笑顔は太陽のごとく…《艦娘療養編 完結済》   作:バスクランサー

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最近筆者を悩ませるもの。

・成績。
・疲れ。
・金欠。
そして今は鼻水が止まらないです。
そしてこういう時に限ってポケットティッシュ持ってきてませんでした。
やばいです。

続編どうぞ。←唐突


水面の運ぶコトバ

 翔鶴が俺の隣に、俺と同じように足を投げ出す形で座る。俺は竿を持っていかれないよう、手に込める力を強めるが、視線は翔鶴の方へとうつしていた。瑞鶴いわく、ある日突然生きる目的を見失ったというが…。

 一見すると普通だった。しかしよく見ると、どことなく寂しげな感じがした。さっきから彼女の顔は一瞬たりとも変わらず、その表情は確かに、心のどこかに負の感情を抱えているようだった。それに先ほどから一言も喋らない。瞳も、それが瞳ではなく、同じ色のビー玉が埋め込まれているように思えた。

 …どれくらいたっただろう。空の太陽は、ほぼてっぺんへと上がっていた。少なくとも一時間以上は経過している。ちなみに当たりはない。とにかくこのままだと埒が開かないし、何より気まずい。気まずすぎる。俺は思い切って、話しかけてみることにした。

「なあ、翔鶴」

「あの、提督」

 …ものの見事にタイミングがかぶった。気まずい雰囲気が更に増してしまう。

「…提督、釣れ、ませんね」

 ふいに翔鶴が言った。そのことに驚きすぎて、一瞬言葉が読み込めなかったが、すぐに気を取り直してぎこちなくも、そうだな、と返す。

「提督は、釣りが趣味なのですか?」

「いや、趣味という程でもないが…大本営の時も、たまに出来る暇はこうしてつぶしてたな…」

「そうでしたか…」

「まあ、ほとんど釣れなかったけどな、ははは」

「…悔しくは、なかったんですか?」

「…翔鶴?」

「釣れなかった時とか、悔しいとか、悲しいとか、思わないんですか…?」

「…いや、そんな事は思わなかったけどな。」

「え…?」

 翔鶴は驚いたような顔をした。

「では、どのように感じるのですか?」

 変なことを聞くな、と思ったが、普通に答えることにした。

「まあ、次釣れたらいいなーって。特には気にしないかな」

 するとそれを聞いた翔鶴が、予想外のことを口にした。

「そうですか…羨ましいです」

 その言葉を聞き、まさにその時気がついた。

 翔鶴がなぜ、生きる目的を見失ったかが。

「お前…生きる目的を、見失ったって聞いたけど…」

「…どうせ、瑞鶴からでしょう?」

 少し投げやり気味の翔鶴。

「まあ、そうなる、けど…」

「やはりそうでしたか…。…あ、すみません…」

「いや、大丈夫大丈夫。…これは俺の勝手な推測だけど、お前…物事をする時、結果しか考えてないんじゃ、ないか?」

「…すごいですね、提督。まさかお見通しですとは。」

「何か、あったのか?」

「いえ…そうではないんですが…

 前の鎮守府で、私は瑞鶴とともに、空母の要として頑張っていたのですが…いくら頑張っても、これといった戦果も上げられず…

 いつしか、頑張っても意味無いって思うようになってしまって…」

「それで、結果だけに囚われた、ってわけか?」

「はい…戦況はいつまでたっても変わらないように思えて…」

 翔鶴はそう言った。しかし、大淀の話によると、翔鶴のいた鎮守府は、彼女たち五航戦の空母がかなりの戦果を上げていて、ここに異動すると翔鶴が決めた時も、そこの提督は必死に引き止めたらしい。

「翔鶴…お前はすごく役立っていると、前の提督も言っていたそうだが…」

「でも…やはり自信がわかないんです…」

「そうか…」

「ごめんなさい、提督にまで…迷惑かけて」

「いやいや。

 なあ、翔鶴」

「なんでしょう…?」

「確かに結果というものは大事だ。それを求めるのも、とてもいいことだ。でもな、そればっかりにとらわれると、もっと大切なことを見失ってしまう。今の翔鶴には、それが足りないんだよ、きっと」

「そ、そうですか…その、大切なもの、とは?」

「それは人それぞれだけど、俺は過程、つまりプロセスなんだと思うな。」

「プロセス、ですか?」

「そうだ。過程なしに、結果はでない。そうだな、翔鶴はきっとそれが見えてないと思う」

「そ、そうですか…私はいったい、どうすればいいのでしょうか…」

「…日記とか、つけてみたらどうだ?もちろんその日あったこともそうだが、今日はこういうことをこれだけ頑張った、とか書いてみたらどうかな」

「…確かに、いいかもしれません。しかし、私にできるでしょうか…?」

「大丈夫だ、翔鶴。お前にはしっかりした、支えがいるだろ?」

 俺は目線を海にわざと向け、大きな声で言った。

「隠れてないで、出てきたらどうだ?瑞鶴」

「…ばれてた?」

「まあな。」

「瑞鶴?」

「翔鶴姉…そうだよ、日記、書いてみたらいいじゃん!大丈夫、私が横で色々支えてあげる。翔鶴姉が、また笑顔で前に進めるように」

「瑞鶴…ありがとう…!」

 手を取り合う2人。

「提督、ありがとうございました。早速今日から、実行してみますね。」

「おう。頑張ってな!」

「あ、提督!」

 不意に瑞鶴が叫んだ。

「なんか、あたりが来てるよ!」

「まじか!?」

 姉妹の温かすぎる場面に気を取られ、全く気づかなかった。竿をあげると、こぶりながら…

「あら、鯛ですね!」

「ホントだな、まさにめでたい」

「あら、おうまいことで」

「ありがとな、翔鶴」

「ねぇ提督!もう正午過ぎたし、この鯛を食堂の間宮さんに調理してもらおうよ!」

「そうだな、鯛めしとかでも食うか!」

「やったー!提督ありがとう!」

「もう瑞鶴、ちゃんとした言葉遣いしないとよ!」

 2人の五航戦姉妹に両腕をそれぞれ絡まれつつ、食堂へと俺は向かったーーー

 

 間宮さん特製の鯛めしを食った後、翔鶴は日記を買いに酒保の方へと向かった。残った瑞鶴と2人で話をする。

「提督ありがとうね、翔鶴姉にまた笑顔が見られて、私本当に嬉しいよ」

「いやいや」

「本当に提督はすごい!」

「ははは、照れるな…」

「…あのさ、提督」

「どうした、瑞鶴?」

「こんな事言うの、すごく恥ずかしいけど…1つ頼んでいいかな」

「…なんだ?」

 瑞鶴は大きく深呼吸して、よし、とつぶやき、

 口を開いた。

「ここの空母の大先輩を…救ってあげられないかな…私から見てもすごく心配というか…」

「…その、大先輩って?」

「…これが一番言うの恥ずかしいのにー、提督の意地悪ー」

「な、なんかすまん」

「いいのー。…えーと…」

 瑞鶴は前を向き、言った。

「加賀さん、なんだよね…」




というわけで次は加賀さん!
これからも頑張ります!
感想、評価お待ちしております!
ではでは今回も読んでくれてありがとうございました!
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