信ずる者は救われる?   作:藤種沟

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今回が最終回です‼︎

今まで本当にありがとうございました‼︎




神様の世界の見学 その二

「くぉら七志‼︎たるんどるぞ‼︎もっと練習しっかりやれ‼︎」

 

「す、すみません‼︎」

 

もはや枯れそうな声をさらに出す。

やあ、部活ってきついっす…………(泣)

 

こっちは一生懸命やってんのにな…顧問がうるさいんだよな…ブツブツ…

 

今回の部活は本当にキツかった。

先輩には「練習が雑だ。お前には才能がない。やめちまえ。はっきり言って迷惑だ。」と散々言われ、顧問には「もっと声ださんか‼︎たわけ‼︎」と怒鳴られ、もう…………心が折れた。

(声も涙も枯れ果てた)

 

はあ…………今日は近年稀に見る不幸だ…………(心が折れるとそんなふうに思う)

 

ま、でももうすぐ出雲大社に行くんだ。神様に特別に呼ばれたんだ。あんなくそ先輩より僕はずっと幸運なんだもん‼︎………幸運なの‼︎←やけくそ。

 

 

 

 

 

 

さて、出雲へ行く前日。僕は「神様の会議ってどんなんだろう?」という興奮と、「もしかすると八百万の神々はみんな僕の家に居候中のアイツみたいな間抜けなんじゃないか。」という不安を持っていた。

まあ、明日行けば分かることだけど…………

神様は先に出雲大社に行ってしまった。明日の朝、僕を迎えに来るらしい。

話によると出雲大社での神々の会議は七日間やるらしく、僕は一番最後の日を見学することとなった。どうやら、僕の泊まるところが確保できなかったらしい。ま、神様の会議だし、神様と同じところに寝る、というのも気がひけるしね…………

 

僕は神様に前もって渡されたマニュアルを読んでいた。

 

「神様の世界を見学する時の諸注意^o^

・神様に無礼な態度をとらないように。(神様なんていねーし、とかそういう言葉は禁句)

・前日にきちんと入浴すること。(体を清めてから来るように)

・あくまで見学だから神様同士の会話にはあまり口を挟まないこと。

などなど…………」

 

とまあいろいろ書いてあったけど、そのマニュアルは、見れば見るほど僕を不安のどん底に陥れるものだった。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

「なんか………大丈夫かな………」

 

これはもはや人間の考えられる範囲を超えている。

なんて自由気ままなんだ‼︎神様というとのは‼︎(だから日本はやばいんだ‼︎)

 

 

 

 

 

 

「迎えに来たよ〜………」

 

しばらくすると神様が迎えに来た。なんだか元気が無さげである。

 

「どうかしたの?」

 

僕はそう聞いたが、

 

「いや…何でもない………」

 

と、不安と恐怖にまみれた顔で言われるだけであった。(まるで僕が部活に行く時の顔のようだ)

 

「さあ、行こうか。」

 

神様の元気の無い声でそういうと、部屋が光に包まれた。

眩しくて目をつむった。そして少し揺れたかと思うと、徐々に光が消えていく。まわりは何も聞こえない。

 

「ついたぞ………」

 

神様の元気の無い声と共に目を開けるとそこには大きな建物が建っている。神社だろうか。

 

「さあ、入るぞ………」

 

相変わらず神様は元気が無い。何があったのだろう。

 

 

「失礼します。」

 

僕がその建物に入ると、神様がたくさん、輪になって座っていた。みんな険しい顔をしている。「いらっしゃい。」と声をかけてくれた天照大御神様も苦い顔をしている。

そして神様の輪の中央に、一枚の木の札が置かれている。そこには「七志 権平」と書かれていた。

 

「神様、なんであそこに僕の名前の書かれた札が?」

 

「ああ、そのうち分かる。」

 

なんか思ってたのと違う………

 

 

 

 

 

「え〜今日が出雲で行う会議の最終日であります。皆さん、ついに最大の悩みの種を解決する時がやってきました。」

 

僕の隣で神様が他の神様に話している。悩みの種ってなんだろう………

 

神様は、一通り話を終えるとクルリと僕の方を向き、語り始めた。

 

「君は、八百万の神々がなぜこの出雲大社に集まったのか疑問であると思う。実は毎年我々は旧暦の十月になるとこの出雲大社に集まって人間の縁についてを決めるのだ。」

 

「縁?」

 

「そう。例えばこの男とこの女をくっつけよう、とかそういうことを決めたりするんだ。」

 

「え?じゃあ縁結びの事を………」

 

「そう。人間がお互いに結婚する相手は全てここで決めている。」

 

ヘェ〜初めて知った。でもそれと僕の札と何が関係あるのだろう。

 

「今まで六日間縁結びの事を議論していたのだが………君の相手が見つからなくてな………君はとことん女運が無い。」

 

グサッ。(心の情景)

 

「前、君の女友達の事でいろいろな神様に相談した事あったろう?(第五話参照)その時天照大御神様にも相談したらひどく同情されてね。『よし、今度の縁結びの会議にあの子も連れといで、みんなで解決しましょう』と言ってくださったのだ‼︎」

 

おお、やっと神様が僕を救ってくださる時が‼︎

 

「それで六日間の審議で、ペアを作っていくうちに残ってしまった札が君の札だったのさ。」

 

グサッ

 

「まあ安心しろ!今度は私だけでなく八百万の神々みんなで君を救ってやるから安心しろ!」

 

う〜ん………今までの事考えるとなんか信用できないような………まあでも八百万の神々みんなで考えてくれるならいくら僕でもきっと生涯のパートナーが見つかるはずだ!

 

「よろしくお願いします‼︎」

 

僕は深々とお辞儀した。僕個人の事でまる一日審議してくれるのはありがたいことだ。

 

「よ〜し、この可哀想な七志君のパートナーを決めるぞ‼︎」

 

「オ〜‼︎」

 

八百万の神々にとっての、今年最後の審議が始まった‼︎

 

 

 

 

 

 

 

〜数時間後〜

 

「駄目だ〜‼︎七志君とくっついてうまくやっていけそうな女の子がいない‼︎」

 

うそだろ?こんなにたくさん神様いるのに?まあなんとなく予想してたけど………

 

「くそ‼︎来年審議する分を持ってくるんだ‼︎もしかしたらそこに七志君のパートナーがいるかもしれん‼︎」

 

来年の分、再来年の分、その次の年の分、そのまた次の年の分、と候補の名前が書いてある札が次々と出される。

しかし、どれもパートナーが僕以外の人で決まってしまい、僕とパートナーになれそうな人は見つからなかった。

 

そして僕はついにこう発言した。

 

 

 

 

 

「もういいです。これ以上神様に迷惑かけられません。もう僕は女の子をあきらめます。」

 

 

 

 

部屋に、あきらめムードが広がる。

 

もう、神様たちの疲労は限界に達していた。

 

もう駄目だ。

 

 

 

 

 

 

 

そう思っていた。

すると、一人の神様が立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう簡単にあきらめていいんですか皆さん‼︎せっかく一人の少年が我々に救いを求めているのに、それに応えられないなんて、そんなことでいいんですか‼︎全力で救いを求める人に全力で救いの手を差し伸べる。これが我々の仕事ではないのですか‼︎」

 

そう。ここ数日を僕と共に過ごし、僕を救おうとしていた(?)アイツがそう怒鳴ったのだ。

 

「………」

 

あまりに突然怒鳴ったのでみんな一瞬黙っていたが、他の神様たちも次々にやる気を取り戻した。

 

「そうとも!彼の言う通りだ‼︎」

 

「その通り‼︎安心したまえ少年よ‼︎君のことは我々が責任を持って救ってやるぞ‼︎」

 

もはや僕の心には神様に対する不信感は無くなっていた。逆に、そんな神様たちを信頼し、また「祈る」気持ちが心を覆ったのである。

 

それから何時間も審議した。

 

「あの子はどうだ」

「この子はどうだ」

「この子じゃ駄目だ」

 

一柱としてあきらめようと言う神様はいなかった。

 

お互いの長所でお互いの短所を補いながら、団結して目標に進む神々の姿がそこにあった。

 

 

 

 

 

 

 

そして、その時がやってきた。

 

「痛⁉︎」

 

「だ、大丈夫ですか。天照大御神様!」

 

「うん大丈夫。椅子に座ろうとしたらそこに………木の札?ねぇこれ木の札よ‼︎しかも女の子の名前が書いてある‼︎」

 

「何と‼︎」

 

「今すぐ審議じゃ‼︎」

 

ワイワイガヤガヤ………

 

三十分ほどの審議の末、あの神様がこちらを向き、OKサインを出した。

 

ついに、目標が達成されたのである。

 

 

 

 

 

「本当に?僕に女の子の友達が?」

 

家に帰った後も未だに信じられなかった。

信じた結果救われたのである。この小説のタイトルが嘘では無くなったのである。

 

「神様、ありがとうございます!僕は今まであなたを誤解していた。」

 

僕は、神様に感謝の気持ちを抱かずにはいられなかった。

 

「いやいや、それほどでも………しかし見つかって良かったな。女の子の友達。」

 

他人から見れば、「女の子の友達?しょうもないとこで悩んでんな。」と思われるかもしれないけれど、男子中学生にとっちゃ死活問題だ。青春の思い出が相当違ってくる。

八百万の神々が、僕の青春を楽しいものに変えてくれたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はもう高天原に帰るよ。」

 

突然、神様が僕に話しかけた。

 

「え?」

 

「あまり一人の人間にいつまでもくっついていられないんだ。それに、もう神社に戻らないと留守を任せている神様が心配する。」

 

は?え?何?What?………帰る?

 

「少しの間だったけど楽しかったよ。久々の人間界は。」

 

まだ僕の頭の整理ができてないうちに神様が帰る準備をしていく。

 

「また、会えるよね。」

 

僕はそう聞いた。

 

「………まあ、難しいだろう。君が神様ならともかく人間だからなぁ。君が死んで、神様に生まれ変わるとかそうでもせん限り会えんだろう。」

 

………え?もう会えない?

僕の頭の中にとっさにこんな言葉がでてきた。

 

 

 

行かないで。

 

 

 

この短いフレーズがなぜかなかなか口から出てこない。

 

神様が家の神棚の神様にお礼を言っている。

 

「今までありがとうございました。」

 

「いえいえこちらこそ。今度遊びに来てくださいよ。」

 

「喜んで。」

 

僕もあんな風にお別れを言わないといけないんだろうけど、何でだろう、なかなか口に出せない。

 

まだ神様には救って欲しいことがいっぱいあるし、まだ神様には話したいことがいっぱいある。

 

それに、まだ充分に感謝の気持ちを伝えきれていない。

 

「どうしても今日じゃないとだめなの?」

 

「ああ、これ以上いると、天照大御神様に怒られちゃう。それに、閻魔大王様に貰った許可は今日までなんだ。」

 

「………本当にもう会えないの?」

 

「神社に来ればあえるよ。ただ………もうこういう風に会話はできんな。」

 

「………」

 

もっと伝えたいことがある。もっと話したいことがある。

それなのに…それなのに…

 

 

 

 

 

ついに神様が出発する。

 

何だかとっても複雑な気分。

 

「さて、そろそろ行くか。」

 

神様が日常生活からいなくなる。

頭では分かっていても、実感は沸かない。

 

「ああ、そうだ。行く前に君に言っておこう。」

 

神様がこちらに振り返る。

 

「たしかに君はついてない一面もあったし、短所も多かった。それに、私がいなくなると不安に思うこともあるだろう。

でもめげずに頑張ってほしい。神様だってついてないことがあるし、短所もある。でも、お互いの長所でお互いの短所を補いながら、一生懸命生きてる。ぜひ、君もそうして生きてほしい。自分の長所と短所をよく理解して、どうやったら自分は社会の役に立てるか。それを考えてほしい。

自分の苦手なことや、ついてないことがあったらどんどん人に頼りな。謙虚にね。

そして、自分の長所で、どんどん人の役に立ちな。自分をアピールして。

でしゃばりに、そして謙虚に。」

 

そう言われても………そう言われても………

 

「………でもやっぱり不安。」

 

そう言うと、神様は微笑んで言った。

 

「もし不安に思ったら、こう考えてな。『そうだ。神様もこうして生きてんだ。ついてなくたって、短所があったって、悪いことじゃないんだもん。』ってね。

それに、君が神様に本気で救いを求めるなら、我々は最大限君を救ってやるから。

気楽にやんなよ。」

 

そう言うと、神様は僕の肩をポンと叩いた。すると、まわりが光に包まれた。目を閉じた。

 

目を開けると、そこにはもう誰もいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ばっ‼︎」

 

「わっ‼︎」

 

後ろにいたんかい。

 

「今度私の神社に来た時はさ、たくさんのお賽銭を持ってきてよ。楽しみにしてるからね。」

 

そう言うと神様はフッと消えた。

 

「全く、最後が余計なんだよ。」

 

まあ、そういうのが、神様の良いところでもある、ということが、神様と別れて見て初めて分かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「信ずる者は救われる?」を最後までご愛読くださりありがとうございました‼︎

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