魔法科高校の変わり者 作:四葉夜々
「なる程、深雪さんを怪我させたと」
「テヘペロ」
「…………はぁ、初陣にしては上出来、ということにしといてあげるわ」
羊の報告を聞き、呆れたように肩を竦めた。
「さーせん………で、俺の今後の四葉での立場は?誰かのガーディアンでもやればいいのか?」
「それはなんとも心強いけど、違うわ。むしろアナタは四葉の貴重な要……達也さんが使った魔法、使えるのでしょ?」
「そのタッツーもガーディアンの訳ですが?」
「だってそれ以外の魔法が使えないモノ……」
真夜はゾンビをチェーンソーでバラバラにぶった切りながらアイテムメニューを開き薬を使って体力を回復させる。
「じゃあ俺の立場は?」
「まだ扱いは難しいわね………何故かアナタではなくグリーンゴブリンが戦ったことになってるし」
「そのグリーンゴブリンって俺じゃん」
「グリーンゴブリンの中身はおじさんでしょ?疑ってる人多いのよ」
沖縄事件から早一年。羊は山の動物達と遊んでいると葉山がやってきた。
「どったのハヤマン、今日は出産を控えた日本狼の為に子狼でもできる遊びを山犬達と考えてたのに」
「それはすまないタイミングで呼んでしまったな………え、日本狼?」
「用事は?」
「あ、ああ………」
戸惑いながらも羊を案内する葉山。連れてこられたのは真夜と、そして真夜に似た女性深夜がいる部屋だ………。
「まーちゃん来たよん。ん?みーちゃんもいるんだ」
「………まーちゃん?みーちゃん?……始めてみる顔だけど、立場を解っての愛称かしら…」
ベッドに横になった深夜は力なくギロリと睨んでくるが怖くも何ともない。
「おいおい命の恩人にあんまりな態度じゃん」
「命の?」
「装、着!」
「………グリーンゴブリン……」
羊の言葉に首を傾げる深夜だったがどこから取り出したグリーンゴブリンのヘルメットを装着すると深夜は合点が行ったような声を出す。
「スパイダーマン……観たわ………出来ればニューゴブリンの方が……若くてイケメンだし」
「次からそーする」
深夜の言葉に羊は早速ネットでニューゴブリンの衣装を見る。後で作るつもりなのだろう。
「あなたは姉さんの恩人でしょう?死ぬ前にせめて、会わせようと思って……」
「……真夜から……以前のような世界に対する憎悪が無くなっている、のも……アナタのおかげなんでしょう?ありがとう……」
「………死ぬのか?」
「元々……若い頃から無理をしすぎて長くわ無かったわ……よく今まで生きてこれたと感心するぐらいよ」
「…………いいのか?もう死ぬ間際ぐらい達也を抱きしめて、愛してるぐらい言っても誰も咎めないぞ?」
「………お見通し…ね………でも、そんな権利ないわ……私はアナタに礼が言いたかっただけ」
言外にこれ以上話す気はないと言われ羊は仕方なくゴブリンヘルメットを被ったまま外に出た。
「ん、お前はタッツー」
「グリーンゴブリン、何故……いや、そういえば叔母上の懐刀だったな」
「あん?」
懐刀のつもりなど無いのだが、何を勘違いしているのだろうか。
「スパイダーマン、観たぞ……自身の衝動と家族当然の主人公の間に苦悩するグリーンゴブリンは、まさしく漢だった」
達也はそう言って片手を差し出してくるので取り敢えず握手をした。
「そういやタッツーに聞きたいことがあるんだ」
「何だ?遺伝子改造を受けた蜘蛛なら生憎知らんぞ……」
「そっちじゃなくてタッツーの『再成』って、何で24時間なのかなって……」
「……単純に俺が読み取るイデアがその程度と言うのもあるが……、一日二日はともかく数年の情報を自身の肉体に転写したら確実に壊れるだろう?」
「ふむふむにゃるほど………ありがとねタッツー」
羊はうんうんと頷くと自室に戻った。
「ふにゃぁ………」
司波深夜は陽光を感じ目を覚ます。今日は調子がいいのだろうか?
体が軽い、久し振りに歩けそうだ。早く目が覚めすぎたのか誰もいない。病室の備え付けの洗面台に向かい顔を洗い、顔を拭いて少女と目があった。
深夜がキョトンと少女を見ると少女もキョトンと深夜を見つめる。深夜がコテリと首を傾げると少女もコテリと首を傾げる。
「…………………」
深夜がクルリと鏡の前で回ると少女も同時にクルリと回る。うん、現実逃避はここまでにしよう………深夜は、目を覚ますと身体が縮んでいた!
「えぇぇぇぇぇ!?」