笑顔は太陽のごとく…《艦娘療養編 完結済》 作:バスクランサー
筆者かなり危機的状況です。色々と。
そんな中でも止まらないです。
このままいったら確実に過労になりそう
↑なわけないがな
というわけで明石さんの過去です。←どういうわけよ
ーーー第13鎮守府
「おーい明石ー、暇だからまた一緒に開発しよう!」
「もー、ほんとに提督さんは開発好きですね!」
「まあ、元から開発とかは好きだし、それにーー」
彼は明石を見て、こう言った。
「お前と一緒にいられるからな」
「もう、提督ったら!お上手ですね!」
「はは、本心だよ!」
そこの鎮守府の提督は、明石と本当に仲良しだった。暇さえあれば自ら資材を持ち込み、工廠にこもる日々。提督は誰よりも明石を大切にし、そしてよく出撃もさせ、練度もあげていった。明石も彼の期待に応えるべく、みんなのサポート、時として攻撃、そして何より数々の新兵器。彼女の腕は、最高傑作の工作艦と呼ばれ、どこの明石も、ここの彼女には絶対にかなわない、そう言われるほどだった。
「明石さんと提督…本当に仲良しですね」
明石の親友でもあり、提督の秘書艦でもある大淀は、いつもそんな2人を見守っていた。
しかし、その頃深海棲艦との戦闘が激化し、その鎮守府も出撃回数が増えていった。そのため、修理や開発などの需要が増え、明石は工廠にこもることも多くなった。練度の上がるペースも遅くなり、最高練度に近かったこともあって焦る明石。しかし、そんな彼女を提督はしっかり気遣い、一緒にいてあげた。そしてついに…
「明石…この指輪なんだが」
「提督、なんですか、その指輪!
もう、誰にあげるんですかー?」
「…明石、お前に決まってるだろ?」
提督は、明石にプロポーズしたのだ。当然、明石の答えは、
「わぁ…大事にします、ありがとう…!」
こうして、提督と明石はケッコンカッコカリした。もちろん前述の仲なので、みんなが心からそれを祝ったのはいうまでもない。
しかし、戦いはさらに激化していき、ひどい損傷を受けて帰ってくる艦娘も多くなった。忙しくなる工廠。そこへ、大本営から1人の軽巡洋艦の艦娘が派遣された。夕張だった。
工廠の仕事も、出撃も両方こなせる彼女は、すぐに明石と打ち解け、よき話し相手になっていった。
「明石さんは、本当に作業が上手いですねー、憧れちゃいますよ」
「そんなことないわよ、夕張ちゃん。本当に来てくれて良かったわ。さて、これが最後の部品だね…」
「ありがとうございます。…あれ、ボルト、左手で締めるんですか?」
「うん。提督とケッコンしてから、最後の部品は、利き手じゃないけど、左手で締めることにしてる。提督と私の、愛の力ってやつかなー、なんて」
「うわ、すっごくロマンチックじゃないですか!明石さんは本当に提督のこと大好きなんですね、なんか私やけちゃいますよ!」
「あははは…」
ある日、提督が工廠へやってきた。
「おーい明石、お前に重要な頼みがあるんだ。」
「あ、提督!なんですか?」
「…最近の戦いの激しさはかなりのレベルだ。…その、俺は提督だ、指揮をするのが仕事なのはわかってる…ただ、やはりというか、無力感がすごいんだ。傷ついた仲間を見て、指揮しかできない自分が情けなくて…」
「提督…」
「お願いだ明石…俺のために、船を、作って欲しい」
「提督…まさか自ら出撃する気ですか!?」
「ああ」
「やめてください、危険すぎます!」
「明石…頼む、ここは俺も譲れないんだ。」
「でも、提督がいなくなったら…」
「大丈夫。俺は明石を愛してる。愛する嫁さんを、絶対に置いていきはしないさ。約束する」
「提督…わかりました。この明石、全力で提督の望みに応えます。私も、約束します!」
「本当にすまん、明石…。本当にありがとう」
提督と明石は、早速作業に取り掛かった。二人の時間は、さらに互いの距離を縮めた。
そして数日後…
「あとは…ここのボルトを締めて…できました!」
左手でボルトを締める明石。
「やったぞ明石!ありがとう!」
ついに提督専用の高速小型船が完成した。提督と明石の全力をつぎ込んた船。完成した時、二人は思い切り抱き合った。涙を流して、喜びを分かちあった。
翌日の出撃で、提督は早速その船で出撃した。
「明石さん、夕張が、絶対に提督を守ります!任せてください!」
夕張は、提督や明石、大淀たちと話し合い、提督が出撃するときは必ず自分も一緒に出ることを決めた。
「よし、第一艦隊、出撃!」
艦娘たちとともに、提督が海へ出ていった。
数時間後ーーー
「明石ーー!ただいまーー!帰ったぞ!
お前の作ったこの船!すごすぎるぜ!」
「提督!心配だったんですよ!帰ってきてくれて、良かったです!おかえりなさい!」
ーーー事実、提督の船の力はすごかった。運動性能は素晴らしく、次々と敵の砲撃をよけ、そして船の左右に二門ずつついたオリジナル武装の熱線砲は、敵艦を一撃で中破以上の損害に追い込むほどの威力だった。
「夕張もありがとう」
「いえ!明石さんとの、約束ですし!」
それから先も、提督は頻度こそ少なくとも、出撃をしていった。その度に明石は心配になったが、帰ってきた夫の提督との時間は、彼女にとって一番の幸せだった。
提督の船の整備も、当然のように行った。もちろん、最後の仕上げは、指輪をはめた左手で行った。
「提督と、この指輪をつけているだけで…どこにいてもつながっている気がします…私は、幸せ者ですね...」
その日はよく晴れていた。今日の出撃の目標は、少し遠方の島付近の敵艦隊。
「提督、ちゃんと無事に帰ってきてくださいね!」
「心配するな明石、お前がいつも、その左手でメンテナンスしてくれていることは知っているさ。指輪をはめた、その手でな」
「はぅぅー」
「はは、じゃあ、行ってくるよ」
「はい!行ってらっしゃいです、提督!」
こうして、提督はまた毎度のごとく出撃した。
「…甘い言葉浴びても、やっぱり心配は消えないわねー」
明石は大淀に、愚痴るように打ち明ける。
「大丈夫ですよ、明石さん。提督は絶対帰ってきてくれますから。とりあえず、私たちの仕事をしましょう。」
「ですね…」
ーーーそれから数時間が経った。
「…提督、遅いなぁ…」
「しょうがないですよ、明石さん。今日は遠方なんですから。」
「ですけど…」
その時、鎮守府に1本の通信が入った。
「あ、明石さん、少し失礼します」
「あ、はい」
きっと敵艦隊を撃破した連絡だろう。明石は少しほっとした。これでまた、愛する提督に会えるのだから。
しかし、その予想は、いとも簡単に裏切られた。
「はい、こちら第13鎮守府。第一艦隊どうぞ」
「大淀さん!?お願い、早く支援艦隊だして、早く!」
「夕張!?どうしたの、とにかく落ち着いて!」
「敵艦隊の奇襲を受けてる!我が艦隊、中破以上の艦多し!とにかく早く来て!」
「夕張!?」
明石が通信マイクに割り込む。
「提督は!?提督は無事なの!?ねえ!?」
「明石さん、提督はきゃあーーーーーっ!」
ブチッ、と音がして、夕張の悲鳴を最後に、通信が切れた。
「第一艦隊!?応答してください!第一艦隊応答願います!!」
大淀はマイクに向かって叫び続ける。それを見た明石は、とてつもない恐怖に襲われた。
時を少し遡りーーー洋上
「よし、まずは前哨戦か。」
「提督、熱線砲での援護よろしくお願いします!」
「おし、行くぞ!」
出撃地域の敵主要艦隊手前の艦隊と、提督たちの艦隊は交戦していた。
次々と艦娘たちの攻撃が、敵艦を沈めていく。敵艦隊の反撃も、熱線砲で全て防がれる。提督が一緒にいた時の艦隊は、無敵と言ってもいいくらいだった。
「やりました提督。しかし、提督の船も小破しています、大丈夫ですか?」
「これくらいどうってことないさ、夕張。
次が本番だ。油断するなよ!」
「もちろんです!」
艦隊は、敵主要艦隊へと向かっていった。
しかし、提督や艦娘たちも、全く気づいていなかったことがあった。
敵主要艦隊のそばに、援護艦隊が潜んでいたこと。
そして、提督が、熱線砲で堕とした敵艦載機の搭載していた小型不発弾が、小破した船傷の中に入り込んでいたことーーー
ーーー敵主要艦隊潜伏地
「敵艦隊発見、攻撃開始せよ!」
提督の掛け声で、次々と攻撃を仕掛ける艦娘たち。
やはりというか、敵主要艦隊は、これまでの前衛艦隊とはさすがに格が違った。
しかし、艦娘たちの攻撃に加え、こちらには提督の船の熱線砲もある。
艦娘たちの誰もが、油断なくとも、絶対に負けないと信じていた。徐々に敵主要艦隊を追い詰めて行く。ところがーーー
「よし、あと一押しだ、頑張
ドカーーーン!
「なんだ!?」
「どういうこと!?…えっ…敵の援護艦隊!?」
次々と新たな敵の砲弾が飛んできて、艦娘たちを何度も襲う。轟音とともに上がる水柱。飛び交う艦娘たちの悲鳴。
「畜生、このままじゃ分が悪すぎる!夕張、鎮守府に援軍を要請してくれ!」
「わかりました!…
しかしそこへ、大量の艦載機からなる敵の機動部隊が攻め込んできた。
「提督は、きゃあーーーーーっ」
通信中に攻め込まれたため、防御体制もろくに取れなかった夕張は、かすり傷状態から一気に中破へと追い込まれる。しかも今の攻撃で、通信機が壊れてしまったようだ。やばい。
「提督、ダメです、鎮守府と連絡が取れません!」
「クソッ、全軍撤退!」
やむを得ず撤退指示を出す提督。中大破した6人の艦娘たちの後ろにつき、必死に逃げる艦隊。しかし、しつこく敵機動部隊が追いかけて来て、機銃掃射で襲いかかる。そしてーーー
ドカーーーン!!
激しい爆発音に夕張が振り返ると、そこには…
「うああああああ!」
外側には炎、内側からは提督の絶叫があがる、小型高速船の姿が。今の機銃の弾丸が、ちょうど小破した時できた船傷の中の、小型不発弾に命中してしまったのだ。
「提督!?船が炎上してます、早く!
明石さんが緊急脱出装置をつけてるはずです!提督!!早く!!どうしたんですか、提督、早く逃げて!!」
叫ぶ夕張。しかし…
「ダメだ夕張、緊急脱出装置が作動しねえ…
今の爆発で、電気系統丸ごと、やられちまったみたいだ…」
「提督!?今行きます!」
「ダメだ夕張!危険だ!お前達だけでも逃げろ!」
「提督!?ここで沈まないでください!明石さんが、待ってるんですよ!彼女を置いていくなんてーーー」
ちょうどその時…敵艦載機が一斉に機雷を投下してきた。周囲で次々と爆発が起こり、必死にかわす艦娘たち。夕張もその雨をなんとかよけて、提督の元へと行こうとする。しかし…
消えた水柱の向こうにはーーー先程まであった提督の船の姿は、見えなかった。
「提督ーーー!!」
それからなんとか、鎮守府から急行した支援艦隊によって、夕張たちは母港へ帰投した。もう西の空は、夕日で真っ赤に染まっていた。港の岸の先端には、明石の姿。夕張は辛かった。これ程辛い報告を、自分はこれからしなければならないのだ。
彼女はゆっくり、明石に近づいた。
「艦隊…帰投しました…中破2隻、大破4隻…そして…ごめんなさい…提督の、船が…ひくっ」
「うああああああああああああああああああ!」
夕張が言い終わる前に、事態を悟った明石は、声にならない叫び声をあげ、その場に倒れ込んだ。
「明石さん…ごめんなさい…提督を…守れ…ませんでした…本当にごめんなさい…!」
しかし、明石は夕張を、号泣の中しっかり抱き締めた。
「あたしが悪かった…あの時、もっとしっかりメンテナンスしてれば…左手でボルトを締めなければ…何より、そもそも提督の出撃を止めていれば…こんなことには…うああああああ…夕張ちゃん、ごめんなさい…」
泣き合う2人を、優しく抱く大淀。大淀にも、これしか出来る事はなかったーーー
その夜ーーー
明石は自室に閉じこもって泣いていた。ベッドに顔を伏せて。顔の周りのシーツは、既に彼女の涙でぐっしょりと濡れていた…。ふと少し顔を上げる明石。自分の手が見える。そしてその片方には…銀色に光る、提督との指輪。
「ごめんなさい…提督…あなたを殺したのは…あたしです…」
明石は再び泣き崩れた。
「…夕張ちゃん、今はそっとして…とにかく、書類を書かないと…大本営にも連絡しないとだし…」
「…わかりました、大淀さん…」
大淀と夕張は、しばらく明石をそっとしておくことにした。とにかく、自分たちのやることをしなければならない。必死に整理や連絡に追われた。やはりというか、終わるのは深夜になってしまった。
「夕張ちゃん、明石さんの様子、少し、見に行きましょう。」
「はい、大淀さん…」
2人は軽食と飲み物を持って、明石の部屋へと向かった。ドアをノックする。
ーーー応答が、ない。
2人で呼びかけてみても、一向に応答がない。
「夕張ちゃん、中に入ってみましょう」
「はい」
ドアの合鍵を取りに行こうとする大淀。しかし、夕張の衝撃の一言が、彼女の動きを止めた。
「あれ…鍵、あいてる」
「え…?」
さっき明石を部屋に送った時、そっとしておいてくださいという理由で、彼女は内側から鍵をかけたはずだ。2人は顔を見合わせ、頷きあった。警察の特殊部隊並の勢いで、部屋の中に突入する。
明石の姿は、ない。
「大淀さん、これって」
「とにかくまずいわ、夕張ちゃん。急いでこの建物と寮を探して!私は外や工廠の方を見てくる!」
「はい!」
大淀は急いで外へ出た。彼女の名を叫び、走る。見つからない。
やがて、工廠が見えてきた。もしかしたらここかもしれない。そっと工廠に入る。その時だった。
「うああああああああああああ」
中から叫び声のような音がする。急いで奥に進む大淀。いない。と、さらに奥の部屋から、橙色の光が漏れていることに気がついた。声もそこから聞こえてくるようだ。意を決して、中へと進む。
光っていたのは、かつて明石が提督と共同で制作した、高性能レーザーカッターだった。そのそばには人影。明石だった。そして、叫び声も間違いなく、彼女のものだった。
「どうしたんですか明石さん、探したんでーーー」
大淀はふと目を明石の手元に向けた。彼女がレーザーカッターで、何をしているのか、気になったからだ。そして、明石が切っていたのは
ーーー指輪のはまった、彼女自身の左手だった。
「明石さん!?何やってるんですか!!!?」
しかし遅かった。大淀が気づいた頃には、彼女の左手は完全に切断されていた。迷いなく切ったのだろう、彼女は一切暴れず、叫び声を上げていた。超高熱で切られたため、断面から血は出ていない。
明石は切り落とした自分の左手を、床に叩きつけた。そして、改良を頼まれていたであろう、そこにあった誰かの単装砲で、それを撃ち抜き、爆破した…
「明石さんっっ!!…」
ーーー「これが、私の、過去です。」
明石はすべてを語った。やはり泣いていた。
「…そんなことが…辛かったな、明石。」
「提督…うわあぁぁぁぁぁあ!」
明石がいきなり俺に抱きついてきた。
「提督、提督…ひくっ…えぐっ…ありがとう、ございます…」
俺は明石を、強く抱き返した。夕張と大淀、そして響は、その様子を優しく見守っていたーーー
明石さんの過去編でした。
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