笑顔は太陽のごとく…《艦娘療養編 完結済》   作:バスクランサー

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寒いです。とにかく寒いです…:(´◦ω◦`):

こたつのある家が羨ましい今日この頃。

本編どうぞ。


人と艦娘と光と希望 前編

 ーーー山中

 金剛と比叡は、行方不明になった児童2人を、必死に捜索していた。もちろん範囲など限られているが、怪獣がだんだんと迫っていることを考えると、余裕など全くない。

「ヒエー、この山道は違うみたいデース、こっちを探すデース!」

「はい、お姉様!」

 見落としに気をつけつつ、山中を走り回る2人。次第に聞こえる咆哮が大きくなり、更に怪獣の地響きもより感じる。と、

「…!お姉様!」

 比叡が指さす先には、大木の根本に、縮こまり身を寄せ合っている2人の女の子。頭には、街の小学校の帽子をかぶっている。

「間違いないネー!」

 探している児童だった。急いで駆け寄る。

「2人とも、大丈夫デスカ!?」

「金剛お姉ちゃん…比叡お姉ちゃん…!」

「うわあああぁぁぁ!」

 涙でぐしゃぐしゃの顔のまま、思い切り金剛と比叡に抱きつく2人。よしよし、と抱き返す金剛と比叡。

「2人とも、怪我はないデスカー!?」

「ううん」

 1人がいい、膝を指さす。もう1人は手のひらをパッと見せる。

「逃げてる途中ではぐれちゃって…その後、転んで擦りむいちゃったの…でも、お互い持ってるバンダナや絆創膏で、ちゃんと治したの…」

 そう言う2人は…泣きながら、引き攣りながらも、金剛と比叡に笑顔を見せていた。そしてその時、金剛は気づいた。あの時、郷が言っていた、人間の美しさというものに。

『この2人は…こんな緊急事態でも、お互いを助け合って、そして私達を安心させるために、笑顔を見せている…商店街の街の人も、とても優しかったし、さっきパニックになってた先生のことも、周りの他の先生が支えてイマシタ…

 共に助け合い、共に分かり合える…これが郷さんの言っていた、人間の美しさなのネ…』

 思わずしみじみとなる金剛。

「…様!お姉様!」

 比叡の言葉でハッとする。

「ぼーっとしてる場合じゃないです、とにかく、怪獣に気づかれないうちに、逃げましょう!」

「そ、そうネー、比叡!さあ、2人ともしっかりつかまるデース!」

 金剛は両腕に2人を抱え、そして比叡が念のため艤装を展開しながら護衛のポジションにつく。

「さあ、駆け降りるネー!」

 

 ーーーその頃

 俺は小学校教師から、詳しく事情を聞いた。何度も頭を下げる教師をなだめ、落ち着かせる。

「とにかく、空から下手に探すより、地上からいった方がむしろ安全だな…ジオアトスで行ってくる。響、やつが防衛ラインを越え次第、全員で攻撃を頼む。」

「了解!」

 俺はジオアトスに乗り込み、山へとアクセルを踏んだーーー

 

 ーーーそして。

 山道を通り、後は舗装された道路をひたすら街へと下るだけになった金剛たち。ところが。

「さあお姉様、こっ…ひえええええええ!」

 もう既にアーストロンが目前にまで迫っていた。気づかれないうちに逃げたかったが、これでは隠密行動もステルスもへったくりもない。

「とにかく、早く逃げるネー!」

 道路を駆け抜ける金剛。が、アーストロンは彼女に向けてマグマ光線を次々と放ってくる。泣き叫ぶ子供たち。

「邪魔するのは、許しません!」

 比叡がアーストロンに、反撃の砲弾をくらわす。強力なその一撃に、さすがのアーストロンも怯む。だが、それで余計に腹を立てたのか、アーストロンは山の頂上付近を、自慢の怪力で思い切りえぐりとる。大きな岩や木も飛び、金剛たちのすぐ近くに落ちていく。

「大丈夫、きっと大丈夫デース!」

 喚く子供を必死に励ましつつ、金剛は走る。もう、彼女の心は1つ。この子達を、絶対に守り抜くという強い気持ちだった。がーーー

「ギャアオオオォォォォ!!」

 アーストロンの咆哮と共に、再びえぐり取られた大岩が、爆撃のごとく降ってくる。そしてーーー

「きゃあっ!」

 ちょうど道幅を塞げるほどの大岩が、回避行動のため距離が開いた、金剛と比叡の間に落ちてしまった。

「痛たた…ハッ!お姉様!?」

 比叡の目の前の光景は、ただ大岩が道を塞いでいることだけ。金剛の姿が見えない。

「お姉様!?無事ですか!?」

「私なら大丈夫ネー!」

 金剛の大声が聞こえてきた。

「早く逃げるデース!怪獣が、もう目の前まで迫っているデース!」

「えっ」

 比叡が見上げると、もうアーストロンが、金剛の言う通り目の前にいた。ただその目線は、比叡ではなくーーー岩の向こうの金剛たちに向けられている。

「お姉様!?」

 金剛は、迫るアーストロンにどう生き延びようかと、そしてどう子供たちを助けようかと考えていた。

『とにかく、道は塞がれてイマス…でも、脇から回り込めバ…!』

 既に恐怖のあまり声が出ていない子供たちを抱え、金剛はアーストロンに砲撃する。怯むアーストロン。今だ、とダッシュをかけるが。

 アーストロンが砲撃によって暴れてしまい、その影響で地面が揺れる。至近距離なのでそれはかなり大きいものーーー少なくとも、金剛のバランスを崩すのには充分すぎた。

「アゥッ!」

 転ぶ金剛。見上げると、そこには怒りの形相のアーストロン。その片手を大きく振り上げていた。

 叫ぶ子供たち。

 岩の向こうから聞こえる、比叡の声。

 スローモーションとなった視界には、振り上げた手を思い切り自分たちに振り下ろすアーストロン。

 金剛は、反射的にそれに背を向け、子供たちを庇うように胸に抱く。

 

 ーーーヤダ…こんな所で…死にたくナイ…

 

 ーーーもっともっと、人間の美しさに触れテ…

 

 ーーー人間の美しさというものを、守りタイ…!

 

 ーーーこの子達を…守りタイ!!

 

 念じる金剛。そしてその心の轟く叫びを、1人の男が耳にした。

 

 ーーー『金剛!その思い、受け取った!』

 

 不意に金剛の脳内に直接、声が響く。

「エ…!?」

 ハッとする金剛。その声は、聞き覚えがあった。

 声は更に強く響く。

 

 ーーー今、行くぞ!

 

 アーストロンの手が容赦なく迫る。

 それを目視で確認する程の距離に来た提督は、アクセルをグッと踏み込む。

「クソッ!間に合わねえ!」

 そしてアーストロンはーーー突然、飛んできた光によって吹っ飛ばされた。

「あっ…!」

 思わず見上げる提督。その光は、1体の巨人の形になり、金剛の目の前に着地した。

 

 今起こったことが読み込めず、一瞬混乱する金剛。しかし、すぐに収まる。見上げたそこに立っていた、この巨人が、自分と子供たちを救ってくれたのだと。

 銀色の体に、走る赤いライン。

 左手首にはまった、ブレスレット。

 輝く目に、胸に灯る青い灯。

 その巨人は、金剛を見下ろし、言った。

「間に合った…大丈夫か、金剛!?」

 先程脳内に響いたのと同じ声が、今度は聴覚を通じて伝わる。

「郷…サン…!?」

 

 そして、艦娘たちに誘導され、避難所に来ていた街の人も、その光景に気づいた。口々に叫ぶ人たち。

「おい、見ろ!あれ!!」

「えっ?…あぁ!あれって…!!」

「ジャック…!

 ウルトラマン、ジャックだ!!」

「ウルトラマンが…!

 ウルトラマンが、帰ってきた…!!」

 

 金剛、そして子供たちの無事を確認した郷秀樹ーーーウルトラマンジャックは、少しだけ安堵する。そして、道を塞いでいる大岩も、ジオアトスのアトスレーザーと比叡の砲撃で砕け散る。金剛に駆け寄る比叡。

「お姉様!」

 抱き合う2人。子供たちも提督に保護される。ちなみにアーストロンは、先程ジャックに吹っ飛ばされた弾みで、自分の頭が山にめり込み、なんとか引き抜こうともがいている最中だ。

「怪獣は私に任せて、早くここから逃げろ!」

 ジャックが金剛に言う。だが、金剛の出した答えは…

「NO!私も、あなたと一緒に戦いマース!!」

「金剛…」

 その言葉に驚く、ジャックと提督。

「ウルトラマンジャックサン…あなたが言った、人間の美しさというものにようやく気付けマシタ。あなたの言う通り、あの後、人間を知るために、街に何度も出マシタ。そして、私は、これからへの答えを見つけたんデス…!私は、その美しい心を持つ人間を、守りたいデース!!」

「金剛、お姉様…!」

 完全に立ち直った金剛、それを喜ぶ比叡。

「お願いしマース!!」

 しばらくジャックは金剛を見つめ、言った。

「うむ。ならば私も、それを尊重しよう。」

 ジャックは金剛の決断を受け入れた。

「私も、お姉様と、ジャックさんと戦います!」

 比叡もそう言って、戦いに加勢することとなった。

「よし、この子達は俺が避難所に連れていく。…郷さん、金剛と比叡を頼みます」

「うむ。分かった!」

 

 目の前で起こった、奇跡のような光景。俺はウルトラマンジャックに敬礼し、ジオアトスに子供たちを乗せ、避難所に向かった。

 

 アーストロンの頭が山から抜け、闘牛のごとくジャックたちを睨む。

「金剛、比叡!行くぞ!!ジュワッ!!」

「yes,sir、郷サン!!」

「気合い、入れて!行きます!!」




評価、感想などよければどうぞです!

今回も読んでくれてありがとうございました!
次回で金剛の章は完結予定です!
お楽しみに、です!
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