には間宮さん力作の大土鍋に入った煮込みラーメン鍋が据わっている。
「今夜は少し遅い時間だが、集まってくれて本当にありがとう。」
「いえ、提督。鳳翔さんの笑顔、また見たいですから…」
俺の第一声に間宮さんが返す。
「それではまずは、とりあえず状況確認としましょう。」
進行役に抜擢した大淀が話を進める。先程俺にしてくれたような解説を間宮さんがみんなにしてくれた。鳳翔が部屋に引きこもっているというのは、みんな知っていたが、遠慮して理由を聞けなかったり、また知ってたとしても気を使って話さなかったりしたのであろう、このことを知らないメンバーもいた。
「そ、そんなことがあったの…」
「きっと鳳翔さん、ずっと辛い思いしてたのです…」
俺も意見を考えていたが、他のメンバーも事情を知って、色々と出してくれた。事情を前から知っていた娘は、あらかじめ考えてくれていたりもした。そして食事が空になっても会議が続き、フタフタフタマル、ようやくみんなで意見がまとまった。
実行は、明後日ーーー
ーーー翌日
俺は朝早くから書類と格闘していた。明日に備えて、明日の分の書類も終わらせておくことにした。第六駆逐隊の四人は、少しでも鳳翔を励まそうと、街に出かけて色々と買い出してくれている。空母の四人は港に出て、明日の作戦の演習を繰り返している。間宮さんも、大淀も、みんなが鳳翔のために団結し、そして各自の役割を果たすために行動してーーーその翌日。
ヒトマルサンマルに、第六駆逐隊の四人が鳳翔の部屋のドアをノックする。
「鳳翔さん?来たよー!」
世話好きの雷が呼びかける。
「ありがとう、来てくれて。入ってどうぞ」
昨日より少しだけ調子の良さそうな声。それを聞き、四人は手を合わせ、ひそひそ声で言う。
「じゃあ!温もり大作戦、開始ー!」(ひそひそ声)
「おー!」(上に同じ)
4人はドアを開けた。それと同時に、作戦が開始されたーーー
「お邪魔します、なのです」
鳳翔の部屋に入る電たち。
「いらっしゃい。今日はわざわざ来てくれてありがとう。ゆっくりしていってね」
「はーい、鳳翔さん!」
暁が満面の笑みで返す。
まずは第六駆逐隊の皆で、鳳翔の不安と緊張感を解き、少しでも和んでもらおう、という作戦である。
「じゃーん!鳳翔さん、これ見てー!」
雷が取り出したのは、自作の迷路が書かれた紙である。コピーしたものを、他の4人に渡し、雷がルールを説明する。
「ルールは簡単、スタートからゴールまで、1番速くついた人が勝ちよ!途中の中間地点も作ったから、参考にしてみてね!」
気合いの入る、残りの第六駆逐隊。鳳翔もつられるように、そこそこ気合いを入れる。
「じゃあ、スタート!」
雷の号令で一斉にペンを走らせる四人。
「レ、レディーにとってはこんなの簡単なんだから…!」
しかしその数秒後、
「えっ、行き止まり!?そんなぁ!」
と、あからさまに頭を抱える暁。
「えーと、分かれ道、なのです…」
電は目で道の行く先を探る。が…
「はゎゎ…道の間隔が細かすぎて、わからなくなってしまったのです…」
唖然とする電。そう、雷はここぞと言わんばかりに気合いを入れてこの迷路を作り、その結果、どっかの小学校の男子に一人はいる、迷路作りが異常なほどクオリティ高い人の最高傑作作品のようになってしまったのだ。
「こ…これは流石に…難しいな…」
昨日夜の第六駆逐隊部屋での作戦会議で、雷は迷路を作ることは知っていた、しかしここまでとは。混乱する響。ババ抜きで結局六連勝した実力も全く歯が立たないのである。しかし、その隣から、耳を疑う声が聞こえてきた。
「雷ちゃん、できたみたいなんだけど…」
名乗りを上げたのは、なんと鳳翔だった。
「「「「えっ!?」」」」
迷路をしていた3人はおろか、雷でさえも驚く。チェックをする雷、しかし、行き止まりなどで折り返した形跡がいくつも見られるものの、ゴールまでの道がしっかりと成り立っていた。
「すごい、鳳翔さん一抜け!」
「ふふ、実はどんな迷路にも共通する、ある攻略法があるのよ。」
「な、なになに?」
「すごく、気になるのです!」
「これは気になるね…」
「私も知らない…」
鳳翔の周りに集まる4人。鳳翔は雷から予備の迷路の紙をもらい、それを見せる。
「攻略法、って言ってもとても簡単。どちらか片側の線を辿っていくだけなのよ」
そう言って鳳翔は、迷路の片側の線にそうようにペンを走らせる。確かに行き止まりにも何度も当たるが、その道のりが確実にゴールに近づいているのだ、そして…
「ほら、ゴールできたでしょう?」
先程と全くの同じルートの跡がゴールまで続いた。歓声を上げる4人。そして彼女達の純粋な心は、少しずつ、少しずつ、鳳翔の心を温めて行った。
「じゃあ、次はこの私が選んだ、このゲームで遊ぼ!5人分のコントローラもしっかりあるから!」
暁が、持参した大袋からゲームソフトと人数分のコントローラを取り出す。赤帽子のヒゲおじさんがほかのたくさんのキャラクターとともにカートでレースを繰り広げる某有名ゲームである。
「これなら5人みんなで遊べるのです!」
早速準備を整え、みんながキャラクターを選ぶ。電子音とともに始まるレース。
「おっ先ー!」
キノコ帽子の小人を操る雷が前に出た、が…
「あー!」
コースの仕掛けに引っかかり、早々と遅れをとる。
「電の本気を見るのですっ!」
その隙に、緑の恐竜キャラのカートで電が出た。しかしその目の前に赤く点滅する爆弾キャラが投下される。
「直上からの機雷は不可避なのです!?
はわわわ!大破なのです!」
電がスピンしている間に、爆弾を投下した張本人の響が出る。緑の帽子の方である。
「ハラショー…!?」
その横からピンクドレスの姫を使う暁が、赤いキノコで追い抜いていく。
「レディの私が、1位いただきよ!」
3つのキノコで暁が一気に加速、響を追い抜き1位となる。しかし、その後ろから地道に追いついてくる一台のカート…主人公の赤帽子を操る鳳翔だ。
「ふふ、昔からこのゲームはあるんですよ。さて、ためておいて正解でしたね…!」
「鳳翔さん、プロの顔…はっ、そのアイテムはまさか!」
追いついてきた雷が気づいた。そう、暁のすぐ後につけた鳳翔が持っていたアイテムは、羽が生えた青いトゲトゲだった。
「これって…」
「1位のやつを正確に射抜くやつ…」
「なのです…!」
鳳翔がボタンを押して、同時に素早く暁と平行に距離をとる。暁のカートが青い爆発に思い切り吹っ飛び、後ろで密集していた3人にも爆風による巻き添えが来る。
「1位、いただきました」
笑顔で鳳翔がゴールインする。唖然とする第六駆逐隊の4人。しかし、その後も5人で、様々な遊びをしたり、本を読んだり、たくさん話したりもした。その頃、外では、鳳翔に気づかれないよう、空母の艦娘たちが着々と準備を進めていたーーー
というわけで、次は空母の人たちも出てきます。
果たして鳳翔さんに笑顔は戻るのか!?
お楽しみにです!
今回も読んでくれてありがとうございました!
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