笑顔は太陽のごとく…《艦娘療養編 完結済》 作:バスクランサー
ショック引きずってます…(´;ω;`)オヨヨ
そしてクリぼっちという追い討ちって…
本編どうぞです…
「響ちゃんに、ですか…?」
「そうだ。多分、俺みたいな大人の男がいきなり干渉しようとしても、おそらくは恐怖心によって逆効果になってしまうだろう。だから、よく艦娘たちとコミュニケーションをとっている第六駆逐隊姉妹の一員である、響がこの役に適任かと思ってな。」
納得の表情となる霧島。
「…なるほど…!あ、しかし司令、響ちゃんを榛名お姉様につけると、秘書艦の方がいなくなってしまうのでは?」
「ああ、その間の秘書艦は、お前に任せたいんだ、霧島。こうすると、榛名にとって信頼を寄せているお前が俺のそばにいつもいるってことで、多少は信頼を置いてもらえるという相乗効果もあるかもしれない、と思ったんだ。」
「わ、私ですか…!?一応書類整理も得意分野の方ではありますが…よろしいのですか?」
「お前がいいと言うなら構わんが…」
すると霧島は、メガネをクイッとあげて、得意気な顔をして言った。
「分かりました、お任せ下さい!」
よし、交渉成立だ。
「じゃあ、明日から行動開始だ!」
ーーー翌日
響がドアをノックする。
「ひゃあっ…!あ、あの、どなたですか?」
「響だよ、榛名さん」
「…ど、どうぞ」
提督の読みが当たり、響はなんなく榛名の個人部屋に入れたのだった。
「榛名さん、お邪魔します」
「はい…どうしたの、響ちゃん」
優しく微笑みつつ、響は要件を伝える。
「今日から少し、あなたと一緒に過ごしたいんだ、榛名さん」
「え…?響ちゃん、秘書艦は?」
「秘書艦なら、霧島さんがやってくれてる。心配ないよ」
少し驚くような顔になる榛名。
「霧島が…?」
響は机を挟んで、榛名の向かい側に座る。
「じゃあ早速だけど、2人でゆっくり過ごそう、榛名さん」
そう言って、響は持ってきた大きな袋から、大量のマンガ(主にスポコンもの)を取り出した。
「よかったら、一緒に読まないかい?」
「響ちゃん…」
最初こそ、榛名は戸惑いつつ読んでいたようだが、そのうちだんだん引き込まれていったようだ。
「榛名さん、結構読んでるね」
そう言われて、榛名は自分の横を見る。赤城の唐揚げ丼のおかわりペースよりは遅いものの、脇には読了したマンガがタワーを形成しつつあった。初心者にも読みやすい、あまりハードではないものを選ぶことで、榛名の気持ちを考慮した、響の作戦勝ちである。
「え?あ…。なんだかだんだん、ハマってきちゃったかもね…」
「ふふ、気に入ってくれたみたいで、嬉しいかな」
その後も、2人でマンガを読みふけり、時々対話を交わした。
「ふふ、このマンガは面白いわね、響ちゃん」
「僕も思ったよ。そうそう、普通、艦娘の響は一人称が私なんだって。でも僕は、スポコン漫画を読んでるうちに、なんか移ってきちゃったみたいで、今はすっかり僕っ娘になっちゃったんだ。」
「ふふ、響ちゃんって面白いのね」
「ありがとう、榛名さん」
「こちらこそ、こんな私のために…なんか悪いわね…」
「榛名さん…?」
「私もこのマンガの主人公みたいに、もっと強かったら…」
俯きながら、榛名はそう呟いた。そしてそれを耳にした響は…
「榛名さん、大丈夫だよ」
「…え?でも、私なんて…」
「私なんてとか、そういう自分を過小評価する言葉は、言っちゃダメだよ。榛名さんは本当に強い人だと思うよ」
「…?」
理解できないと言いたげな榛名に、響はさらに続ける。
「榛名さんみたいに、強くなりたいって思う心を失ってないってことは本当にいいことだと思う。そういう人は、自分では気づいてないだけで、とても強くて優しいんだよ。」
「でも…」
「…なんか色々…よくわからないけど、怖い?」
無言で頷く榛名。それを見た響は、大胆な行動に出た。
なんと榛名に、まるで母親に甘える子供のように抱きついたのだ。
「…響ちゃん…!?」
「ふふ…こうされると、守ってもらってる気持ちになるんだ」
「…え…」
「大丈夫。ここにいるのは、榛名さん1人じゃない。僕も、霧島さんも、司令官も…みんなついてる。みんなでお互い、守り守られ、助け助けられつつ、暮らしているんだよ」
「…響、ちゃん…」
「繰り返して言うようだけど、本当に大丈夫。榛名さんは…1人じゃないから。みんなついてるよ。だから、一緒に、頑張っていこうよ」
響の溢れる優しさをこれでもかと受け取った榛名は、目に涙を浮かべながらも、自然に笑っていた。
「ありがとう、本当にありがとう…響ちゃん…!私、また頑張ってみる!」
「そうだよ榛名さん、その意気だよ!」
2人の間に、信頼という名の絆が出来上がった瞬間だった。響も、榛名にあえてタメ口で話すことで、警戒心を薄くさせたり、また、スキンシップをとることで、精神的に追い込まれていた榛名を安心させたりしていた。ここもまた、響の作戦勝ちである。
ーーーヒトキュウマルマル 執務室
「…という感じだったよ、今日は」
「そっか、榛名が心を開いてくれたか。それは良かった。」
今日のことを響が、俺に嬉しそうに報告してくれた。秘書艦をこの一日務めてくれた霧島も、顔がほころんでいる。
「ありがとう響ちゃん、本当にありがとう…」
抱きしめ、何回も響を撫でる霧島。無理もない。今日の彼女は、冷静な性格とは対照的に、そわそわと榛名の心配ばかりしていて、俺が数回注意したほどである。響がいるから大丈夫だ、とにかく落ち着け、そう何度言っても、彼女は平静の状態になることは言った後数分の間だけだった。しかし裏を返せば、それだけ姉のことを尊敬し、そして気遣っている証拠ということなのだろう。
「響ちゃん、これからも、榛名お姉様をよろしく頼むわね…!」
「任せてください、霧島さん」
それからも、2人は仲を深めていった。しばらくの間、響は榛名の部屋に通いつめた。マンガだけでなく、鳳翔のカウンセリングの時に、鳳翔と六駆のみんなで遊んだ迷路やゲームをしたり、お互いに折り紙をしたりと、コミュニケーションを積極的にとり、彼女の支えとなっていった。次第に榛名もどんどん心を開き、笑顔を見せる回数が増えていくのが、響自身でも、目に見えていた。
ある日。響は提督との相談のもと、榛名を食堂でのおやつに誘った。
「ほらほら榛名さん、早く行かないとなくなっちゃうよ!」
「分かったわ、響ちゃん!」
食堂ののれんをくぐると、そこにいたのはーーー
「おお、榛名」
「あら、榛名お姉様」
提督と霧島だった。
実は事前に、提督と響が示し合わせ、榛名の現段階の心理状態の確認及び治療のため、この時間に食堂で会うようにしたのだ。
「司令官、休憩かい?」
「ああ、書類整備がひと段落ついたからな。」
「そうなんだ。よかったら、一緒にいいかい?」
「ああ、構わんが…榛名は、大丈夫なのか?」
響はすかさず、戸惑う榛名に小さな声で言う。
「大丈夫、司令官はとてもいい人だから、怖がらなくていいよ。」
榛名はそう言われても尚、おどおどしていたが、やがて覚悟決めたように、
「はい、榛名は…榛名は大丈夫です…!」
と言って、四人がけ席に座った。
「はい司令官、僕のケーキもどうだい?」
「お、ありがとう響。いただくよ。」
提督は響からケーキを少し取り分けてもらう。美味しさが口の中に広がる。そして、彼は気づかれないよう榛名を見ると…ケーキを食べつつも、やはり戸惑っているようだ。やはり、恐怖心がまだあるのだろう。そこで、
「響」
提督は響とアイコンタクトをとる。響がそれを受け、榛名に何やら話しかけた。
「大丈夫、榛名さんも、やってみなよ」
榛名は響に言われたことで少し落ち着き、そして提督に向かって言った。
「あの…私のも少し、いかがですか?」
言った瞬間、榛名は、自分は何を言っているのだろか、と思った。しかし、言った以上もう戻れない。榛名は、不安げに提督を見た。
ーーー提督は笑っていた。
「いただくよ、榛名。ありがとう。」
少し榛名は、救われた気分になった。そしてそんな気持ちで、自然と笑顔になれた。提督にケーキを渡す。ニコニコと微笑み合う。
榛名は、大きな1歩を踏み出せたのだ。
ーーーその夜 フタフタサンマル
「悪いな霧島、響。書類整理がこんなにまでなってしまった」
「いいえ、榛名お姉様が司令にもだんだん心を開いてきているのを見られたので、大丈夫ですよ。書類もたまたま今日の量が多かっただけですし」
「きっと榛名さんも、海上を駆け回って、勇敢に戦えるようになるさ」
2人の温かい言葉をもらって、少し嬉しくなる。霧島は自室に戻り、俺は響にも就寝を促した。が…
「分かった司令官、その代わり」
響は俺を見つめる。
「…僕にもなんか分けてよ」
…ああ、響が榛名に嫉妬してる。
とにかく、俺は響のご要望通りに、夜食のクッキーをはんぶんこした。
「ありがとう司令官、ハラショーハラショー」
幸せそうな響の顔を見て、なんだか許せてしまう。
「さて司令官」
食べ終えた響が、こちらを向いた。
「もう少し榛名さんが心を開けたら、その時は少し訓練させてみないかい?」
提案だった。
「おお、もちろん」
俺もそういう構想だったので、響のその案に快く賛成しつつ、榛名を心の中で応援した。
ーーー頑張れ榛名、出口はもうすぐだ
今回も読んでくれてありがとうございました!
評価、感想お待ちしております!
ネタバレ覚悟で映画の内容教えてくださいと言いたいけど、やっぱりネタバレは良くないなと、複雑な感情うごめく今日この頃…
また次回。←なにかを悟った筆者