(この話には犬の散歩が場面が出てきますが、犬のフンは出てきません)
さあ、犬の散歩だ‼︎
「いってきま〜す‼︎」
そう言って僕は勢いよく家を出た。
「どうした?急に家を飛び出して。」
神様が後から追ってくる。少々肥満気味の神様は必死な顔して走ってるが、大して速くはない。
あ、どうも、七志 権平です。え?僕がなぜいきなり犬の散歩をし始めたかって?
そりゃあ家にいると勉強しろだの手伝いしろだのトイレで用を足した後は尻を拭けだのいろいろ言われるから。
「ワンワン‼︎」
うちのトイプードルはとにかく元気が良い。あっちへ行ったりこっちへ行ったり走りっぱなし。家に居るよりかマシだけどそりゃあもう重労働。
勢いよく走ったと思えば立ち止まって電信柱にシー……そしてまた走って立ち止まってシー……
ま、一番辛いのは神様だろうけど…………。
「家で留守番してればいいのに。」
僕は神様にそう言ったら、
「いや、君は不幸だから車にひかれるかもしれない。私が守らねば。」
と言われた。
正直言って神様といる方がよっぽど危険だと思う。
しばらく走っていくと…………
「よう。」
「あ、久しぶり‼︎」
近所を走っていると小学校の頃の友達によく会う。
僕は私立の中学校に行ったから皆と中学校が違うので、こういう機会でしか小学校の頃の友達に会えない。だから余計に懐かしいのだ。
久々に会った友達と長話。僕はこれが目的で犬の散歩をしていると言っても過言ではない。
「ワンワン‼︎」
ペロが早く行こうとせがむ。
あと五分、十分、十五分…………。
…………
そうこうしているうち一時間も長話してしまった。
すると…………
「あ、蛇だ。」
横の茂みからいきなり小さな蛇が出てきた。まあ、小さいから大丈夫と安堵してした次の瞬間、
「ギィィィィィィィィィヤァァァァァァァァァ‼︎」
友達が急に叫び声をあげた。
そして全速力で走って行ってしまった。
そういえばあいつ、蛇が苦手だったっけ。
でもこの近くに蛇なんかいたかな…………。
「ふう、これでくだらん長話に付き合わなくてすむ。」
あんたのせいか、神様。そのドヤ顔やめろ。腹立つわ(怒)
しばらく行くとペロも走り疲れたのかスピードが遅くなる。そうすれば走らなくてすむし、神様も必死な顔して走らなくていい。(そのまま追いつけずに果ててしまえば良かったのに)
「しかし権平君、こうして犬の散歩してると昔の友達によく会うの?」
神様がたずねた。スピードが遅くなり、神様も余裕が出てきたらしい。(チッ!)
「まあたまに会いますね。」
と神様と話しながら歩くと、とある女の子とすれ違った。
あ、昔のクラスメートだ。いや〜また久々に見かけたけど綺麗になったな〜。
てくてく…………
あれ?
すたすた…………
その女の子は、僕が何か「やあ、」とか話しかけても全く気付かず、サッサと行ってしまった。
結構ショック…………ガーン…………
「どうしたの?」
神様は無神経に聞いてきた。しかしそんな神様の言葉は僕の耳には入らない。
忘れられた…………(笑)
「ははーん、さっきの女の子が初恋の人かなんかで、久々に会ったのに無視されたから落ち込んだんだな。」
ズボシッ
するどいな。腐っても神様なんだね。
「当たりか。」
うるさいうるさい。僕は今頭の中を整理中だ‼︎
どんどん日が暮れていく。ペロは早く行こうとせがむ。神様は「もしもし、大丈夫?」と何度も聞いてくる。頭は真っ白。
頭の中がやっと処理できた時には僕は家にいた。どうやら神様が僕とペロを家まで連れてってくれたらしい(初めて神様が役に立った。)。
「ま、いいのさ。私立の学校行く時にもう覚悟は決めてたのさ。だからちっとも悲しくないもんね。どうせ僕小学校の頃影薄かったし…………そのうち髪さえ薄くなっていくからもういいのさ…くよくよ」
僕は、「あの空気読めない神様はきっと僕を馬鹿にするだろう」と思っていたのだが、思いの外そっとしてくれたのでびっくりした(まさか空気が読めたとは)。
さらにその神様が僕の話を聞いてくれたのだ!
まさか明日雨が降るんじゃ…………
「小学校の頃、女子が本当に苦手で…………女子の前に行くと固まっちゃうだよね、僕。」
「うんうん、辛かったんだね。…………で、あの女の子とは小学校の頃面識あったの。」
「ううん。無い。というか女子の友達なんかほとんどいなかったですよ。」
そう言うと神様はひどく驚いた。
「一人も?」
「一人も。」
神様が目を丸くする。どうやら女子の友達がいないというのは珍しいことらしい。
「だいたい生まれてこのかた全然女子と喋らなかったからなぁ。喋るといったら母さんかばあちゃんか親戚のおばさんか…………だから女子の友達なんてとてもとても。」
神様がますます目を丸くする。どうやら生まれてこのかた女子と喋らなかったというのは、神様の世界では本当に珍しいことらしい。
「男子校で良かったね。」
「まあ…………ある意味ね。」
きっと神様の縁かな…………ということは女子の友達ができなかったのはこいつのせい…………?
「まあ、私の知り合いに縁結びの神様はたくさんいるけど…………女の子と喋ったことが無いというのは…………どうしような。」
おお、神様は本当の本当に僕を救おうとしてくれている!
しばらく考えた後、神様はこう言った。
「まあ良い。私に任せろ。とりあえず私は高天原に帰って縁結びの神様たちにかけあってなんとかしてもらうよう頑張る。」
「本当に⁉︎ありがとうございます‼︎」
「いやいや滅相もない。神様が自分を信じてくれる、信仰心のある人間を助けずにどうするんだね。」
ああ、神様って頼もしい‼︎
「じゃあ行ってくるね。」
「行ってらっしゃいませ‼︎お気をつけて‼︎」
神様は高天原に帰っていった。ああ、ついに僕の生涯の夢であった女子の友達が…………ついに…………。
僕はその夜、ワクワクして眠れなかった。神様が帰ってくるのが楽しみだなぁ。待ち遠しいなぁ。
月曜日の夜旅立った神様。
火曜日。なんの連絡もなし。まあそうすぐに解決するたぁ僕もおもっていない。
水曜日。普通に学校行ってむさ苦しい羅太郎の相手をして、先生に怒られて…………。男子ってやぁねぇ!でもいいもん。そのうち女子の友達ができるから。
木曜日。確認テスト→落ちる。追試→当然落ちる。僕→帯羽都槍先生に滅多打ち。神様からの連絡なし。
金曜日。僕はペロの散歩に行った。もしかするとあの神様連絡忘れちゃってるだけで、もうすでに僕と友達になってくれる女子が見つかったのかもしれない。散歩がてら散策!→そんな人見つからず。
そしてついに土曜日。今日は学校がないのでまったりするはずなのだが神様が心配で心配で。
もしかするとなんか悪い厄病神(つい最近まで厄病神がいるとしたらヤツだと思っていたが)にとりつかれているのかも…………
そう思っていた矢先、
「ただいま。」
ついに神様は帰ってきたのだ‼︎
しかし神様は非常に暗い顔をしている。ダメだったか…………やはりダメだったのか…………そんなことないよね。一人は僕と友達になってくれる女子を引き合わせてくれる神様いたよね。
「…………」
神様はずっと口をつぐんでいる。
そんな…………馬鹿な…………
いやでもこれは小説ぞ。きっと何かどんでん返しがあるさ!
え?無いの?ほんとに?
「私は全国のありとあらゆる神様をあたった。天つ神から国つ神、果ては外国の神様もあたった。でも女子と生まれてこのかた全然喋ったことがなくて、女子の前に行くと固まっちゃって、さらにそんな汚い顔じゃあ、あきらめたほうが身のためだと皆に言われた。」
ガチョーン…………
ま、まさかこの地球には七十億の人口がいるってのに、その約半分は女性なのに、その中の一人も僕の友達になってくれないの?
「まあ、いいじやない。友達なら男子でいっぱいいるじゃない。」
なんの慰みにもならない。
「まあ、こんなこともあるさ。そ、それに今は君の友達になってくれる女の子はいなくとも今から生まれる女の子で友達になってくれる人がいるかもしれないし…………」
じゃあ僕はそれまでずっと待ってるの?いつ生まれるか分からない女子の友達を?
すると神様が僕の肩に手を置いて言った。
「煩悩を捨てなさい。楽になるよ。お釈迦様だって最初はいろいろ悩んだけど最後は…………」
うるさいうるさい!僕はお釈迦様ほど立派じゃないから我慢できないんだい(涙)
七志 権平、蒸発(二回目)
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