笑顔は太陽のごとく…《艦娘療養編 完結済》   作:バスクランサー

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どうもお待たせ致しました。
テストは半分終わりました。
成績あかん予感…\(^o^)/

本編どうぞでございます。


彼は何を語るのか

 ーーー坂田自動車修理工場 近くの堤防

 堤防の上に腰を下ろし、足を投げ出すように座っている、2つの影。

 1人は、艦娘の金剛。

 もう1人は、がっしりとした大柄の体型で、茶色のジャケットを着用している、初老の男性。

 彼ーーー郷秀樹は、金剛に語りかける。

「提督さんから聞いた話だと…前にいた鎮守府のあった街の住民たちに、酷い仕打ちをされたそうだな」

「ハイ…そう、デス」

 …さて、なぜこの2人がここで話すことになったのか。十数分前に遡る。

 

 ーーー十数分前 坂田自動車修理工場

 工場を経営する2人の男性によって、ジオアトスが作業スペースへと誘導される。俺は指定されたところに停め、車を降りて2人に挨拶をする。

「こんにちは、坂田二郎さん、敬三さん」

「おお、君が提督さんか。君のお祖父さんには随分と世話になったからね、今日は恩返しのつもりでやらせてもらうよ」

 若々しい笑顔で微笑む、ここの工場長の二郎さん。

「はじめまして提督さん、坂田敬三と言います。妻と父とこの工場をやってます。よろしくお願いします。」

 四十代くらいだろうが、かなりのイケメンの男性、坂田敬三さん。

「妻と郷さんが、こちらの休憩スペースにて待ってますので」

 そう言って、敬三さんがそこへ連れて行ってくれた。扉を開けると、テーブルに既に人数分のほうじ茶が用意されていた。その脇に立つ、敬三さんと同年代のような女性と、あと1人の男性。

「はじめまして、敬三の妻の詩織と申します。ゆっくりしていってくださいね。」

 ぺこりと頭を下げる詩織。そしてもう1人の男性が、前に出て言った。

「皆さんどうも、ここの工場を時々手伝っている、郷秀樹です」

「こんにちは、はじめまして。よろしくお願いします。」

 俺は2人と握手を交わした。しばらくテーブルで、合計7人で、今の状況(もちろん機密情報に触れない範囲)を話したりした。そして、話がひと段落したところで、

「さてそうだ、金剛さん」

 郷が立ち上がった。

「君のことは、提督さんからも聞いている。少し、話をしたい」

「は、ハイ…」

 そしてーーー

 

 ーーー今に至る。

「私も、酷い仕打ちをした街の人や、それがあったはいえ、その人たちを傷付けたことで…人間を愛することが、できなくなってしまったのデス…」

 俯き語る金剛。郷は彼女を見つめた後、海を向き、呟くように言った。

「私も、君のその気持ちはわかる。」

「…郷、サン…無理に同情しなくて、いいんデスヨ?」

「いや、本心だよ。私もかつて、地球を守っていたからな。地球人として、そして…」

 郷は金剛に、自らの正体を告げる。

「M78星雲からから来た、ウルトラマンジャックとして」

「ウルトラ…マン…!?」

 金剛が目を見開き、郷を見つめる。

「私は地球に初めて来て、そして、怪獣によって倒壊するビルから、自分の命を犠牲にしてまで子供と子犬を守った、郷秀樹という青年に出会った。彼の勇気に感銘を受けた私は、彼と一体化し、怪獣攻撃チームMATのメンバーとして、ウルトラマンとして、この地球を守ることを決意した。」

「そうだったの、デスカ…。」

「ああ。地球を守る上で、私は地球人の色々な面を見てきた。そして、地球人は決して完璧ではなく、醜い本性もあることも、その時に知ったのさ」

 地球人の醜い本性。その言葉が、金剛の苦い記憶を思い起こさせる。

「メイツ星人事件。君は知っているかな」

 ふいに郷が言った。首を横に振る金剛。それを見た郷は語る。

「私が地球を守ることについて、一番考えさせられた事件だ。

 とある宇宙人が、調査のため地球を訪れた。彼は怪獣さえ封印するほどの力を持っていたが、大気汚染によって故郷の星に帰る力を失い、地球人の孤独な少年と、金山と名乗り、地球人の姿で2人で暮らしていた。彼はとても優しく、地球を侵略する気など全くをもってなかった。しかし、周囲の住民たちは彼らを気味悪がり、いつもいじめたりしていたのだ…」

 自分の経験と当たらずとも遠からずな、彼の語る事件の概要。金剛は、既に彼の話に釘付けになっていた。

「そして、そんなある日だった。いきなり警官や住民たちが、隠れるように暮らしていた彼らの小屋に、大挙したのだ。私は住民たちの説得を試みたが、彼らは誰1人聞く耳を持たなかった。そして…警官の拳銃弾が、金山さんを撃ち抜いてしまった。彼らのその時の顔は、狂気に満ちていた」

「…!」

 あまりの衝撃に、思わず口が開く金剛。

「しかし、金山さんが死んだことによって、彼がかけた封印が解かれ、封じられていた怪獣ーーー巨大魚怪獣ムルチが復活し、暴れ始めた。住民たちは血相を変えて逃げたが、うちの数人は、あろうことか、私にこういったのだ。

『MAT、早く怪獣を倒してくれ』と。

 その時は本当に、地球人を見捨てたくなった。こんな彼らのためになど、MATとして、そしてウルトラマンとしても戦いたくなくなった。」

「…!…それで、郷さんは、どうしたんデスカ…!?」

「結局、怪獣と戦ったよ。金山さんが死に、怪獣が倒れた後も、金山さんの乗ってきた円盤を掘り起こそうと、地面を掘り返す少年の姿がとても印象に残っている。」

「そんなコトガ…」

「その時のMAT隊長が、この事件の時こう言っていた。『日本人は美しい花を作る手を持ちながら、一旦その手に刃を持つと、どれだけ残虐窮まりない行為をする事か…』と。

 しかし人間たちは、その住民たちのような行為をする者もいるが、とても美しい心も持っていることだって、私は地球を守る上で知ったのさ。」

「人間の…美しい…心?」

「ああ。互いに支えあったり、共に分かり合えたり…私はこの地球での経験で、こう思った。

『人間を守るためには人間を知らなければならない。

 人間の強さも、弱さも。

 美しさも、醜さも。』

 私は、常に人間たちの美しいところを、心に刻んでいた。だからこそ、最後まで地球のために、人間のために戦うことができたと思っている。」

 そう自身の経験を締めて、郷は金剛へ言った。

「…!」

 金剛は改めて郷を見つめた。その顔は、なんと言ったらいいか、しかし、様々な人間を見てきた貫禄のある表情だった。

「金剛よ」

「…はい、郷サン」

「君が過去に人間から受けた仕打ちは、許されざるものだ。だがしかし、そういうことをする者以上に、美しい心を持つ人々が、この星にはいる。この街の住民たちは、皆とても温かく、思いやりのある人物だ。拙い話だったが、金剛、君のこれからを考えるとき、このことは覚えていてほしい。」

「…ハイ…!」

 彼女の顔には、少しの希望が見えるようになっていた。そしてーーー

 

 ーーー数日後。

 商店街を歩く、二人の艦娘。

「お姉様、ここですか?」

「yes、ヒエー。最近紅茶だけでなく、緑茶にもハマってきたノ。それで茶葉を探しているうち、このいいお店を見つけたノデス」

 彼女は、提督や響に勧められ、商店街で精神リハビリをしている。まだ決断できない、という旨を郷との話の翌日、提督に伝えると、彼はこう言った。

「ゆっくり決めればいい。そうだ、積極的に街に出てみればどうだ?」

 それによって、だんだんと、彼女の本来の明るい性格が戻ってきた。その日の街であったことを、提督に報告することも多くなった。

 

「今日は、魚屋さんで安売りデシタヨ。寒ブリ買って来たデース」

「おお、よかったな。」

「…でも」

「どうした、金剛」

「やっぱり、どうしても、過去のことが頭に浮かんでしまうデース…」

「それはしょうがないことだよ。金剛が受けた心の傷は本当に深いだろうし…ゆっくりでいいからな、焦ることは無いさ」

「テートク…」

 すると金剛は、俺に歩み寄り、そして…

「…心から、youをburning-loveできるように、頑張りマス」

 と、抱きしめつつ言った。

「金剛…!?」

 金剛は少しの間俺を抱きしめた。やがて離れると、付け加えるように言った。

「ソウソウ、明日ハ地元ノ小学生たちと、山に遠足に行ってくるデス」

「そ、そうなのか…!?」

「yes。大丈夫、相手側と大淀に許可は取ってマース。ヒエーも一緒に行くことになってるネー。」

「そっか。わかった、気をつけて行ってくるんだぞ。」

 そして、金剛は礼をして執務室を出ていった。その時の顔は、少し微笑んでいた。

「ふぅ…さて、今日の書類も終わったしっと。最近は療養できた娘も増えて、出撃や遠征も増えたからなぁ…明日も頑張っていかんと…ん?」

 俺は服をクイクイと引っ張る響に気づく。

「…響?どうした?」

「だっこ。」

「え」

「僕にもだっこして。」

 …普段クールな響が、甘えてきた。金剛のさっきのやつか…?

「…よし、わかった。」

 俺は響を膝の上に乗せ、抱いた。その時の響の顔は、ご満悦そのものだった。まあその後、添い寝もせがまれたのは別の話…なのか?

 

 ーーー翌日。

「それじゃテートク、行ってくるネー」

「比叡、気合い、入れて!楽しんできます!」

「おう、気をつけてな」

「ハラショー」

 俺と響に見送られ、鎮守府の門を出て、2人は集合場所に向かっていった。

 

 ーーー数時間後

「そうですか、今日で郷さんはまた帰ってしまうのですか…」

「はは、また来るさ。それまで頼むな、二郎、敬三」

「任せてください、郷さん。」

「ふふ、頼もしいな。じゃあ、今日の夕方まで、ゆっくりーーー」

 その時だった。突然、建物がグラグラと揺れ始めたのだ。

「やだ、地震!?」

 叫ぶ詩織。耐震構造の店は全く問題ないが、外もかなり揺れている。

「郷さん、大丈夫ですか!?」

「敬三、大丈夫だ。」

「ど、どこが震源なんだ…」

「いや、これはただの地震ではない…」

 郷はこの時、確かに聞こえていた。

 揺れる音の中に、地を揺るがすような、荒い咆哮がーーー




よければ評価、感想よろしくお願いします。m(*_ _)m
というわけで読んでくれてありがとうございました!

次もお楽しみに!ではまた!
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