笑顔は太陽のごとく…《艦娘療養編 完結済》   作:バスクランサー

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それでは本編どうぞどうぞー!


すれ違う気持ち

 翌日、マルハチサンマルーーー

 

「提督、おはようございます、失礼します」

「ん、吹雪か?入れ」

 日課であるトレーニングと朝食を終え、吹雪は提督にある要望をすべく執務室を訪れた。

「どうした吹雪、朝から」

「あの司令官、実はーーー」

 

 マルキュウサンマルーーー

「…何の用だ?」

「長門さんのこと、今日一日でいいです、手伝わせて下さい」

「私の事か?いや、手伝わなくていい、1人で大丈夫だ。お前は自分のことでもしていろ」

 案の定冷たくあしらわれてしまった。これにダメージを受ける吹雪。しかし、諦めず頼んでみる。

「お願いします、私、長門さんと色々話してみたいんです!…司令官もいいだろうって言ってましたし…」

 そう言われた長門。確かに、この真っ直ぐな気持ちを真っ向から切り捨てるのもさすがに可哀想だ。また、長門自身、吹雪と仲良くなりたいという気持ちがないわけではなかった。半ば仕方なく、了承することにした。

「ありがとうございます!」

 吹雪は満面の笑みでお礼を言い、頭を下げた。

「…あの提督、余計なことを…」

「?どうしたんですか、長門さん」

「あ?…あぁ、いや、なんでもない。」

 心の声が、小声に出てしまったことがバレなくてよかったと思う長門。

 ちなみに同時刻、執務室で、提督が盛大なくしゃみをして、飲んでいたお茶が手にかかり、アチチアチチと軽くパニックになっていたのは別の話である。

 

「長門さん、まずはどこの掃除ですか?」

「…とりあえず艦娘寮の廊下だ」

「わかりました!」

 

「あ、長門さん、このゴミ焼却炉に運んでおきますね!」

「あ、あぁ…」

 

「長門さん、ここは私に任せてください!」

「いや、そこは私がやるから大丈夫…」

「無理しちゃダメですよ?いつも鎮守府の掃除をしてくれているおかげで、綺麗に保たれていて気持ちがいいって司令官言ってましたけど、同時に無理してないかと心配してましたから…」

「あぁ…わ、わかった。行くといい」

 

 吹雪は可能な限り長門とコミュニケーションをとろうと、出来るだけ会話を持ちかけた。少し早めの昼食も一緒にとった。しかし、長門は終始笑顔を見せず、2人の会話に発展するまでにも至らなかった。

 それでも吹雪は話しかけ続けた。だが、長門の心には、ある感情が沸き上がりつつあった。

 恐れ、である。自分の居場所、拠り所、存在意義がなくなってしまうのではないか、と。常にそれは心の片隅にあった感情ではあったのだが、今日吹雪が手伝ったことで、皮肉にもその感情がピークに達してしまった。そして…

 

「あの、長門さん」

「今度は何の用だ」

「この階段の方もやっておきます」

「いや、後で私がやっておく。お前もそろそろ自分のことに戻れ」

「え、でも…」

「もう、戻ってくれ、いいんだ」

「そしたら長門さんが1人になっちゃいますよ…流石に毎日1人で階段の掃除は大変ですし、それにーーー」

「もういい!それ以上はいらない!」

 長門は突然大声で叫んだ。

「長門さん…」

「もうやめてくれ!もういい!」

「あ…あぁ…」

「そもそもお前は私の気持ちがわかっているのか!?戦艦長門として、ビッグセブンとして生まれ、みんなのために戦いたかったのに…!病のせいで、出撃どころか遠征さえ行けないんだ…!私の気持ちを少しはわかってくれ!」

「…」

 そしてついに、長門の一言が吹雪の心に決定的な衝撃を与えてしまう。

「私への無駄な情けなどいらん!金輪際私の前に現れないでくれ!」

 そしてそういった時、ふと長門は我に帰る。しかし、遅すぎた。吹雪は目を真っ赤にはらし、「ごめんなさい…」と小声で言って、どこかへ走り去ってしまった。

 しまった。後悔の念が押し寄せる。こんなことが言いたかったのではないのに。あの子が私の拠り所など奪うわけないだろうに。もっと色々、楽しく話したかったのに…

 しかし、今の自分では所詮なにもできない。長門は仕方なく、掃除用具を片付けに行った。

 

 顔をぐしゃぐしゃにして、ただただ廊下を走り抜けていた吹雪。ふとなにかにぶつかる。

「…吹雪…!?どうした…!?」

「…司令官、さん…?」

 

 俺は吹雪を執務室に通した。響が吹雪に気づき、少しびっくりした表情で見つめる。

「…なんかあったみたいだね、司令官。席を外した方がいいかな?」

「あ、すまん…響。」

「いいよいいよ。今日は姉妹たちは鳳翔さんと少し遠くに遠征だから、夕立さんのところに行ってくる」

「ありがと、悪いな響。ほら、入って入って」

「あ、はい、ありがとう、ございます…」

 響は吹雪のことを心配そうな目で見つつ、部屋を出た。

 吹雪は、今日、今さっきまであったことを、涙ながらに全て俺に話してくれた。

「そうか…辛かったな」

「うぅ…あの、司令官…。」

「?」

「ごめんなさい…もう私、なんか、その…疲れました…」

「吹雪…」

 俺は吹雪に寄り添って、頭を撫でる。

「お前のこと、夕立から聞いた。さぞ辛かったろう。まあ、長門にも事情はあるからな…互いにわかり合うのは、やはり難しいことだ。だが、その吹雪の優しさがあれば、きっと、いつかは…」

「本当にそうなんですかね…」

「吹雪…」

 吹雪は俯いて、顔をあげようとしない。うーん、とどうしようか考える。ふと、あるものが脳裏に浮かんだ。

「吹雪、時間あるか?」

「…?」

「お前に見てもらいたいものがある」

「は、はい…」

 俺は戸棚の中の特大DVDボックスから一枚を取り出し、プレーヤーに入れた。

「司令官、それは?」

 吹雪が聞いてくる。そうだ、まだ吹雪は知らなかったか。俺は明石たちや加賀たちにしたのと同じように、この世界の過去の、ウルトラマン、そして人間と、怪獣や宇宙人の戦いのことを前置きとして話した。そして、これから流す映像のことを軽く話す。

「1970年代に、地球を守った防衛チームのTAC、そしてウルトラマンエースの戦いをまとめたドキュメント映像だ。そして今から吹雪に見せるのは、その最後の戦い…最強超獣ジャンボキングとの戦いだ。」

 俺はそう言って、再生を開始したーーー

 

 ーーーウルトラマンエース、そしてTACが戦っていたのは、異次元から地球を狙う異次元人ヤプール、そして奴らの送り込む、怪獣より強い生物兵器、超獣。

 そんなある日地球に、ヤプールに追われてサイモン星人の子供が降りてきた。子供たちは、「エースが来るまで、俺達がサイモン星人を守る」と意気込む。

 しかし、そのサイモン星人は、ヤプールが宇宙人に変身した姿だった。そう、ヤプールはこうすることで地球の子供たちから優しさを無くし、一気にエースを抹殺してしまおうとしていたのだ。しかし、ウルトラマンエースに変身するTACの隊員、北斗星司は、テレパシーでサイモン星人の正体がヤプールであることを見破る。サイモン星人を撃つ北斗。しかし、子供たちは自分のことを信じてはくれなかった。

「嘘だ!もう優しさなんて信じないぞ!」

 激しく北斗を批判する子供たち。考えの果て、北斗は、子供たちの前でウルトラマンエースに変身する。驚く子供たち。

 ジャンボキングと戦うエース。最強超獣というだけあって、ジャンボキングは破壊光線やミサイル、さらに怪力でエースを踏みつけたりと苦戦させる。しかし、北斗の決意が届いた子供たちの声援もあり、彼らとTACの隊員達が見守るなか、エースは最後の力を振り絞ってジャンボキングを吹っ飛ばす。そして立ち上がって、即座に自身の必殺光線であるメタリウム光線を放つ。それを頭部にくらい、怯むジャンボキング。その隙を逃さず、エースはとどめのギロチン・ショットでジャンボキングの首を切り落とし、見事勝利した。

 しかし。

 子供たちの前で正体を明かしたことで、エースは故郷の光の星へ帰らなければならなくなってしまった。エースは見守ってくれた子供たち、そして共に戦ってきたTACの仲間の方を向き、最後のメッセージを伝え始めーーー

 

 ーーーそして数分後、DVDが終わり

「付き合ってくれてありがとう、吹雪。この言葉を、今のお前の心に、しっかり留めておいてほしい。」

「はい、司令官…!」

 しかしそこへ、夕立が駆け込んできた。

「提督さん、大変っぽい!」

 

 夕立が、俺と吹雪を連れて行ったのは食堂。

「どうしたんだ…!?」

 そこにいたのは、椅子にもたれかかり、ほんのりと赤い顔で苦しそうに息をする間宮だった。

「うーん、熱があるわ。風邪ね…」

 響が連れてきた夕張が、間宮の様子を見る。

「間宮さん、大丈夫か?」

「大丈夫です。こんなことでへこたれるわけにはいきません、今日の夕食…ゲホゲホッ!」

「…無理をするな、ゆっくり休め」

 なんとか説得し、間宮は夕張に連れられて工廠脇の医務室へと連れられて行った。

「…だがしかし、確かにこれはまずいな…。今日の夕食、どうするか…鳳翔さんは遠方への遠征だし、夜まで帰れないからな…」

 すると響と夕立が、

「間宮さんとさっき話したんだけど、ボルシチくらいだったら、僕もなんとかできるよ。」

「材料ならさっき間宮さんに聞いたから大丈夫っぽい。ただ、間宮さんは今日買い出しに行くみたいだったっぽいから、それもどうかしないとっぽい…どう頑張っても明日の朝の分までっぽい」

「明日の朝の分までか…朝市で何とかなりますかね、司令官…?」

「うーん、かなり早い起床になるな。ここから近くの街までも、かなりかかるから…まあ、何とかするか…」

 俺はなんとか明日の朝市に行くことにした。そうと決まれば、出来るだけ今日は早く書類を済ませ、早寝するに限る。

 しかし、俺はその時気づけなかった。この様子を影から見ていた、人影がいたことにーーー

 

 ヒトゴヨンマルーーー

「ふう。響、この書類はここだな。」

「わかった、司令官」

 俺と響は書類整理を急いでいた。かなり忙しい。大淀もこの事態を受け、事務室にこもりっぱなしで働いてくれている。

「よし、この書類も済んだ。次はーーー」

 その時ものすごい勢いで、1人の艦娘が執務室に駆け込んできた。

「提督、大変!」

「陸奥!?いきなり、どうした?」

「長門が…!長門が、どこにもいないの!!」

 




ということで今回も読んでくれてありがとうございました!

評価や感想、お気に入りなどよろしくお願いします!
それではまた次回!

今回のクロス解説
本文の通り。ヤプール人は、その後も復活を繰り返し、しつこく悪役として登場してくる。
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