笑顔は太陽のごとく…《艦娘療養編 完結済》   作:バスクランサー

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これを境に当分更新ペースおちます。
ご了承ください。

それと、ネタ不足が深刻なため、この章もクロスオーバーにします。重ねてご了承くださいm(*_ _)m。

本編どうぞ!

※今回もかなり残酷なのでご注意ください。
苦手と感じたら無理せず戻ることをおすすめ。


氷河の封印と復讐の煉獄 後編

 翌朝。

 金剛はいつものように、執務机に手作り朝食を用意して、提督の起床を待っていた。昨日の傷が早く治るよう、傷の治りを早めるビタミンCを多く含む、果物までメニューに加えた。比叡も一緒に手伝った。しかし…

「テートク…今日はやけにお寝坊さんデース…」

「ですね…どうしたんでしょう」

 昨日のことで、疲れもあるだろうと思い、少し待つことにした2人。だが、いくら待てども、彼が起きてこない。

「…さすがにまずいですよね、お姉様」

「うー…こうなったら、私のburning loveで、一気にテートクを起こすデース!」

 金剛は、執務室のすぐ隣の、提督私室へ。ドアをバーン、と開ける。

「テートク、起きるデース!」

 …返事がない。

「もう、まだ寝てるんですかー?」

 比叡が布団に近づく。提督は、布団を頭からかぶっていた。

「この比叡!気合い、入れて!起こします…!?」

 比叡の顔が固まった。駆け寄る金剛。

「ヒエー?どうしたデスカ…!?

 テ、テートク!?」

 提督の顔は苦しそうに歪んでいた。そしてそこに顔色が見られない。

「テートク、テートク!!しっかりしてクダサイ!テートク!!テートクー!!」

「司令、起きてください!司令…!!」

 提督はーーー既に冷たくなっていた。

 

 死因は内臓損傷。昨日暴行を受けた際、体表のみならず、体内の臓器までもダメージが及んでいたのだ。そしてその傷は時間差で提督の体を蝕みーーー昨夜の就寝中に、死に至った。

 このことを大本営に連絡すると、本当に驚かれた。大本営が何もしてないように思うかもしれないが、そうではない。実は提督は、住民による嫌がらせを、大本営に全く報告していなかった。机の中の日記には、日々受けた嫌がらせの数々とともに、「自分みたいな未熟者が、上に迷惑をかけるわけにはいかない。ここの艦娘たちは、俺が責任を持って守りたい」などと書かれていた。さらにこの頃はまだ、大本営が発足してからわずか一年足らず。今でこそ当たり前の憲兵制度も、まだまだ整ってはいなかった。

 提督の葬儀は、鎮守府の中でひっそりと行われた。参列したのは、艦娘、大本営の上役、そして漁業関係者とその家族たちだけ。他の街の人々は、誰1人来なかったーーー

 

 ーーー数日後

 大本営はこの自体を重く受け止め、近くの別の街に、第11鎮守府の移転を決定。同時に、差別があることを知っていながら何もしなかった、街の役所や警察署に厳重注意及び処分を行った。艦娘たちは、提督を失った悲しみから、まだ抜け出せずにいた。

「テートク…ぐすっ…なんで…テートク…!」

 提督ラブ勢の筆頭だった金剛は、それが特に顕著にあらわれていた。毎日布団にうずくまって、それを濡らす日々が続いた。

「お姉様…うぅ…」

 金剛ラブで、提督のこともとても尊敬していた比叡も、ひどく落ち込んでいた。

 街中の住民にも鎮守府の移転の噂は広まっていった。中には自らの行動を、遅すぎる反省のもと悔やむ者もいたーーーほんのわずかだったが。皮肉にも、残る大多数は「やっと出ていってくれる」などと喜ぶ者たちだった。

 そんな間も移転の準備は着々と進み、そして移転日を翌日に控えた日ーーー事件は起きた。

 

 その日の夜、街の中はいつもより明るかった。その街で、毎年開かれている祭の日だったからだ。前述のとおり、ここに鎮守府が建てられてまだ一年経っていないため、艦娘たちはその祭を知らない。しかし、彼女たちは感じていた。今年のこの祭は、きっと、今までのどの年よりも盛り上がっているだろう。怒りと皮肉に満ちた負の感情に包まれ、彼女たちは自室にこもって、その窓に映る遠い祭の明かりを恨めしそうに見つめながら、荷物整理をするのだった。

 ーーーただ1人を除いて。

 

 ーーー比叡の部屋

「えーと、あとはこの服と…司令からもらったお守りも、持っていかなきゃ…よし…」

 大方の荷物整理を終え、比叡は金剛の部屋に行き、そこにいるであろう彼女の手伝いをすることにした。同時に、少しでも話を聞いて、大好きな姉を少しでも支えたいと感じていた。

「お姉様?比叡です。」

 ーーー応答なし。ノックを繰り返したり、何度呼びかけたりしても、それは変わらなかった。心配になり、部屋に入る。そこには、既にまとめられた荷物が入ったトランクケースと、その上に置かれた一枚の手紙。乱雑に書かれていたのは、たったの10文字。

『さがさないでください』

「お姉様…!?」

 直感で異変を察知した比叡。仲間たちにもこのことはすぐに知らされ、鎮守府内外の大捜索が行われた。

 

「金剛ー!金剛ー!?」

「どうだ山城、見つかったか?」

「あ、日向…だめ、全然。そっちは?」

「同じくだ。瑞雲をフル稼働させてら鎮守府近辺の空から探しているのだが…どの機体からも、発見の報がない…」

 

「金剛さん!どこでちかー!」

「ダメなのね…見つからないのね。ゴーヤちゃん、あっちを探すのね!」

「ううん、イクちゃん…あっちはさっき、まるゆちゃんたちが探しても、見つからなかったって言ってたでち…」

「そんな…どこにいるのね…?」

 

 そんな中、夜戦が得意でそれゆえに視力のいい軽巡洋艦の川内が、あることに気づいた。

「ねえみんな、あっち見て!なんか祭りの会場が、おかしい…!」

 一同が一斉に川内の指さす方向を見る。遠すぎてよくわからない部分もあるが、さっきより祭りの明かりが、異常なほど大きくなっているのだ。いつも双眼鏡を持っている雪風が、それを通じてそっちを見る。

「大変…!すごい火事だよ!」

「貸して、雪風ちゃん!」

 川内が双眼鏡を雪風からもらい、見つめる。雪風の言っていた大火事の様子が、はっきりと分かる。燃え盛る炎、焼けていく提灯。その時、川内はある光景を見て確信した。

「金剛さん…あそこにいるかもしれない!!」

「え!?」

 川内が見た光景というのは、高く組まれ、太鼓の置かれたやぐらが崩れ落ちる瞬間。しかし、その崩れ方は明らかにおかしかった。

 崩れ落ちる直前のやぐらは、まだ下の方に少し火が燃え移っただけの状態だった。それが次の瞬間、やぐらは火の気の全くなかった中央部から、折れ曲がるように突然崩壊した。それはまるで、その部分を、何かでいきなり撃ち抜かれたようにーーー

 

 ーーー数十分前 祭り会場

 金剛は祭の会場へと来ていた。入口には、数人の男子高校生が、飲み物や唐揚げ棒を持ってたむろしている。そのうちのひとりが、金剛に気づいた。

「…んあ?なんだよあんた」

「おい、こいつ艦娘じゃね?」

 別の男子高校生が気づいた。そこからは、彼らの侮辱発言のオンパレードだった。そして、あるやりとりが、彼女の理性を崩すことになった。

「てかさ、あそこの提督?死んだんでしょ?だからなんか移転すんだっけ」

「あー!そうそう、あいつ弱かったよな、ははっ」

「いやなんかさ、子供かばってボコられてて、なんか本当に笑えたわな!」

「ユーたちが」

 不意に金剛が俯きつつ言う。

「ユーたちが、テートクを…!?」

「ああ、そーだよ。まあそれくらいで死ぬなんてさ、流石に弱すぎて笑えーーー」

 その瞬間、その男子高校生が飛んだ。金剛の拳によって。そしてその体は飛んだ弾道で木にぶつかり、彼は力なく崩れ落ちた。

「おい…なんてこと…すん」

 そう言おうとした高校生の顔面は、次の瞬間歪み、そして倒れた。

「あ…あ…わ、悪かった、す、すま」

「今更謝ったって…!遅いデース!!」

 金剛は一分後に、祭の会場へと足を進めた。入口には、血だらけになった男子高校生たちが、力なく「ぅ…ぁ…」とうめいていた。

 

 ーーー屋台通り

 焼きそば、かき氷、綿あめ…美味しそうな食べ物を売る屋台が…次の瞬間、一瞬で破壊された。

 ズドーン!ズドーン!!

 ドカーン!ドカーーン!!

「みんな…テートクの痛みを!私たちのされたことを!知るデース!」

 艤装を展開し、そしてそれを無差別に撃ち散らす。あちこちで火が上がる。

「わっ!や、屋台が…!」

 何も売ってくれず、いつも門前払いだった、肉屋の主人が営むフランクフルトの屋台のすぐ前に着弾する金剛の砲弾。演習用のものではなく、深海棲艦との戦いで使う実弾である。 そして次の瞬間、砲弾がたくさんの屋台のガスボンベを貫通し…大爆発が起きた。

「た、助けてー!」

「熱いっ!わっ、ふ、服に火がぁっ!」

「何がどうなってるんだーっ!」

 嫌がらせの時の強気な態度はどこへ行ったのやら、住民たちは血相を変えて逃げ惑っていた。

 逃げ惑う中の1人に、いつも会う度に罵倒してきた、八百屋の女店主がいた。炎の中を逃げるうち、金剛に鉢合わせした。

 金剛の視界に映った彼女は、力任せに投げ飛ばされ、そして、地面に叩きつけられた。彼女同様、逃げ惑っていた他の住民も、金剛の視界に入ればその瞬間、片っ端から殴られ、蹴られ、そして火の中に投げ飛ばされる。神輿を木っ端微塵にし、会場一帯を焼け野原にし、そして、やぐらに思い切り主砲を撃ち込んで崩壊させた。

 駆けつけた警察のパトカーや消防のポンプ車なども、着いた瞬間砲弾でオシャカになる。

 祭の会場は、地獄となったーーー

 

 ーーーあの後。

 鎮守府から駆けつけた比叡たちによって、金剛の暴走は止まった。重傷人多数。体中にやけどを負ったり、アザだらけだったり、全身の骨という骨が折られていたり。死者がでなかったのは、ある意味奇跡だろう。

 金剛は謹慎処分となって、大本営の拘置所に入れられた。比叡は金剛に何度も面会をして、懸命に彼女を支え続けた。

 街の住民たちは、今は周りのほかの街から村八分にあっている。自業自得だろう。このことが全国ニュースで放映され、住民たちのしてきた数々の行為が顕になったのだ。大本営の、「艦娘は兵器ではなく、心を持った少女たちだ」という説得もあり、世論は艦娘反対派がかなり少なくなった。

 そして金剛は数ヶ月前に拘置所から釈放され、ここに比叡と共に来たーーー

 

 ーーー「ということです、司令…」

「比叡…」

 俺は比叡を優しく抱きしめた。彼女の肩が、小刻みに震えていた。

「お姉様は、あの1件で…人を愛することが、できなくなってしまったんです」

「そうか…」

 …当然だろう。人というのは、時々その醜の本性をあらわにすることがある。今までの数々の、人間が起こした事件の時もだ。

「よしよし。大丈夫大丈夫…」

 ひた向きに姉を支えてきた比叡。今話したことで、きっと心のダムが決壊してしまったのだろう。

「司令…」

「ん?」

「ごめんなさい、1つわがまま、いいですか?」

「なんだ?」

「その…今日は、一緒に寝てください。」

「ああ、いいよ…えっ!?」

 

「ふふ…あったかいれふ〜…」

 比叡の要望を断るわけにもいかないので、今日は一緒に寝ることになった。夜戦はもちろんしないが…やばい。比叡って提督ラブ勢だったっけ…俺はほとんど眠れなかった。




というわけで今回も読んでくれてありがとうございました!

ああ勉強手につかないどうしようʬʬʬ
…まあいいか!←死亡フラグ

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また次回!
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