渋兄生。〜しぶりんの兄が好き勝手やりすぎるはなし〜 作:秋ボーロ
明日、明日はちゃんと本編更新しますので! どうかご容赦を!
短編①
事務所にて。
「兄貴ってさ」
「うん」
「引きこもってる時っていつも何してたの?」
「ナニしてたな」
「ずっと?」
「突っ込まないのか。いや、ずっとは流石にムリだって。体力も精力も保たないし」
「じゃあ、その、ナニしてない時間は一体何やってたの」
「うーん……日によってまちまちだけど、取り敢えずはアイドルビデオを欠かさず見てー、そんで推しアイドルの情報を探してー、批判してるやつとかをひたすら叩きまくって、あとはひたすら寝てた」
「毎日ずっとその繰り返ししかしてこなかったの?」
「あ、いや、アイドル見ない日もあったけど……でも、月に一回もあるかないかの頻度だぜ?」
「じゃあ、その日は何してたの?」
「うーん……ただぼーっと、かな」
「え、ひたすら?」
「そう、何も考えずにずっと座って、気がついたら時間だけが過ぎててって感じ。引きこもり始めはまさにそんな感じだったなぁ」
「ふぅん……よし、だいたい分かったかな」
「そろそろ聞いていいか。何これ何のプレイ? 過去の黒歴史を思い返して枕に顔埋めてバタろうのコーナー?」
「過去? ……まあいいや。次のテレビの仕事で一日職業体験ってのがあるんだけど。あの一日だけその職業になりきる奴」
「ねえそこ露骨に引っかかって最後まで言わずに話し始めるの止めて」
「くじ引きの結果、私は自宅警備員に決まったんだよ」
「……は?」
「でも、私自宅警備員が普段何やってるのか全然知らなくて。不安だったから、どんな職業か調べてみたら、自宅警備員って引きこもりのことだって書いてあったから、こうして兄貴に聞きに来たって訳。……わざわざありがとうね。これでちゃんと仕事こなせそうだよ」
「ちなみに、お前の得た自宅警備員のイメージは?」
「毎日自慰に耽ってアイドルビデオを見て後は寝たりぼーっとしたりしてる人でしょ? ……よし、後はこの取材結果をプロデューサーに送っておしまい、っと」
「ちょっと待てよ下さい」
「なに? 私これから兄貴の人生にトドメ刺す為にもメール送らなきゃいけないんだけど」
「やっぱりそれが狙いか! いいか、たしかに俺は引きこもりだが自宅警備員じゃない。誇り高きヒキニートだ」
「それ、何が違うの?」
「自宅警備員は、勤務時間外なら外に出ることも出来るし誰かとコミュニケーションをとったりも出来るが、ヒキニートにはそれが許されない。つまりこの二つは似てはいるものの全く別のものであってだな」
「要点を簡潔に言って。三行で」
「俺、ノット自宅警備員。
俺、単なるヒキニート。
自宅警備員、ノットヒキニート。
だから俺は自宅警備員じゃないんで俺の経験は全く参考にならないから武内さんには黙っておいてくれ」
「えぇ……それじゃ今までの取材結果全然役に立たないじゃん……どうしてくれるのさ」
「どうしてくれるったってなぁ……どんまい☆☆☆としか言いようがないんだが」
「うっかり手が滑ってプロデューサーにメール送信しちゃいそうだな」
「ごめんなさい許して下さいなんでもしますからぁ!」
「じゃあこのふざけた企画提案した人をぶっ潰してくれる?」
「やっぱり滅茶苦茶不満だったんだな……いや、いくら俺でもそれはちょっとムリかな。俺ってば一介の新米Pですしおすし」
「さっきなんでもするって言ったよね?」
「なんでもするとは言ってない……おいよせ。分かった。代わりになんとか企画が白紙になるように尽力してみるから」
「うん、ありがと。やっぱり頼るべきはプロデューサーだよね」
「二重の意味でな! ちきしょう!」
「……それにしても、自宅警備員とヒキニートって違うんだね。初めて知ったよ」
「まあな、あくまで俺個人の認識だから、実際の定義にはあんまり違いが無かったりもするけど」
「……つまり?」
「どっちも社会の穀潰しには変わりないってこと」
「自分で言ってて悲しくならないの?」
「やだこの子的確に精神抉ってくる怖い……」
「……それにしても。案外同じように見えて違うものってあるんだね」
「意外と探せばありそうだよな。つっても、俺はこれぐらいしか思いつかないけど。あとは何があるかねぇ」
「……あの、何の話をされてるんですか?」
「あ、智絵里」
「おー、智絵里ちゃんか。おはよう」
「あ、おはようございます……じゃ、じゃなくて、何の話をしていたんですか……? 上手く聞き取れなかったけど、ナニとかアイドルとかなんでもしますとか言ってませんでした……?」
「やだ的確に俺の社会生命を終わらせられるところばかり聞き取ってる」
「自宅警備員とヒキニートの違いについての話をしてたんだよ」
「……? その二つって、違い、あるんですか……?」
「一応ね。でも一般人には分からないよな。……あ、そうだ。智絵里ちゃんは何か、知らない? 同じように見えて実は違うもの」
「実は違うもの……シロツメクサとクローバーの違い、とか、ですかね? ごめんなさい、私、これくらいしか思いつかなくて……」
「え、それって同じじゃないの?」
「えっと……シロツメクサっていうのは、マメ科シャジクソウ属に属する種で、クローバーっていうのは、そのシャジクソウ属の総称なんです。確かに、日本だと同じものとして扱われがちですけど、厳密には、クローバーの中にシロツメクサも含まれるってだけなんですよ」
「……知らなかった」
「ああ、初めて知ったよ」
「え、えへへ、ありがとうございま――」
「「智絵里(ちゃん)がこんなに長い台詞を喋れるなんて!」」
「失礼過ぎくないですか!?」
「いやだって……なぁ? 智絵里ちゃんってなんか、もっと引っ込み思案なイメージだったし」
「……やっぱり、誰でも好きな物の前には饒舌になるってことかな」
「おい、何で俺を見ながら言う。別に俺は好きでヒキニートやってた訳じゃないんだが」
「あの……そういえば、渋谷プロデューサーに聞きたいことがあったんですけど、引きこもりの人って普段どんな気分なんですか……?」
「え、智絵里ちゃんまでどうしたの。もしかして本日二回目の俺の社会人生命にとどめ刺そうキャンペーン?」
「ち、違くてっ! 私はただ、次のお仕事で引きこもりになりきる仕事があって、それで、どんな気持ちですればいいのか分からなかったので、プロデューサーに聞こうと思って……」
「…………」
「…………」
「あ、あれ? ふ、二人共、どうしたんですか……?」
「……いや、奇遇だなあと思って」
「私も、次の職業体験の仕事が自宅警備員だったからさ。同じような職種を何人かで担当してるんだね。くじ引きの結果だからかな」
「うーん……どうも引っかかる。……凛、お前、仕事の詳細資料とかもってたりしないか?」
「あるよ。……はい、これ」
「サンキュ。……えーと、なになに? 一日職場体験、アイドル達に色々な職業を体験してもらう。体験する職業はくじ引きで決定。参加アイドルは渋谷凛、緒方智絵里、双葉杏……」
「……これ、もしかして」
「いや、流石にそれは……」
「いくら杏ちゃんでも……あ、でも、この間杏ちゃん、紙みたいな物いっぱい作ってガシャポンに詰めてた……」
「ねぇ智絵里。……くじ引きの時使ったのって、ガシャポンだったよね?」
「……でしたね」
「…………」
「…………」
「…………」
「……よーし、今から皆で杏探そっか。久々にキレちまったよ……!」
「私、武内さんにメールしとく」
「じゃあ、私はきらりさん探してきます!」
この後、杏は滅茶苦茶レッスンさせられ、企画も白紙に戻された。
こうして杏は(疲労で)ぶっ潰れました。
今後も続きに困ったらこういう感じで短編を上げるかもしれません。
まさか一番書きたかったセクハラシーンで書き詰まるとは思いませんでした。やっぱりこれが童貞の限界なのか……。
ちょっと明日までにおっぱい揉んで勉強してきます。
それでは、ありがとうございました。