魔法科高校の変わり者   作:四葉夜々

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3月25日

 深夜と穂波と羊は新生活用の日用品を買いに横浜に来ていた。

 前世で一人暮らしが長い羊と家事をこなしてきた穂波は無駄なく日用品を買い、新居に発送を頼み後は余った金で何かを買うことにした。

 

「まーちゃんみーちゃんには月の髪飾りで良いか……タッツーは一緒の高校になるわけだけど……あいつは何か欲しがったりしないか」

 

 羊は欲しいモノが思いつかなかったので適当に世話になっている四葉家の当主と何気に一緒に住むことになった虐める相手……もとい友人に渡すプレゼントを探すことにした。

 

「んー、やっぱ双子なら同じ物の方が良いのかね?双子ファッションってやつ?」

「お客様、でしたらこれなんて如何でしょう?それと、双子を恋人にするときは十分注意してください」

 

 店員はなにを勘違いしたのか三日月型の飾りに色違いのピンと言う二つの髪飾りを渡してきた。

 

「…………恋人、ねえ……ああ、怖い怖い」

 

 人を好きになる経験は、前世の同世代達と比べてもかなりあっただろう。

 その時の感覚もキチンと覚えている。自分の全てを捧げたくなる感覚、自分の全てを知って貰いたい欲求、相手の全てを知りたい願望、相手の全てが欲しい欲望、自分が自分でなくなる恐怖。

 

「それを知りながら何度も恋しちまう俺も本当に大概だね……しかし恋人、この世界でもまた誰かに恋しちまうのかね……」

 

 まあ自分が他人から好意を寄せられやすい容姿なのは自覚しているが、実際独り身も彼氏持ちも、時折男性も熱のこもった視線を向けてくる。

 が、それはようするに外見だけを見ているからだ。好きになる相手の内面を見ない、そんな相手はどんな美人だろうとお断りだ。

 

「これは……うーん…いえ、どうせ渡せないわ」

「何してんの?」

「ふひゃあ!?」

 

 店から出るとショーウィンドウの髪飾りを真剣な表情で見つめる深夜が居たので声をかけるとビクリと肩を震わせた。

 

「……えっと……今日、深雪さんの誕生日なのよ……」

「ああなるほど、そのミユキチにプレゼントを買ってやりたいけど世間的に死んで別人になってる自分では渡せないと」

「……………そうよ」

「……じゃあ俺が買っとくか、いつか誰かあげる人いるかもしれんし」

 

 羊はそう言って店に戻り髪飾りを購入してきた。店員はチラリと入り口で固まっている深夜を見て頑張れ!とサイムズアップしてきた。

 深夜は店員の表情を見て察したのか顔を歪めていた。

 

「……ん?メール」

「私も……」

 

 しばらく二人でぶらついていると深夜と羊の携帯が同時にふるえる。四葉からの緊急メールだ。中身を確認してみる。

 

『たいへーん!(>_<)深雪さんが今いるベイヒルズタワーに放火魔が現れちゃったゾ☆達也さんが間に合うか正直微妙(´・ω・`)三人とも、近くにいるなら助けてあげて!』

 

 最後まで読み切った自分達を誉めてやりたい。三人、と言うことは穂波にも同じメールが送られているのだろう。直ぐにベイヒルズタワーを確認すると煙が見えた。

 

「っ!ここからじゃ間に合わない!」

「………使ってみるか」

「……え?」

 

 深夜が慌てる中羊は目を閉じ精霊の眼(エレメンタル・サイト)を最高範囲で展開し深夜と似た気配を発見。近くに発火に特化した魔法師の気配。間違いないだろう、初めての試みだが正体がパラサイトである自分は肉体一つ失ったところで影響はない。

 自身のイデアを完全に『分解』し、コンマ数秒後に精霊の眼(エレメンタル・サイト)で確認した場所で『再成』する。

 擬似ではない、正真正銘のテレポート。

 

「………え?」

「……な!?」

 

 突然現れた男に驚愕する二人。しかし男の方は女に向けていたナイフをそのまま標的を羊に変えて襲いかかる。が……

 

酸化(oxidation)

 

 羊が短く呟き魔法は発動した瞬間ナイフが茶色く染まり崩れ落ちる。

 

「熱!?」

 

 急激な酸化反応により生じた熱に驚き固まった男を羊は容赦なく蹴る。ゴバ!と男は胃の中身と酸素を吐き出し気絶させた。

 

「あ、アナタは一体……」

「………何れ会う、その時まで……」

 

 どうせ魔法科高校であうのだし、説明とか色々面倒なのでその場から立ち去る羊。少女が慌てて後を追おうとした時、意識が落ちてなかったらしい男が顔を上げ少女に思い切り蹴られた。

 哀れ、今度こそ完全に気絶した。

 

 

 

 

「ふんふんふんふーん♪」

 

 羊は一足先に深夜達と合流して、司波宅に来ていた。羊が今しているのは電子ロックの解除だ。

 

「よし開いた!」

「何処で覚えたのよそんな技術」

「それは秘密だ……ん?鍵による物理ロックもあるのかこれは……ディンプルキーか……ハッキング対策もたいしたものだけどピッキング対策の性能高いの選んでんな~」

「魔法で空けます?」

「多分関知されて通報される………大丈夫、このバンプキー差し込んで叩くだけで開くから」

 

 ガン!と差し込んだバンプキーをハンマーで叩き鍵を開けると司波宅の中に入る。

 そして、『happy birthday』と書かれた袋をリビングの机に置いて行った。

 

 

 

「ていうかテレポート使えばよかったんじゃ……」

「タッツーの家セキュリティーが高いらしくてね、正面から突破してみたかったんだ」

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