世界はきっと優しくて 作:たたた
話が全く進まなくてやきもきするでしょう。作者もです。
「それで、付き合ってる人はいつ紹介してくれるんだ?」
そろそろ帰ろうかというタイミングで智代からいつ紹介するのかと聞かれる。曰く、自分の義兄(仮)が付き合っている相手に興味があるとのこと。
「……誰にも言うんじゃないぞ?」
「?やけに慎重なんだな。てっきりすぐ紹介してくれるものと思っていたんだが……」
「こっちにも事情ってのがあるの。それで、返事は?」
「ああ、分かった。……けど、そんなに慎重にならないといけない相手なのか?」
「まぁ、会った方が早いわな。ほら、行くぞ」
智代を引き連れ、一路学生寮へ向かう。
「紘太、こっちは学校に戻る道だぞ?……忘れ物でもしたのか?」
「黙って歩く、いいな?」
「すまない、私が会わせてくれって言ったのにな」
「そんな落ち込まなくてもだな……」
ここら辺は昔から変わっていないようで少し安心する。だが、この後美佐枝さんと智代を会わせるのは良いんだが……なるようにしかならないか。美佐枝さんには迷惑かけてばっかで申し訳ねぇよなぁ。
智代が引っ越してからあったこととかを話してる内に、学生寮が見えてきた。……なんでこんな時に限って外で掃き掃除してるんですか、美佐枝さん。
「?紘太、ここは学生寮だぞ?……ここに住んでいるのか?」
「……あぁ、そうだね」
「む、何か隠してるだろう。昔とは違って誤魔化されたりはしないぞ!」
いやぁ〜なにを胸張っておっしゃるのかこの娘は。……あっ、美佐枝さんが気づいた。やっべぇよ、どうすっぺぇよ、何も言い訳考え付かん……。
「あら、紘太今日は遅かったじゃない?……おかえりなさい」
何でおかえりなさいの部分だけちょっと頬染めてらっしゃるの!かわいい!……いや、違う違う智代がいるしこんなとこで朝のお返しは出来ない。それに大事な話もあるし。
「美佐枝さん、その、話がありまして」
「ん、じゃあ私の部屋で待ってて。……そっちの可愛らしい娘も一緒にね」
美佐枝さんの部屋に着くなり智代からあの人とはどんな関係だの、私が可愛いとは本当か、とか何故この部屋の鍵を持っているのかだとかまぁ、根掘り葉掘り聞いてきたのでかつき君(仮称)と戯れることで無視をした……したいなぁ。
「あぁもう、美佐枝さんが来たら全部話すから、それまで待つ、OK?」
「む、ちゃんと説明してくれるのならそれでいい。……私が可愛いと思うか?」
「あぁ、かわいいよ、かわいいかわいい。世界で二番目に可愛いってことでいいか?」
「何だか適当じゃないか?その答えは」
「んだよ、俺の本心だぞ?」
「むぅ……それじゃあ一番かわいいのは誰なのだ?」
「あぁ?そりゃお前もちろん……」
智代と冷静になって考えると恥ずかしくなるような話をしている所に、掃除を終わらせた美佐枝さんが……。
「美佐枝さんに決まってんだろ!」
「改めて初めまして。紘太とお付き合いしてます、相楽美佐枝です。さっきはごめんなさいね、結構アホなことするから……」
「グフっ」
「大丈夫だ。私も慣れてるから。自己紹介だったな。坂上智代、歳は紘太の一つ下で幼馴染み?で合ってると思う。……それにしても紘太の彼女さんがまさか私の目標の人だとは思っていなかったな」
女二人、楽しそうに話している。俺?俺はもう恥ずかしさがいっぱいで起き上がることも出来ない。あぁ、もうお婿に行けない……。
「それで、二人はその、付き合っているのか?」
「そうねぇ、そういう事にしてあげましょうかね?ね、紘太?」
少し意地悪な顔で俺に聞いてくる美佐枝さんに少し気持ちが昂ったのは内緒にしよう。
「え?違ったの?俺はてっきり付き合ってるもんだと思ったんだけど……。そっかぁ俺の勘違いかぁ」
「あーもう、いじけないの!意地悪して悪かったから、機嫌直して?」
「……いつもこんな感じなのか?」
「んー、そうね。いつもこんな感じよね?」
「……そうか、それは兄が迷惑をかけて……」
「あぁ、勘違いしないで?私も何だかんだで楽しんでるから。それに面倒に感じてたらコイツと付き合ったりしないもの」
「……美佐枝さぁん!」
「もう、抱きつかないの」
少し困ったように俺を受け止めてくれる美佐枝さんはやはり、最高や。そんなやり取りを見て智代がなぜか“ なるほど”とか呟いてるけど何か納得したのだろうか。
「ふふっ、それじゃあそろそろお暇しようか」
「あら、良かったら一緒にご飯食べましょうよ。昔の紘太のこと、知りたいし」
「それもいいかもしれないな。うん、ちょっと待っててくれ家に電話してくるから」
そう言い、家に電話を掛けに玄関へと智代が消えたと同時に、まぁ当然のように美佐枝さんから質問が飛んでくる。
「それで、誰にも私たちの関係は言わないって話じゃなかったかしら?幸い、坂上さんもちゃんと気を配れる娘みたいだから大丈夫でしょうけど……」
「ごめん、美佐枝さん。昔からあいつの頼みは断りづらくて。それに、あいつは俺の家族みたいなものだしさ……。あと出来れば智代のこと、名前で読んでやってよ」
「反省してるんだかしてないんだか……。それじゃ、智代ちゃんでいいかしらね、何だか恥ずかしいけど」
それから、美佐枝さんからの呼び方が『智代ちゃん』に変わったことで智代が若干照れる事件が発生したが、まぁあとはいつもより少し賑やかな食卓になったことが智代がいていつもと変わったことだった。
あと、智代は光坂高校の生徒会長になって桜並木を守りたいらしい。……だから美佐枝さんが目標だって言ってたんだなって思った。
「……私たち家族を繋いでくれた桜並木を守るためにも、私は生徒会長にならなければいけないんだ」
「そう、まぁ私が出来ることなんてたかが知れてるけど、何か困った事があったらアドバイスぐらいは出来るでしょうから遠慮なく家に来てね?」
「ありがとう。美佐枝さんにそう言って貰えるだけで有難い。……そうだ紘太、昔のことだが小学生ぐらいの時に、誰かの父親代わりになるとか言ってなかったか?」
「は?そんな事言ってたのか?」
「あぁ、私の記憶が確かなら言っていたはずだ」
そう言い考え始める智代。智代がそう言うなら多分言っていたのだろう。けど、小学生の頃にそんな関係になった相手もいない訳だし、小学生の時の記憶なんてあまり覚えてもいない。……と、記憶を引っ張りだそうと頑張っている所で智代が思い出した!と俺の顔を見た。
「私が小二の時に同じ年の女の子のお父さんになる!って言ってたはずだ」
「はぁ?小二?お前、よくそんなの覚えてんな……」
「あぁ、確かそれを聞いて何故か悔しく感じたんだ。だから覚えていたんだな」
「小三の頃の事なんて覚えてないぞ、俺。せいぜいコロコロ読んでた記憶しかないぞ?」
「確かに言ってたんだ!どうして信じてくれない?」
「はいはい、二人とも落ち着いて。ほら、智代ちゃんお茶淹れてあげるから」
「む、すまない。少し熱くなっていたようだ」
「俺も意固地になってたな。でも、智代がそう言うなら言ったんだよなぁ」
誰かの父親になるなんてこと、今ですらよく分からないのに当時の俺は何を考えていたのだろうか。まぁ深く考えていないことは確かだな。
「それじゃあ、そろそろお暇しよう。美佐枝さん、今日は色々な話を聞けて良かった。……迷惑じゃなければ、また来ても良いだろうか?」
「さっきも言った通り、いつでもいらっしゃい。お茶ぐらいしか出せないけど智代ちゃんならいつ来てもらっても大丈夫だから」
「ありがとう。今度は茶菓子でも持ってこよう」
「あら、そんなの要らなわよ?その代わり、紘太の話、もっと聞かせてちょうだい?」
「そんなことで良ければいくらでも」
智代がアドバイスを貰うたび、俺の恥ずかしい過去が暴露されることがここに決定してしまった。なぜだ……なんで俺だけ損をしているんだ……。
「紘太はどうするの?泊まっていく?」
なんで泊まる選択肢が一番最初なんですか美佐枝さん……。
「いや、今日は帰ろうかなって」
「そう……」
あぁ!もうなんでしょんぽりなさっているんですか!帰りたくなくなるじゃないか!
「明日早めに来るからさ、それに流石にこれ以上留守にするのもさ」
「そうよね、うん、じゃあ明日早く来て?……待ってるから。おやすみなさい、紘太」
「おやすみ、美佐枝さん」
美佐枝さんと別れてから、今日智代が言っていた相手について考えていた。もし本当にその子の親代わりになると言ったとして、何故今離れ離れになっているのかとか、ただひたすら答えの出ない問題を解いている気になってくる。……こんな日は熱い湯船に浸かって寝ることにしよう。
PS3が壊れてCLANNADが出来なくなった作者です。
箱○版買おうかなぁ
そんなこんなでアレですね、前作(未完)を知ってる方からしたら既視感の塊のような後半部分ですね。あからさますぎますね。
実は今回美佐枝さんが智代ちゃんに嫉妬!とか書く気があったけど智代ちゃんがもう美佐枝さん尊敬してるし無理だなってことでカットしました。
次回は平仮名三つの子です。