笑顔は太陽のごとく…《艦娘療養編 完結済》 作:バスクランサー
提出期限か明日までのレポートをやっていまして…
↑終わったとは言っていない
それでは本編どうぞ。←大事なことなので繰り返すが、終わったとは言っていない。
ーーー翌日 ヒトヒトサンマル
島の沖合の洋上にて、島風は天龍と龍田を相手に最後の特訓へと臨んでいた。この日の朝は昨日の疲れなどを考慮し、山中のランニングやストレッチとしたのだ。そして昼近く、彼女は予定通り海の上に駆け出す。ここは海面に出ている岩が多く、それがむしろ特訓には好都合だった。
「準備はいい?島風ちゃん」
「これから、俺と龍田が撃つ模擬弾を避けるんだぞ、島風!」
「はい、天龍さん、龍田さん!お願いします!」
連続で模擬弾を撃ち出す天龍と龍田。しかし、その全てを、そして岩を島風は次々と避けていく。そして、連装砲ちゃんたちも周りを、これまでと段違いのスピードで駆けていく。
「おおっ!?速えな島風!」
「すごいわ島風ちゃん、成長したじゃな〜い!」
その言葉に一瞬笑顔の島風。しかし気を引き締め直し、褒めながらも天龍と龍田の撃ち出す弾を避け続ける。そしてその様子を、小船に乗ったゲンが見守っていた。ちなみにこの時、彼の口角が若干緩みかけていたことに、3人は気づかなかった。
ーーーその頃 第35鎮守府
「島風は、今頃どうしてるかな…」
「大丈夫、きっと頑張って特訓していますよ。」
「島風ちゃんが帰って来る前に、ランニングでもした方がいいかもよ、司令官。元気になった彼女なら、きっとかけっこに誘うだろうからね」
「はは、一理あるかもな」
「確か、今日の夕方頃でしたよね…帰って来る予定なのは」
食堂で、俺は鳳翔、響とともに、早めの昼食をとっていた。昨日夕飯を空輸した、スカイホエールの妖精さんから、おおとりさんの伝言を預かったのである。
『島風の特訓を本日を持って終了し、鎮守府へ帰る』
小さな紙に達筆に書かれた文字。それを見つつ、俺は希望に胸をふくらませていた。鳳翔、響も同じだ。
「さて、ごちそうさまでした。じゃあ食休みのあと、執務に戻るぞ、響。」
「了解した、司令官。」
そして、俺と響が食堂のドアを開けようとしたその瞬間、いきなり外側からドアが乱暴に開けられた。
「!?」
「大淀!?どうしたんだ!?」
そこには、息を切らした大淀。彼女は扉にもたれつつも、緊迫した様子で俺に伝えた。
「提督、大変です!
本鎮守府に接近する、戦艦ル級2隻、空母ヲ級、軽空母ヌ級、重巡リ級、軽巡ホ級各1隻の敵艦隊を、先程加賀さんの小型ビートルが補足!到達予想時刻は、一時間後ですっ!!」
「なんだって!?」
「司令官…!!」
「ああ…!鳳翔さん、すぐに間宮さんにも連絡、避難誘導を!」
「はい!」
「大淀は工廠に連絡!シルバーシャークGを起動して、敵艦隊の迎撃準備を整えるよう伝えてくれ!」
「了解です!」
「響、これから精神状態の正常な艦娘を、できるだけ集めて迎撃する。招集を頼む!俺はランドマスケッティで迎撃を支援するからな!」
「了解だ、司令官!」
俺たち4人は、この緊急事態を受け、各々のやるべき事をやるべく走り出した。
ーーーその頃 島付近洋上にて
「あ…あなたは…」
「オヤオヤ、久シブリトイッタトコロカナ、コノ死ニ損ナイノ駆逐艦ヨ。フフフ…」
「…戦艦水鬼…!?なんで!?」
訓練中の島風は、突如上空からの砲撃を受けた。1つも当たらずに済んだが、とても高い水柱が立ち上る中避けているうちに、天龍と龍田、そしてゲンとはぐれてしまった。そして、水霧が収まった中から、因縁の相手が姿を現した。
ーーー戦艦水鬼。かつて島風が在籍していた第40鎮守府を全滅に追い込んだ、深海棲艦最強クラスの姿がそこにあった。
「フフフ…アノ鎮守府ハ脆カッタガ、生キ残リヲ残スノハ私ノプライドガ許セナクテナ。マアココデ会エタノモ、ナニカノ縁トイウモノダロウ。ナア?島風ヨ。
オマエモ私ト会エテ、サゾ嬉シイダロウナ?」
「…!あなたがそんなこと、言ってるんじゃない…!」
「フフ…ナントデモ言エ。タカガ駆逐艦ノ戯言。ソンナコトガイエナイヨウ、今スグニ、オマエヲ冷タイ海ノ底ヘ沈メテヤロウ…!」
戦艦水鬼はまるで島風を嘲笑するかのように、言葉を、そして砲弾を撃ち出す。
しかし。
「…沈まない…絶対に!
あなたを倒すまでは…!!」
島風は急加速した。そして、打ち込まれる砲弾を、連装砲ちゃんたち共々次々と避ける。
「…!?クッ、コノ忌々シイ、駆逐艦ノ鉄クズメ…!」
「だからって、私を舐めてもらっちゃ、困るの!」
島風は叫びつつーーー驚いていた。そう。あの薪割りの特訓が、思いのほか自分の身体能力を高めていたのだ。某有名プロ野球選手ではないが、まるでタマが止まっているように、彼女は真面目に感じていた。
しかし、その驚きと同時に、彼女は楽しささえ感じていた。速く走ること。それは彼女の本性を刺激し、さらなる高みを求める。そして海面を駆け、そしてーーー
「えいっっ!」
島風は、跳んだ。連装砲ちゃんたちと、海面から跳んだ。あの特訓で、知らず知らずのうちに彼女の身体能力は飛躍的に向上していた。予想外すぎるその光景にあっけに取られ、思わず攻撃を止め、島風を見上げる戦艦水鬼。しかし、それが仇となり、跳んだ連装砲ちゃんたちから砲弾の洗礼を浴びる。
「クッ…!?コザカシイ!!」
そして一足先に着水した島風は、素早く振り向き、自身の代名詞かつ最大の武器である、五連装酸素魚雷を放つ。五つの魚雷が戦艦水鬼に命中、確実にダメージを与える。
「アァッ!」
「私は沈まない!生きる!
あなたにやられた皆の分まで、この海を駆ける!」
着水した連装砲ちゃんたちも島風の周りに集まり、次弾を装填した。しかし、島風は気づく。戦艦水鬼は俯きつつ、不気味に笑っていた。
「フフフ…フフフフフ…」
「…何がおかしいの…?」
「…ナカナカヤルナ。マア、私ヲ攻撃シヨウガ構ワンガ…。今ココデ私ニ攻撃ヲ加エテ、アソコニイルアイツラガ、ドウナッテモイイナラナ…!!」
そう言って戦艦水鬼は、斜め後方を振り向く。
「え………!?」
その視線の先には、1隻の空母ヲ級、2隻の重巡リ級、雷巡チ級。それらが囲んでいたのは…
「…天龍さん、龍田さんっ!!」
天龍と龍田。そして…見た目からして、2人が大破しているのは、目に見えていた。そう、あの襲撃の時、戦艦水鬼は、わざわざ島風を追い詰めるために天龍と龍田を人質にとるという、非道な作戦を実行したのだ。
「フフフ…コレデモ、コノ私ヲ倒スナドト戯言を吐ク気カネ?」
「そ、そんな…!」
「鎮守府へ応援ヲ求メテモ無駄ダ。我々ノ別艦隊ガ、今チョウド鎮守府ヲ襲撃シテイルコロダロウカラナ。」
「…!!」
ーーー同時刻 第35鎮守府
「提督!敵艦隊を補足!来ます!」
「よし!落ち着け、1隻ずつ沈めるぞ!ファントンレールキャノン、発射!」
「シルバーシャークG、発射!」
「全砲門、開けっ!」
「ウラー!」
遠くに見える敵艦隊。トラックタイプの愛車をジオマスケッティに合体させた、ランドマスケッティをはじめ、俺たちは必死に迎撃していた。
「ウルトラホーク1号、発艦」
「ハマー、発艦!」
「ストライクビートル、発艦!」
「ガッツウイング2号、発艦!」
空母勢も艦載機で、全力を注いで敵艦隊の進行を妨害する。
「焦るな、頑張れっ!
くそ、島風たちが心配だな…」
「司令官!敵ル級の砲弾!」
「おうっ!発射!」ーーー
ーーー再び、洋上
「今すぐ2人を放して!卑怯よっ!」
「フフフ…我々ニ卑怯モ、ラッキョウモアルモノカ!」
「くっ…!」
すると、人質の天龍と龍田が、島風にむかって叫ぶ。
「島風…!俺たちに、うぅっ!構ってんじゃ、ねえよ…!」
「そうよ、島風ちゃん…あぁっ!戦艦水鬼を、倒す、のよ…!」
傷を抑えながらも必死で自らの真意を伝える2人。しかし、今の島風には、なす術などあるはずもない。
「…サッキマデノ勢イハドウシタ?」
「うぅ…!」
「何モデキンカ。マアソウダロウナア。ナラバコチラ側カラ、行動ヲ始メルトシヨウカ…!」
「やめて!2人を放してっ!」
「アア大丈夫ダ。スグニ私ガ、コイツラヲ楽ニーーー」
「待て」
その瞬間、周囲に響く男の声。
「ン…!?誰ダ!」
周囲を見回す。すると、島風のすぐ近くの岩の上に、人影が1つ。
「オマエ…!サッキコノ駆逐艦トイタ…!」
「そんなことはどうでもいい。さっさとあの2人を解放しろ」
「…おおとりさん…!?」
そう、先程はぐれたはずのおおとりゲンが、そこに立っていたのだ。
「オマエ、サッキノ私ノ砲撃デ沈ンダノデハナカッタノカ!?」
「お前達のような、平和を壊す敵をこの手で叩き伏せるまで、私は死なない。私の使命であり、願いだ。」
低い声の一つ一つの言葉に、威圧感というか、かなりの力を感じた。
「フフフ…ナニヲ言イ出スカト思へバ。所詮戯言ニスギンナ。」
「おおとりさん、危ないですっ、早く逃げて!」
島風は叫ぶ。しかし、ゲンは動かない。
「ナラバコノ駆逐艦カラ沈メテヤロウカ!コイツガ沈ムトコロヲ見テオレ!」
「島風!」「島風ちゃんっ!」
天龍と龍田の叫びも虚しく、戦艦水鬼は島風に向かって砲撃した。
「はっ…!」
島風の視界がスローモーションになる。自分にまっすぐ飛んでくる砲弾。深海棲艦群に囲まれても、叫ぶ天龍と龍田の姿。そしてーーー自分の目の前に突然現れる、ゲンの姿。
「おおとり…さん…!?」
刹那、彼女の脳内に、ゲンの思念が直接響く。
ーーー大丈夫だ、島風ーーー
「え…?」
ゲンは、島風の目の前で、飛んでくる砲弾に向く。そして、両腕を胸の前でクロスし、右の拳を突き出す。そして続いて左の拳を突き出し、そして強く、咆哮の如く叫ぶ。
「レオーーーーー!!!」
その瞬間、彼の左手の獅子をかたどった黄金の指輪が輝き、光が彼の全身を包む。島風は光の眩しさ、そして迫る砲弾に身構えるかのように、とっさに目を瞑ったーーー
ドカーーン!!
爆発音が響くーーー遠くの方で。
「…え?」
脳の思考が追いついてきて、よく考えた。爆風も衝撃波も、何も来ていない。そっと目を開け、前を見る。ゲンのいた自分の目の前には、右腕を思い切り横に突き出した、眩い光に、2m程の1つの人影。
「島風、怪我はないかい?」
こちらに振り向き、優しく尋ねるその声は、ゲンの声そのものだった。
「おおとり…さん…?」
しかし、眩い光が収まって、島風の視覚が認識したのは、ゲンの姿ではなかった。
ーーー銀色の顔に、威厳ある角。
ーーー黄金の、瞳。
ーーー額に煌めく、エメラルド。
ーーー無限の闘志を象徴するかのような、真っ赤な体。
ーーーそして、胸の中央に、青く灯る光。
「バカナ…!私ノ砲撃ヲ、素手デ弾イタダト…!?」
動揺する戦艦水鬼。
そこに立っていたのは、おおとりゲンの正体。
そう、その名はーーー
「ウルトラマン、レオ…
ウルトラマンレオだ!!」
というわけで今回も読んでくれてありがとうございました!
感想や評価、アドバイスなどお待ちしております!
それではまた次回!