笑顔は太陽のごとく…《艦娘療養編 完結済》 作:バスクランサー
冬休み明けに本番ありまして…←部活で、無事成功しました。
すみませんお待たせしました、本編どうぞ。
消された愛情と重い心
ーーー数日後
俺と響は、この日も朝から執務室で書類整理をこなしていた。最近この鎮守府の艦娘たちも大勢が立ち直り、出撃などがこなせるようになっている。
「はい司令官、この前の遠征の報告書。資材の数の確認を頼むよ」
「ありがとな響。成功してよかった。」
目を通してサインをする。
「さて、と。」
ひとしきりの整理を終えて、俺は一枚の書類を手に取る。そこには、ここに在籍する1人の艦娘のデータが書かれていた。
ーーー高雄型重巡洋艦の一番艦・高雄。元は第39鎮守府の艦娘だった彼女がここにやってきた理由、それはなんと、そこの憲兵からの理不尽な理由での暴行によるものだった。
かつて、彼女はそこで主力として活躍していた重巡洋艦だった。必然的に練度も高くなり、そこの提督に信頼され、いつしか彼に恋心を抱いた。が…。
それを好ましくないと思った者がいた。そこの鎮守府に当時勤務していた女性憲兵である。彼女もまた、提督に行為を抱いていた。そして彼女はやがて、嫉妬心のあまり高雄のことを邪魔者扱いし始めた。はじめはすれ違った時のイヤミから始まり、しかしやがてエスカレート、ついには直接の暴行までに至った。人目のないところだけで行い、そして想い人の提督の前ではいい人を装う。陰湿な手口は彼女の心を大きく傷つけ、発覚を遅らせた。やがてこの一件がようやく発覚して、大本営から独立した憲兵隊本部は憲兵の検査を強化するなどの対策が取られた。しかし。
発覚した後に対策をしても、高雄の心は簡単には治るはずがなかった。彼女はこの1件で人間不信に陥ってしまい、心を閉ざしている。
そして、この情報を教えてくれたのはーーー
ーーー「提督?いいかしら?」
「ああ、入れ」
途端にバターン!と大きな音を立てて開くドア。1人の艦娘がこちらに向かって、走って…というより突進してくる。
「失礼しまーす!ぱんぱかぱーん!!」
「わーっ、ちょっまっ」
ドンガラガッシャーン!ーーー
ーーー「痛たた…愛宕、挨拶したのはいいが、突進は控えてくれ…」
「ふふふ、ごめんなさーい」
「あと、謝ってるなら…」
「何かしら?提督」
「…俺を抱いてるその腕を解いてくれ…」
「もー、スキンシップよー?」
「スキンシップは結構だが…流石に苦しい…」
「愛宕さん、司令官の顔から真面目に血の気が引いてるからやめてくれ」
「響ちゃんまで…はーい」
…そう、高雄型重巡洋艦の二番艦・愛宕だ。高雄と同じ鎮守府から彼女とともにここに移ってきた。
「全く、お前は少し加減というものを覚えてくれ…」
「はーい」
反省してるのかわからない態度だが、決して悪い人ではなく、むしろいい人である。姉思いで、高雄の療養にも色々と協力してくれているのだーーー
ーーー数日前 フタフタマルマル
「提督?少しいいかしら?」
「?…ああ、入りなさい」
ドアを開けて入ってきたのは、愛宕。
「提督、わかってると思うけど…私の姉、高雄のことで相談があるの…」
「高雄か…一昨日榛名が戦いの中立ち直ったことで、この鎮守府に着任している艦娘の中、現在で唯一療養をまだしてない状態にあるからな…遅れてすまん。」
「謝ることないわ。隣、いいかしら?」
俺が了承すると愛宕は、響が自室に戻って空いた、秘書艦用の椅子に腰掛けた。
「愛宕、できれば高雄と同じ鎮守府から来た、姉妹艦の君に状況を詳しく話して欲しい。」
「ええ、もちろん私も、そうするつもりだったから。実はね…」
愛宕は全てを語った。語るうちに、いつも明るく快活な彼女が、次第に俯き、暗い表情で嗚咽を漏らし始め、そして話が終わる頃には、彼女の顔は普段とはうってかわって涙でぐしゃぐしゃだった。
「…愛宕…大丈夫か…?」
「…ええ…なんだか、昔のこと思い出して、すごく自分が情けなくて…高雄がある日、不自然な怪我をしてた時、私は大丈夫って聞いたのだけど…あの子、笑顔で『大丈夫よ愛宕、心配しないで』って言ってたの…今も時々思うの、もしあの時、自分がもっと彼女の異変に気付けていたら…もしあの時、高雄を少しでも救えていたら…!!私は…、何も高雄にできなかった…」
「…とりあえず落ち着け、愛宕」
よしよしと俺は愛宕を抱き寄せた。
「…提督…。ありがとう」
「でも、確かに辛かっただろうな…きっと高雄は、お前に心配をかけたくなかったんだよ。大事な妹に、自分のことで心配をかけまいってな…」
「うん…あの子、とても思いやりのあったから…多分、提督の言う通りだと思うわ…」
「ああ。それで、今の高雄は?」
「人間不信になってるわ…ここの艦娘たちとはうまくやっていけてるし、一応出撃もできるけど、提督や憲兵とか、軍事関係の人間関係ってなると、昔の記憶が戻っちゃうのかしら…自分からとにかく関わろうとしないのよ…彼女の影響って理由もあると思うけど、ここには憲兵は配属されてないし…」
「確かに、憲兵をここでは見かけてないな…そういうことだったのか。」
「提督…響ちゃん…お願いです、高雄を助けてあげて…」
「わかった、全力を尽くそう」
「僕も頑張る」
「ありがとう、2人とも…」ーーー
ーーーそして今。
「今日も高雄は…一緒に提督の仕事手伝わないって誘ってみたのだけれど…」
「来てくれなかったか…」
「あ、でも」
「?どうした、響」
響はこう言った。
「高雄さんに、昨夜自室に戻る時に偶然会ったんだけどね」ーーー
ーーー昨夜 廊下にて
「ふぁ〜…やはり眠いな…あっ」
曲がり角を曲がると、そこには高雄の姿。
「…こんばんは、高雄さん」
「あら、響ちゃん…」
すると、高雄は響の元に歩み寄り、しゃがんで響に目線を合わせる。
「…私のために、ありがとうね。愛宕からいつも聞いているの…」
「いえいえ。高雄さんのこと、応援しているから」
「響ちゃん…あのね、聞いてくれるかな?」
「え?」
ーーー場所を高雄の個人部屋に移して
「そこ、座っていいわよ」
「お邪魔します、ありがとうございます」
「ううん」
高雄は響にお茶を出し、話し始めた。
「私の過去については、愛宕から話してもらってると思うけど…人間が嫌いなわけじゃないけど、どうしても抵抗が出来てしまって…やっぱり、今の提督がどんな人とかろくに知らないのに、自分勝手よね…」
「そんなことないよ。ここまでひどいことをされたら、僕もそうなってしまうかもしれない。」
「響ちゃん…」
「でも、少しずつ、明日から提督と話してみてくれませんか?僕からのお願いです」
「うん、私もそろそろ頑張ってみようかな…でも、少し考える時間が欲しいわ。その…明日には答えを出すから、秘書艦業務が終わったら、来てくれないかしら…?」
「わかった、ゆっくり考えてください」ーーー
ーーー「だから提督、もしかしたら明日には高雄さん来るかもしれない」
「そうか…」
「響ちゃん、ありがとうね」
「お礼はいいよ。とりあえず提督、色々と準備しないとだね」
「ああ、そうだな。」
「提督、よろしくお願いしますね」
「わかっているさ、愛宕。頑張ってみるよ」
今回も読んでくれてありがとうございましたm(_ _)m
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それではまた次回…出来るだけ早く出せるよう頑張ります!