世界はきっと優しくて   作:たたた

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気付けば二桁話数行ってましたね

そして今回展開が超スピード!?なんでぶっちゃけ無理矢理感があります


第十話

 朝日に照らされる場所で今日も少女は本を読む。また、あの少年が来てくれるように祈りながら、そして少年が自分の事を思いだしてくれるように、あわよくば昔のような関係に戻れるようにと願うのだった。

 

 昨日、少年に連れられて訪れた光坂高校学生寮。そこで少女はある女性と出会った。

 相楽美佐枝、そう名乗った女性は少年によほど信頼されているのだろう、少女を預けて友人の元へと向かってしまう。

 

 

 

「ごめんね、あいつももうちょっと気遣いって言うのが出来ればねぇ」

「ううん、大丈夫なの」

 

 思い出すのは、子供の頃、彼と出会ったばかりの時。紘太は好奇心が強く、ことみの父と母に色々なことを質問していたこと。両親が研究していた別の世界の事についても様々なことを聞いていた。

 そして、彼のことを思い出すと必ず最後にはあの約束のことを──

 

 

「それじゃあ、ことみちゃん、取り敢えず紘太とどういった関係なの?」

「おとう……うんうんお友達なの。……大事な、大事な」

「そっか。私は、そうねぇ。紘太の彼女、かしらね?」

 

 ことみが友達だと言う前に言った言葉が気になった美佐枝だったが、藪から蛇を出す必要はないと思い、飲み込んだ。

 だが、美佐枝が紘太の彼女だと告げたことで、それは意味を成さなくなった。

 

「彼女、さん?……それじゃあ紘太くんと、結婚するの?」

「えっ、ええ、そうね。いつかはそうなるかしらね」

「それじゃあ二人は夫婦になるの。そうしたら……」

「……そうしたら?」

「美佐枝さんは私の、お母さんなの」

 

「え?」

 

 

 

 その後、ことみから語られた幼少期の出来事は幼い少女が経験するには辛いことばかりで、泣きながらも話してくれる少女を気付けば美佐枝は抱き締めていた。

 そして、何故自分のことを母親と呼んだのか、会って数日のはずの紘太にあれだけ懐いたのかその理由も分かった。

 

 

 

 そして泣き疲れたのか、先程から腕の中から穏やかな息遣いが聞こえるようになっていた。

 

 

「あいつがこんなこと言うとはね……。まぁ、あいつらしいっちゃらしいのかしら?……智代ちゃんが言ってたことは正しかったってことね」

 

「はぁ、今日はソファで寝ようかしらね」

 

 少女をベッドに横たえ、自身も寝ようと言う時、廊下から足音が聞こえた。

 ……どうやら彼が帰るようだ。

 

 

 彼への見送りと励ましを一方的に終えた彼女はこれからのことを考え、厄介なことになったとため息を吐きながら眠るのだった。

 彼が早く気付くようになにか手伝いをしよう、そう薄ぼんやりとした頭で考えながら──。

 

 

 

 

 

 

「おはようございます……」

「紘太、ひどい顔よ?……昨日何かあったの?」

 

 朝の日課である学生寮に訪れた。……昨日帰り際であんなこと言われて気になって夜も眠れなかった。具体的には午前4時ぐらいまで。

 

「そ、ならしょうがないわね」

「何か素っ気なくない?いつもだったら遅刻だって怒られるとこなんだけど」

「いいのよ、ことみちゃんのことなら。ゆっくり考えてあげなさいね?」

「ことみのこと、気に入ったみたいだね?」

「そうね、まぁこれから長い付き合いになるだろうしね」

 

「お弁当は今日作れなかったから、学校で何か食べてちょうだい?」

「えっ、弁当無しなの?今日?……いや全然問題ないんだけどね?そっかぁ」

「……ごめんなさいね、今日起きるの遅くなっちゃって」

「大丈夫だよ、それに最近甘え過ぎてたところもあるしさ。……じゃあ、行ってきます」

「……んっ、行ってらっしゃい」

 

 美佐枝さんとキスをしてから学校へ向かう。昼の弁当が無いのはちょっとショックだったけど、キスでプラマイプラスって感じだから気にしない。

 けどなぁ購買混むんだよなぁ……。

 

 

 3限は振替授業とかいう鬼畜の所業で数学になったらしく、俺は一路図書室へと向かった。

 図書室に入ると、いつもと同じ場所でことみが本を読んでいた。

 

「ことみ、おはよ」

 

 今日はちゃん付けじゃなかったけどちゃんと反応して、本から顔を上げた。

 

「おはよう、紘太くん。……一緒にご本、読む?」

 

 それからは昨日と大体同じ流れだった。今日は短編推理小説を読んで、最後にことみのお気に入りを読んで終わり……のつもりだった。

 

 

 

「紘太くん、お弁当、食べる?」

 

 そう聞かれては食いつかずには居られない。それに、ことみが持っている弁当箱になぜか見覚えがあったのも気になるし。

 そんな言い訳じみた事を考えながら、ことみと一緒に昼飯を食べる。

 

「いただきましょう」

「……いただきます」

 

 

 滅茶苦茶うまかった。そして弁当のおかずが俺の好物ばかりでとても嬉しかった。

 

「ことみ、すげぇうまかったよ」

 

 そう言い、ことみの頭を撫でる。……ことみのことを褒める時は毎回撫でている気がする。まぁ、本人も嫌がってないし大丈夫だろう。

 

「美佐枝さんに聞いたの。紘太くんの好きなもの、それから嫌いなものも」

「美佐枝さんに……。だから弁当箱に見覚えがあったりしたのか」

 

 そう一人納得していると、突然ことみが頭を下げてくる。

 

「ごめんなさい、美佐枝さんのお弁当、私のせいで食べれなかったの」

「気にすんなって。俺はことみの弁当も好きだぞ?……一番は美佐枝さんだけどな?」

「うんっ!」

 

 ……めっちゃいい子がここに居る。なんだこの可愛い子。笑顔が素敵すぎるしめっちゃかわいいし、こんな風に男に笑いかけたらそいつ、勘違いしちゃうぜ?

 

「ことみちゃん」

「?……紘太くん」

「ことみちゃん」

「紘太くん!」

………

……

 

 

 

 遊びすぎた。しかもことみさっきから滅茶苦茶いい笑顔なんだけど。そのせいで名前の呼び合いの止め時も分からなかったし。

 何だか懐かしく感じたせいもあるんだろう、昔同じように女の子とこんな風に遊んだような気がする。……でも幼少期の俺と遊んでた女の子は智代ぐらいのもんだと思ってたんだけどな。

 

「なぁことみ、俺たちどこかで会ってるか?」

 

 そう聞いた時のことみの表情は嬉しそうで、けれどもどこか悲しそうな表情だった。

 

「うん、私と紘太くんはちっちゃい頃に遊んだことあるの」

 

 ことみのその言い方は、過去に何かがあったと思わせるような言い方で。けれどもその出来事が思い出せない俺は、多分ここから先に踏み込んじゃいけないんだと、そう思ってしまった。

 

「そか、じゃあ幼馴染みってことか?」

「……ううん」

 

 どうやら外れたらしい。……何かヒントがあれば、そこから答えに辿り着けるはずだ、さっきまで明るく笑っていたことみが緊張している理由もきっと分かるはず。

 

 きっかけは、いつも唐突に訪れる、それを望もうと望むまいと。

 

 

 

 あれから、ことみとのことは一旦棚上げし、ことみを家まで送ることにした、その途中。見通しの良い十字路で車同士がぶつかる事故が起こっていた。幸い、死傷者は居なかったらしい。

 ──肉体的には。

 

「嫌ぁぁぁぁぁっ!嫌っ!」

「いい子にするからっ!お父さんとお母さん返して!……わたし、いい子にするから……」

「ことみ落ち着け!大丈夫、大丈夫だから……」

「ごめんなさい……」

 

「大丈夫だから、俺が居るから……」

『大丈夫、俺がことみちゃんを守るから!』

 

「一緒に居てやるから……落ち着いてくれ、ことみ」

『俺がことみちゃんの───になるから!だから、安心して』

 

「……紘太くん?」

「ん、落ち着いたか?ことみ」

「うん、ありがとうなの」

「あぁ、……ってこんなこと昔も言ってた気がするんだけど何だったかなぁ」

「……紘太くんは紘太くんなの。いつも私を助けてくれて、抱き締めてくれて。とってもとっても優しいの」

 

 そう言い、腕の中で安らかな寝息を立てる女の子。そしてそんな子を抱きしめている俺。

 

 

 あっ、お巡りさん?奇遇ですね、あはははー。え?話を聞きたい?いやいや、話すことなんて無いっすよー。

 

 




ジークカイザーラインハルト!(挨拶)

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三者視点で書くのはむっずいのでこれから先やらないです。多分。

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