笑顔は太陽のごとく…《艦娘療養編 完結済》   作:バスクランサー

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ただいま、筆者は慢性的寝不足です。
やばいです。
明日も早いし…あぁ休みたい。

本編どうぞ。


霊魂の真相と謎の光

 ーーー「そのさ、まず私が幽霊で蘇った理由?というか原因?なんだけどさ。」

 北上はまずそう切り出して話し始めた。

「前のとこの図書室で色々調べたんだけど…多分、大井っちが私のことをすごく強く思ってたから、それに反応して霊魂が強くこの世に残って、それで幽霊の姿になったって感じかな〜。大井っちがさっき言ってたことも、あながち間違いじゃないんだよね…」

「なるほど…要するに生き霊と原理的には同じだと考えて大丈夫ってことか?」

「あー、そうそう。多分そんな感じかな。」

「なるほど。」

 …響が生き霊という言葉に反応していたことは黙っていよう。

「あ、そう言えば」

 大淀が口を開いた。

「先程北上さん、お茶を私たちに持ってきてくれましたよね…幽霊とかって、どうしても、こう…その、物とかはすり抜けちゃうっていうイメージがあるんですが…」

「あー、それねー。これも調べに使った本の一冊に書かれていたんだけど、私みたいな幽霊ってさ、霊力がみんな一緒じゃなくて、強弱があるみたいなんだよね、大淀さん。」

「強弱?」

「そう。すごく強いと、誰でもはっきり見えたり、やばい呪いかけることが出来たり…」

「うわぁ…」

「まあまあ、私はそんなのかけないし、かけられないから大丈夫だよー。ただ、大井っちの私に対する思念がすごく強くて、その程度が物が持てるレベル…なんだよね、多分。」

「なるほど…ありがとうございます」

 何故かメモしている大淀。すると突然、北上が何かを思い出したかのように俺に言った。

「あ、そうだ。その、焦らせるようで悪いんだけどさ…私、時間ないんだよね…」

「え?」

「提督も知ってるよね?人が死んだ時の、四十九日とかって」

「ああ。確か、人は死後四十九日はこの世に魂があるということだろ?…ってまさか」

「そう…そのまさかなんだよね。今日この日で、私が沈んでから、ちょうど四週間目なんだ。」

「ってことは…あと、三週間…21日しか無いってことか!?」

「そう…なっちゃうんだよね。」

「そ、そうか…」

「それと…あのさ、加えて追い詰めちゃうようで申し訳ないんだけどさ…大井っち、このことを全く知らないんだよね…ごめんね提督、すごく図々しいと思うんだけど…」

「いや、なかなか伝えられないのはわかる。多分みんなそうすると思うし。」

「…提督…ありがとう」

「いいんだって。これも、俺の仕事さ。」

「提督…いい人だね。私も、大井っちに笑顔であの世に見送ってほしいから、その…自分にできること、できるだけ頑張ってやってみるよ…!」

「おう!お互い頑張ろうな、北上。」

 すると、北上が手を差し出してくる。幽霊だけど大丈夫か?と聞く俺に北上は、さっきも言った通り物には触れるよ、と返してきた。俺は差し出された北上の手に、そっと手を重ねた。冷たい手を予想していたが、それはいい意味で裏切られた。手と手が触れ合った瞬間、ほんのりと感じる北上の体温。温かい。前を見ると、微笑んでいる北上。少し頬が紅く染まっている。

「司令官?何してるのかい?」

 不意に響が聞いてきた。北上と握手していることを話すと、響はまるで、「え?」とでも言いそうな顔になる。

「そうだ、響も握手してみないか?」

「おお、いいねぇ提督。この私はスーパー北上様だから、駆逐艦も大歓迎だよー!」

 北上の声は届いていないだろうが、しかし響はおそるおそる、その手を伸ばした。

「おっ」

 響の手を、北上が優しく握り返す。その瞬間、あからさまにビクッとなる響。しかし、驚いたような顔は、やがて穏やかな笑顔に変わっていく。握手を終えると、響は俺に感想を報告してきた。

「その…最初握られた時、やっぱり見えないのに握られたから、とても驚いたんだけど…なんて言うんだろう、すごく温かくて…優しい感じがしたんだ。」

「俺と同じだな。きっと北上がすごく優しいからだろう。」

「そんな、照れるよー」

 4人で微笑みあった。響の恐怖心も、もう無かった。そして俺たちはみんなで、大井のために各々のできることをしようと決めたーーー

 

 ーーーしかし。

 現実はそうそううまく進むものではない。大井になんとか北上の死を受け入れさせようと、あまりにもストレートすぎるやり方で事実を伝えたら、彼女がどうなってしまうか分からない。俺はそこに留意しつつ、大井を見かければコミニュケーションを試みたのだが…いざ話すとなると、どう話を切り出せばいいのか分からない。

 とりあえず、北上のことについて話してみる。

「あ、大井」

「あら提督、どうしたんですか?」

「いやその、北上のことについてさ、色々と話を聞きたいって思ってな。」

「北上さん、ですか?」

「ああ。前のとこでなんか沈んだって…」

「提督…何を言ってるんですか?」

 大井の表情が一気に変わる。

「昨日も言った通り、北上さんは私の思いに応えて戻ってきてくれたんです!現に昨日、提督も話をしたじゃないですか?」

「あ、あぁ…」

「多分何かの間違いですよ!」

「お、おぅ…」

「ではすみません、失礼します」

 すっかり大井に気圧されてしまった。が、収穫というか、何も得られなかったわけではない。

 北上について話していた時の大井の表情からして、恐らくだが、心のどこかでは彼女の死を理解はしている、そう感じた。しかし、残りの大部分がそれを認めたくないという感情で覆われてしまっているのだろう。

「とにかく、心の扉がない訳では無い、ってことだな…後は鍵さえ開けられれば…」

 俺は考え込みつつ、その場を後にしたーーー

 

 ーーーその夜 フタヒトマルマル 執務室

「皆さん、今日はどうでしたか?」

 大淀の声で、昨日の4人での状況報告会が始まった。

「俺は…ダメだった。ただ、多分その…北上の死を受け入れられない、って言うんじゃなくて、受け入れたくないっていう感じだと思ったんだよな、今日関わって」

「そーか…私も色々話そうと思っても、やっぱりどうしても話せないんだよね…ごめん」

「僕と大淀さんは、第六駆逐隊のみんなを連れてって、今日少し遊んでみたんだけど…進展はなかった。」

 全員、あまり成果は無かったようだ。

「まだ、時間あるから…頑張ってみよう」

 北上のその言葉で、話し合いは終わった。わずか数分にも満たなかったーーー

 

 ーーー翌2日目、この日も成果なし。

 

 さらに3日目、この日もまた成果なし。

 

 そして、4日目のことだったーーー

 

 ーーー廊下

「どうしたんですか、提督。最近よく私に話しかけて来ますけど…」

「いや、新しいこの場所で、お前も北上も馴染めているか心配でな…」

「そうですか。でも、私も北上さんも、ちゃんとやれてますし、大丈夫ですよ」

「そうか、だといいんだが…」

「心配しすぎは体に毒です、提督。じゃあ、失礼しますね。」

 そう言って、大井が立ち去ろうとした時だった。

「…!?」

「?…提督?どうかしましたか?」

「いや…大井、今なんともなかったか?」

「いえ、別に…」

「そうか…」

 大井がいなくなった後も、俺の脳からは先程の光景が離れなかった。

 立ち去ろうとする彼女の体がほんの一瞬、弱く不気味に光った気がしたのだーーー

 

 ーーー「…というわけなんだよ。」

 俺はその日の状況報告会で、このことを報告した。すると北上が、「私も一回だけ、今日そういうのを見た」と言った。しかし響と大淀は見てはおらず、もちろん彼女達を含めてその光の正体を知るものは誰もいなかった。

「とりあえず、また明日だね」ーーー

 

 ーーー翌日。

 前日の件で、大きな動きがあった。

 大井から出た昨日の光は、一秒も満たない一瞬だけだったが、今日の光は少なくとも認識のできる時間は光っていたのだ。やはり色は変わらず、不気味さを感じさせた。

 その夜の状況報告会で報告すると、更なる進展があることが発覚した。

 なんと、響、大淀も大井から出る不気味な光を見たと言う。

「詳しく聞かせてほしい」

 俺は深くそれを掘り下げることにした。

「僕は、執務室に行く前に食堂に忘れ物をしたことに気づいて戻ったんだ。そしたらその途中ですれ違って…一秒くらい、弱かったけど確かに光ってた」

「私は夕方ごろ、酒保の方で買い物をした時に店内で見かけました。特徴としては、提督や響ちゃんが言っていたのと同じです。」

「…なるほど。というか、今気づいたんだが…俺は一応、昼頃にその現象に遭遇した。つまり、全員バラバラの時間帯で見かけていることになる。」

「てことは…頻度が増えているってことだよね…やっぱり」

「北上?」

「あたしも今日二回見たんだ。やばいよね、これって…」

 不安を残したまま、とにかくこれからの状況に注意することでまとまり、この日は終わったーーー

 

 ーーーさらに翌日。

 やはり光の頻度は増えているようだ。というのも、目撃者が増えてきているのだ。掃除をしていた長門に吹雪、さらに食堂にいた間宮。

 俺もまたこの日も見た。思い切って、大井に光のことを聞いてみた。

「…?あの、何もありませんけど?」

 どうやらこの光、大井は全く気づいていないらしい。大丈夫ですよ、と彼女は微笑んだが、その笑みにまで陰りが見えたような気がした。不安な事柄が続いているせいか、はたまたこの光のせいか…感覚的なものだったので、それについては断言はできなかった。しかし、断言できる事柄があった。

「間違いなくあの光、どこかで見た記憶がある…」ーーー

 

 ーーー俺は昼食を食べ終えると、すぐに執務室に戻り、クローゼットを漁った。そしてその中からDVDを取り出し、視聴することにした。

「あれ?何してるんだい、司令官」

 ふいに響が入ってきた。昼食休憩を終えたらしい。

「これは…UGMのドキュメントじゃないか。スペースマミーの改装でもするのかい?」

「いや、そういう訳では無いんだが…少し、気になることがあってな。その確認だ。」

 キョトンとする響。俺は、リモコンで映像を早送りさせた。映るのは、街の防犯カメラが捉えた、怪獣が出現するまさにその瞬間の映像。

「!!これって…!!」

「ああ。大井から出た、あの光と同じものだ…!」

 そう、UGMが戦った怪獣は、謎の発光を起こし、そして光から現れるものがあった。その光は、大井のそれと酷似していた。

「え…これって…どうなって…」

 パニックになりかける響。俺も正直驚いた。しかしこうなった以上、何かしらの対策はしなければならない。

「…響」

「…なんだい、司令官」

「少し出かけるぞ。」

「うん…え?」ーーー

 

 ーーー俺は大淀に事情を簡潔に話して、午後の分だけ休みを取った。そして混乱する響をジオアトスに乗せ、ある場所へ向かった。結果的にかなりの遠出となってしまったが、頼れる人はここにしかいない

「着いた…。」

「ここは…大学じゃないか。」

「ああ。」

 俺は大学のスタッフに許可証をもらって、ある研究室へ向かった。ちょうどその中から、大学生が1人出てくる。

「ありがとうございます、教授!」

「おう。一所懸命、頑張るんだよ」

 優しげな声に背中を押されたかのように、大学生は廊下の奥へと去っていった。

「ここだな」

 俺はドアをノックする。中から、先程と同じ優しげな声が、どうぞ、と聞こえてきた。

「失礼します。ほら入るぞ、響」

「わ、わかった」ーーー

 

 ーーーその部屋の入口隣にあった、部屋責任者の名札には、

「心理学部心理学科教授 矢的猛」

 と書かれていたーーー




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今回も読んでくれてありがとうございました!
また次回です!
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